PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

シナリオ

「神の国の盗賊」

神聖王国ミノッツの街を騒がす盗賊・キッシュ。
ミノッツの警備隊長キースは、毎夜毎夜奔走して、
しかし彼を捕まえることは叶わなかった。
やむを得ず、キースは冒険者達を雇って、キッシュを捕えようと試みる。
流浪の竜追いの冒険者、リチャード・ハードカースルと、エルティナ・グリーンが
彼の求めに応じ、キッシュを捕える算段を巡らせた。
そして生まれた作戦が一つ。
キッシュを挑発し、現れたところを捕まえる、一見しただけでは単純な作戦だ。
リチャードの考えによるそれは、
だが、今の状況を最大に活かした巧妙なものであった。
果たして、姿無き盗賊キッシュを白日の下に引き出すことが出来るのか…


 
エルティナ・グリーン


リースに呼びとめられ、軽い目眩を起こしたエルティナは
ふらふらとしながら、なんとかリチャード達に向き直った。
「手分けしたほうが、さっさと見つかるんだけど、
考えてみれば探してるのって敵さんなのよねぇ・・・・、
分散したほうが、危ないか・・・、相手は魔術師だし。
ただでさえ、もう戦力低下してるってのに・・・・」
と、睡魔のためエルティナは口を動かさないと考えることが
できないようだ。
周りが見えないほど彼女は考え込んでいる。


 
リース

エルティナ<

「あの…、その、キースさんという方に会いに行くのに、何で皆で行っちゃいけないんですか?」
出て行きかけるエルティナに訊く。



 
エルティナ・グリーン


リチャードの発言に頷いたエルティナは、リースに向いて、

リース<

「リースくんはリチャードについてね。」
と言った。

ALL<

「んじゃあたしはキースのとこに行ってみるね」
と言い残し控え室を後にしようとした。



 
GM

ALL<

「だったら、あの、僕はリチャードさんと一緒に居ればいいんですか?」



 
リチャード・ハードカースル
…PM12:30

リース<

「うん、僕と一緒に居て欲しい。」
(まず向かうは……キースさんのところかな)



 
リース

ALL<

「だったら、あの、僕はリチャードさんと一緒に居ればいいんですか?」



 
リチャード・ハードカースル
…PM12:30


エルティナ<

「うん、手分けしてみんなを捜しに行こう」



 
エルティナ・グリーン

リチャード<

「・・・、みぃーんな消えちゃったの?」
と、実感が沸かない、といいたげな顔で聞いた。
それから、ふと思い出した。
(あたし、ここに寝に来たんだ、そぉーいえば。けど、今は寝てる
暇じゃないよね・・・、眠いのは事実なんだけど。)
「ううん、なんとなく来てみただけだよ。」
と首を振りながら答えた。そして一息つきながら
「私はぁ、んじゃそこらへんに見張りを探しに行くよ。けど・・・。」
と、一瞬深刻な顔をしたが、一転、笑いながら
「ううん、なんでもない。あ、リース君、あんたに任せたわ。」
と、言った。
(あたしは眠い・・・、リース君はリチャードにつけたほうが安全だわ、キースのとこに行くっていってるし・・・。)
(けど・・・、見張りが突然いなくなったのって・・・、キッシュの仕業?
そんなんじゃわたし1人でかないっこないし・・・。だからって、リチャードの足を引っ張りたくないし・・・。)



 
リチャード・ハードカースル

「そう……見張りだ! 僕が寝ている間に……どこに消えてしまったんだろう?」
そう言って腕を組み、首をかしげる。

エルティナ&リース<

それからふと思い出したように
「ティナちゃん、僕の所に戻ってきたのは、何か理由があるだろう?」

「……これからのことを考えようか。、僕はキースさんのところに行ってくる。ティナちゃん、それにリースくんはどうする?」



 
エルティナ・グリーン

きょとんとしながら起きあがったリチャードを見る。

リチャード<

「ほぇ?隙だらけ?」
疑問符を浮かべながらも一応に警戒する。
しばらくたってから思い出したように
「ねぇ、控え室の入り口にいた見張りの人はどこいったの?」
またきょとんとして聞いた。



 
リチャード・ハードカースル

(ああ、……静かにしてくれ。安眠妨害だ……)

