PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

シナリオ
23
「大魔術師王国から遺跡の町へ」

 冒険者であるアルバたちと、テスとリゼルは、大魔術師王国で届け物の依頼を受けた。目的地は遺跡都市シューレスク。同道するのは、野伏のアルバのパーティだ。長い旅の間、どのようなことがあるのか。そして、無事に辿り着けるのか。
 旅と移動を見守る“定まらぬ者”クランの加護が必要だろう。

 悪い予感はあたるものだ。
 アルバやテスたちは賊の襲撃を受け、都へと一時撤退した。
 そして、新たにノトという仲間を加え、再編成したのち、再び東へと向かうのだった。
 
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GM

 ざっ。

 かすかな音を立てて、ノトの射放った矢が木々の中へ飛び込んでいく。
「おわっ」
 驚きためらう声が上がると、それまで押さえられていた気配がにわかにふくれあがる。
 同時に、木の陰に隠れていた射手らしい姿の男が飛び出し、逆にノトめがけて矢を放とうと試みる。

 敏捷判定:対抗・速射 > 射手
  ノト:優秀な成功!

 命中判定:ロングボウ > 射手
  ノト:巧みな成功!
   胴に命中!
    > 15ダメージ!
    > 「転倒」!


 だが、ノトの方が早い。
 立て続けに放たれた矢が、射手の胴に吸い込まれ、射手はもんどうりうって倒れる。

「と、畜生! 気づきやがった!」
 怒声があがり、射手の横からさらに2名の男が現れ、彼らに向かって走ってくる。驚き、慌ててはいるものの、目的を放り捨てるほどではないようだ。

「……また、敵か!」
 急に前に出たノトに、何をするのかと伺っていたアルバが、舌打ちをする。
「討伐隊に惑わされなかったのか、それとも別口か?」

 アルバとウォークは、やってくる2名を迎撃に向かうつもりのようだ。
 シーニアは、ノトにいわれたとおり、荷馬の横で状況を見ている。


シーニア

ノト<

「分かった、ノト」
 頷くと、腰に下げていたフレイルにさりげなく手をあてる。


ノト

 悪い予感ほど当たるものだ。
 ノトは心の中だけで、悪態ともため息ともとれる逡巡を見せた。
 だがそれも、文字通り一瞬だった。

シーニア<

「馬を、頼みます。」
 抑えた声で彼女に告げると、返事を待たずに前へ。
 恐らくまだ気付いていないアルバとウォークの前まで、音もなくすっと出る。
 次の瞬間、何の前触れもなく、気配のした木々の間に向かって弓を絞り矢を放つ。

 命中判定:威嚇射撃
  ノト:成功!


 狙いを定めている訳ではないので当たりはしないだろう。
 だが、慌てるはずだ。
 そして慌てれば、出てくるはずだ。
 ノトはすぐに次の矢をつがえ、構える。
 出てくる者を狙い撃つ。急所は狙わなくていい。
 奴らの出鼻をくじくのが目的だ。
 「出てこい…」声に出さずつぶやく。


GM

 ノトとアルバはウォークやシーニアと合流し、密やかに出発した。
 先だって、テスたちと来た時と同じような景色だ。あのときと比べて、戦力は二つ落ちて、変わりに一つ増えている。(そういえば、テスはどこに行ったのだろう? いつの間にかいなくなっていて、しかもいないのが当たり前のように感じていたが、さて?)

 やがて、討伐隊は北へと順路を変える。
「さて……どうなることか」
 アルバが呟く。
 一行は、討伐隊と袂を分かち、そのまま東へと進んでいく。

 よく手入れされていた街道だが、郊外まではなかなかその手も行き届かない。両面の木々がだんだんと近づいてきている。

 危険感知判定:分類/統制立っていない奇襲
  ノト:成功!
  アルバ:失敗!
  ウォーク:失敗!
  シーニア:優秀な成功!

 と。

 荷馬の手綱を引いていたシーニアが立ち止まり、すっ、と、隣を歩いていたノトの袖を引く。
 一瞬遅れて、ノトも気が付く。

 正面、やや右。
 一人、二人……何かこちらに害意を持った少人数が木々の中に隠れている。



ノト

アルバ<

「そうですね。彼らが出発した後に、僕らも行きましょう。」

 さて、いよいよだ。リゼル達を先頭に討伐隊が出発するところを眺めながらノトは気を引き締めなおした。
 過去にも商隊の護衛を何度も経験しているノトには、今回の盗賊団襲撃の一件はどう考えても偶然ではない。何らかの理由でこのパーティが狙われたのだと確信していた。
 ただ、盗賊団にとって昨日と今日では状況が大きく違う。奇襲は失敗し、討伐隊まで組まれてしまった。賊の側にすれば不利な条件が多すぎる。これを見てあきらめてくれればいいが…。

「あるいは…」

 思わずつぶやいてしまう。
 そう、一番の心配は、それでも賊が襲ってきた場合だ。
 そこまでのリスクを冒してでも狙われるだけの何かがこのパーティにあるということだ。そこまでの執念を見せる賊を相手にその何かを守りきれるだろうか。

「……」

 考えている間に、討伐隊は出発してしまった。ノト達も行かなければ。
 そうだ、行かなければ何も始まらない。
 自信があるわけではないが、できる限りのことをしよう。決意を新たに、ノトは自分の荷物を担ぎなおした。

「行きましょう。ウォークさんとシーニアさんに合流しないと。」

 アルバと一緒に、出発する。


GM

 アルバ、ウォークは捕虜を連れて詰め所の方へ向かった。
 残ったテス、リゼル、シーニアは荷馬と共にギルドへ移動した。


シーニア

アルバ<

「あなたは気にしなくていい。気にしなくちゃいけないのは、襲ってきた賊の方」

テス&リゼル<

「私もギルドに行こうと思う。ゆっくり休まないと」


ウォーク

テス<

 男前にいわれたあとで見事に落とされ、わざとらしくがくっとして見せる。
 そして、あははと笑う。
「ま、じゃあ、なるべく傷つかないように努力します」


テス

荷馬<
 
「…ふむ?」
 合わせられた視線に思わず見つめ返す。
 もう一度覗き込もうかと思ったが、荷馬の瞳はもう前を見ていた。
 代わりにシーニアの手が見える。どうやら向こうからも撫でているようだ。
 改めてその姿を見れば、動きに柔らかさが戻ってきている。
 後に必要なのは落ち着いてとれる休息だろう。
 
ウォーク<
 
「なるほど、目、耳、勘か。襲撃に強いパーティだ」
 護衛向きでもあるな。そういった仕事を多くこなしてきたのだろうか。
「馬鹿言え。一番前とはいえ近くで顔から流血なんかされてた日には、気になって集中できないだろが」
 笑って、今のところ傷の無い顔のウォークが頭を上げるのを待つ。
「だが、そんな心構えを持ってるならお前さん、十分男前だぜ?
 …あ、二枚目かどうかは、知らん」
 
アルバ<
 
「ありがとう、そうさせて貰うよ。
 なに、眠ってしまえばそう寝心地の悪いものでもあるまいさ。
 …ああそれから、すまないが幾つか用事がある。姿が見えなくなるだろうが、明日の出発までには戻るよ」
 
 文字通り見えなくなるのだから、リーダーには断りを入れておこう。
 夜にはパーティの誰かの夢にお邪魔するとしても、それまでは王都をふらついてみようか…。
 ま、とりあえずはアルバの言葉どおり、ギルドの宿に行こう。馬にも休みが要るだろう。


アルバ

ALL<

「無事に戻ってこれたか。
 さて、これからわたしはウォークと、捕虜を警備隊に突き出してこようと思う。だいぶ時間がかかるだろうから、皆は先に宿にでも行っておいてくれ。
 今夜一晩はギルドの宿を使おうと思う」

リゼル<

「日が暮れるまでには戻ってこれるはずだ。
 それから、少し弓の授業としよう」

テス<

「だいぶ、魔法を使っていただろうから、ゆっくり休んで欲しい。
 あのギルドの寝台は、寝心地があまり良くはないんだが」

シーニア<

「治療に必要な物があったら、いつもの通り共同財布から買っておいてくれていい。今日はわたしの手落ちだった。すまない」

 変則的ですが、シナリオの途中ですが王都内であればどの場所にも移動可能です。


GM

 一同、城門の中へはいる。
 二重になった、城壁と城壁の内側で馬を止めると、アルバが一向に告げる。


アルバ

リゼル<

「人に教えるっていうのは、教える側にとっても勉強になるから。こちらこそよろしくお願いする」
 にこりとする。
「もしも機会があったら、わたしは防御の技も教えてもらいたい。
 あの戦いのときにやっていただろう?
 相手の攻撃を受け止めて……攻撃した敵の方がむしろ体勢を崩していただろう。興味がある」


リゼル

アルバ<

「はい、朝早く起きるのはシルヴァードで貴族の従者をしていた時からの習慣になっていますから大丈夫です。宜しくお願いします。」

 感謝の気持ちをこめて頭を下げる。カックスと言い、アルバと言い、私は師匠に恵まれている。嬉しい。

 胸をはって王都の中に入っていく。


ウォーク

テス<

「そう、シーニアは勘が鋭いんですよ。アルバは目が良くて、おれは耳が良い。かな?」
 バランスが取れているんですよ。と笑う。

「おれとしては、シーニアに結構な傷を負わせてしまったのが申し訳ないですね。一番前に出て真っ先に怪我をするっていうのは、どちらかというとおれの役目ですから。
 別段、二枚目でもないから顔に傷が付いても構わないですしね。
 今後は、気を付けます」
 ぺこりと頭を下げる。シーニアにも。


荷馬

 急に二人から構われだしたものの、悠然と構えて歩を進めている。

テス<

 話しかけられた言葉に、軽く首を巡らせて、一瞬ばかり意味ありげに視線を合わせる。


シーニア

 何やら対抗するかのように荷馬を撫で始める。
 動きからぎこちないものが取れてきているようだ。
 魔法と道具と、二重の治療が功を奏しているのだろう。


テス

シーニア<
 
 ぷい、と視線を外すシーニア。変なことを言っただろうか。
 …あ、もしかして照れたのか?
「…ふふん、やっぱり似たもの同士だ」
 近くを歩く荷馬に手を置く。
「きみの姉さんは照れ屋だな。実を言うと俺もなんだが」
 
