PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

シナリオ

「モラッカ山の主」

シルヴァと冒険者ホース、イッシュ・アッシュ達は、
未探索の洞窟があるというモラッカ山に辿り着いた。
この小高い丘程度の山の中腹に、その洞窟がひっそりと眠りについているという。
洞窟の入り口は草むらの中にその身を半分ほども隠していた。


 
GM…戦闘


侵入者たちを睥睨して、竜は悠然と床を踏みしめていた。
出方を見切れずに立ち竦むホースとイッシュを置いて、シルヴァは素早く弓を構え、矢をつがえ、そして放った。
「当たれ!」
彼の言葉と同時に、金属を叩いたような鈍い音が響く。彼の撃った矢は適格に竜の目への軌跡を辿っていたが、鈍重そうなその体は意外に敏感な動きを見せ、矢は突き刺さる直前で、伸ばされた竜の手爪によって弾かれた。
(くっ、早い…)
それを見届けて、シルヴァは再度矢をつがえて狙いをつける。
「…なるほど! 目か!」
ホースはシルヴァの狙いを見て得心し、竜へと突きかかって行く。
「だあぁぁぁっ!」
剣を下げて走りこみ、跳躍して頭部を狙った斬撃を繰り出す。
「――外れた!?」
「シャァァァッ!」
大上段から打ち下ろされた刃は、巧みに頭を落とした竜によって軌道を外される。舌打ちをして身を翻すホースの身体を竜は逃さず、鉤爪を振るって、彼の身体を狙う。
ホースは、轟と唸りを上げて迫る腕を躱すことも出来ず、「かはっ」腹部に直撃を受けて吹っ飛んだ。
「ホース!」
血相を変えながらも、
しかし揺らぐ事のない矢を放つシルヴァ。その数、一、二、三本!
「これでどうだ!」
緑竜は、大地すら裂けるほどの絶叫を上げる。
彼の矢の一本は鱗に弾かれ、一本は右目の上に突き刺さり、そして最後の一本は魔獣の右目を奪っていた。
「…っ、シルヴァ、さすが!」
その隣でホースは、血を吐きながらも膝立ちに起き上がり、
シルヴァに快哉を上げる。
目を潰されて悲鳴を上げていた竜は、立ち直ると、怒りの満ちた片目で彼等を凝視する。視線を彼等二人に固定したままに、すぅぅっ、と、竜が深く息を吸い込むと、咽喉が風船のように大きく膨れ上がる。
狙撃の残身を解いたままのシルヴァは、その竜の姿に閃くものを感じ、一瞬身を震わせた。
(“魔竜の吐息”の予備動作…!?)
「危ないっ!」
シルヴァはホースを抱えるようにしながら、大きく横に跳んだ。
一瞬後、彼らのいた辺りを、眩く灼熱の炎の奔流が貫いていく。

「ぐっ」
ホースは先ほどの竜の一撃で内臓でも傷付けているのか、地面に転がった拍子に呻き声を上げる。
圧倒的な熱量にあぶられ、髪と肌がちりちりと音を立てているのがわかった。蛋白質の焼ける嫌な臭いを感じながら剣を支えにして起き上がり、すぐ側に屈み込んでいるシルヴァを見つけた。
「痛っ…」
「シルヴァっ、大丈夫か!?」
「…うん、何とか」
煙を上げる足を抱えながらも、シルヴァは苦しい笑顔をホースに向けた。
「すまん、おれが足手まといになったな」
優越に満ちた眼差しで彼等を見下ろす竜に剣を向けて、視線を正面に固定させたままホースは悔しそうな声を洩らした。
敏捷で、肉体的な素質に恵まれたシルヴァならば、あの炎を避けることも容易であったはずだ。彼は、ホースを抱えて逃げようとした為に行動を一瞬だけ遅らせてしまい、そして足を炎に焼かれてしまったのだ。
相棒の言葉に首を振って、そしてしゃがみ込んだ姿勢のまま再び弓を構えようとしたシルヴァは、ふとあることに気が付いた。
(イッシュはどこに…?)
視線をめぐらせ、シルヴァは、あの小柄な身体を見つけた。
(あれは!)
イッシュ・アッシュは、身を隠していた。
緑竜の巨体がそびえる、ちょうど同じ高さに彼はいた。
気配を鎮め、息を殺し、竜と同じ高さの壁に張り付いていたのだ。
(彼は…まさか、逆鱗を狙っているの?)
暗闇に朧に浮かぶイッシュは、口元に小振りのナイフを咥えているようであった。確かに、圧倒的な生命力と強さを秘めた魔獣の、唯一の弱点である逆鱗を貫けば、非力なハーフリングでもかの緑竜の息の根を止めることはできるかもしれない。シルヴァは、小さく微笑みを浮かべた。
(彼に気付かせさえしなければ、勝てる)

シルヴァ:「森人の弓」攻撃2Hit!
「致命的部位狙撃」成功!
>グリーン・ドラゴンにダメージ&右目の破壊!