・・・・・・
・・・・・・

エルティナ<

「……ティナちゃん!」
ふらふらと起き上がり、頭を支えつつ大剣をつかむ。
だが、精神でふらつきを押さえ込む。
「いったいどうしたんだ!?」
そう言ってあたりを見回す。
「巡回中のハズだったね。……僕は自分の身くらい守れる。
だから、それよりもキッシュを……今は、隙だらけじゃないか?」



 
エルティナ・グリーン

リチャードの気配以外人気のない控え室を見て、エルティナは
怪訝な顔をした。
(あれれぇ?私がいたときは見張りの人が二人いたはずだけど・・・)
エルティナは考えた。
(二人ともキッシュにやられたとか?リチャードがいるのに
それはないだろうなぁ、んじゃ、二人ともトイレに行ったとか。
なら、リチャード起こしていって欲しいよねぇ。
もしかして、リチャードって使えなかったりして、
うぅーん、戦ったとこみたことないから分からないなぁ。)
そのとき、エルティナはひらめいた。
(そっか、見張りの二人はキッシュとグルか本体なのか!
ということは・・・・、リチャードが危ない!!)

リチャード<

「リチャードぉぉぉぉぉぉ!!大丈夫ぅぅぅぅぅぅ!?」
と、周りに聞こえるように大声を上げ、眠気とリースはそっちのけで
仕切りの中へと飛びこんでいった。



 
エルティナ・グリーン
…AM12:00

エルティナは軽く頷いて、

リース<

「うん、控え室にいこ・・・。」
と眠そうに言って、控え室へと歩き出す



 
リース

エルティナ<

「あ、そういえばそうでしたね」
困った風に頭を掻いて、頷く。
「では、控え室に行きますか?」



 
エルティナ・グリーン
…AM12:00


エルティナもきょとんとした。

リース<

「言ったでしょぉ?私が眠くなったらリチャードを叩き起こすって。
リチャードが起きるとまずいことでもある?」
と、冗談半分に聞いた。



 
リース


エルティナ<

「え」
起こしに行く、という言葉にリースはきょとんとした。
「眠いというのは判るんですがー…
どうして、そこでリチャードさんを起こす事になるんでしょうか」



 
エルティナ・グリーン
…PM12:00


眠気がエルティナを襲ってくる。
(眠い・・・・眠いぞぉ〜)

リース<

「リースくん、眠い。」
リースに言ってもどうしようもないことを彼女は言って大きく欠伸した。
「ってことで、リチャードを起こしにいこっか?」
と、リースに言った。



 
GM


そうやってエルティナは扉の前でちょこちょことやっていたが、
中から声もせず音も立たない。やはり、家主はいないらしい。
状況が状況なだけに家主がいないというのも妙だと思ったが、
むしろこのような状況だからかもしれない。
少し空気が停滞してしまったからか寝不足がむくりと起き上がってくる。
身体を睡魔が包み込むようだ。

エルティナ:
状態異常…「睡魔」



 
エルティナ・グリーン
…AM12:00


(留守なのかなぁ?・・・)
エルティナは何気なく押したり引いたりして扉を開けてみようとする。


 
GM


静かな廊下に、扉の叩かれる硬い音が響いていく。
エルティナとリースは、暫く待った。
………。
…………。
返事が無い。
「……どうやら、お留守みたいですね」
リースが拍子抜けしたように呟いた。
「どうしましょうか」


 
エルティナ・グリーン
…AM12:00


(ここが・・・、屋敷のご主人の部屋・・・か)
エルティナは、その重厚な扉を目の当たりにして、ノックするのを
躊躇した。
(相当偉くて、気難しそうな人が入ってるって感じの扉だもんなぁ、
どうやって挨拶すればいいんだろう?)
 リースに目をやると困ったような顔をしてエルティナを見上げている。
(んー・・・リースくんもかなり緊張してるみたいだねぇ・・・)
彼女もかなり緊張していた。鼓動が早くなる・・・、どっくん、どっくん、
鼓動が聞こえてくる。彼女は大きく深呼吸をして心の中で祈った。
(どうか、怒られませんように・・・!)
意を決して目の前の扉をノックする。


 
GM


エルティナとリースは、家主の部屋がある二階へと向かった。
階段の入り口で、見張りの警備員が彼女達に挨拶を送る。
ついでに、彼等にリースの事を紹介しておいた。
これで彼が一人で動いても、警備員に怪しまれる事は無いだろう。

そして、家主の部屋らしいところまでやって来た。
なかなか重厚そうな扉だ。
リースが困ったようにエルティナを見上げている。
さて…、入るのならば、とりあえずノックだろうが…?