 荷馬に話しかけながらそっと撫でていると、離れたところから声がかかった。
 
ウォーク<
 
「ん…ああ、大丈夫。戦い慣れてないだけだ」
 手を挙げて応える。少し離れすぎたか?
 それにしても、二日酔いか。面白い表現だが確かに似ている。
「まぁ、ご利用は計画的にってやつだ。難しいところだが。
 ここぞという時には、魔力酔いを覚悟してでも魔術を使いたいしな」
 しかし、そのご同輩とやらも難儀なことだ。
 ダメージではなく、魔力の消費で目に見えて身体に負荷が掛かるのはミラージュくらいだ。
「ご同輩、か」
 ま、居る所には居るだろう。そのうち逢ってみたいものだ。
「…さっきの戦いのことか? 気にするな。旦那にも言ったけどな。
 こんな近くで襲われるとは思ってなかったが、こうして皆生きてる。
 もっとも俺には、シーニアが先に気づいてくれたのが幸運だったがね。慌てて無様なところを見せずに済んだ」
 にっと笑って肩を竦める。どうやら、このまま無事に着けそうだ。
 向こうに見えるアルバも同感らしい。すまないな。警戒、お疲れさん。
 
 目前に迫る王都の城壁を見上げる。
 もう、すぐそこだ。着いたらどうするかな…誰か、昼寝でもしてればいいんだが。



GM

 王都は目の前だ。


ウォーク

テス&シーニア<

「テス、シーニア。大丈夫ですか?」
 距離の離れた場所を歩く二人を気遣って声を掛ける。

テス<

「やはり消耗しているんですか?
 結構な勢いで魔法を使っていましたからね。魔力の矢、魔力の炎、癒しの術、と。疲れるのは当たり前ですね。
 いや、おれは魔法による疲労は分からないんですが。ご同輩は訓練のときに、魔力の使いすぎでしょっちゅう二日酔いみたいになっていましたよ。
 今回は、前衛が後ろにいちゃいましたからね。面目ないです」
 頬をかいて笑う。


シーニア

テス<

「……」
 無言でテスを見ていたが、やがてすっと視線を外す。
「感謝をされるのには慣れない」
 袖を戻し、髪をいじり出す。


テス

シーニア<

「慣れるなよ、勿体無いぞ」
 その気遣いに感謝しながら、彼女の方を見る。
「…記憶を捨てることはできない、か」
 シーニアの傷跡。見ていると、初めて魔術を放った時を思い出す。
 そう、多分初めてだ。そして、それからの日々も。
 しばらく訳の分からんことばかりだったが、中々楽しかった。
 …なんだ、あるじゃないか。俺自身の記憶。
「貰い物ばかりだと思っていたが……そうか、そうだな」
 隣の賢者様と合わせた目をすっと細める。
「…ああ、ありがとう。俺もだ」


アルバ

 周囲を警戒しながら歩を進めている。
 王都の城壁が近づいてくると、ほっと表情をゆるめる。

リゼル<

「機械弓?」
 きょとんとしてリゼルを見る。
「ああ、なるほど。使い方か……」
 リゼルの手にしたアルバレストを見下ろし、考える。
「別に構わないよ。どちらかといえばわたしが得意なのは長弓の方だが、機械弓だって風を読み、空間を測って使う物だから、教えられることもあるだろう。
 ただ、一日や二日で教えられるものじゃないから、こうしよう。
 まずは王都に戻って時間を見て教えよう。
 また、これから少なくない道のりを一緒に越えていくわけだ。だから、時間はいくらでもある。
 リゼルは皆より早く起きられる自信はあるかな? 毎朝、出発までの時間を使って、弓の訓練をしよう」
 どうだろう? と返答を待つ。


リゼル

ウォーク<

「ふうーん、ありがとう。アルバさんが使えるんだ。じゃ、早速、アルバさんにお願いして見るね。」

 そう思うと、いてもたってもおれずになる。

「じゃ、ウォークさん、捕虜の見張りをしっかりとね。」

 片手を挙げてウォークに礼をすると、アルバレストを肩に担いで慌ててアルバのもとに走っていく。
 そして、息を切らせてアルバに話しかける。

アルバ<

「アルバさん、お願いがあるのですけど。あの、王都についたらで良いのですけど、この機械弓の使い方を教えて頂けませんか?実は、持っているだけで使えないんです。お願いします。」

 ペコリと頭を下げて、アルバの返答を待つ。


GM

 大魔術師王国の王都が見えてきた。
 高い城壁に、まだ高い西日が光を投げかけている。


ウォーク

リゼル<

「訓練のコツ、ですか?」
 こちらもまた、困ったような顔をしてリゼルを見返す。
「実のところ、おれは機械弓には詳しくないんです。
 というか、弓なんていう武器を使えるほど器用じゃないんですね。そういったものが得意なのは何といってもアルバでしょう。あとは、シーニアが使えるくらいです。
 おれは、剣とか斧を振り回しているくらいしか能がありませんからね」
 明るい笑い声を上げる。
 それから、おっと、と声を上げて捕虜の様子を確かめたりする。

「というわけで、アルバに聞いてみるのが良いと思いますよ。
 何かを覚えるには、人に教えてもらうのが一番です。
 おれの剣も、防具の使い方も、かじってばかりでいっこうに上達しない魔術も人に教えてもらったものです。……おっと、最後の例は適切じゃあないですね」


リゼル

 真剣な顔をして、アルバレストで手短かな木立に狙いをつけたり、トリガーの調子を試したりしている。

 ウォークに話しかけられて、ちょっと驚いて振り向く。

ウォーク<

「えっ?・・・えぇ、これ、持っているだけで、まだ使えないんです。いざと言う時のために、早く使えるようになりたいのですけど。
 どうしたら上手く使えるようになるのでしょうか。訓練のこつとか、あるのでしょうか?」

 ちょっと、困ったような顔をしてウォークのことを見る。


シーニア

テス<

「魔法は便利なもの。便利なだけで代償のないものは滅多にない。聞いた言葉だけれど、目にするのはこれが初めて」

 首をかしげてから、何も言わずに薬草を仕舞う。
 変わらぬ無表情ながら、あとに続いた言葉に唇だけで笑う。

「気にしないで良い。傷を負うのは慣れているから」
 左腕の袖をめくって見せると、腕の外側に数本の傷跡が走っている。
「わたしの部族は戦いを好まない。けれど必要があれば武器を取ることに躊躇しない。わたしの親も、わたしの兄弟もそうだった。
 わたしが武器を学んだのは草原を出て冒険者になってからだった。敵に出会ってもあまり傷つかずに済むくらいに武器を使えるようになるまで、何日もかかった。これはその記憶。

 記憶を捨てることはできない。だから、わたしは気にしない。
 あなたも気にしないで良い」

 それから、すっと目を合わせる。

「けれど、ありがとう」


テス

シーニア<

 掛けられた声に、目を開いて隣を見る。
 何だかんだで一番重傷を負ったというのに。
「こうも誰かに気を遣うのは、少し度が過ぎてやしないか賢者様」
 小さく呟く。
 …少し情けない顔をしていたかもしれない。意識はともかく、表情をしゃっきりさせ改めてシーニアを見る。
「ありがとう。だが、俺は魔力の出入りに敏感でね。魔術使った後は大体こんな感じになる」
 間違ってはいない…と、思う。
 ミラージュについて講釈垂れるのは、今の状態じゃちょっと難しい。
「だから気にせず、その薬草は自分用に取っておいた方が良い。宿ででも使え。傷を治すには気力も必要だ」
 薬草が放つ良い香りを吸い、溜息と共に吐く。
「…済まないな、シーニア。あの矢傷は、痕になる」
 ああ、中々旨いな、この香りは。
 焚いてミラージュに効くのかは分からないが。


シーニア

テス<

 首をかしげ、テスの様子を見守る。
 しばらく見つめてから、
「魔法は気力を消耗するという。あなたもそれで疲労しているの?」
 よい香りを放つ薬草を取りだす。
「摩耗した気力を癒すにはこの薬草の香りが効く。
 良ければ焚くけれど?」


ウォーク

リゼル<

「へえ。機械弓とは珍しい、良い武器をお持ちですね」
 リゼルがアルバレストをいじくっているのを目にとめる。
「槍斧だけではなく、機械弓も使えるんですか?」


テス

「…ま、こんな日もあるよな」
 小さく呟き、皆に続いて歩き出す。
 足手まといは纏まっていよう、とシーニアに並ぶ。傷を負った方に付けば、多少は役に立てるか。
 どうやらアルバはこの状況を大分気にしているようだが、これで仕切り直せば気を取り直すだろう。
 ウォークから…と言うより捕虜からは少し距離をとる。隙を突かれて人質になるのはごめんだ。
 このうすぼんやりした意識ときたら、そんな心配が入用になってくる。
 戦闘はなるたけ避ける様に生きてきたツケが出た訳だ。
「大概、一発目眩まし掛けて逃げ回ってたしなぁ…」
 どちらかと言えば生き生きして見える、リゼルの存在がありがたい。
 ウォークは捕虜を連れているし、この先の安全はアルバと彼女任せだ。


リゼル

 歩きながら、自製のアルバレストを取り出して調整を始める。片手で操作し易いようにするにはどうしたら良いか、そんなことを考えながら道を行く。


GM

 一行は、やってきた道を逆にたどり始めた。
 旅と移動を見守る神の加護は、今のところは彼らの元へは降りていないようだ。
 今の時間なら、昼下がりには王都に戻ることができるだろう。

テス<

 テスはそれなりに多くの魔力を消費している(約20%消費)。
 そのため、若干、自己を維持する力が鈍り、意識に薄い膜が掛かったようになっている。

リゼル<

 怪我らしい怪我もなく、気力も充実している。
 どちらかというと、戦いの影響で気分が高揚している。

アルバ<

 リゼルと同様に無傷だが、采配を誤ってしまったというように気に病んでいるようだ。周囲を警戒し、目を配っている。

ウォーク<

 軽い傷を負っているが、体力は充分だ。捕虜を連れてゆっくりと歩いている。

シーニア<

 リゼルの手当とテスの癒しの魔法とで負傷は大体治療されているが、血を失ったのもあり、気力を消耗している。
 傷を気遣いながら進んでいる。


アルバ

リゼル<

「リゼルも同意見か。
 じゃあ、そうしよう」

ALL<

「では、いったん戻るとしよう。
 出発が遅くなるのは残念だが、こういうこともあるさ」


リゼル

アルバ<

「そうですね、出発して行き成りですから、街道の状況がどうなっているのかの情報が欲しいですね。
 二番手、三番手が来る可能性だって否定できませんし、王都に戻って情報収集しましょうか。」

 ふーん、魔法って消耗するんだ。魔力鈍感なのでアルバの言葉に改めて気づかされる。王都に戻って休息すれば、テスの魔力も回復するのだろうな。・・じゃ、私はアルバレストの訓練でもしようかな?時間があればの話なのだけども。