グリーン・ドラゴン:攻撃2Hit!
>シルヴァ、ホースにダメージ!

シルヴァ:
両足に火傷…移動、回避にペナルティ
HP−12
…39/51

ホース:
HP−23
…34/57



 
GM


響き渡る声は、ホースの態度を拒絶と取ったようだった。
<ならば、物言わぬ骸となるがいい>
その台詞と同時に、彼らの目の前10メートルほどの先に、通路の両脇に据え付けられている魔法の燭台から零れる光が集束し、一つの大きな円を描く。その中に影が落ち、広がり、紋様を形作って行く。
五星の魔方陣。
魔法の絵画が床に映されると、圧倒的な存在感が、眩い方陣の中に現れる。ホースは目を細め、光の幕の奥にその姿を見通した。
「――竜ッ!?」
光の中に呼び出されたのは、金属光沢を放つ緑の鱗を持った、そう、一般に緑竜<グリーンドラゴン>と呼ばれる魔獣だった。
魔獣がその力強い身体を完全に通路に現すと、彼を召喚した魔方陣は光を収めて、消えてなくなる。それと同時に、力を全身に漲らせた緑竜は大きく顎を開いて咆哮する。
「竜<ドラゴン>だって…?」
「うわーっ、冗談じゃないよ!」
ホースが瞠目して呻き、イッシュが喚く。
人間たちを舐めるように見て、緑竜はもう一度、吠えた。

《戦闘突入》
シルヴァ、ホース、イッシュVSグリーン・ドラゴン



 
シルヴァ


ホース<

「うん、良いよ」弓を構え、少し緊張しながら歩き出す



 
GM


「そっか、頭いい〜♪」
先に立って、罠に注意しながら進んで行くイッシュのあとを、シルヴァとホースは進んで行く。
なるほど、シルヴァーの言った通り、奥では火が焚かれているようだ。
空気がやや暖かみを増し、ぼんやりとだった赤い光もその輪郭を明確にしてきた。
「魔法の明かりだね」
壁に貼り付くようにして輝く明りに近付いて、イッシュが言った。
赤々とした光明が、そこを始めとして通路の奥まで、まるで街灯のように続いている。
「なんか、…終点が近いっていう感じだな?」
ホースがシルヴァに笑いかける。
最初の明かりから、三十分。
<立ち去れ!!>
ホースが眉をひそめてシルヴァを見る。
イッシュは全く気にしていないようだ。
「…どうする?」


 
シルヴァ


イッシュ<

「真ん中が良いんじゃないかな?」言いながら弓を構える。
「道の先がぼんやりと赤くなっていたり、壁が乾いていたことから考えると、多分向こうには火があるね。
火があるって事は、誰かが居るかも知れない。まあ、
普通の火じゃなくて魔法かもしれないけどね」イッシュにそう言った後、警戒しながら真中の道を進む。



 
冒険者イッシュ


シルヴァ<

「うーん…どうしようか?」



 
GM


シルヴァたちは通路を先に進んでいく。
空気には、やはり味というものがなかったが、地下独特の湿り気を帯びていた。足元がやけに濡れている。「滑らないように注意しろよ」ホースが二人に忠告した。
その調子で五分ほど進んだろうか?
道は三叉路になった。
左右の道はこれまでと同様に闇につつまれているが、真中の先はぼんやりと赤くなって見える。シルヴァは壁を触ってみた。
真中の道の壁だけ、僅かに乾いているようだった。


 
シルヴァ


ホース<

「そうだね」
苦笑しながら先へ進む



 
GM


スケルトン・ウォーリアが潜んでいた部屋は、向かいの部屋と同じ様に空だった。ホースは方を竦めて見せた。
「先を急ごうか?」


 
シルヴァ


ホース<

「うん、そうしようか」
スケルトン・ウォーリアの入ってきたドアを通って進む。



 
冒険者ホース


シルヴァ<

「もしそうだとしても、得意なものがあるって言うのはそれだけで誇れることだと思うぞ、俺は。
おれなんて、自慢できないものばかりだからな。
…って、あまりいっても誉め殺しになっちまうな。
誰も怪我がないようなら、先に進むか?」