 
エルティナ・グリーン
…AM11:30


(屋敷のご主人・・・・?)
ここは空き家ではない、空き家など警備しても意味がないではないか。
当然、家には主人がいる。が、
(会ったことないような・・・・、どんな人なんだろ?)
彼女の興味心をそそる。

リース<

「そ。屋敷の主人に会ってみようよ、リース君を見たことないから、
キッシュと間違われないようにね。」

が、自分も会ったことない。それに、
(どこにいるんだろう?)
彼女はご主人がどこにいるのか分からなかった。
適当に歩けばばったり出会うかもしれない、警備している身だから
怪しまれることはないだろう。しかし、気になる人物がもう1人いる。

リース<

「ん〜、屋敷の主人の居場所がわからないから、私達のドン、
軍団長に会って居場所を聞こうよ。」

キースの居場所なら知っている。
エルティナは最初キースに会おうと思っていたが、
それは屋敷のご主人様に会うついでとなっていた。



 
リース


エルティナ<

「お偉いさん……、ですか?」
少年は少し身を縮めるようにして問い返す。
「この屋敷のご主人様のことでしょうか?」



 
エルティナ・グリーン
…AM11:30


エルティナはリースの目線に気がつく。

リース<

「ど・・・どうしよっかなぁ。それじゃぁさ、まずはここの一番のお偉いさんの
とこでも冷やかしにいこっか?」
と、言いかける。



 
GM
…AM11:30


そうやって、リチャード達一行は屋敷の中を進み、巡回をして行った。
途中怪しい事も無く順調に一巡し、彼等は元の場所へと戻ってくる。
「じゃあ、僕は休んでくるよ」
リチャードは控え室の前でそう言う。
「16時くらいにまた警備に戻るから、ティナちゃんはそれから、また休んでくれるかな」
そうして、彼は控え室の中へと消えていった。

「…」
リースが、これからどうしましょうか、とでも問うような視線をエルティナに向ける。
さて、リチャードが休んでいる間をどうするか…?



 
リチャード・ハードカースル
…AM9:15


(ははっ 確かに緊張しすぎてるかな……?)

エルティナ<

「そうだなあ……」

そういってリースの方を向くと、

リース<

「君はいつもそんな口調なのかな? 
普段通りに話してくれればそれでいいよ。 
あんまり丁寧すぎるのも人に失礼だってことはあるんだからね」

再びエルティナに向き合うと、

エルティナ<

「……これでいいかな? まあ、人には向き不向きがあるしね。強制はできないさ」



 
リース


エルティナ<

「え、あの、その、でも…」

言われ、戸惑って彼女の顔を見て、リチャードに視線を送る。



 
エルティナ・グリーン
…AM9:15


エルティナは腰を上げて腰をそらした。
「うぅぅぅぅ〜。」しばらく手に腰をあて、そらしながら左右に肩をゆらす。
その運動を止めた後、小走りにリチャード達の後を追う。
そして、リースに

リース<

「ん〜、緊張してるねぇ。私とリチャードにはタメ口にしない?
そうしようよ、ね。」
と、リースの頭を軽くなでてやる。
そして、リチャードへ

リチャード<

「いいよね?」
と聞いた。



 
リース


リチャード<

「あ、は、はいっ」
素直に頷いて、リチャードの背中についていく。

エルティナ<

「あの、よ、よろしくお願いします」
緊張が覚めやらぬ様子で、ぴょこんと頭を下げる。



 
リチャード・ハードカースル
…AM9:15


リチャードは、エルティナの言葉に苦笑すると、

エルティナ<

「分かった。5時間も寝れば十分だろうしね。お願いするよ。」

リース<

「じゃあ控え室まで行こうか。」

そう言って、歩き始めた。



 
エルティナ・グリーン
…AM9:15


(相手は魔術師だもん、1人で勝てないよ。だって、どう攻撃したって
かわされたら、魔術でどーんとやられちゃうからね。)
が、魔術には当然タイムラグがあるのだが・・・、その事をエルティナは
知らない。リチャードの言葉に一応に納得してから、

