PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

シナリオ
12
「狂いの風」

シルヴァードのフーリーズ平野に突如現れたというグリフォン。
奇妙なことに、ひどく獰猛な性質で、道行くものたちを手当たり次第に襲うという。
バントは近々ここの付近を訪れるという行商人の依頼を受け、グリフォンの退治にやってきた。

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経過日数:7
食料(所持数):43
この大量の食料(50個)はギルドからたっぷりともらってきたものです。余ったら返してください(笑)
なお、その日の食料は、狩をして入手することもできます。


 
GM

 さて。
 こうして、バントは行方不明の冒険者と合流し、その命を救った。
 ……これからどうするべきか?
 とりあえず休憩するか、それとも?


 
バント

シュラ<

「止血もうまくいったし、今すぐどうこうってことは無いだろうが…
 ここじゃあ完璧な治療って訳にはいかないからなぁ、街に戻って医者に見せた方がいいかもしれない。」

 不安げなシュラにそう答えると、ふぅっと大きく息を吐いて洞窟の壁にもたれ掛かる。



 
GM

 バントは素早くオットーに処置を施す。
 止血を行い、傷を洗い、薬剤を塗布し、包帯でくるむ。
 充分な道具と薬があったために、適格な治療を行うことができた。
 治療には三十分もかかったが、その甲斐あって、出血は大体抑えられたようだった。
 薬の効果か、オットーの呼吸も落ち着き、表情も和らいだようだ。
 それでもまだ、横で、シュラは不安げな顔をしている。
 大丈夫なの? とでもいうように、バントをみた。


 
バント


「こいつは酷いな…」
 たとえ医術の心得のない人間が見ても、目の前の青年が危険な状態にあることは、一目で分かるだろう。
 特に胸の裂傷からの出血が酷い、一刻も早く止血しなければ…
「とくかくやって見よう。」
 青年に負けないくらい血の気の引いた表情のシュラに声を掛けると、荷物の中から治療のための道具を取り出し始める。

医療具とキュアポーションを使用

バント技能判定「手当て」:1/86%
...82
成功!

身体治療:1D6+2D8+5
...6+3,7+5=21
 >オットーのHPを21回復!

オットー
 HP:3/65
 MP:不明
 状態:昏倒



 
GM

 洞窟の冷たい地面に敷いた毛布の上に、男は寝かされていた。
 引き締まった身体つきに、やや不似合いに幼げな顔がある。
 苦悶の表情ではないが、ただ、ひどく青ざめている。
 身体中に包帯が巻かれているが、特にひどいのは胸部に受けた傷の部分で、今も出血が止まらないようだ。重ねた包帯の上にも鮮やかな血の色が広がっている。

バント医術判定「手当て」:1/75%
...58 
成功!

 バントは、オットーの傷の具合を判断する。

 HP:-18/65
 MP:不明
 状態:昏倒 出血(毎分1-5ダメージ)



 手当てやその他の技能の使用の場合、〜判定というふうに行為の成功が判定されます。どれくらいの成功率になるかは、事前に判断できますので、慎重に行動したい場合は「**がどれくらいで成功できるか調べてみる」などのように記述してください。行為の成功判定を行う前に、その成功率をお教えします。

 
シュラ

バント<

 頷いて、シュラはバントをオットーの元へと誘う。



 
バント

シュラ<

「ああ、なんとかな。」
 背中に感じる熱い痛みに僅かに顔をしかめながらもそう答えて見せる。
「それよりアンタの相棒…オットーだったか?
 俺程度の腕でどうなるかわからないが…とにかく様子を見せてくれ」



 
シュラ

 洞窟の中まで到達したバントに、急いで駆け寄る。
 森色の髪と瞳をもった冷たい美貌の狩人の顔に、不安の表情がある。
 それがこの女性にはひどく珍しいことだということを知りうるものは、今は起きていない。

バント<

「無事?」



 
戦闘

「来る―早い!」
 バントが駆け出すや否や、シュラが声をあげる。
 グリフォンは鋭敏な視力を持ち、バントが森から抜けたのを確かに見抜いたのだ。同時に、グリフォンは翼を羽ばたかせて彼目掛けて急降下を開始する。

「後ろ、頭上から!」
 駆け出して、すぐのことだった。
 バントは剣呑な鉤爪が自分の背後から迫るのを見るような思いで、限界まで身を沈め、横っ飛びに飛ぶ。

 が、ざ――ッ!