アルバ

テス<
 
「ああ。魔術師が武器を持っているというだけで、相手も警戒するだろうしね。上手くすれば、近寄るのを諦めて逃げてくれるかも知れない」
 王都に戻るのも手という意見に、頷く。
「なるほど、確かに。休息も必要かも知れないな。
 出発してすぐにケチがついてしまったし、テスもだいぶ魔法を使っただろう。出直すのもいいか」

リゼル<

「リゼルはどう思う?」


テス

リゼル<
 
「おお、決まってる。そっちは傷みが少なくてよかったじゃないか」
 微笑むリゼルに向き、答える。
「…何だかな」
 彼女の柔和な笑みからは、先程の戦いぶりを思い起こさせるものは少ない。
 ただ鎧や槍斧が残す戦の跡を見て、ひとりごちた。
 
アルバ<
 
 薦められたナイフを拾い上げる。
「武器は持たない…って訳じゃないがな」
 持ち慣れないそぶりで、ナイフを色んな角度から見る。
 売れば幾許かの金額になるかと思ったが、アルバの言うことにも一理ある。
 彼は魔術について学んでいる訳では無さそうだが、実際自分は先の戦いで魔力を消耗しているのだ。
 手ぶらの連戦では真価を発揮するどころか、自衛も危うい。
「…そう、だな。いざとなれば投げつけられるし、こいつは貰っておくよ。ありがとう」
 アルバの気遣いに礼を言って、ナイフを帯びる。
 どうやらこの場を離れる準備も整ったらしく、アルバが皆に意見を聞く。
 さて、俺は…
「急ぎじゃなかったら、ここは王都に戻るのも手か。
 どちらにしろちゃんとした休息は必要だし、荷の処分や何らかの補充も出来るしな。
 だが、急ぎがいるなら警備隊の詰め所を目指すことにも異存は無いぜ?」


シーニア

リゼル<

 質問に、一つ一つ答えていく。
 普段は素っ気ないとすらいえるようなしゃべり方だったが。

 技能判定:分類/学習(薬草知識)
  リゼル:成功!


 シーニアから教えられた薬草の名前や特徴を、リゼルはしっかりと記憶した。例えば、サレンの花とシーニアが呼んだ薬草は、よく日の当たる風通しのよい場所、特に山などに多く自生する植物で、春期に可愛らしい黄色い花を付ける。そのつぼみがふくらみかけたところを採取し、よく乾かしたもの。傷に対する薬効は特にないが、服用または塗布することで鎮痛作用を発揮する。摂取しすぎると、意識がもうろうとしたり末端に痺れなどを起こす恐れがある。というようなものだった。
 シーニアはこれらの薬草などを調合して、自分が望む効能を持つ薬を作っているのだろう。


リゼル

 ちょうど良い。自分も一応薬草知識を持っているが、知らないものをシーニアに教えてもらおう。

シーニア<

「あの、これとこれは、何と言う名前でどのような効能があるのですか?」

 見たことのない薬草を指して、シーニアに訊ねてみる。
 何か素晴らしい薬効を持ったものだったら勉強になるな。

ウォーク<

「あら、剣が汚れたの?ちょっと見せてみて」

 ウォークが剣を渡してくれたら、剣の状態を仔細に観察する。

 必要があれば修繕しようと思っていたが、どちらかといえば必要なのは砥石と、後はウォークがしていたように油を塗って休ませておく時間だろう。


アルバ

 リゼルによる治療が終わったらしいのを見て、皆に声を掛ける。

ALL<

「さて、どうするか。
 この野盗たちを国に突き出そうと思うんだが、そのために王都に戻るか、それとも野盗を連れて先に進んで街道警備隊にに突き出すか、どちらが良いと思う?
 王都に戻る場合は、今日は旅立てなくなるだろう。
 街道警備隊に突き出すなら時間は無駄にはならないだろうが、ちょっとしたリスクはあるな。
 どうする?」


シーニア

リゼル<

 幾つかの薬草の名前を挙げてみせる。
「これらの薬草を調合した消毒薬」

 知力判定:分類・薬草知識 *3
  リゼル:優秀な成功, 完全な成功, 失敗


 リゼルは、その八割方はよく知っていたが、残りのものは聞いたことがなかった。
 ただ、既知のものから推測できた分には、おそらく傷口の炎症や化膿を抑える薬なのだろうと分かる。
 その後、シーニアから、この消毒薬には鎮痛作用もあることが説明された。

「ありがとう」
 リゼルの治療が終わると、一言、感謝を表す。
 治療をしてもらったからというよりは、技術を見せてもらったことに対する礼のようだった。


リゼル

アルバ<

「はい、シーニアさんは大丈夫のようです。あまり大きな痛みもないとのことですので、無理をしなければゆっくりと移動出来そうです。
 これから消毒しますので、いま少し時間をください。」

シーニア<

「ええっ、どんな消毒薬があるのかな?」

 シーニアが取り出した消毒薬を調べて見る。知っているものだろうか?
 シーニアの方が薬草知識については上を行っているだろう。
ちょっと自信がなくなる。

「消毒について言えば、医術だからって特別なことはないと思うのですけど」

 昔、ノームードゥ達から教わった消毒の作法に従ってシーニアの傷口の消毒を行った。
 それから、シーニアの手持ちの布を使い、開いた傷口を閉じるように周囲の皮膚を圧迫した状態できつく縛る。
 ノームードゥたちが行っていたような縫合ができる道具がないため、これ以上のことはできないが、これだけでもだいぶ違うだろう。


 治療判定:分類/医術・大きな傷(非致命傷) > シーニア
  リゼル:通常の成功!
   > 10回復!


テス<

「この革鎧、ぴったりです。」
 テスに向かって軽く微笑む。


アルバ

テス&リゼル<

「好きなものを持って行ってくれたらいい。
 ま、明らかに取りすぎだろうと思ったら止めるけどね」
 笑って、二人が防具を取るのを見守る。

ウォーク&シーニア<

「ウォークたちは、特段、必要そうなものはなかったな」

テス<

 ナイフが残されているのを見て、
「魔術師は武器は持たない物だったかな。だが、短刀の一本は持っていても良いんじゃないか?
 実際、魔法だけで身を守るのも難しいだろう」
 魔法に詳しくないアルバには、術士たちのいう“魔術師の剣”(魔力の炸裂)や“魔術師の楯”(魔力の防壁)などの緊急的な防衛術があることは分からないため、そのような事を勧めている。

 野盗を突き出した方がいいというのを聞き、考える。
「……そうかも知れないな。
 王都まで戻るとなると、聴取やら事務処理やらで時間を食って、1日無駄にしてしまいそうだな。
 この先、街道警備隊の詰め所がある。日が暮れるくらいまでには到着できるだろうから、そこに突き出すことにしようか?
 そこまでは捕虜と道連れになることになるのは皆も気に入らないかも知れないが」

リゼル<

「シーニアの状態はどうかな?」


シーニア

リゼル<

「大きな痛みはなさそう」

 リゼルが診断する様子を、大きな興味を持って見ている。
 途中で、傍らに置いていた荷物袋を引き寄せ、
「手持ちの薬がある。医術にも使うことはできる?」
 消毒薬を取り出す。


リゼル

シーニア<

「あっ、はい。見習い程度ですけど、サーマヴァーロフで育ったもので・・・それでは、ちょっと見せて頂きますね。」

 えーっと、外科的な処方行う時はどうするのだっけ?サーマヴァーロフで訓練した内容を思い出しながら、丁寧にシーニアの傷の治療を開始する。

 先ずは、矢の刺さっていた箇所の周りの状態を見て、骨、筋肉、筋、血管、大事な器官にダメージが残っていないか確認する。残っていた場合は、もとの状態に戻すための外科的な処置をしなければならない。

「傷の辺りで、何処か痛いところありますか?多分、魔法で矢を抜いたとはいえ、矢が刺さっていた奥の方は、まだ痛みがあるかもしれません。」

 シーニアの話を聞いて、医療処置を開始する。


 技能判定:医術・診断
  リゼル:通常の成功!


 シーニアの話を聞きながらリゼルが診断したところ、傷自体に大事はないようだ。筋肉や骨に致命的な損傷はなく、出血も大方は止まっている。
 後は、傷口が化膿したりすることがなければ問題はないだろう。消毒薬を使いながら“治療”するなら、より良い効果が出るだろうが、さて。

テス<

「うん、そうだね。それ革鎧だよね。あたし、前衛向きだから本当はホバークっていう、すっぽり頭から被れるチェィンメイルが欲しいのだけど、なかなか手に入らなくて。多分、それまでは、使うから頂戴。」

 受け取った革鎧を、早速、着込んでみる。ハルバートを軽く振って、着心地を確かめる。

 若干傷みがあることは否めないが、着てみたところ、重量もなく、そこまで体の動きを阻害することはないだろう。
 重い装備、あるいは固い鎧は体の動きの邪魔になるため、身軽なステップが取れなくなることが多いが、ハードレザーアーマー程度であれば問題なさそうだ。



テス

リゼル<

 掛け声に振り向き、握った手に親指上げて応える。
 あのハルバードを軽々と扱う力には目を見張る。
 これからも前衛はお任せだな。

 やがてその隣のシーニアと話し始める。
 シーニアが妙に勢い込んでいるようだが…あの様子なら、二人とも問題ないか。

ウォーク<

 野盗の装備を剥いでいると、ウォークが話を続ける。
「俺が先生なんて柄か…うーあー導師はもっと勘弁してくれ。今反省してた所だってのに…」
 冗談なのか本気なのか量りかねる言葉を聞きながら、ウォークの手元を見る。
 …へえ、剣の手入れってのは油を使うのか。
「…ああ、それからさん付けも無しだ。テスでいい」

 手入れを終えたらしいウォークと一緒に、戦利品を並べていく。
「…っと、そうだな。ここにも余り長居はできんしな…」
 装備の元持ち主達はどうするかと言う彼にふむ、と周りを見渡す。
 …やっぱり、置いていくのは少し夢見が悪いかな。

アルバ<

 戦利品を見ていたアルバの感想を聞きつける。
「お、旦那…そうなのか? 俺は、武器や鎧の良し悪しはよく分からないんだが…」
 しかし、戦歴の長い旦那がそう言うのであれば間違いはあるまい。
 となると、ますますこの野盗をこのまま放置する訳にはいかなくなった。
「は、ん…こいつらの仲間は逃げていったな。逃げる当てがあるのか…旦那、この二人は出す所に出して、色々と喋って貰った方がいい気もする」
 アルバにそう伝えると、戦利品分配の声に待ってましたとひとつ手に取る。