リチャード<

「あ、寝てないんだよね、リチャード。なら、早めに寝なよ。私は少し寝た
から、リチャードが寝てる間はリースくんは私が面倒みるよ、控え室まで
いっしょに行こ。でも!!私が眠くなったら叩き起こすからね!!」
と、軽く睨みをきかせて、
(もぉ〜・・・。魔術師ってやっかいだよねぇ〜、この依頼が終わったら
魔術を覚えよっと。)
と、心に誓った。



 
リチャード・ハードカースル
…AM9:15


エルティナに睨まれると、リチャードはほとほと困ってしまった。
(とはいっても寝てないんだ……どうしよう)

エルティナ<

「……分かった。僕は巡回をしてたから、その続きを一緒にいこう。
けど、君も僕も夜までには一眠りしたほうがいいと思う。リース君もキッシュに会いたいなら、夜起きていたほうが無難だしね。」

そこまで言って、リチャードは考えた。
(ティナちゃんの強さは、
1人じゃ不安……って感じじゃないんだよなあ……)



 
エルティナ・グリーン
…AM9:15


リース<

「んじゃ、リースくんって呼ぶよ。」
と、リースへ向き直りやさしく頭をなでてやる。
リースの頭をなでなでしながら、
「ここで話続けるのもなんだし・・・。建物の中でも散歩しよっか?」
と、リースに言って、

リチャード<

「リチャードもついてきてよね。」
とリチャードを軽く睨む。
(私一人じゃこの子守れないよぉ〜)
目線がそう訴えている。



 
リチャード・ハードカースル
…AM9:15


リチャードは、エルティナが不安そうな目線を彼に送っていることに気づいた。
(大丈夫だよ。)
と微笑みを返す。

リース<

「よし。じゃあリース君。これだけは約束してくれ。
1人で勝手に出歩かないこと、
なにかあったら大人の人を呼ぶことだ。……守れるね?」
そこまで言うと、少し頭をひねった。
(この子の部屋、どうしよう?)

エルティナ<

「ティナちゃん、僕はそろそろ眠ることにするよ……リース君は夜起きていたほうがいいかな? 
警備員に言って詰め所に寝台をもう1つ用意してもらうから……
ティナちゃんもあんまり寝てないだろう? 無理はしないでね。」
そういって大きくあくびをする。

(5〜6時間も寝れば十分かな。起きるのは昼の3時頃か……)



 
少年


リチャード&エルティナ<

「あ、僕は…リースといいます。
リース・イオロです」
言ってから、大人に囲まれて戸惑ったように俯く。



 
エルティナ・グリーン
…AM9:15


少年<

「あたしはエルティナ。呼び名はなんでもいいよぉ」
と、少年にできるだけ恐怖心を与えないように名乗った。
(この子がキッシュに会いたいねぇ・・・、
んー・・・、この子守れるかなぁ?)
キッシュと戦闘になることも否めない。そうなると一番戦闘歴が浅いで
あろう、少年が一番危険である。
(そのとき、私、この子、守れるかなぁ・・・・?)
と、不安になるのだ。不安な目線をリチャードへ送る。



 
リチャード・ハードカースル
…AM9:15


リチャードは少年に見つめられると、無言で警備員のほうに振り返る・

警備員<

「この子の責任は僕がとる。各自、持ち場にもどるんだ。」

少年<

「これでいいかな? ただし、絶対に僕かティナちゃんの近くにいるんだ。……っと」
リチャードは、近づいてくるエルティナに気づいた。

エルティナ<

「ティナちゃん! いきなりで悪いんだけど、この子、キッシュに会いたいらしいんだ。なんかほっとけなくて……僕らのそばにいれば大丈夫だと思うんだけど」

少年<

「あ、そういえばまだ君の名前を聞いてなかったな。僕はリチャードだ。君は?」



 
エルティナ・グリーン
…AM9:15


子ども・・・?あの子がキッシュ?)
(にしては、状況が変じゃないかなぁ?・・・)
実際、盗賊を捕まえる瞬間を見た事ないため、確信はもてないが・・・。
(普通、盗賊を捕まえて困る?)
どうみても、警備員の顔は困っている。
(迷子かなぁ?)
迷子が迷い込んで、助けを求めている・・・ようにも見える。
(ま、ほっとくのもなんだし)
と、リチャード達のほうへ歩み寄った。