 翼と、何か鋭いものが風を斬る音が間近で聞こえ、過ぎていく。
 グリフォンの爪が自分を捉え損ねていったのだ。

「もう一度!」

 一瞬視界に移り、そしてまた上に消えていった影。
 それが、この一瞬の間で、また、

 ザ、ザザザ!

 バントに速度をあわせて狙いをつけてきたグリフォンは、また、彼が尋常ではない反応で身をかわすのを見て、口惜しげに鳴き声をあげる。
 ただの獲物ならば、今の攻撃で完全に捕捉されていたのに。
 グリフォンは、バントを補佐するシュラの声を知らず、魔法を知らず、なによりバント自身が培った経験と肉体、そしてその直感の力を知らない。

 15mは短い。
 研ぎ澄まされた感覚の中、バントには、やけに自分の進む速度が遅く感じられる。
 あと五歩、四歩、三歩...
 あと、一歩。
「はや――後ろ、――!」
 シュラの声がかすれていた。
 理解する前に、バントは洞窟に身を投げ出す。
 背中を灼熱が掠めていく。

バント 回避:85+20%
グリフォン 命中:110×2.130×1
1th:5%
2th:5%
3th:25%
判定...68.21.4 
回避!
回避!
命中!

  <バントに12ダメージ!

≪戦闘終了≫
バント
vs
狂えるグリフォン
(自然生命/実体)

≪情報≫
戦場・草原/通常・広大空間
属性・地 2 水2 火 0 風4 光3 闇2

≪状態≫
バント
 HP67/79
 MP43/43
 ・スピード

 迫り来る圧力を背後に感じながら、一度も後ろを振り返るという無駄な事をしなかったバントは、その肩を後ろから浅く抉られていた。
 そのままバランスを崩して、バントは洞窟の地面に転がった。



 
バント

 こいつは凄いな…」
 体の隅々にまで行き渡る不思議な感触に思わず呟きをもらす。
 まるで鳥になったようとはこんな感じのことを言うのだろう、明らかに体が軽くなったのを感じる。それに五感までもが研ぎ澄まされ、木々の間を風が吹き抜ける僅かな音さえ聞こえるようだ。

シュラ<

「これなら行けそうだな。
 よし…俺の掛け声で行動開始だ。」

 そういって静かに押し黙ると呼吸を整える。
 太陽の光が雲に隠れて一瞬林の中が薄暗くなる。
「行くぞっ!」
 まるでそれを合図にしたかのように、短く叫ぶと洞窟の入り口目掛けて脱兎のごとく駆け出す。



 
GM

 シュラのその言葉通りに、その直後、バントは自らの身体の変化に気が付いた。
 感覚が研ぎ澄まされ、肉体に生気が満ちてくる。

 バント
攻撃命中+20%
攻撃回避+20% 
移動能力+30 
行動能力+80 



 
シュラ

バント<

「ええ、…魔法をかけるために、いったんこの交信を断つわ。
 能力の変化は顕著に表れるから、いつでも、お願い。
 こちらの準備はできているから」



 
バント

シュラ<

「そりゃあ有難いな…少し待ってくれるか。」

 口を閉じると背を屈めて暫し下生えの間を進み、こちらから洞窟の見渡せる位置までいくと低い潅木の間から僅かに身を乗り出す。

「どうだ、そちらから俺が見えるか?」



 
シュラ

バント<

「ごめんなさい。ありがとう」
 か細い声で告げる。
 しばし沈黙し、それからまた流れ出た声は、また、毅然としたものに戻っている。
「了解。けれど、合図をする前に洞窟から姿の見える位置まで来て。こちらから、あなたの能力を補強する魔法をかけるから」



 
バント

シュラ<

「まぁ、そういう話は互いに生き残ってからでいいんじゃないか?
 …生きて連れ帰れなかったとなりゃあ、親父さんに申し訳がたたんし、それに俺だって寝覚めが悪い。」

 半ば諦め顔でさかやきを掻きながら、シュラの懇願に答える。
 我ながら無謀な行動とも思うが古今東西、男と言うものは女の涙に弱いように出来ているようだ。

「いいか、合図したら俺は森から出て洞窟まで走る。
 そっちは出来るだけ弓でグリフォンを牽制してくれ。
 あとは…奴さんがどの位置から攻撃してくるか教えてくれれば、俺も身を守りやすいな。」