「…こっちは、結構傷んでるな…あー俺が燃した所為か。あ、でもこいつはまだいけるな」
 火達磨になっていた野盗のアームガードを手に取る。
「それじゃ、俺はこれを」

リゼル<

 ニープロテクターを手に取るリゼルに、ふと思い立って声をかける。
「リゼルー。お前さん前衛役なんだから、鎧も貰っておけば?」



アルバ

テス<

「そういってもらえると心が安まるよ」
 ため息をつく。

 テスたちが地面に並べていった武具を見て、首をひねる。

テス&ウォーク<

「きちんと整備された兵隊のようだな。盗賊にしては、ということだが。
 武器は当然持っているだろうが、なかなか身を守るものまでは手が回らないものなんだ。
 鎧はともかく、楯もしっかり造られている。
 長い稼業なのか、それとも我々の同業者が身を持ち崩したのかは分からないけどな」

ALL<

「戦利品を分配するとしようか?
 わたしは役目柄、最後に残ったものから選ぼうと思う。誰もいらないもので現金に換えられそうなものは持って行って、そうでなかったらここで壊してしまおう。
 欲しいものはあるかな?」


ウォーク

テス<

「いやあ、友人、仲間、同輩、先輩、先生でいったら、テスさんは先生かなと思ったんです。
 同じ学問を志す仲間として同志なんていうのも考えましたけれど、――ああ、導師っていうのも良いかも知れないですね」
 屈託なく笑う。
 剣の汚れを手ぬぐいで落とし、上から油を塗っている。

「さて、武装解除はしておいたほうが良いですよね」
 手際よく野盗たちの武具を外していくテスを見て、ウォークもそれに加わる。
 それから、荷馬に持たせていた荷物からロープを取り出すと、意識を失っている男たちの手足を縛っていく。
「町に突き出せば報償をもらえるんですが、どうしたもんでしょうね」


ウォーク

テス<

「いやあ、友人、仲間、同輩、先輩、先生でいったら、テスさんは先生かなと思ったんです。
 同じ学問を志す仲間として同志なんていうのも考えましたけれど、――ああ、導師っていうのも良いかも知れないですね」
 屈託なく笑う。
 剣の汚れを手ぬぐいで落とし、上から油を塗っている。

「さて、武装解除はしておいたほうが良いですよね」
 いうと、荷馬に持たせていた荷物からロープを取り出すと、意識を失っている男たちの手足を縛っていく。
「町に突き出せば報償をもらえるでしょうけど、どうしたものでしょうね」


シーニア

テス<

「そう。皆生きてる。それで充分」
 作業しながら応じる。

リゼル<

「テスの――」
 ウォークやアルバと話しているテスを示す。
「魔法で、深い部分の傷は治っている。
 わたしたちが一週間掛けて何とかするものを、一瞬で片づけてしまったから、やっぱり、ずるい」

(医療……)
 聴き慣れないが、覚えのある言葉に顔を上げる。
 とある技術のことを思い出す。
「サーマヴァーロフの秘術、それを使える?」
 手を止めて、リゼルの目を見返す。
「だとしたら、お願いしたい。わたしも身につけたいと思っているから、見てみたい」


リゼル

 ふうーっ、戦闘は終わったか。
 一通り辺りを見回して、テスを見つけるとコブシを突き上げて合図を送る。
「グッド ジョブ!!」

 魔法威力については、今ひとつモノンドは理解できないのだが、こうして実際に斃れている敵を見ると効果を実感することが出来る。次にシーニアに目を移し、傷の具合を確認しながらどんな治療をしているのか観察する。

シーニア<

「あれっ、矢が抜けているね。」

 魔法での治療シーンを見ていないので、少なからず驚いた。外科的な治療が必要かと思っていたが、特にその必要はなさそうだ。

シーニア<

「治療、お手伝いさせてください。多少の医療と薬草の知識がありますので。」

 そういうとニッコリして、シーニアの顔を覗き込む。


テス

リゼル<
 
「お疲れさん。全員生き残ったな、何よりだ」
 ハルバードを持つリゼルに声をかけながら、彼女とシーニアの合間を通る。
 助かった、という意思表示にその肩を軽く叩いていこうか。
 
シーニア<
 
「ありがとう、はこっちの台詞だ。無理じゃないが、中々に無茶をするもんだな」
 シーニアの方を向き、傷に視線を向ける。
 もっと上手くやれただろうか、と埒もない事を考えた。
「まぁ、あの状況からお互い生きてる。十分だ」
 シーニアの言葉に同意し、彼女が傷を診始めるのを見て、その場を離れた。
 
ウォーク<
 
 先生、と声を掛けられそちらを見れば、ウォークが笑っている。
「よお弟子。…冗談だ、と言うか先生言うな。気恥ずかしいだろが」
 肩を竦めて、にっと笑い返す。
 こいつは大丈夫だろう…言うなと言ったものの、ついこんな先生染みた考えを抱いてしまう。
 実際、ウォークは魔術に対してどれだけの理解をもっているのだろう。
 行使できない分、知識に関しては俺より上なのではないだろうか。
 何とも素直に頷くアルバに、経験から講釈垂れるべきか、と方針を決める。
 …いかん、本気で導師気分だ。
 
アルバ<
 
 青二才が偉そうに導師気取りか、と頭を掻いていると、アルバが声をかけてくる。どうやらシーニアにも言っているようだ。
「…ああ、いや、旦那の性格上気にするなとは言えないが、旦那一人の油断じゃないだろ。同じように思ったからこそ、俺も先頭に出てたんだし」
 首を振りながら、アルバに答える。正直頭を下げられるとかえって済まない気分だ。
「ま、なんだな。結果こうして皆生きてるんだから、イ=サードを出る前に人を募ったリゼルや旦那のパーティ、俺の判断は正しかった訳だ」
 軽く頬を引っ掻きながら言う。ああうむ、素晴らしい判断だったな俺。

 さて、次はお楽しみの時間だ。
 見れば旦那が火達磨だった野盗の火を消し止めている。
「あ、悪い旦那、手間掛けた」
 とりあえずあの野盗が死ぬことは無いだろう。これで心置きなく身包み剥げる。
 …あ、いや、服はそのままにしとこう。ぼろぼろとはいえ、無いよりましか。


GM

 テスが調べたところ、野盗たちは次のものを所持していた。
 
 野盗A
  ・ハンドアクス
  ・バックラー
  ・ハードレザーアーマー
  ・アームガード

 野盗B
  ・ソード
  ・ナイフ
  ・ハードレザーアーマー
  ・ニープロテクター

 火達磨になっていた野盗が身につけていた鎧は、炎にさらされてだいぶ傷んでいる。腕防具の方は、それなりに傷んではいるがまだ使えそうだ。
 剣で倒された、あごひげの特徴的な野盗の装備は、それなりの状態だ。


アルバ

シーニア&テス<

「すまない、わたしの油断だった。まさかこんな近郊で盗賊が出ることなどなかったから、警戒を怠っていた」
 戦闘を歩いていたために真っ先に敵の攻撃を受けた二人に、頭を下げる。

リゼル<

「早速、役に立ってくれたな。
 思った通りというわけじゃないが、君はとんでもない力を持っているんだな。あの鬨の声も含めて。
 奴らに逃げる機会を考えさせたのはとても有効だった」

 テスが野盗に魔法を掛けたのを見て、一つ考えると、自分の外套を外す。
 それから野盗の火を消しにかかる。
 元から火の勢いが弱まっていたのもあって、火は簡単に消えた。癒しの魔法がなければ瀕死の状態だっただろうが、今は何とか重傷一歩手前まで回復しているようだ。


ウォーク

テス<

「せいぜいがかすり傷です。大丈夫ですよ、先生」
 にっと笑う。
「目的をイメージしろ、良く覚えておきます」


シーニア

リゼル<

「援護に来てくれて良かった。危ないところだったと思う」
 率直に感謝を表す。

テス<

「生きてる。それで十分。ありがとう」

 地面に座り、傷をあらためる。
 毒が使われていたような跡がないので、簡単な手当をするだけで良いだろうと判断する。
 荷物袋から道具を取り出して、自ら治療を始める。

ウォーク<

「わたしの手当が優先だけど、その後だったらあなたの手当をしても良い」


テス

 野盗が逃げ出していく。
 どうやら乗り切ったようだ、リゼルの方をちらと見る。
「…ああいう戦い方もある、か」
 野盗の戦意喪失に、リゼルの威圧が効いたことは間違いない。
 全員倒すまで攻められると思っていたが、随分助かった。
「リーダーを見極め、戦意を挫く…ふむ」
 これから先、旅を続けるにも役立つ知識だろう。
 
「…全員、生きてるか? シーニアは?」
 前線に近寄りつつ、目に見えて傷を負っていた名を挙げる。
 緊急性が無ければ、後の傷は自然治癒に任せたいところだ。
 …火達磨が見える、仲間の野盗も手を出しかねたのだろうか。
「…まあ、いい」
 小さく呟き、続いて詠唱を行なう。

 > 15回復!
 
 鎮火しておけば、他の動ける仲間が拾っていくだろう。
 所持品も役に立たないだろうし…一応、確認はするか。


GM

 野盗たちの中でも、自力で動けるものは皆撤退していった。
 残っているのは、剣の一撃で気絶した男と、魔力の炎に捕らわれた男の二人だけだ。


リゼル

 ハルバートを両手で頭上に振り上げると、さらに盗賊達を威嚇する。
 リゼルとしては、攻め込まれなければ、こちらから仕掛ける意思はない。
 それより、シーニアの様子が気になる。横目で、どんな状況か一瞥する。


GM

行動値:
 テス16+2D6(22) リゼル17+2D4(22) アルバ15+2D6(21) ウォーク14+2D6(23) シーニア18+2D6(25)


“30フェイズ”

 テスは左手をシーニアに向け伸ばし、練り上げた魔力と共に右手をゆっくりと高く上げ、魔術を発動させる。
「受けし傷は塞がれん、失いし血はあるべき流れへ。汝夢より生まれしもの、今一度夢と共にあれ!」
 朗々とした詠唱が戦場に響き、同時に、足元の魔法円が輝きを散らしていく。

 発動判定:分類/マナヒール > シーニア
  テス:通常の成功!
    > HP17回復!

 柔らかい光がシーニアを包み込み、その生命力を増幅、即座に治癒させていく。突き刺さっていた矢が、自然と抜け落ちていく。
「……本当に……ずるい」
 テスの魔法で傷が癒されていくのを感じて、シーニアは朦朧としたまま感想を漏らす。

“27フェイズ”

 士気判定:野盗・統率者なし
  野盗C:失敗!
  野盗D:成功!
  野盗E:失敗!