リチャード<

「おはよぉー。その子誰?」
と疑問を投げかけ、少年の顔の高さに自分の顔がくるくらいまで、
腰を落として、微笑んだ。



 
少年


リチャードの質問に、考えるような素振りを見せてから、
ぽつりと、少年は口を開く。

リチャード<

「…母さんの形見なんです。
盗まれて、…でも、諦めなくて、探したんです。
人に聞いて、キッシュの事を聞いて、どうしても取り戻したくて…」
そして、と彼は言う。
「一週間くらい経ってから、枕元に戻っていたんです…、これが。
多分、キッシュが返しに来たと思うんですが…」
なぜ返してくれたのか。
その理由に対する答えを求め、少年はキッシュに会いたいと言う。
彼はもう一度、リチャードを見上げ、見つめた。



 
リチャード・ハードカースル
…AM9:15


(キッシュに盗まれた……?)
リチャードは真剣な目つきになった。だが、少年の言っていることはまだつじつまがあっていない。リチャードは、少年を優しく促した。

少年<

「続きを話してくれるかな? 
……その、1度盗まれた指輪が、なぜ君の手にあるか。君自身のこと、君自身の家のこと……」



 
GM
…9:15分


控え室を出て、
特に理由も目的も無く屋敷の中を歩いていたエルティナは、玄関口から見覚えのある姿が、見覚えの無い小柄な姿と共に入るのを見た。
(…おやぁ?)
十歳程度の少年と、リチャードだ。
その周りを、困ったような顔をした警備員二人が囲んでいる。
「はて…、どうしようか?」


 
エルティナ・グリーン
…9:00


(いざっていうときに疲れたら・・・・?)
エルティナはこの言葉がつっかかった。
(いざっていうときに疲れてて・・・、そんな状態で戦える?)
疑問がよぎる・・・、が。
(いざってときって・・・、いざってときっていつ来るの?)
(・・・分からないよね)
(だから、いざっていうときがきて、私が寝てたら話にならないから、今は
動の時だよ、それに散歩なら疲れないし)
と、自分自身に言い聞かせる。
(眠くなったら戻ってこよっと)
そこまで仕切りから頭をだしたまま考えて、ひょいっと小ステップ
して、全身を仕切りの外へ出す。

エルティナ<

「んじゃ、そこらへん見回ってきまぁす!」と、右手を額にあて敬礼のポーズにこやかにとり、
回れ右をして小ステップしながら控え室を後にした。



 
少年


優しそうなリチャードの声に、救いが来たとでもいうように顔を上げる。
何故キッシュに会いたい? その言葉に僅かに表情を曇らせ口ごもる。

リチャード<

「僕は…、僕は、キッシュに入られた事があるんです。
それで…」
そして、彼が指に嵌めていた指輪を抜いて、リチャードに示した。
「これを、盗まれたんです」
深い緑色を映した、小さな指輪だった。
金属の部分に刻まれた彫刻は、端から見るとただの模様でしかないが、目を凝らして調べると大地の女神を模してあることが判るだろう。その細やかな仕事から、芸術品としての価値も素晴らしいものと知れる。
キッシュでなくとも、見つけたら盗んででも手に入れたいと思う代物ではないだろうか?
しかしその盗まれたと言う指輪を、
少年は何故今も手にしているのだろうか?



 
リチャード・ハードカースル
…AM9:00


リチャードは一瞬だけ少年を見つめた。そして、目をそらすと、悩ましげに額に手をあてる。
(……どうしようか)
(子供だし、大丈夫だよ)
(でも、もしもこの子がキッシュだったら?)
(疑うのかい?)
(そんな、ただ僕は……)
(この子の想いも知らずに、追い払うの?)

少年<

「……君はなぜキッシュに会いたいんだい?」

考えていたのは、それもまたほんの一瞬だった。
すぐに顔をあげると、まっすぐに少年の瞳をみつめた。



 
警備員


エルティナ<

「いや、一晩中起きて見張っていたんだろう?
そう無理してくれることはないぜ?」
「特にどこが手薄でもないしな…」
二人がそう言い合ったとき、控え室の扉が開かれる。
交代だ、と言いながら、
早朝から見回っていた警備員二人が入ってきた。
「おっと、交代か。
…じゃあ、お嬢さん、そういうことだ。
いざと言う時に疲れていても困るから休んでもらっていたいところだが…
眠れないんだったら、そこらへんでも散歩してきたらどうだい?」