 
シュラ

バント<

「夜までは、……保たないかもしれない。
 出血が、止まらないのよ」
 それまでははっきりとしていた声が、ここで揺らぐ。
「お礼なら、幾らでもする…」



 
バント

シュラ<

「重傷の怪我人を連れてここまで走るってのは、ちょいと厳しいだろうな、夜まで待てれば暗闇に紛れてって手もあるが…。
 相棒がそれまで持ちそうにないなら、俺が洞窟まで走るよ。
 あんたが弓でグリフォンを牽制してくれりゃあ、なんとかたどり着けるだろう」



 
シュラ

バント<

「…そうね。
 まず、伝えておくけれど、あのグリフォンは普通のグリフォンじゃあないわ。あなたも知っているかもしれないけれど、別に獰猛ではないし、領域を侵してもいないものを襲い掛かったりしない。―このことに関しては、単純にあのグリフォンが、尋常じゃない広さの地域を自分のものだと思っているだけ、ということかもしれないのだけど―それに、捕らえそこなった獲物を、ああも執拗に狙ったりはしない。
 獲物の逃げ込んだ洞窟や森の上空で待ち構えるようなことは。
 …何かしら、原因があるはず。
 グリフォンに出会う前に調べてみたのだけど、他にも、普段はとても大人しい動物が信じられないほどの凶暴性を露わにしているのを見たわ。
 人間を襲おうとする兎なんて、ここに来るまでみたこともなかった。
 明らかに不自然。
 …といっても、そのことは今は関係ないわ。
 ねえ?
 わたしがオットーをそちらに連れて行くのと、あなたがこの洞窟まで来るの、どちらのほうが簡単だと思う?」



 
バント

シュラ<

「多少は心得があるし、治療に使う道具もいくらか持ち合わせがあるよ」
 彼女の不安を打ち消すように努めて明るい口調で答える。
「只、問題は…」
 ふと、その声が真剣さを帯びたものになる。
「奴さんがそちらまで行かせてくれるかだな」
 バントの視線は木々の隙間から覗く頭上の空にグリフォンの姿を探す。



 
シュラ

バント<

「そう…」
 安堵したような、嘆じるような、複雑な吐息と共に応じる。
 それから、懇願するような口調で、
「…あなたは、傷の手当てはできる?
 せめて、薬草の類は持っていない?
 わたしは治癒の魔法は使えない。手当ての知識もない。薬草もない。
 …わたしでは、これ以上手を尽くせない。
 オットーは、重傷で、明日も知れないのよ――」
 ここに届いているのは彼女の声だけだが、それだけで、彼女の苦悩の表情が見えるようだった。



 
バント

シュラ<

「俺は、ミネアンの狩人バント」
 自分も名のってから、思いついたように言い忘れてたが…と前置いて。
「鷹の止まり木亭の親父さんから、あんた達二人を連れ帰ってくれるよう頼まれてね。
 別に怪しいモンじゃないから、安心してくれ」
 そう言いくわえる。



 
"氷眼の弓"シュラ・フ・ルー

 バントの声にしばらく沈黙してから、女性は続ける。

バント<

「洞窟の奥にいて、…昏倒している」
 それから、彼女は自らを名乗る。
「私は、シュラ・フ・ルー。フィアヌスの狩人。“氷眼の弓”と呼ばれることもあるわ。
 相棒は、“弓戦士”オットー。あなたは?」



 
バント

 突然の呼びかけに身を堅くするが、その声が多分先ほどの女性であることに思い当たり、こちらもその声に答えるように話し始める。

女性<

「ああ、なんとかな。それよりそっちの状況は? 相棒の姿が見えなかったみたいだが…」
 確かこの女性の他にもう一人、人間の青年がいるはずなのだが、先ほどの戦闘ではその姿を確認できなかった。
 いち早く洞窟の奥へ避難したのか、それとも…



 
GM

 森の中へと逃げ込んだバントのところへ、どこからともなく声が響く。
「援護、助かった。そちらは無事?」

 
戦闘

 バントは、愛用の合成弓を取り出し、慣れた動作で矢を番えてグリフォンの翼の付け根を狙って射放つ。

  バント
   >射撃!
   >グリフォンに命中!
    >21ダメージ!