「冗談じゃねえ! こいつら手強すぎるじゃねえか!」
 先ほどまでウォークと斬り結んでいた野盗が声を上げ、身を翻す。
「逃げる気か……!」
 そう、顔を怒りに染めたウォークが言い、アルバは無言で様子を伺っている。
 リゼルの前で転倒している野盗も、戦意を喪失しているようだ。

 前線の敵が全員、戦意を喪失しました。
 追撃するつもりがなければ、戦闘はここで終了となります。
 PCの一人でも戦闘を継続する意志があれば、戦闘は続行されます。



テス

解き放たれた炎が唸りを上げる。
花丸を貰えそうな出来だ。
炎の熱と共に、費やした魔力の一部が還ってくるのを感じる。

 魔術式が完全な働きをしたため、多くの魔力が還元されてくる。
  > MP+3


 詠唱を行ないながら視線を前に送る。
 リゼルが一人転倒させ、アルバが火達磨の野盗に追い討ちをかける。
 ウォークはシーニアの目の前にいる敵を上手く抑え込んでいる様だ。
 弓の狙いを引き付けて、このまま押し返したいところだが…。


リゼル

 左手の盗賊が転倒したのを確認して、シーニアを守護するために前方にいる盗賊を警戒する。
 さらに右手の盗賊は先ほどまでウォークと切り結んでいたようだが、今は、やや距離を取っている。

 ウォークを支援する目的で盗賊Eの左側からプレッシャーをかける。
 大地を踏みしめてハルバートを構えると、雄叫びをあげる。

「るぅおおおぉぉーーーっ」

 魅力判定:分類/威圧
  リゼル:優秀な成功!


 リゼルの雄叫びは、明らかに意識のある野盗に対して強い影響を及ぼした。


GM

“7フェイズ”

 虚行動:戦術移動 アルバ

「承知」
 アルバは一歩後退する。

 虚行動:戦術移動 ウォーク

 左右を確認して、リゼルの方へ援護に向かう。
「シーニア、下がってください!」

“6フェイズ”

 効果発現:マナフレイム > 野盗A(足元)
  命中!
    > 22ダメージ!
     > 「火達磨」!
     > 「前後不覚」!

 テスの魔法は十回に一度もないくらいの完全な仕上がりだった。
 集中し、限界まで圧縮された魔力は激しい熱を撒き散らし、噴き上がった。
 アルバに向かっていっていた野盗は一瞬で炎に包まれ、声も上げられない。

 リゼルに槍斧で突かれた男が、反撃とばかりに剣で斬りかかる。こちらも早さばかりを考えた攻撃だった。

 命中判定:分類/補助攻撃(ソード) > リゼル
  野盗D:辛うじて成功!
   防御!
    < 「受け崩し」
     < 「バランス-1」

 攻撃は命中しかけるがリゼルの槍斧に阻まれ、逆に押し返される。

“5フェイズ”

 魔法集中:テス

 テスは意識を研ぎ澄まし、周辺の魔力との共感に努める。

 回避集中:リゼル

 リゼルは敵の動きに意識を集中させ、攻撃を回避することに専念する。

 回避集中:シーニア

 朦朧とする中、シーニアは接近してきた敵に何とか備えようとする。

“4フェイズ”

 詠唱開始:マナヒール(36) > シーニア
  テス:8.2 8.2 8.2 4.2 5.2 “30フェイズ”に発動


 踏み込み:ウォーク > 野盗E
  失敗! < 接近回避
   「接近状態」に突入!

 接近戦闘フェイズ------------
   フェイント1
    ウォーク > 野盗E 成功!

   攻撃集中
    野盗E

   武器攻撃(ソード)
    ウォーク > 野盗E 成功!
      体に命中!
       > 14ダメージ!

   武器攻撃(ソード)
    野盗E > ウォーク 辛うじて成功!
      体に命中!
       > 8ダメージ!
 --------------- >> 1フェイズ


“3フェイズ”

 火達磨:野盗A
  > 5ダメージ!


“2フェイズ”

 回避集中:リゼル

 行動判定:分類/復帰(1) シーニア
  復帰開始


“1フェイズ”

 命中判定:分類/ショートハルバード(突き) > 野盗D
  リゼル:優秀な成功!
   命中!
     > 27ダメージ!
      > 「前後不覚」!
      > 「転倒」!


 命中判定:分類/補助攻撃(バトルスピア) > 野盗A
  命中!
    > 7ダメージ!
     > 「気絶」!


 復帰(1)
  シーニア:
   成功! > 「前後不覚」から復帰!
         > 「朦朧」


 接近戦闘フェイズ------------
   攻撃集中
    ウォーク

   接近離脱
    野盗E
     成功!
 ---------------接近状態 終了


 2ターン
 行動値:
 テス16+2D6(22) リゼル17+2D4(22) アルバ15+2D6(21) ウォーク14+2D6(23) シーニア18+2D6(25)




テス

アルバ、ウォーク<
 
「旦那ッ、そいつとは間合いを取ってくれッ」
 魔法を受けながらも仕掛ける野盗を見て、アルバに声を上げる。
 できればアルバに牽制で退がらせて貰いたいところだが…。
「ウォークも頼むッ。すぐに燃え上がるからなッ」
 見事な剣の冴えを見せたウォークにも声をかける。
 あれで魔法も覚えようというのだから、中々素質がある。
 再び魔法陣を開きながら、ちらりと右の二人に視線を送る。
 そう、シーニア風に言えば、ずるい、というやつだ。
 足下から青白い光が立ち昇る。今度の魔法陣は少しばかり派手に作った。
 
 と、風を切る音が耳に飛び込んだ。
 
「…ちッ」
 嫌な予感と共に視線を戻せば、よろめくシーニアの姿。
 舌打ちしながら、致命傷ではなかった事に安堵する。
 唱えようとしていた呪文は飲み込んだ。
 
リゼル<

「リゼル! 済まないが、しばらくお隣さんを頼むッ」
 二対一になってしまうだろう彼女に声をかけ、改めて別の詠唱を準備する。
 
「…く」
 一瞬、視界が歪む。
 魔力の消費が激しい…が、まだいける。


リゼル

 シーニアが深手を負ったのを見る。不味い・・

「ふんっ」

 気合を入れると、シーニアを守るようにずいっと前面に出て、二人の盗賊に相対する。基本的な戦術は、シーニアと自分の守護だ。 こちらからは仕掛けずに、後の先を取る体制に入る。どちらかの盗賊がかかってきたら受け崩して、相手の体制を崩し、ハルバートで再び突いて戦闘力を奪いたい。それでも、あまり深追いせずにシーニアを守ることに集中したい。


GM

“11フェイズ”
 戦線を抜けようとしてきた野盗をリゼルが迎え撃ちに走る。

 命中判定:分類/ショートハルバード(突き) > 野盗D
  リゼル:通常の成功!
   回避!
    > 「バランス-1」


 槍斧を振りかざしての一撃は、すんでの所で男に躱される。
「ちッ――邪魔しやがる!」
 テスが操る魔術を妨害しようとしていた男は、舌打ちして怒鳴る。全力で走っていたところで無理に立ち止まって攻撃を避けたため、転倒はしないまでも体勢を崩してしまう。

「助かる、リゼル」
 隣に追いついてきたリゼルに、シーニアが声を掛ける。
 掛けながらに標的を切り替え、正面からつっこんできた男に武器を振るう。

 命中判定:分類/フレイル > 野盗E
  シーニア:通常の成功!
   命中!
    > 体に8ダメージ!


 狙いに失敗し、命中はするもののたいした打撃は与えない。

 虚行動:戦術移動 アルバ

 アルバは槍を構え、一歩前進して間合いを調節する。

“10フェイズ”

 命中判定:分類/バトルスピア(振り) > 野盗B
  アルバ:辛うじて成功!
   完璧な回避!


「素早い…ッ」
 間合いを詰める動きそのままに流れるように武器を振るうアルバだが、驚くほど鮮やかに躱される。
 そこへウォークが進み出て、素早く剣で斬り付ける。

 命中判定:分類/補助攻撃・ソード(振り) > 野盗B
  ウォーク:完璧な成功!
   命中!
    > 29ダメージ!
     > 「前後不覚」!
     > 「気絶」!


 さすがに立て続けの攻撃を躱し続けることは至難の業だったか、剣の直撃を受けて男はもんどり打って倒れる。威力を殺して速度を優先させた牽制の攻撃だったはずだが、あまりに綺麗に入ってしまったことに、ウォーク自身が驚いたかも知れない。
 わずかに振り返り、
「了解ッ、先生!!」
 にっと笑いながら、テスの講義に応える。

“9フェイズ”

 発動判定:分類/マナフレイム > 野盗A(範囲:0_0)
  テス:通常の成功!

 テスは右手を上に、左手を下に突き出し、外側に大きく半円を描きながら両手の位置を入れ替える。
 胸の前で両手を戻して前方に突き出し、魔力を解き放つ。
「――其は夢の一欠片!
 盛る炎を此処に広げん!」
 テスの足元で光を放っていた魔法陣が光を増し、回転しながらテスの周囲に不可思議な文字を描き出す。
 そして詠唱が終了、魔術が完成し、魔法が行使される。
 魔法陣が一際強く輝き、魔力が作用する。

 活性化した魔力が誰の目にも鮮やかな光となって青白く輝き、野盗の周辺に集束していく。魔力に疎遠なリゼルの目にも、薄くぼんやりとだが光が見える。

 命中判定:分類/ハンドアクス > アルバ
  野盗A:優秀な成功!
   回避!


 テスの魔法を受けながらも、アルバに走り寄った野盗が斧を振るう。勢いの乗った攻撃だったが、いなされる。

“8フェイズ”

 虚行動:戦術移動 シーニア

 シーニアは敵の接近に合わせて間合いを調節する。
 そこへ、先ほどから彼女の動きを狙い続けていた野盗が矢を放った。

 命中判定:分類/弓 > シーニア
  野盗C:完璧な成功!
   命中!
     > 体に23ダメージ!
      > 「意識不明瞭」!


「ぁっ……」
 矢はまともにシーニアの体を捉える。それはシーニアの油断か、それとも野盗の意外な技の冴えだったか。
 よろめくもの、辛うじて倒れない。しかし、明らかに重傷だ。

 魔力を解放するやいなや、テスは再び魔術具を手にしている。

 魔力の操作:分類/魔法陣の敷設(テス) MP消費+1

 精神を凝らし、より輝きの強い紋様を生み出す。
 シーニアが矢を受けたのはちょうどその直後だ。

 命中判定:分類/補助攻撃・ショートハルバード(突き) > 野盗D
  リゼル:成功!
   命中!
     > 15ダメージ!


