十年の長きに渡って繰り広げられた“大陸戦争”の当初に建てられてそれを生き抜き、“サイーディア討伐戦”、また、“魔物掃討作戦”の激戦を生き延びた歴戦の城塞。 岩山の上に石造りされたこの建物は華美でなく、しかし質素に過ぎず、そして戦略上の合理性と生活のふたつを追求して改築が繰り返された大規模の王城で、その威容は北の大地まで伝わっている。 先代である正義王アールス、そして当代の剣王ハルッサムとともに様々な逸話を残したこの人の身ならぬ老兵は、今は平和な暮らしを営んでいるように見える。 ハルッサムと故王妃との双子は若輩ながらも、兄のシーザーは剣に、妹のリィジィーは魔術に才を見せており、ともに将来を嘱望されている。 この王家は民に絶大な人気を誇り、その治世は安定し揺るがない。 正門 三つの区画(郭)からなる城の、一番外側(第三郭)にある、東側の城門。 城を取り囲んでいる堀には大きく頑丈な橋が掛けられており、これは日暮れから夜明けまでは跳ね上げられている。 北側は城庭で小さな泉があり、南側には王族専用の墓所と、木立がある。西側には見張り塔の他には何もない。 なお、第一郭と第二郭はまとめて“大牙の塔”と呼ばれる。 |
正門 | |
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詰め所 |
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城庭 | |
北門 |
GM |
一行は、大牙の塔に移動しました。 |
イーディス |
サーラ< 「じゃ、行きましょうか」 |
アルマ |
サーラ< 「なってしまうのではないでしょうか?」 事も無げに応じる。笑って、 「ですが、私の師の場合には、のっぴきならない事態に陥ったという話は聴きません。おそらく、魔術師たるもの、常に知恵を研ぎ澄ましておいて、そういった揉め事からも抜け出せるようでなければならないということなのでしょう」 |
サーラ |
アルマ< 「ほう?部署が違うと方針も大分違うようだな。 しかし気の短い者が相手の場合、揉め事にはならないのだろうか?」 おもしろそうに目を細めている。 アイスバーグ< 思いのほか真剣な表情で、少年に向き直る。 「それでも、これまでにその『気配』を感じているのはおまえだけだ。 アルマ殿が専門家なのはもちろんだが、私はおまえが二番手だとは思っていないぞ。」 そう言った後、目を細めるようにして笑ってみせた。 「まあ、相手がなんであろうと、気合負けだけはしないことだ。 気合だけでは勝てないが、最初から負ける気で相手をしても、ろくなことがないからな。」 アイスバーグの視線を追うようにして沈む夕日に目をやると、軽く頷く。 「そうだな、そろそろ移動しようか。」 イーディス< 腕力が通用すれば・・・と言う言葉に深く頷く。 「全くだ。それなら、殴り倒して引きずりだしてやれるんだが。 そのあたりはアルマ殿の援護を受けながら、ということになるのだろうな。」 魔法をかけてもらった武器でなら亡霊の類にも攻撃ができるらしいと、先ほど聞いた説明を付け加える。 |
イーディス |
アルマ< 「待たされる方からしたら、たまった話じゃないっすね」 アルマの導師の話を聞いて、ちょっと嫌そうな顔をする。 サーラ< 「あたしはいつでも準備はできてますよ。 腕力が通用する相手ならいいんですけどね」 |
アイスバーグ |
アルマに向かって一礼し、沈んでいく夕日に目を向ける。 サーラ< 「隊長、私は二番手に過ぎないのではないでしょうか」 サーラから教えてくれなどといわれて、少しばかりはにかんだ顔をする。 「こういったことの専門家はアルマ様ですし、実際に何かが現れたときに、私はあまり役に立てるようには思えません」 心なしか姿勢を正して答える。 「……とりあえず、第二門まで参りましょうか?」 |
アルマ |
サーラ< 「なるほど、確かに、そのようです。女性としては騎士様にはむしろ待って頂く方が礼儀に適っているのですね」 冗談に応じて、真摯に頷く。 「ところで、魔導師には、人と会うときにはまず、待たせるようにするという習いがあるようです。わたしの導師だけに限った話なのかも知れませんけれど」 にこりとする。 |
サーラ |
アルマ< 「いや、時間通りだ。お気遣いなくアルマ殿。」 屈託のない笑みと表情で魔術師を迎える。 その後、金色の目を悪戯っぽく光らせて付け加えた。 「それに騎士たるもの、女性を待たせるわけにはいかないからな。 私がこの場に先にいるのは当たり前だ。」 笑いかけた後、オレンジ色から紫へと変わろうとする空を見つめ、もう一度魔術師へと視線を移す。 「そろそろ日が落ちるが・・・今日もその気配の主は出るのかな?」 問いかけるというよりそれを期待するような口調でそう言った。 アイスバーグ< 傍らの少年に視線を移すと、にやりと笑う。 「出番だぞアイスバーグ。何か出てきたら教えてくれ。」 |
GM |
サーラたちは大牙の城の正門へとやってきた。 もうすぐ完全に日が落ち、閉門が行われるはずだ。 城内へ入ってきていた民間人もそのほとんどが町へ帰っている。 間もなく、というところで、馬に乗った人物が城門前までやってきた。 「申し訳ありません、サーラ様。遅くなりました」 馬から下りたアルマが、サーラに一礼する。 「思いがけず、用件が長引いてしまいました。お待たせしてしまいました」 |