 狙いは外れ、胴体の辺りに命中する。
 グリフォンはそこで彼の存在に気が付き、怒りの鳴き声をあげる。
 その目は血走り、話に聞く幻獣の姿とは大きく外れている。
「洞窟の中へ逃げろ!」
 バントはジェスチャーを交えて、女性に叫ぶ。
 女性は、彼の援護と考えを受け取り、苦悩の表情を浮かべながらもグリフォンの隙をついて洞窟の中へ逃げ込む。
 獲物をひとつ見失ったグリフォンは、再度の怒りの鳴き声をあげて、まっすぐにバントに向かってくる。
 その行動はバントも心得ており、迷わず後ろへ走り、森の中、遮蔽物の多い場所へと逃げ込む。
 甲高い、笛のような音の声を上げて、グリフォンは進路を塞ぐ木々に構わず突っ込む。枝が引っかかりその身体を切り裂いて阻むも、しつこく、しつこくなんども挑みかかる。
 数度繰り返してようやく、どうしても自分の爪が獲物に届かない事を理解したか、空へと舞い上がり、上空を旋回し始める。

 戦闘一時終了



 
GM

 バントが符丁の方向に移動し始めて、それを見つけるまで、それほどの時間は掛からなかった。
 ちょっとした森の中に、飛び散る羽や木の幹にうがかれた深い爪あと。
 先日も見た、グリフォンとの戦いの後だ。
 そこで、大きな羽音、甲高い鳴き声、人の怒声が聞こえる。
 木々の間をすかして先を見ると、森の領域から15mほど手奥に断崖がそそり立っている。30mほどの高さのある崖だ。そして、その崖と地面の間にぽっかりと小さな穴が空いている。その穴の前で、今まさに、グリフォンと冒険者が戦いを演じていた。
 小柄な人間の女性が、片手に棒状を持って、グリフォンに立ち向かっている。必至にこの魔獣の攻撃を避け続け、時折、魔法の一撃を繰り出している。だが、力の差は歴然で、女性が何度も魔法を直撃させてもグリフォンが小揺るぎもしないのに対し、女性はグリフォンの一撃で、簡単にその命を終わらせてしまうだろう。
 いざとなれば、彼女は穴に逃げ込めばなんとかなるだろうが…。

 今、バントがいるのは、崖から向かって東側の森の中だ。
 森から30mほど草原を挟んで、崖が北南に広がっている。
 そして、その崖には小さな穴がひとつ開いている。
 その穴のまん前で、戦いは繰り広げられている。



 
バント

(急いだ方がよさそうだな・・)
 険しい表情で最後の火矢が空に吸い込まれたのを見届けると、足早に移動を再開する。

 
GM

 バントは、他にも符丁がないかどうか探すが、見当たらなかった。
 そのため、彼からも符丁をあげることにした。
 薪を集め、定位置に並べてから火をつける。
 その位置に並べられた煙は、道に迷ったものや遭難した狩人に対して上げるもので、自分が救援者であることと、自分の位置を示し、更に相手側から信号を求める符丁だった。互いに煙が混ざらないようにそれぞれ離れた場所に仕掛ける必要があるが、その場所があり、雨天でなければかなり有効な符丁だった。
 そうしてから、彼は急いで南へと向かっていく。
 この煙に興味を引かれたグリフォンが襲い掛かってくる可能性もあるからだ。
 …。
 彼が山林地帯に足を踏み込んですぐのことだった。
 ピィィィイイィィィィィィ!
 甲高い音があたり一帯に響く。突然の音に驚いて、その方向を見た番とは、何かが細い煙を引きながら、天に向かっていく姿が何個か見られた。
 最初の甲高い音は“ホイッスルアロー”だろう。射ると甲高い笛の音を響かせて飛んで行く矢だ。あとのものは、やはり狩人の符丁だった。
 火矢を使って上げる符丁で、それは、バントのあげた符丁に対して応じるということ、それから、相手の位置に対して南西に自分がいるということ、自分たちが窮地にあること、最後に、これ以上の信号をあげられないことを告げていた。