 リゼルの牽制攻撃が野盗に命中する。
 彼女にとっては軽い攻撃だったが、食らった男にとってはただでは済まない。胸を突かれ、うめき声を上げる。

 テス:5(虚) 4(実) 1(虚)
 リゼル:5(虚) 2(虚) 1(実)
 アルバ:7(虚) 4(虚) 1(虚)
 シーニア:5(虚) 2(虚) 1(実)
 ウォーク:7(虚) 4(虚) 1(実)



テス

 転倒した野盗が起き上がろうとする。
 とにかく敵の頭数を減らさなければ…この好機を逃す手はない。
「まだまだ!」
 一声挙げてから、ワンドの先端をトン、と地面に着ける。
 魔力を流し込めば、すぐに展開する魔法陣。
 にっと笑う。
 
ウォーク<

「…突然だがウォーク、ここでレッスン1だ!」
 動きながら聞け、とばかりに声を上げる。
 剣戟に声をかき消されないよう、発声を兼ねて約束も果たそう。
「魔術を使う時に重要なのは理論、だがそれだけじゃない!」
 先の野盗は起ききれず、再び転ぶ。
 だが、飛来した矢がシーニアの脚に突き刺さった。
「!…自分が魔術を使う、その目的を明確にしろ!」
 歯痒い、が、今は自分の仕事だ。
 詠唱準備を行いながら、ウォークに場違いな講義を続ける。
 無理はしないといった彼女が黙っているなら、声を掛けるまでもない。
「何がしたいか、そして…、
 それを行なった結果として何が起きるか、までをしっかりイメージするんだ!」
 シーニアが野盗を打ち据える。その姿に何となく笑いが零れた。
 
 魔法陣が青白い光を放ち、回転する。
「…以上、レッスン終了!
 さぁて、すぐに暖かい歓迎をしてやる」
準備完了、詠唱開始。


リゼル

 ざっと状況を見て、シーニアの左側に回りこみ盗賊を迎撃することにする。
 右側の盗賊二人はアルバ達に任せよう。

 左側の盗賊と相対したら、ハルバートで突き刺して、相手がひるんだ所で大きくハルバートを振りかぶって叩きつける作戦だ。


GM

 行動値:
 テス16+2D6(24) リゼル17+2D4(21) アルバ15+2D6(20) ウォーク14+2D6(22) シーニア18+2D6(21)


 先頭を走っていた男が倒れるが、後続の男たちは少しの抵抗は気にするつもりがないらしく、そのまま走り続ける。

“18フェイズ”

 行動判定:分類/復帰(1) 野盗A
  復帰開始


 倒れた敵が起きあがろうとする。

 虚行動:戦術移動 シーニア

 シーニアが一歩前進する。

“17フェイズ”

 魔力の操作:分類/魔法陣の敷設(テス)

 テスはワンドを構え、魔術の紋様を展開させた。
 魔術具を支点として魔力が導かれ、テスの足元に複雑な青白い紋様を描き出す。

 復帰(1)
  野盗A:
   失敗! > 「転倒」


 足に魔法を受けた男は起きあがろうとしたが、思いの外魔法の衝撃が強かったらしく、途中で再度転倒してしまう。

“16フェイズ”

 命中判定:分類/弓 > シーニア
  野盗C:通常の成功!
   命中!
    > 足に10ダメージ!


 飛来してきた矢が、今度はシーニアを狙う。
「………ッ」
 矢は革の防具越しに彼女の右大腿部に突き刺さるが、シーニアは顔をしかめただけで、声は漏らさない。

“15フェイズ”
 敵の接近に合わせて攻撃するタイミングを見定めていたシーニアは、相手が自分の間合いに踏み込んできたと同時にすかさずフレイルを振るった。

 機会攻撃:分類/フレイル > 野盗B
  シーニア:通常の成功!
   命中!
    > 体に15ダメージ!


 攻撃はまともに野盗の胸を捉える。
 リゼルから見ると、シーニアは若干腕力に劣るようだ。

 行動判定:分類/復帰(1) 野盗A
  復帰開始


 倒れた敵が起きあがろうとする。
 キリキリキリ……、再び、弦を引く音がする。

“14フェイズ”
 テスが魔法の詠唱を始める。

 詠唱判定:分類/マナフレイム(30)・同時詠唱・魔術式/回帰 > 野盗A(足元)
  テス:5.20+1D4…6.2 7.2 6.2 7.2 6.2 “9フェイズ”に発動

 テスは目標の足を狙おうかと考えたが、この炎の魔法は1m四方程度の範囲に影響を与えられるはずだ。地面に近い部分を狙えば事足りるだろう。

 アルバは移動を停止した。
「あんまり私の武器(バトルスピア)の範囲に入らないようにしてくれ」
 アルバはリゼルやウォークに声を掛ける。
 彼の武器は槍で、槍や斧は剣などよりも“振り回す”ことが多い。だから、自分の近くに味方がいると、うまく攻撃が行えなくなってしまう。

 復帰(1)
  野盗A:
   成功! > 「転倒」から回復!


 起きあがろうとしていた野盗がようやく立ち上がる。

“13フェイズ”
 野盗Bが移動を停止した。
 ウォークは移動し続けている。

 >次のタイミング

 テス:9(発動) 8(虚) 5(虚) 4(実) 1(虚)
 リゼル:12(虚) 11(実) 8(虚) 5(虚) 2(虚) 1(実)
 アルバ:11(虚) 10(実) 7(虚) 4(虚) 1(虚)
 シーニア:11(実) 8(虚) 5(虚) 2(虚) 1(実)
 ウォーク:10(虚) 7(虚) 4(虚) 1(実)



シーニア

テス<

「やはり魔法はずるい」
 敵がもんどり打って倒れたのを見て、呟く。


テス

シーニア<
 
「そいつは安心だ」
 ふと笑い、フレイルから荷馬へと視線を向ける。
「頼りにしてるぜ、お馬さん」
 一言呟いてから詠唱を始めた。
 
 敵に目を向ければ、茂みから新たに飛び出す影。
 まだいたか、と詠唱を崩さぬように胸の内で呟いた。
 戦い方を改めるべきか。
 四人の野盗を見据え、完成した魔術を解き放つ。
「――我は弓なり! 魔力をもって蒼き矢を放たん!」
 伸ばした手の先から放ったマナアローは、狙い通りに野盗の足を穿つ。
 良い調子だ。後ろからは早くもリゼルが追いつきかけている。
「リゼル、敵後方の茂みに弓がいる。狙ってくるぞ!」
 リゼルに声をかけながら、警戒を強める。


リゼル

 荷馬に向けて走りつつ、状況把握に努める。
 視認出来た敵は4人、さらに弓使いがいるようだが見えない。

 シーニアが突出していて危ない。テスの前に出てシーニアと肩を並べて敵を向かえ討とう。
 走る方向を変えて、シーニアの右横の位置に向かう。


GM

 茂みの中から、続けて二人の男が現れた。
 計、四名が武器を手に、テスたちの元へ走っていく。

 行動値:
 テス16+2D6(24) 
リゼル17+2D4(21) アルバ15+2D6(20) ウォーク14+2D6(22) シーニア18+2D6(21)

“24フェイズ”
 テスが魔法の詠唱を始める。
 詠唱判定:分類/マナアロー(24)
  テス:5.20+1D4…7.2 7.2 6.2 7.2 “20フェイズ”に発動


“22フェイズ”
 ウォークが駆けだした。

“21フェイズ”
 リゼルが駆けだした。
 シーニアは待機している。

“20フェイズ”
 アルバが駆けだした。
 キリキリキリ……と、弓の弦を引く音が聞こえる。

 発動判定:分類/マナアロー > 野盗A(部位狙い/足)
  テス:通常の成功!
   完全な命中!
    > 右足に20ダメージ!
    > 「転倒」!


 テスの魔法が完成する。
 足止めを狙って放たれた光の矢は青い軌跡を残して飛び、獰猛な声を上げながら走っていた男の右足に直撃した。
「だぉぁっ!」
 野盗は声を上げながら、よろめき、勢いよく転倒する。


アルバ

「郊外とはいえ、こんな町の近くで盗賊とはッ」
 油断しきっていた自分に舌打ちしながら、彼我の距離を見て一瞬考える。
(まずは楯役が不足か。私も槍を振るうべきだな)

リゼル<

「――」
 指示を出そうとして、リゼルが既に走り出しているのを見て、にやりと笑う。
「リゼル、任せた!」

ウォーク<

「行くぞ!」


シーニア

テス<

「無理はしない。わたしの命は簡単に捨てられるほど安くない」
 答えながら、フレイルを後ろに構える。
 そのまま数歩進み、立ち止まった。
「矢には気を付けて。相手が物取りの類なら馬を傷つけることはしないだろうから、馬に隠れるのも手」


リゼル

「ガチャン」

 背負っていた荷物を乱暴に地面に投げ出すと、ハルバートを握り締めて荷馬のところへ走っていく。
 各個に身は守るとして、とりあえず荷物の安全を確保しなければ。その後、全体状況とアルバの指示の有無を確認した上で次の行動に移ろう。


テス

「あそこ…か?」
 
 おぼろげだが、数人の気配を読み取れた。
 誰より早く気づいたシーニアに、内心舌を巻く。
 
シーニア<
 
「心得た。
 …そうだな、この距離なら一合凌げばこちらが有利だ」
 シーニアの示しに頷く。
 
 長物を持った、リゼルと旦那は追いつけるかも知れない。
 ウォークを勘定に入れるのは厳しいだろうか。
 深く考える間もなく、茂みから男達が飛び出してくる。
「来たか!…っ!」
 シーニアの指示通り動き出した所に風切音。
 身体を転がし、矢は回避した…というより、外れた。
「慌てて避けなくても良かったな…だが、あっちにもバックアップがいるのか」
 ともあれ、予定の配置についた。
 シーニアを前に、荷馬を後ろに。
 どうやら後の三人も気づいたようだ。
「すぐに皆が追いつく。野盗の類とはいえ、無理するなよ」
 シーニアに声をかけ、魔術の詠唱準備に入る。

【戦闘開始】


GM

 突然、茂みをかき分けて、男たちが飛び出してきた。数は二人で、剣を振りかざしている。
 真っ直ぐに走って、テスとシーニア、荷馬の方へ襲いかかるつもりだろう。今の距離は10m程。
 同時に、木立の中から風を切って矢が飛来する。

 回避判定:矢
  テス:成功!