 
シルヴァ


ホース<

「これくらいしか取り柄がないからね」照れたような笑みを浮かべる。



 
冒険者ホース


「やれやれ…」
溜息をつく。

ALL<

「怪我は無いか〜っ」
と、叫ぶ。

シルヴァ<

歩みより、嬉々として笑いながら肩を叩く。
「凄いな、シルヴァ!
雲の時からもしやとは思っていたけど、
やっぱり達人並みの技だな、お前の弓はっ!」



 
GM…戦闘


目の前の骸骨剣士が剣を引き抜こうと苦労している志木に、シルヴァたちは彼と距離をとって向かった。

シルヴァは弓を構え、矢をつがえて、ようよう剣を引き抜いた骸骨剣士の頭部へと狙いを定める。
「当たれ!」
がっ、放たれた矢は、骸骨剣士の額へと正面から突き立った。守護者は身体をぐらつかせるが、一瞬後にはまるで何事も無かったかのように、
こちらへと向かってくる。速い。その骸骨剣士に、シルヴァは立て続けに矢を放つ。一矢、二矢。どちらも正確に、一発目とさして変わらぬ位置に突き立つ。最後の矢などは頭蓋を砕いて突き抜ける勢いだった。
それでも、その守護者は彼に与えられた使命を遂行する為に、ぐらつきながらも剣を握り締めて襲い掛かってくる。
「おっと」
だが、ほとんど行動停止の寸前の状態で繰り出された攻撃に、恐るべき力のあろう筈も無い。シルヴァは余裕でそれを避けて見せた。

イッシュ・アッシュは、シルヴァが矢を放つ横から骸骨剣士に回り込んでいた。エルフに気を取られている守護者の後ろから飛び上がり、ナイフの一撃を側頭に見舞った。刃は半ばまで埋まり、元々シルヴァの攻撃で損傷していた骸骨剣士の頭部はそれで砕けた。力を失って、その守護者は役目を果たせぬままに活動を停止した。

(やっぱり、見事だ!)
シルヴァの弓の技を横目で見て、ホースは心の中で快哉を上げた。彼が放った矢は全て、狙い違わず骸骨剣士の額に集中した。近矢とはいえ、そこまで正確な射撃を行えるものは、彼の知人にはいない。
「おっ…と!」
ホースは、彼の虚心を逃さずに繰り出されてきた袈裟懸けの斬撃を剣で受け止める。火花が生まれ、一瞬で散った。こちらまではイッシュが地面に置いたランタンの明りはほとんど届いていない。ぼんやりと薄赤く照らされる骸骨剣士は生命を感じさせず、この上なく不気味だったが、攻撃を仕掛けてくるときは、仮初めの魂を得たように、その存在感を見せる。
だが、「弱いんだっ!」
ホースは声を上げながら、剣を振りかざす。
斬撃を骸骨剣士は受け流そうとするが、足りない。刃が剣士の胴を横薙にして過ぎる。背骨を完全に粉砕され、骸骨剣士は動かなくなった。
「自分の意志も無くただただ<生きて>いるような奴に、おれが負けるわけにはいかないんだよっ!」
その骸に一喝して、ホースは剣を収めた。

シルヴァ:
「森人の弓」3Hit!
>スケルトン・ウォーリアAにダメージ!

ホース:
「片手剣」攻撃Hit! クリティカル・ヒット!
>スケルトン・ウォーリアBを撃破!

イッシュ:
「回り込み」行動成功! 「ナイフ」攻撃Hit!
>スケルトン・ウォーリアAを撃破!

戦闘終了!



 
GM


がだ、がだんっ!
扉は向こうから乱暴に開かれた。
「うわぁっ」
イッシュの身体が吹き飛ばされて、その後ろにいたシルヴァに受け止められる。
扉を開いた者が、中から飛び出してきた。
「骸骨剣士<スケルトン・ウォーリア>!」
シルヴァが、その骸骨の名前を呼ぶ。
イッシュもホースもその名前は知っていた。
古代の魔術師達の使い魔のようなもので、大抵、住居の護衛などに使われていた魔法生物だ。
外見は人間の骸骨のようなもので、剣を携えていることが多い。
ものによっては魔法を操るものもいるらしい。
見た目は脆そうだが、その実頑丈で力もあり、技術も有している。