 
エルティナ・グリーン
…9:00


(異常なし・・・か)とエルティナはため息をついて、

警備員<

「ううん、大丈夫。どうせそんなに寝ようとは思ってなかったし」

気分はそれほど悪くない。気持ちの良い朝とまではいかないけど。
仕切りから頭だけ出す格好で彼女は警備員達に微笑んだ。

「・・・・、どこみてこよっか?」
と、少し真顔になって聞いた。



 
警備員


「うん? ああ、起きたのかい」
「まだ特に異常は無いらしいな」
仕切りを挟んで、警備員達からの応答がエルティナに届く。

エルティナ<

「起こしちまったかな?」



 
エルティナ・グリーン
…9:00


「んー・・・・」
(すこし寝てたみたいだけど・・・、ずーっと起きてた感覚。なんか変だ)
エルティナはゆっくりと上半身だけ起こした。
仕切りを挟んだ向こう側で警備員が雑談している。
その他にはなにも異常はないようだ。
(油断・・・か、いままでの私って油断してたみたい)
と、苦笑して寝台から降りる。

警備員<

「異常無い?」
と仕切りを隔てて聞いてみながら、彼女は荷物の確認をした。

このように、同じシナリオ内でも行動している場所が、
それぞれ異なるような事がありますが、
今は特に区別はしません。
普通に連続して表示しています。
もし混乱があるようなら、その旨を伝えてください。
特に問題が無いようならこのままでやっていこうと思います。



 
少年


「ぼくはキッシュに会って見たいだけです!」
少年は、自分をつまみ出そうとする警備員たちに、切実な表情でそう訴えていた。

リチャード<

追い出されるまいと暴れていた少年は、自分の元へ近付いてくるリチャードをみて、助けを求めるように声を上げた。
「ここに、あのキッシュが現れるんでしょうっ?
ぼくはあの人に会って見たいんです!」



 
GM
…9:00


とりあえず屋敷を一巡りしようと、リチャードは歩いていた。
地下一階の倉庫を見て、二階の書庫を見て…と、最重要の警備目的のある場所を調べて回る。彼の見た限り、妖しい所は何もなく、配備されている警備員達の士気も十分のようだ。
一通り見て回って、そして玄関の所まで来たリチャードは、物珍しそうな目で周囲を見回している少年が、屋敷の入り口辺りをうろついているのを硝子越しに見た。
「…?」
割と上品そうな服装をした栗毛の少年で、利発そうな眼差しをしている。
それが、門扉を抜けて、屋敷の扉に至る石畳の上を歩き回っていた。
そこへ、庭から表口へと回ってきた見回りの警備員が二人やってきて、彼を発見する。見知らぬ少年に当惑しながら、彼等は少年を屋敷の外に出そうとしているようだ。
興味を覚えて、リチャードは扉を開けて外へと出た。
石段を降りて、少年と警備員二人の元へと歩を進める。


 
リチャード・ハードカースル
…AM8:45


キース<

「――それで、何かあったのかな? 
新しく名案でも浮かんだとか…」 
そういって自嘲気味に笑うキース。
(……キースさん、相当思いつめてるな。なんとかしてあげたいけど、とっさに名案なんて思いつかないしな……)
「いえ、そういう訳じゃないんです。ただ、もう一巡りしてから睡眠をとろうと思いまして。キースさんに報告に来ました。」
「……長引けば士気に影響しそうです。そうですね、昼前にでもみなを集めて激励したらどうでしょう? 
上がり階段の前で行えば警備にもあまり影響は出ないはずです。」
そう明るく言うと、
「……じゃあ僕はこれで。さっき言ったとおり、
もう一巡りしてから寝るとします。」
と言って席を立った。



 
警備隊長キース


警備隊本部の部屋に、キースは一人考えに沈んでいた。
(今回の作戦でキッシュを捕えるか、せめて奴が二度と活動出来ないようにするか…顔を暴くか、盗みが出来ないように、それこそ魔法でもなんでも使って枷を嵌めるか…出来なければ、それが潮時か。
一連の責任を取る為にも、俺は、警備隊を辞めなければなるまい)
思いつめた表情で思索を巡らせて、キースは深く溜息を吐いた。
「彼等に賭けるしかない、彼等に賭けるしか…」
呟きが壁に吸い込まれた時、扉がノックされる音が部屋に響いた。
「キースさん? リチャードです」

