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〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

騎士王国シルヴァード:
大陸の東部、バーナード地方の列国、最強の国。
剣王ハルッサムによる安定した統治を受け、現在が史上の全盛期と言われている。

竜追いギルド「鷲の止まり木亭」 二階:
投稿(件名…S・竜追いギルド宿)
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GM

 そして、夜が明ける。

 
シエラ・バゼラード

霧雨<

「いえ、今日は気が楽になりました。おやすみなさい」
 霧雨がいなくなり、再びシエラは一人になった。しばらく緑茶を啜っていたがそれも無くなった。シエラはマグカップをテーブルに置くとベットの近くにある灯り以外、全て消してベットに潜った。
(楽しかった・・・のかな?)
 霧雨と過ごした時間は楽しかった。遊んでいたわけでもないのに、時間を忘れていた。
(こんな経験は・・・どれくらいぶりかな・・・)
 エルフの村での生活ではまず有り得ないことだった。誰からも白い目で見られ、避けられる。そしてあの日を境に彼らはシエラを殺そうとしたのだ。シエラは首を振ると違う場面を思い出した。そこはこじんまりとした部屋になっていて、何故か扉が無い。シエラはベットで寝ていた。ベット以外には机しかない殺風景な部屋。ベットの横にはもう一人、女が座っていた。その女はこの家に住んでいるわけではないが、何故か毎日現れた。口実は「遊びに来た」だの「様子を見にきた」だの「近くを通りかかった」だの・・・。女は外見でシエラくらい、シエラはエルフなため、シエラよりかなり年下になる。人間の年齢でいえば10代後半くらいの少女だった。少女は喜怒哀楽が激しく、時には喧嘩したり、時には笑いあったりする、シエラにとっては初めての親友だった。
(今ごろどうしてるかな・・・)
 思い出に耽っているとシエラに睡魔が襲いかかる。睡魔に襲われる一瞬、彼女は祈った。
(明日のココアは美味しいココアでありますように!!)
 祈り終わると、シエラは睡魔に飲みこまれた。



 
紫堂霧雨

シエラ<

「ん…そうだな」
 自分のマグカップだけを持ってすくっと立ち上がる。
「すまない、随分と長く邪魔してしまった…」
 部屋から出ていこうと扉を開け、出ていく際シエラに振り向く。
「おやすみ…」
 夜の挨拶を言い終えると、そそくさと扉を閉めた。

 自分の部屋に戻った霧雨はマグカップをテーブルの上に置いて、ベッドにドサっと倒れる。
(今日は…疲れた…)
 倒れたまま、動くことなく意識を失った。
 部屋には、寝息というものがほとんど聞こえぬまま、深夜を迎える。



 
シエラ・バゼラード

霧雨<

 霧雨の安心したような表情を見ながらシエラは緑茶を一口飲んだ。ぷはー・・・と酒でも飲んでいるかのようにため息をついた。
「おいしいですねぇ、緑茶」
 相当気に入ったようだ、声にまでどこか酔いが混ざっている。
「あー、ココア」
 霧雨がココアを飲んでみたいと呟いたことで、シエラにココアの記憶を蘇らせた。そして、シエラは急激にココアが飲みたくなった。
(ココア・・・ココア・・・、明日の朝はモーニングココアで決まりです)
 本当は今からでもココアを飲みに行きたかったが、すでに夜で、オッシュにも迷惑がかかるだろう。それに今は霧雨が煎れてくれた緑茶がある。今日は緑茶を体験して、シエラにとっては十分な夜になった。
「それでは、そろそろ寝ましょう。緑茶のおかげで今日はぐっすり眠れそうです。」



 
紫堂霧雨

シエラ<

 霧雨は、シエラのおいしいというお茶の感想を聞いて安心したような顔をする。
 初めて飲むということで、受け入れてくれるか不安を感じていたようだ。

「そうか、チョコレートか。」
 ココアの正体を掴むことができ、すっきりしたのか霧雨は掌の上に握り拳をポンっと置く。
 シエラの説明にあったカカオという物は名前は知っていたが、シエラと同じく見たことが無かった。
「飲んでみたいな…ココア…」
 こう見えて、霧雨は甘い物が好きであった。
 酒場でココアを見た時からあの甘い匂いには興味が沸いていた。
 シエラの説明を聞き、今度は味わいたいという欲求に変わったのだ。
(よし、明日飲もう…)
 何かを決意したようにググッと陰で握り拳。