相手は二体いた。
一体は飛び出て、その勢いでホースに切りつけた。
驚きながらも辛うじて剣で受け止めるホース。
もう一体は、シルヴァたちの方へ向かってきた。
素早く突き出されてきた剣を、イッシュを抱えたまま反射的に身体を沈める。ちょうどシルヴァの頭の上に、剣は突き立った。骸骨剣士は剣を引き抜こうとしている。
ホースはもう一体と切り結んでいた。

《戦闘突入》
シルヴァ、ホース、イッシュVSスケルトン・ウォーリア二体



 
冒険者イッシュ・アッシュ


シルヴァ<

「そーだね。じゃあ、とりあえず右の扉を調べてみようか」

頷いてから、扉の脇に立った。
ランタンで照らしながら、正面に立たないようにしながら鏡を使って鍵穴を調べ始める。針金を差し込んで、構造を確かめる。
「…鍵は掛かっていないし、罠もないみたいだね。
魔法が掛かっているかどうかは解らないけど…」
慎重に扉をゆっくりと引く。何か異常を感じたら即座に退避するつもりだ。
イッシュの用心は、今回は無駄に終わった様だ。
扉は何の異常もなく開いた。
覗き込むと…「何もないよーっ」何も置かれていない、ちょっとした小部屋だった。
軽く舌打ちをしながら扉を閉めて反対側の扉へと向かう。
同じ様にして扉を調べて、やはり何もない事を確認すると、今度はやや気を抜いて扉を開く。



 
冒険者ホース


シルヴァ<

シルヴァの呟きを聞きつけて、
「まあ、古代の遺物なんて、そんなもんだよ。
どこも彼処も、保存する為の妙な魔法が掛かっているんだろうな」
言った。



 
シルヴァ


「あんまり良い空気じゃ無いなぁ・・」少し顔をしかめる。

ALL<

「取り敢えず右のドアを細く開けて、危険そうだったら左のドアに進んだら良いんじゃないかな?」



 
GM


三人でいっせいに押すと、扉はゆっくりとだが、開いていった。
「ひぇー、疲れた〜」
イッシュは溜息をつきながら、奥の様子を見る。
シルヴァ達にはまだ光が届かずに見えない場所も、彼には解るのだ。
「えーとね。
広い廊下になってるよ。一本道…かな?
ちょっと進むと両脇にドアがあるよ。普通のドア。
どうしようか?」
奥は、不気味なまでに匂いというものがなかった。
空気も眠ったように動かず、だが、淀んではいない。
しかし、むしろそれは、自然の中で生きてきたシルヴァにとっては不快なものだった。自然ならざる空気というものは。


 
シルヴァ


ホース<

「ああ、そうだね」落ちている弓を拾う。
二本折れていたが、残りの二本はまだ使えるようだった。

イッシュ<

「じゃあ、まず押してみて。開かなかったら引いてみようか」扉の前まで歩く。



 
冒険者イッシュ・アッシュ


ホースに手当てをしているシルヴァを横目に身ながら、イッシュは扉の方へと向かって、調べ始める。
「うーん?」
扉にランタンを近づけて細部をよく観察する。
「鍵は掛かっていないなー…」

シルヴァ&ホース<

「ねーねー、にいちゃんら。
この扉、鍵は掛かっていないけど、すっごい重いよ。
みんなで押すか引っ張れば開くんじゃないかな」



 
冒険者ホース


シルヴァ<

「ああ、悪いな…」
地面に尻をついてシルヴァを見上げる。
「あー、効く効く。サンキュ」
言って、ふと視線をガーディアン・スモッグのいたあたりにやる。
「お…?
なあシルヴァ、あそこに落ちてるの、さっき撃った矢じゃないか?
また使えるかもしれないな」



 
シルヴァ


ホース<

「手当てしておいた方がいいね」
オトギリソウを使用して手当てをする。

「手当て」成功!
ホースのHPが完治しました。



 
GM…戦闘


「はあぁぁぁぁぁぁっ!」
ホースが剣を振り上げてガーディアン・スモッグに向かっていく。
振り下ろして、人間で言うなら胸の辺りを切り下ろした。
ガーディアン・スモッグは僅かに身じろぎしたものの、大して効いた素振りを見せない。痛みという感覚とは無縁のようだ。
煙の魔物がホースに反撃をしようとした時、足元にもぐりこんでいたイッシュ・アッシュが、「や〜い、図体だけの唐変木! 殴るならおいらを殴ってみなよっ、無理だろ? あんたは鈍いもんな〜」などと好き勝手な事を言って挑発しながら魔物の足を蹴りつけたり短剣で切り裂いたりとする。
彼の言葉を理解したのかいないのか、少なくとも魔物は足元にうっとおしく纏わりつく小人を先に標的としたようだ。
ホースに向けていた剣を、イッシュへと滑らせる。
「当たれ!」
その時を見計らっていたシルヴァの放った矢が、ガーディアン・スモッグの手に突き刺さる。魔物の手元が揺らぎ、イッシュへの斬撃は曖昧なものになる。素早さには右にでるものがいないというイッシュが、その程度の攻撃をかわせないはずも無い。