リチャード<

部屋を訪れたリチャードを中に入れて、キースはテーブルを挟んで、柔らかなソファーに向かい合わせに座った。
「夜番が終わった所なのか。すまないな、疲れているだろうに…
――それで、何かあったのかな?
新しく名案でも浮かんだとか…」
訊いてから、(…焦っているな、俺は)と自嘲の笑みを浮かべる。



 
リチャード・ハードカースル

(うん、先にキースさんのところに行こう。それから見回りだ)

キースの部屋の前に着くと、軽くノックをする。

キース<

「キースさん? リチャードです」



 
GM
…AM:8:30


控え室を出て行くリチャードの後姿を、幾人かの警備員が見送った。
リチャードは廊下に出て、どこから行こうかと考える。
(ええと…)
盗まれそうな可能性がある物が置いてある場所。
高価な芸術品などは、まとめて屋敷の倉庫に保存してある。
金貨や宝石などは、家主が嫌がったので、家主の自室に置いてある大金庫に。
他には、古い本や巻物など、金銭的な価値はともかく、文化的な意味合いを持つ代物もあり、これは整理も出来ないままに屋敷の書斎に詰め込まれているらしい。
倉庫は地下に、家主の部屋は二階、書斎も同じく二階にある。
警備隊の控え室は一階の客室に作られており、それぞれの保存場所には走って一分も掛からない。
キース隊長が詰めているのは、一階にある客間の一つで、控え室からは四部屋ばかり離れている。そこで指揮を取っているのだ。
キッシュは、芸術品であろうと金貨であろうと、こだわり無く持ち去っていくようだから、どれに対する警戒も怠ってはならない…。
「どこから調べようか…」
キースに会って見てからでも良いか、とも思うが…。

エルティナは控え室の寝台の上で、安らかに眠りに就いていた。
仕切りを挟んで、待機中の警備員達が雑談に興じている。
「今日あたり、来るかな」
「どうだろうな? ここまで厳重に警戒しているんだ。
キッシュも易々とは忍び込めないんじゃないか」
「さて…、油断は禁物だぜ」
「そうかぁ? キース隊長も言っていたじゃないか、
奴が現れたらその時が、奴の年貢の納め時だなんてな」
「けどなぁ…」
「何だ、根性の座っていない奴だな」
ふわふわと眠りの淵を漂っていながらも、
彼らの話は耳から入り込んでくる。



 
リチャード・ハードカースル


(確かにティナちゃんの言う通りだ。警備員でもすべて疑う必要がある……こういうの、苦手だな……)
(それに、考えてみれば僕らが眠っている間が最大のチャンスだ……
内情くらいは知っているはずだし……)

エルティナ<

「分かった。気をつけるよ。……おやすみ。」

警備員<

「じゃあ行ってくるよ。すぐに戻るけどね。」

そう言って、警備員の肩を叩いて歩き出す。
(合言葉を個別につくるなり、
変装対策をキチンとつくるべきだったか……)
(確かにキッシュは詰め所に待機していれば、
僕たちが寝る時間が分かる。
そうすると、……はは、考えたくない話だな。戻ってきた時に、彼がまたここにいないことを祈ろう。)



 
エルティナ・グリーン


警備員<

「うん、私はぁ、眠いぃぃー・・・リチャードはぁ?」
と、眠たげな目線をリチャードに送る。

ALL<

「けどさぁ、昼間に襲ってくることってないわけぇ?
警備員に化ければ簡単じゃないぃ?」
と言いつつも、

ALL<

「私は眠いぃぃぃぃ」
と言い残して控え室に姿を消した。



 
リチャード・ハードカースル


(あれから3日。そろそろ来てもいい頃だな……)

エルティナ<

「僕は……念の為にもう一巡りでもするつもりけど、
ティナちゃんはどうする?」



 
GM


ある富豪の屋敷を手配し、警備隊の動かせる最大の人員を配備する。
そして「幾らあのキッシュといえども、この屋敷に盗みに入ることは出来ないだろう」という噂をばら撒いてから三日後…
寝ずの番を行っていたリチャードとエルティナは、昼間になったので睡眠を取る為に控え室へと訪れた。
「ご苦労様」
既に顔見知りになった警備員が二人に声を掛ける。
「異常は…、無かったみたいだな。
今日はこれで休むのかい?」