 矢はテスから外れ、少し離れた地面に突き刺さる。

 シーニアはフレイルを手に握り、男たちを迎え撃つ構えだ。

 後方のリゼルは真っ先に異変に気が付く。盗賊か何かが襲撃をしてきたに違いない。
 続いてアルバ、ウォークも状態に気が付いたらしい。


シーニア

テス<

「馬は群れるもの。わたしは馬の姉妹のようなものだから、間違いじゃあない」
 寂しがりやとの言葉に、ふっと笑う。

 腰に下げたフレイルに片手を当てて、木立に向けた視線はそのままに、テスに答える。
「それなら、少し下がって援護をして欲しい。
 事が起きる前に後の人たちが追いついてくれるとありがたいけれど」
 若干、離れた場所(5m程)から進んできているリゼルたち三人を示した。


テス

シーニア<
 
「雰囲気が静かだからかもしれんね」
 最初に見た、荷造りをしている姿を思い出す。
 進んで他者と関わるタイプには見えなかったが。
「…そうでもなかったな。
 話していて感じたが、きみは結構寂しがりやだ」
 ふっと微笑み、自分の中の印象を正した。
 不意に会話が途切れる。間を置いて戻ってきた声は、これまでとは僅かに調子が違う。
「…武器の扱いは期待しないでくれ。だが敏捷さならそこそこだ」
 答えながら、腰に差したワンドを抜く。
 集中し、周囲の気配を感じ取ろうと試みた。

 技能判定:分類/気配感知
  テス:成功!


 テスは、自分たちのかき乱す風の中に紛れて、何やら複数の気配を感じる。進行方向に向かって右手側の木立の奥が怪しい。


アルバ

リゼル<
 
「ああ、任せたい」
 頷く。
 それから顔を崩し、
「女の子に戦い・力仕事も任せるという話もないけどな。どうやら一番力持ちなのが君のようだから、参る」


リゼル

アルバ<

「そうですか・・・」

 リゼルは捨て子であった境遇もあって、どうしても組織の中で問題のない立場に自分の身を置こうとする。

アルバ<

「とりあえずは、力仕事とか戦いの時にお役に立てそうですね。」

 そう言って、ニッコリとする。


アルバ

リゼル<
 
「慣れているって程じゃないが、かれこれ何年かはこの顔ぶれでやっているな。実際、今改めて気が付いたくらいだが、ウォークも最初は棍棒くらいで剣なんてろくに扱えなかったのに、だいぶん腕が立つようになってきたな」
 笑う。
「役割分担か、あえて割り振っている訳じゃないが、例えば戦いの必要があるときに前に出るのがウォーク、その脇を固めるのがシーニア、一歩下がった場所で戦況を見定めるのがわたしの役目、そういったところかな。
 それ以外だったら、交渉をまとめるのがウォークの仕事かもしれないな。人好きのする奴だから。
 誰かが傷を受ければシーニアか、そうでなければわたしが診る。こんがらがった難題を解くことが得意なのはシーニアで、知識が豊富なのもシーニア……何だ、シーニアに頼ってばかりだな。
 とはいえ、数ある選択肢の中から決定を下すことと、その結果に責任を取らなくてはならないのがわたしだな。不思議なことにリーダーなんかを任されているわけだから」
 応えてから、リゼルの言葉にきょとんとする。
「仕事を与えるでも、与えられるのでもないさ。それぞれができることをするだけだから。
 だから、リゼルには――当然、テスにも助けてもらえると思っている。きみはわたしの槍が傷ついたら、直してくれるだろう? わたしが怪我をしてもきっと治療してくれるだろう。
 武力で排除しなければならないものがあったら、その槍斧が強い力を発揮してくれるだろう。
 そうだろうと期待してるし、そうしてくれるのだろうから、それで良いんじゃないだろうか? 実際、このメンバーで“誰それがこれをやる!”などのようにがちがちに固めていることなんてないんだ」
 そうして、笑みを浮かべる。
「だから、仲間としてがんばってくれるのが一番だ」


リゼル

アルバ<

「あの・・・皆さん、こういう旅は結構慣れているみたいですね。えーっと、こういう旅をしているとパーティ内で何か役割の分担をしているのですか?アルバさん、ウォークさん、シーニアさんで、どんな感じで仕事の分担をしているのでしょう?」

「いや、別に深い意味はないのですけど、私が何か役に立てることないかな、って思いまして。私、見習い程度でしたら、鍛冶と医者の心得がありますし、シーニアさん程ではありませんが薬草の知識も多少あります。私でお役に立てることが何かあるでしょうか?・・・どんなことでも良いので、お仕事もらえないでしょうか?」


シーニア

テス<

「別に」
 再度、肩をすくめる。
「私は話をするのが好きだから問題ない。なぜだか、人は私が一人でいたがると思うようだけれど。
 ……」
 不意に顔を上げ、街道沿いの木々の中に視線をやる。
「ところで、あなたが得意としているものに、武器の扱いは入っている? それか、少なくとも身のこなしに自信は?」


テス

シーニア<
 
「兄弟姉妹が多いな。どこにいても、望めば心を通わせられる」
 楽しそうに頷き、続きを聞く。
 ひどい、とシーニアの評に笑いながら、彼女が考え込む様子を興味深く見守る。
 やがて女賢者が肩をすくめ、口を開くと、
「…ん。それは、嬉しいな。つまり両想いという訳か」
 荷馬にそっと腕を回し、顔を寄せる。
「…よしよし」
 ゆっくり撫でてから、体を離す。動物特有の温かさが心地良く、ため息を吐いてからシーニアを向く。
 
「さて…話し込んでしまったが。悪かったな、なだめてる途中に」


アルバ

リゼル<
 
「うん?
 ああ、別に断りも入れなくて構わないよ」


リゼル

ウォーク<

「そう、シーニアさん、薬草知識もあるんだ。すごいですね。私も少し薬草の心得があるから情報交換しようかな。」

 急に思い出して、

「あっ、そうだ。アルバさんと話したいことあったんだっけ、じゃ、また、後でね。」

 そういうと今度はアルバの側に行って話しかける。

アルバ<

「すいません。ちょっと話して宜しいですか。」


シーニア

テス<

「そう。騎士王国の遠く南、守護者の町の東に広がる草原が私たちの氏族の故郷。空と風、草と土、馬と山羊が彼らの兄弟。」
 草原の民はどれもそうだけれど、と言って傍らの馬のたてがみに触れた。
「ああ、確かに魔術師はずるい。あまりに当たり前すぎて思っても見なかったけれど、確かにその通り。なるほど、その中でさらにあなたはもっとずるいということが分かった」
 頷く。
 それから、ふと、テスの言葉を聞きとがめる。
(夢の力)
 しばらく考えて、何かを思い出そうとする。しかし、うまく形にならなかったらしく、肩をすくめてあきらめる。
「馬が好きだというのはすばらしいこと。あなたが好きになればなるほど、相手もあなたを好きになる。だから、この子はあなたが好き」


テス

シーニア<
 
「そ、そうか…そういうものなのか」
 腕組みをする。愛とか、女にとってとかの話が自然にできるには、もう少し先になりそうだった。この辺り、基の自分はどうだったのだろうかと考える。まともな知識を遺してくれてない辺り、どうにも怪しいが。
 少し、顔が熱い。
「ん…ああ、その魔法を身につけたら、必ず。
 …だけど、魔術を修めている身としては勿体無いな。シーニアなら、俺よりずっと良い魔法使いに成れそうなのに」
 言葉の端々から感じられる知性は深く、湯に浸っているようで心地良くもある。彼女の夢も、心地良さそうだ。
「言葉が分からずとも、声で通じ合えるのだってすばらしいと思うよ。きみはわかってるだろうけど。
 …馬に囲まれて、か。じゃあ、シーニアは草原あたりの生まれに…」
 なるのか? と聞こうとするが、続く彼女の言葉に目を丸くする。
「ずるい?」
 思ってもみなかった可愛らしい一言につい吹き出し、
「わ、悪い…ふふ…そうだな、ずるいな。魔術師ってのはずるいものだ。
 ああ、でもこれは魔術じゃないな。じゃあやっぱり俺がずるいのか」
 笑いを抑えながら、また荷馬を撫でだす。
「…ま、囲まれて育った覚えは無いが、馬は好きだからな。馬に限った話じゃないがね、夢の力を持ついきものは好きだ。好きな心は、感じやすい気もする」


ウォーク

リゼル<
 
「言っても良いのかな?」
 首をかしげるが、実際、彼女がそれを隠したがるとは思えなかった。
「まあ、良いのかな。シーニアは守護者の町の近くに住んでいる、草原の民の出身なんですよ。事情があってだいぶ離れていたそうですが。
 今回は、どうも彼女に手紙が届いたらしいですね。内容は詳しくは知りませんが、察するところ、身内に何かの問題があったみたいですね」
 それから、賢者と呼ばれていることについて、
「シーニアは何でも知っているんですよ。
 おれなんかよりも勉強家だし、知らない書物を見つけると何時間でも集中して読んでいる。何故、太陽が昇るのか、そして沈むのか。何故、空は青いのか。命とは何故あるのか。魂とはどこにあり、どこに行くのか。神とは何なのか。そういったことをいくらでも考えていたりもします。
 学徒でもないのに叡智の塔に出入りをするし、王宮から彼女に質問が来たこともありますね。
 薬草のこともよく知っていて、薬を調合することもするし、宿の近所に住んでいる人は、病気になったときにまずシーニアに助けを求めます。
 それで、いつしか“女賢者”とか呼ばれるようになりました」


リゼル

 ふうーん、フラヌに行くのはシーニアさんの事情なんだ。どんな事情なんだろう?