ホース:「片手剣」攻撃Hit!
>ガーディアン・スモッグにダメージ!

イッシュ:「撹乱」成功!
>ガーディアン・スモッグ

シルヴァ:「森人の弓」技巧攻撃Hit!
>ガーディアン・スモッグにダメージ!

ガーディアン・スモッグ:斬撃失敗!
>イッシュ

「これを…、喰らえっ!」
ホースはガーディアン・スモッグへ跳びかかり、斬撃を放つ。
斬り上げ、斬り下げ、再び斬り上げる、「三段斬り」。
切り裂かれて、魔物の身体が煙のような破片を撒き散らす。
そこへ、シルヴァの矢が貫く。
剣を持つ手を撃たれ、魔物は武器を取り落した。元々実体の無いその剣は地面へと落ちる直前に煙となって霧散した。
イッシュは魔物の足元を駆けずり回りながら、手を閃かせた。
小さな投げナイフがガーディアン・スモッグの額へと埋まる。
幾度と、並の生物なら致命的なはずの攻撃をその身に受けているはずの魔物は、しかしまだ倒れる様子もない。
武器を無くした魔物は、口を開いた。
「チイサナテンシタチヨ、ザイニンドモヲシノトコヘトミチビケ」
瞬間、小石ほどの大きさの光り輝く無数の球体がシルヴァたちの天井へと生まれた。
それは意志を持ったように動き、シルヴァたちへと襲い掛かる。
「おあっ、痛っ、この、てめぇっ!」
ホースは避けられず、二発を浴びた。
肩口が焼けたように煙を上げている。
ガーディアン・スモッグの足元にいたイッシュは、その魔物の身体が壁となって、幸いにも影響を受けなかった。
「おっと」
魔法の発動地点からかなりの距離があったシルヴァは、充分に余裕を持ってその軌道を見切って、球体をかわす。

ホース:「片手剣」「三段斬り」Hit!
>ガーディアン・スモッグにダメージ!

イッシュ:「投擲」攻撃Hit!
>ガーディアン・スモッグにダメージ!

シルヴァ:「森人の弓」技巧攻撃Hit!
>ガーディアン・スモッグにダメージ!

ガーディアン・スモッグ:「魔術」成功!
「リトル・エンジェルズ」発動!
>ホースに2Hit! ダメージ!

痛みにも怯む事は無く、むしろ気力をみなぎらせて、ホースは魔物を睨みつけた。
「そろそろ死んどけ!!」
剣を構え、ガーディアン・スモッグの目と同じ高さまで跳ぶ。
一瞬の滞空、ホースは魔物の目を見つめ、そして気合を爆裂させた。
振り抜かれた刃は魔物と共に空気を切り裂き、真空を発生させる。
一瞬だけ現れた無数の空気の刃は魔物の身体の中で荒れ狂う。
真空烈と呼ばれる技だ。
「当たれ!」
そこに、立て続けにシルヴァの矢が放たれる。
二本撃ち。一刹那に二本の矢を放つ。かなりの熟練者でなければ、目標に命中させることなど到底出来ない。しかしシルヴァは容易に二本共を魔物の額へと当てた。
それが止めとなったのか。
ガーディアン・スモッグは、ゆっくりと倒れる。
「うわわっ」
下敷きになるまいと、慌てて離れるイッシュを追うように魔物の身体は沈んでいき、地面に触れる前に霧散して消えた。

ホース:「片手剣」「真空烈」Hit!
>ガーディアン・スモッグにダメージ!

シルヴァ:「森人の弓」攻撃2Hit!
>ガーディアン・スモッグにダメージ!

戦闘終了!