 
GM

 バントはそこで、つぶさに周囲の状況を改め始めた。
 ふたり(恐らく)と戦っていたのは何者なのか、辺りに、獣毛や鳥の羽などが落ちていないか…。

 そこで、バントは大きな鳥の羽を、何本も発見する。
 それは鳶色の羽根だったが、中には赤いものがこびり付いたものがあった。
 そして、さらに、バントは意外なものを発見した。
 土饅頭の近くに立っている木の幹を良く調べて見た彼は、その根元のあたりに刃物で刻みつけられた模様めいたものがあったのだ。
 バントはこれには非常に覚えがあった。
 “狩人の符丁”というもので、狩人同士が共同で狩をする際につける目印のようなものだ。たいていは木につけるものだが、石を並べたり、火を焚いて煙をあげたりと、何種類もの符丁がある。
 バントも狩人としてこの符丁は、当然のように知っていた。
 それを見ると、“獲物”“南”“手負い”“大熊”の言葉が認められる。前のみっつはそのままだが、最後の大熊というのは、相手の強さを示す記号なのだ。「兎・鹿・狼・熊」の四種類があって、「大」の「熊」は獲物の最大の強さを表す。



 
バント

 焼け焦げた草は、手に取った途端にボロボロと崩れ去る、どうやら芯まで炭化しているようだ。
(こりゃあ・・・)
 周囲に残る痕跡から見て、ごく最近何らかの戦いが起こったのは間違いない。
――それに辺りに散乱する無数の折れた矢、フーゲルから聞いた情報だと探している二人は弓を使っていたらしい。
野営中にグリフォンに襲われて戦闘になった、そういう事だろうか?

 
GM

 バントは続いて移動を開始した。
 グリフォンの襲撃があったといわれる場所の辺りにたどり着く。
 地図では、大体の位置しか判別できなかったが、それだけで十分だった。草原の中に、馬車との残骸が転がっていた。
 よく調べてみると、付近に土饅頭ができている。その上に小振りの岩が置かれているため、何かの墓のつもりだろう。土の感じから新しいものだと思える。
 バントは、またそこで野営の跡を発見する。
 その近くで、奇妙なものを発見した。草むらの一部分が、ぽっかりと焼け焦げたようになっている。土までが黒く乾いている。さらに、折れた矢が何本も転がっていた。


 
GM

グリフォン遭遇確率:10%
...79
...58
...17
遭遇しない。

通常遭遇確率:5%
...64
...85
...42
遭遇しない。

 バントは単身、平原中央部分の山林地帯へと向かった。
 狩人としての知識で、彼は先に向かった二人の冒険者の痕跡を探しながら進む。
 三日経ったが、幸いな事に、途中でグリフォンの襲撃に出会う事はなかった。
 途中、何個か野営の跡らしきもの(地図上紫色の四角)を発見する。
 ほとんど、自分と同じペースで進んでいたようだ。
 もしかするとただの旅人のものかもしれないが、二人のものだとすると随分と堂々と道を進んでいる。彼らは正面からグリフォンと戦うつもりだったのかもしれない。
 戦闘の後などはなかった。
 もうすぐ、グリフォンの襲撃があった場所にたどり着く。



 
バント

フーゲル<

「こりゃあ…大したもんだな。分かった、大事に使わせてもらうよ」
手渡された伝声管めいた魔法の品をしげしげと眺めると、腰のベルトポーチに収める。
「それじゃあ行くとするか、…何かあれば連絡する。」
 フーゲルに軽く手を挙げて別れの挨拶を済ますと、目的の地域目指して歩き出す。



 
商人フーゲル

バント<

「ああ、…ふむ、シルヴァードに宿は取ってあるが、じゃあ、これを貸そうかね」
 と、懐から中途で二つに切れた伝声管めいたものを取り出す。
「これはわしが父親から貰ったものでな。どんなに距離があっても、これで会話ができるというすぐれものだ。
 骨董品としても魔法の品としても、わし個人にとっても貴重品だ。ちゃんと返すんだぞ?」