 
シエラ・バゼラード

霧雨<

「渋みを楽しむお茶なのですか・・・、なるほどぉ」
 霧雨の説明で納得したシエラは、霧雨に習い緑茶を啜ってみる。口の中で渋みが広がるが、単に苦味ではなく、甘味もほのかに感じられる。それらの共演の後は心地よい爽快感が残った。
「おいしいです。」
 シエラは微笑んだ。
 しばらくして霧雨が追加説明をした。
(お茶の葉が湯面に立つ・・・。)
 シエラが想像したのは緑茶から生えてきたように立っている緑色の葉っぱだった。
(・・・、その葉っぱって・・・)
 疑問に思ったシエラは霧雨に聞こうとしたが逆に聞かれてしまう。どうやら先ほどシエラが飲んでいたココアに興味を持ったらしい。シエラはきょとんと聞き返した。
「ここあ・・・ですか?」
 一瞬間があく。シエラの頭の中は緑茶モードからココアモードに切り替わる。
「あぁ、ココアです。味はチョコレートに似てます。確か・・・カカオが原料って聞きました。味は甘いです。でも身体には良いですし、緑茶と同じく心が落ち着きます。冷たいのと暖かいのがあるのですが、私は暖かいのが好きですね。」
 そういうシエラであったが、ココアの製法が分からず、カカオを見たことが無い。



 
紫堂霧雨

シエラ<

 シエラの質問に、窓からシエラへと視線を移す。
(知らないのか…この地では珍しいのか?)
「これは緑茶だ…茶の若葉を蒸し、乾燥させた物だ…味は渋みがあってな…落ち着くぞ」
 自分の持っているカップに注がれている茶を見ながら淡々と説明した。
 説明終えたと共に、茶を一口飲む。
「……良い茶だな…」
 関心したように呟き、シエラを見て説明を付け加えた。
「茶を入れた時に、葉が湯面に立っていると縁起が良いんだ…」
 だが、すぐ視線を落とす。
「見たことは無いがな…」
 フッ、と諦めたような投げやりに鼻で笑う。
「そういえば…」
 何かを思いだしたように顔を上げる。
「シエラが飲んでいた…あの茶色の湯…確かここあと言ったか…?あれはどんな物なんだ…?」



 
GM

 ちなみに、この世界では緑茶も紅茶も一般的にあります。
 多分、シエラさんが偶然、あまり見たことがなかったのでしょう(笑)


 霧雨さんの知力で判定した結果、お茶はA〜EでBランクのできばえでした。

 
シエラ・バゼラード

霧雨<

「ほんとは、氷を入れた桶の中に水を入れて、そこに手を入れると良いのですが・・・」
シエラは申し訳なさそうな顔をしていた。しばらくすると霧雨が手を引っ込めたので、自分の手をテーブルの上で組む。
「いえ、そんな・・・」
真正面に見つめられてお礼を言われると、シエラも少し照れてしまい、思わず顔が俯いた。ふとマグカップを見ると緑色の液体が入っている。
「・・・? これがお茶なんですか?」
お茶といえば紅茶という思考のシエラは、緑茶というものを見たのは初めてだ。
「・・・、緑色ですね。緑色のお茶は、はじめて見ました。なんていう名前なんですか?」
緑茶に興味を示していたシエラはマグカップを手に取り、何かを試すようにマグカップを軽く揺らしている。
(濃さは紅茶と同じくらい・・・、砂糖とかミルクは入れないのかな?)



 
紫堂霧雨

シエラ<

「ん…あ、あぁ、大丈夫だ……」
 歯切れの悪い返事をする。
 照れているのか、霧雨の顔は少し赤く、動揺を見せていた。
 やがて、もう心配ない、と自分の手を引っ込め、ほんの少しの間、その手を眺めた。
 シエラに顔を向き直ると真っ直ぐ向いて呟く。
「…ありがとう」
 礼を言い終えるとまるで動揺を隠すかのように、そそくさと茶を入れていく。
 トポトポトポトポ…。
 カップ二つに緑茶が入れられ、一つをテーブルのシエラに近い場所に置く。
 もう一つは、火傷でない手で霧雨が持つ。
 冷静さを取り戻したのか、いつもの無愛想な表情へと戻っていた。
「茶を入れるのを慣れてないのでな…味の保証は無い…」
言い訳をしながら、カーテンの閉まっている窓を見ていた。



 
シエラ・バゼラード

霧雨<

「はい」
 霧雨が完全に部屋に入ると、シエラは扉をしめた。鍵はかけないで。霧雨を見るとすでにお茶の準備に入っていた。手近にあった椅子に腰掛けてお茶を見つめる。少し気分が楽になり、小さく伸びをしていた。そのとき舌打ちが聞こえた。霧雨を見ると少し顔を顰めている。
「だ・・・だっだいじょぶですかぁ?」
 状況を悟ったシエラは辺りを見まわした。
(氷、氷、氷はぁぁぁ・・・えーと・・・)
 氷が見当たらない。始めてのフロストセイバーでもやって氷を作ろうとも考えたが、敵のいない室内では危険過ぎるし、外には出たくない。だが、霧雨の火傷を放っておくことはシエラにはできなかった。
「大丈夫ですか?」
 できるだけ優しく聞こえるように呟やいて霧雨にお茶を置かせるような形で、お湯が跳ねた手を両手で包む。
「あいにく、私の手はそんなに冷えてなくて・・・。その・・・、癒す必要はありますか?」
 顔はすごく真剣だ。とても馬鹿にしてるようには見えない。