ウォーク<

「シーニアさんの事情って、どんな事情なのかな?まあ、本人から聞けば良いのかもしれないけど、差し支えない範囲で教えてくれませんか?」

「それに、シーニアさんは賢者ってギルド員に紹介されたけど、どんな特技を持っているのですか?」


シーニア

テス<

「それは残念。一度、わたしのことをどう思っているのかを聞いてみたかった。愛しているのだろうと思っていても、それを口に出して言ってもらえるかどうか、それはとても重要なことだから。とりわけ、女にとっては。
 わたしは魔術を学んだことはないし、これからも学ばないと思う。もしもあなたがその魔法を身につけたら、是非、わたしに手を貸してもらいたいもの」
 肩をすくめる。
「言葉がなくても通じ合えるというのは、すばらしいこと。わたしは声は聞けても、心は感じられない。
 絆があるとは思う。わたしは馬に囲まれて育ってきたから。
 ……そういえば、あなたはそうではなさそうなのに、馬の心が感じられるというのは、ずるい」


テス

シーニア<

 使える?との問いに首を横に振る。
「まだだ、残念ながら。
 ただ、意識はしてないんだが、言葉が無くとも通じ合えるときがあってね。
 …でも、そうか、シーニアも魔術で会話をしている訳じゃないんだな」
 姉妹のようなもの、という彼女の言葉を思い出し、ふむ、と頷く。
「…それは絆、か。
 随分と、馬に親しみを持ってるみたいだけど」
 撫で心地を気に入り、片手は荷馬に置いたまま尋ね返す。


ウォーク

リゼル<
 
「うん?」
 リゼルの質問に考え込むような表情を見せる。
「フラヌに行くのは、彼女の都合ですね」
 と、シーニアを示す。
「おれもアルバもどの場所が良いとかはないから、誰かがそこに行きたいといったら、それで文句はないんですよ。
 こういう旅は、まあ、たまにって所ですね。
 基本的には一カ所に腰を落ち着けて、護衛やお使いの依頼をこなしたり、そうでなかったら休息――まあ、おれだったら魔術の勉強をしたりしています。
 何かの理由があったときに、こうして旅をして、町から町へ行きますね」


リゼル

 先ずは、ウォークからこのパーティのことを色々と聞いてみるか。ウォークの傍に行き話しかける。

ウォーク<

「ちょっと良いですか? あの〜、皆さんフラヌに行く目的は何なのですか?それとこういうような旅を随分と続けているのですか?」


シーニア

 声を掛けられて、顔を向ける。

テス<

「その質問は久しぶりに聞いた。
 大抵の人間は、話せないことを前提に見てくるから。
 ……この子は、久しぶりに町の外に出て気分良く走り回りたいところなのに、そうさせてもらえてないことに不満を感じている。それをなだめていたところ」
 口元に笑みを浮かべる。
「馬はわたしの姉妹のようなもの。
 といっても、馬には私の言葉は分からない。けれど、私が馬の声を聞けることを知ってる――魔術には動物との会話も可能にする技があるそうだけれど、あなたはその技を使える?」


テス

「…いい天気だ」
 空を見上げて呟くと、アルバの声に視線を下ろす。
 
アルバ<
 
「了解。じゃ、俺はこいつと後ろから付いていこう」
 リーダーに声を掛けながら、荷馬の隣へと歩み寄る。
 荷馬を挟んで反対側の隣では、シーニアが荷馬に何事か話しかけている。
 
シーニア<
 
「…話せるのか。ああ、その、こいつと」
 荷馬の腹に手を置きながら、その向こうの女賢者に声を掛ける。
「俺は…何となく気持ちがわかる位なんだが」
 置いた手でそっと荷馬を撫でる。


GM

 一行は街門を出て行く。
 幸い、空は晴れ渡っており、旅に発つにはこれ以上ない気候だった。

 シノン街道は、大地に刻まれた、人族の手による最も長大な道だ。
 遥か大空から見下ろせば、茶色い画布に塗られた濃緑色の絵の具を、針か何かで細長く引っ掻いたようにでも見えるかも知れない。
 辛抱強く、一枚一枚敷かれた石は、少しの雨でぬかるむこともへこむこともないし、旅人をあの残酷な飢えと孤独の迷いの中に誘うこともしない。とりわけ、商人の国、大魔術師王国、騎士王国、神聖王国の都の周辺においては、神聖王国からの距離を示す道標も含めて非常に堂々としたものだった。

 アルバをリーダーとする冒険者の一行は、大陸を東西に走るシノン街道を、東に向かって進んでいる。
 人数はアルバ、テス、リゼル、ウォーク、シーニアの五人。それに荷馬を一頭加える。
 アルバはどちらかといえば寡黙で、要所要所で指示を伝えたり注意を呼びかけたりする他はあまり口を開かない。
 ウォークは多弁な方で、丁寧ながらさばけた語り口で人の気分を盛り上げようとする。
 シーニアは聞かれれば答える。それ以外は大抵馬に話しかけている。
 さて、とりわけ新参者であるところの二人の男女はどのようにして旅路を進むのか。孤独を守るのか、仲間との親交を深めるのか、あるいは?


アルバ

テス<

「じゃあ、出発するとしようか」

リゼル<

 準備ができているのを見て、うなずきかける。


ALL<

「さて、行こう」


ウォーク

リゼル<

「なんだ、あなたは外見よりもずっと勇ましいんですね。リゼル」
 経歴を聞いて、驚いたように笑う。
「多才なんですね。多彩というべきか。
 おれは不器用ですから、うらやましいです」

テス<

 照れた風なのには全く気づかないそぶりで、
「じゃあ、テス。改めてよろしくお願いします」


テス

ウォーク<
 
「む」
 こほん、と咳払い。
 未だに、こう素直な好意じみたものには慣れることができない。
 少し照れたように短く息を吐くと、
「そう、だな。
 長い道中だが、楽しくやれそうだ」
 ウォークの笑顔に、小さく笑って答えた。
 
アルバ<
 
 こちらを見守るアルバに気付く。
「…っと、すまん。つい話が弾んだ」
 腰に帯びた短い杖に手を遣る。
 袋を背負い直し、
「俺は、準備できてるよ。
 シーニアとも、歩きながら話せそうだしな」


リゼル

 背中に背負っているショートハルバートをちょっと見て、

ウォーク<

「ええ、これシルヴァードで食客していた時に門番とか護衛みたいなことやっていたものを今でも使っています。
 本業は、医者と鍛冶師になろうと思っています。でも、まだ、半人前なんです。」

 シーニアさんが準備している姿を見て、込み入った挨拶は別の機会にしようと思う。話し掛ける機会はこれから幾らでもあるだろう。アルバさんの様子を見て、何時でも出発する体勢に入る。


アルバ

 皆が挨拶と自己紹介を交わしているのを見守っている。
 全員が話を終えたら出立しようと考え、自分の準備に手落ちがないかを確認している。


ウォーク

テス<

「なるほど」
 真面目な顔で頷く。
 それから、ぱっと笑った。
「いい組み合わせだ。
 おれたち、仲良くやれそうですね。そうじゃないですか?」

リゼル<

「あなたも戦士なんですか、つまり、その物騒な得物なんかを見たところ、ということですが」
 リゼルのショートハルバードを示す。


GM

 リゼルは、テスに挨拶を返した女性の姿を発見する。
 今も馬の傍に立ち、準備を確かめているようだ。


リゼル

 ウォークの屈託の無い笑い声に思わずつられて一緒に笑う。

ウォーク<

「えっ!? あははっ」

 重そうな短剣と広刃の剣に対して鍛冶師としての興味が湧く。何時か、お願いして見せてもらおう。
 あとはシーニアさんがいるはずだか何処なのだろう?周りの連中にはっきりと分かる動作で、身体をぐるりと回して辺りを見回してみる。


GM

 テスが馬の方を見ると、鞍袋の中に手を入れて何かを確認している女性の姿が見える。
 広い肩幅に、平均的な男性以上の背丈がある女性で、伸ばした髪を背中の辺りでまっすぐ切りそろえている。
 テスに気づくと、軽く頷きを返し、手を挙げて見せた。
 そしてまた、作業に戻る。


テス

アルバ<
 
「なるほど、件のウォークくんか」
 ウォークの出で立ちを見て、もう一度、
「なるほど」
 と頷く。
 
ウォーク<
 
「シーニア? …ああ、もう一人居るんだな」
 馬の方に視線を送る。シーニアらしき姿が見えれば、笑って手を挙げてからウォークに向き直り、
「ん、ああ。 …聞いてるよ色々」
 その笑顔を少しばかり意地の悪いものに変える。
「ま、俺だって剣を振るのはからきしだ。戦闘になったらお前さんの後ろに引っ込んでる分、その勉強に付き合わさせて貰うさ」


ウォーク

アルバ<

「ひどいじゃないですか」
 にやりとながら抗議して見せる。

テス<

「待ってなんかいないですよ。シーニアが短気すぎたんです。
 こちらこそよろしく、テス。ウォークです」
 応えてから、顔を輝かせる。
「術士さんか。やあ、それは嬉しいな。是非、道中ではいろいろと教えてください。聞いたとおり、おれは勉強したことを何も実践できないんですよ。覚えが悪いのは認めますが、努力だけはしてるんだってことをアルバにも分かってもらわないといけないですからね」

リゼル<

「よろしく、リゼル。ウォークと呼んでください」
 自分の身につけたものへの視線に気が付いて、
「こいつですか?
 魔法よりも役に立つ相棒ですよ。“おれが使う分には”っていう但し書きつきですけどね」
 あはは、と笑いながら言う。


リゼル

ウォーク<

「今日は、リゼルです。」

 ウォークの笑顔に対して、間髪を入れずに挨拶で返す。仲良くなって楽しいやっていきたい。そんな気持ちをストレートに出す。

 鎖帷子や剣を一瞥して、ウォークさんは前衛で肉弾戦もするのかなと思う。


アルバ

テス<

「ああ、そうだ。こいつがウォーク。叡智の塔の学徒を名乗っているくせに、魔術は一切使えなくて、得意なのは剣を振るうことだっていう変わり者だよ」


テス

 ギルドを出て少しした所で若者が声をかけてくる。
 友好的ではあるものの、東門にはまだ距離がある。
 一応、確認するようにアルバに話しかける。
 
アルバ<
 
「あーっと…お仲間、だな?
 もうこっちに向かってたのか。ギルドで話し込んじゃって、待たせたかな。」
 
若者<
 
 アルバに確認が取れたなら、こちらを見て笑う若者に顔を向ける。
 
「ああ、よろしく。俺はテス、術士だ」


ウォーク

アルバ<

「アルバ!
 ――どうやら連れができたってことですね? それは幸先がいい」

 そう声を掛けたのは、まだ二十歳にもなっていないらしい風貌の若者だった。革製の衣服を着てその上に袖のない鎖帷子を身につけている。腰には重そうな短剣と、広刃の剣を下げている。

 茶色の目でテスとリゼルを見て、にっと笑う。


GM

 実際の所、賢者シーニアと学徒ウォークは、完全に荷造りをした状態で、ギルドの近くまでやってきていた。二人は仲間が見つかろうが見つからなかろうが、今日の間に出発してしまうつもりでいたのである。
 荷物を背に乗せた馬を連れており、アルバがテスとリゼルを連れて宿の方に移動しているところを見つけた。