 
バント

フーゲル<

「グリフォンは縄張りを侵さなきゃ人を襲わないって話だし、確かに何か引っかかる気はするが…
 まぁ、とにかく一度、この襲撃が多発してる山林地帯に行って見るさ。」
フーゲルに地図を借りることをことわって懐に仕舞い込むと歩き出そうとするが、聞き忘れたことがある事を思い出し、足を止める。
「もしかしたら何人か人手が必要になるかもしれないな。
 そのときはフーゲルさんの力を借りなきゃならないわけだが…何処に行けばあんたに会えるかな?」



 
商人フーゲル

バント<

「この赤いバツ印が、グリフォンの襲撃があったといわれる場所だ。
 そのうち、遺跡都市付近のと、サノットとの間の街道のは、死者が出ているらしい。…大分広範囲に出没しているんだ。おかしなことにな。
 グリフォンの飛行速度が尋常ではないとはいえ、それぞれの場所を行き来するのが労力なのにはちがいない。いったいなんだというのか…」
 そこで、大きく溜息をついた。



 
商人フーゲル

バント<

「おお、そうだな」
 いうと、フーゲルは地図を取り出してバントに示した。



 
バント

フーゲル<

「『森人の弓』の使い手か…」
 同じ弓を扱う者として、バントの様に辺境の土地で育った人間でもフィアンヌの護り人の高名は耳にしたことがある。
 彼らと彼らが使う森人の弓は、数々の神業的な逸話を残しているからだ。
 それにもう一人の若者も――フーゲルの見たところではあるが――なかなかの腕前だったようだ。
(こりゃあ、ミイラ取りがミイラってことも十分ある話かもな…)
 バントの胸中を薄ら寒いものがよぎるが、依頼人の前でそれを口には出来ない。
「フーゲルさん、グリフォンの襲撃が多発してる場所は聞いてないか?
 二人がまず向かうとしたら、その辺りじゃないかと思うんだが…」



 
商人フーゲル

バント<

「ああ、そうか。そうだな…。
 全く、彼らも若かったのに」
 目を覆って慨嘆する。初老のこの商人は、悪い人物ではないようだがどうにも溜息が多かった。
「まずな、ひとりは、随分と感じのいい若者だったな。
 こう、大きな弩<クロスボウ>を背負っていてな。結構冒険慣れしていたようだった。気さくな奴で、戦士と、狩人の修行をしていたようだった。
 イ=サードの出身だとかいっていたな。
 もうひとりは、無愛想な女性だった。
 こっちも若くてな、こいつは弓を持っていた。かの有名な『森人の弓』のようだったな。フィアヌスの守護者だったのかもな。
 腰には小さな棒状<ワンド>を提げていた。
 ふたりは恋人同士だったのかもしれん。そんな雰囲気があった」



 
バント

商人<

「まぁ、そうぼやかないでくれ。
 そいつを何とかするために俺がきたんだからな」
 先ほどから溜息ばかりの男を慰めるように声をかける。
「それより、先に向かったふたりがどんな奴らだったのか教えてくれないか?
 …止まり木亭の親父さんからその二人の救助も頼まれててね。
 俺としても出来れば生死ぐらいは確かめてから仕事に取り掛かりたい。」
 それに消息を絶ったと言うことはグリフォンと一戦交えた可能性が高い。
 仮に彼らが生きていたとすれば、なにか有益な話が聞けるかもしれない。



 
GM

 今日はいい陽気で、空は晴れ渡っていた。
 シルヴァードの南に広がる広大なフーリーズ平野に流れる風は澄み、気分を高めてくれる。だがこの商人の男はひどく憂鬱そうな表情だった。
「まったく、参りますよ、グリフォンだなんて。
 しかし、大丈夫なんですか。
 この間、ふたりの冒険者が向かったんですけどね。返り討ちにでもあったのかいまだに戻ってこないんですよ。
 …、ああ、本当にどうすればいいのやら」
 陰々鬱々と泣き言混じりの台詞ばかり洩らす。
 彼は、先に行商隊から派遣されてきた承認だった。オッシュからは、この依頼について、とりあえず聞きたいことを聞くようにといわれている。


地図

青線:バントのルート バツ印:グリフォンの被害があった場所 紫色の点:誰かの野営の跡