 
紫堂霧雨

シエラ<

 霧雨はシエラの返事に少し驚いた。
 だが、すぐにいつもの調子に戻り、微笑を浮かべる。
「では…お邪魔させてもらう……」 
 シエラの部屋へと足を進めた。

 部屋に入るなり、部屋備え付けのテーブルに茶道具を置き、早速茶の準備をし始めた。
 ティーポットに慣れていないのか、どこかぎこちない手つきで茶を入れる。
「ちっ……」
お湯が指にはねた。



 
シエラ・バゼラード

霧雨<

 シエラは首を横に振った。
「まだ寝てないです、ただあくびをしただけです。」
 少しむきになっているようだ。早口気味で続ける。
「お茶、いただきます。だから・・・」
 そこで言葉が途切れる。何故か焦っていたシエラは扉を全開にした。出掛かった言葉をぐっと堪えて、言葉をすり返る。
「入ってください。」



 
紫堂霧雨

 霧雨の手にはティーポット、カップが二つ、茶筒が乗っているおぼんがあった。
「茶だ…ここの主人に借りてきたんだが……」
 シエラの眠たそうな顔を見て、言葉を止める。
(もう寝ていたか…悪いことをしてしまった)
「どうやら邪魔をしてしまったようだな…」
 すまなそうな顔をし、引き返そうとする。
「睡眠中すまなかったな…」

 
シエラ・バゼラード

(霧雨・・・さん?)
霧雨と会うことにシエラは躊躇いがあった。いままで夜泣きしていたことを霧雨にばれてしまうのではないか・・・。
(いいや・・・どうでも・・・、どっちみち扉を開けないと失礼なんだし・・・)
 考えることが面倒になったシエラはベットから立ちあがると、ふらふらと霧雨の待つ扉へと向かった。

霧雨<

 少し警戒しながら、扉を少し開ける。眠たそうに見えるように目をこすりながら霧雨を見上げる。
「それ、なんですか・・・?」
 茶道具を指差しながらシエラは尋ねた。

HP +5 63/63
MP +2 71/71



 
紫堂霧雨

 他の部屋へ入る音が霧雨の耳に入った。
(………シエラか?)
 シエラが部屋に入ったと思い、自分の部屋出てシエラの部屋へと向かった。

シエラ<

コン、コン。
片手に、階下のオッシュから借り受けた茶道具を持ち、シエラの部屋をノックする。
「霧雨だ…茶でも飲まないか…?」



 
シエラ・バゼラード

 シエラは泣きながら、ある記憶を辿っていた。そこには、幼い自分が裸で泣いていた。背後には古びた井戸があり、灯りを持った村人が古井戸と自分を取り囲んでいる。村人達は自分を奇異し恐れるような眼差しでこちらを睨んでいる。しばらくすると、村人たちの人垣が割れ、村長を思わせる老人が現れた。その老人はこちらを見てなにか叫んだ。すると、自分を取り囲んでいた村人達が騒ぎながら四方八方に散っていく・・・・。

 シエラは顔を上げ、涙を手で拭った。闇夜に目が慣れたのか少し視界が明るく感じる。目を凝らし、半ば手探りで灯りをつけベットに座った。

HP +11 58/63
MP +12 69/71



 
シエラ・バゼラード

 宿に入ると荷物を適当な場所に置き、窓から外を見る。星空に青白い満月が浮いていた。
(満月・・・)
 ぶつぶつ呪文のようなものを呟きながら窓をカーテンで閉めた。月光が入らなくなり闇が部屋を包む。灯りもつけず、床にぺたんと膝を抱えて座りこんだ。
(・・・・)
 数分もしないうちに、シエラの肩が震え始める。

HP +9 47/63
MP +15 57/71



 
GM

 経過の記述はしていませんでしたが、霧雨さんの能力値は全快しました(笑)

 
紫堂霧雨

 部屋に着くなり、霧雨は荷物を床に置き、ベッドへ腰を落ち付ける。
 ふぅ、と小さいため息を吐き、今日の出来事を思い返す。
(ジョードヌから漂流して数日が経ったか…)
 昔の事でも思い返しているのか、遠い目をして窓から月を眺めていた。

HP +12 42/65
MP +13 60/61



 
GM

鷲の止まり木亭の宿の一室。
空にはぽっかりと、雲に霞んだ月が浮かんでいる。

(ここで経過した時間に応じて、HP、MPなどが回復します。
 その間、どんな投稿や行動をなさっていても結構です。(宿から出なければ(笑))
 宿から抜ける場合は「寝る」とでも記述してくださいv