ホース:
HP−14
…43/57



 
GM


シルヴァたちが立ち去る様子も無く、向かってくるのを見ると、
形無き守護者は戦闘体勢に入った。
まだ曖昧だった人型が、より明白に形を変える。
剣持った巨人へと。

《戦闘突入》
シルヴァ、ホース、イッシュVSガーディアン・スモッグ



 
冒険者ホース


「なるほど…っ」
頷きながら剣を引き抜く、

シルヴァ<

「剣も効くんだな?
よし、なら、やってみるかぁ!」

イッシュ・アッシュ<

「お前はいつもみたいに撹乱を頼んだぞっ」

シルヴァ<

「おれが前に出て戦う。
シルヴァは、援護してくれ!」



 
シルヴァ


ホース<

「あ、思い出した!」ホースに、敵はガーディアン・スモッグと言うこと、実体化しているときだけ攻撃が効くこと、弱点が無いことなどを教える、
「生命力が高いけど、一体だから何とか倒せるかもしれない、ここは一つ頑張ってみようよ」
と言いながら弓を構える。



 
冒険者ホース


シルヴァ<

「退くか、戦ってみるか…、どうするっ?」



 
GM


湿った足元に注意しながら、シルヴァ達は洞窟を下っていった。
ランタンの明かりは心許無いが、それが無いよりは遥かにましであった。
道は一本で続いて、そのまま傾斜していく。
広さも高さも、洞窟の様子は変わらず、三十分ほども歩いた。
変化が見えたのはその頃である。
「いきなり広くなったな」
ホースがシルヴァに呟く。
そこは広間に出たように空間が広がっており、天井は高くランタンの光だけではそれを推し量ることは出来ない。奥には、一つ、扉が立ちふさがっていた。
剣を携え、鋭い視線でこちらを見下ろしてくる彫刻がされた扉だ。
金属…おそらく、鉄で出来ているものだろう。
湿った空気の中でも、それは少しも錆びている様子が無い。何かの魔法で保護されているのだろうか? シルヴァはそう判断した。
「調べてみるよ〜」
イッシュ・アッシュが扉の前まで行って、慎重に調べ始めた。
と、そのとき。
<立ち去れ>
声が聞こえた。男の声だ。
その刹那、扉と壁の隙間から染み出すように、淡く光る煙めいたものが現れた。
<立ち去れ>
もう一度声が響く。
煙は一つの塊になるように集まって、人の形となった。
「なっ、何だ! 幽霊(ゴースト)か、死霊(レイス)か!?」
ホースが声を上げる。
死者の思いの具現化した幽霊や、怨念の集まった死霊には、普通の武器で攻撃しても効果が無い。魔法の炎や刃ならば傷つけることも可能だが、一行には魔術を扱えるものはいなかった。
「わ〜っ」
「ここは一旦退くかっ?」
イッシュ・アッシュが慌てて戻ってきて、ホースはシルヴァに訊く。
相手が死霊ならば逃げるしかないだろうが…


 
冒険者ホース


「それじゃあ、…とりあえず先に進もうか」


 
シルヴァ


ホース<

「じゃあ点けるよ」ランタンに明かりを灯す
「確かに不気味だね・・」ちょっと心配そうな顔になるが、すぐに元に戻る「ま、とにかく入れば解るからね」

イッシュ<

「うん、そうだね」ランタンに布を掛ける



 
冒険者イッシュ・アッシュ


「くーらーいーねーっ」
一人だけ少し進んで、奥からこっちに手を振る。
「まあ、おいらは暗いところでも見えるからいいけど、
にーさんたちはそれじゃあ辛いよね」

シルヴァ<

「ランタンはいつでも光を消せるように、布をかけておいてね。
魔物たちから隠れなきゃいけない時だってあるしねーっ」



 
冒険者ホース


「そうだな…」
闇を透かすようにして頷く。

シルヴァ<

「ああ、頼むよ。
……それにしても、不気味な洞窟だなぁ」



 
シルヴァ


ALL<

「明かりが必要かな?」
荷物から、ランタンとオイル、ティンダー・ボックスを取り出しながら聞く



 
GM…洞窟入り口


シルヴァ達は洞窟の前に立って、よく中を観察した。
洞窟は、地中に向かってなだらかに傾斜し、土壁は湿っていた。
触ってみるとすべすべとしており、それが天然のものではないということが知れる。奥からは冷たい風が吹き付けて来る。空気は不気味な味がした。やや、硫黄の匂いが混じっているような気がする。
入り口付近は狭く細かったが、中に入ると広くなっている。
その穴の高さは、巨人族ノームードゥが立ったら頭がつかえてしまいそうなほどで、横は三人が余裕を持って並べるくらいだ。