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〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

サノット共和国
ラームナードで唯一、議会制の共和政をとる国。
稀有な体制のそれはまだ未熟だが、国民は誇りを持って国を動かそうとしている。

:サノット共和国 星屑亭:
 闘技場のすぐ側に店を構える大宿屋。
 国の援助を受けており、最大で百人を収容できるという広さだ。
 三階建ての建物で、一階には大食堂と大浴場などがある。
 食堂は泊り客でなくても利用でき、味もいいと評判だ。
 経営者は最近代替わりしたらしく、若いエルフの女性シーンが取り仕切っている。
 なかなかの美人で評判もいいのだが、本人は満足していないようだ。
 元々冒険者だったのが、父親の泣き落としに屈して仕方無しに引退してしまったそうである。

 今日も今日とて星屑亭は大忙し。
 シーンは癖のある従業員や、怪しい経理担当相手に四苦八苦しながら宿を運営している。
 シーンの叱咤に、薄らぼんやりとした人間の従業員がのろのろとテーブルの間を這って回る。
 ため息がもれる。今日も今日とてシーンは七転八倒の時間を送る。

「……誰か、私をもう一度冒険に連れて行ってくれないかな」

投稿(件名…サノット共和国 星屑亭)
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店長シーン


レディ=アマンダ<

「それでは、そうしましょう」
では準備をしてきます。といって席を離れる。
とりあえずの後任を決めなければならない。
アマンダが料理に舌鼓を打っている間、彼女は奥で現役時代に使用していた道具を取り出していた。

以後、舞台は竜追いギルドに移ります。



 
レディ=アマンダ=ローレンス


シーン<

「お仕事かあ…」
どうせならやるなら楽しい仕事がいい。
でも、そんな都合良く仕事が転がっているだろうか。
そういえばここに来る途中、ギルドを見かけたような気がする。
「じゃあ、ギルドに行ってみようよ!
なにかお仕事みつかるかもしれないよ」

しばらくして、目の前に注文した「仔牛のステーキ お好みソースがけ」が運ばれてきた。
(待ってました!)
シーンと話していて忘れかけていたが、アマンダは星屑亭の人気メニュー仔牛のステーキを食べるのが目的だった。
おいしそうな匂いが漂ってきて、食欲がわいてきた。
(ソースはどうしようかな?)
ちょっと迷った末、アマンダは和風ソースを選んだ。
「ちょっと待っててね。
ギルドに行く前に腹ごしらえの時間」
アマンダはナイフとフォークを持ち一口食べてみた。
そしてじっくり味わうように、また一口食べる。
「おいしーい!!」
今まで食べたことのないような味にアマンダは感動の声をあげた。



 
店長シーン


レディ=アマンダ<

シーンは、述べられたアマンダの言葉に暫くきょとんとしていた。
そして、じっと自分を見つめている彼女を見返して、ふっと透明な笑顔を浮かべる。
「ありがとうございます」
確かに、それもいいかもしれない。
シーンは思った。
「そうすると、仕事を見つけないといけませんね。
…都合よく、いい仕事が転がっていればいいんですが」
どうします?
と、アマンダに告げる。



 
レディ=アマンダ=ローレンス


店長シーン<

「ううん、全然つまんない話じゃないよー!」
アマンダはぶんぶん首を横に振って否定した。
「それにね、仲間がいないんだったら、わたしが仲間になってあげる!
まあ、戦力にはならないと思うけど、足引っ張らないように頑張るし、お姉さんの気持ちの整理がつくまで、とことん付き合うから」
ねぇ、いいでしょう? とアマンダは首を傾げ、目をキラキラ潤ませた。
この手はアマンダが何かをねだりたいときによく使う。
小さいころからお嬢さまとして育てられてきたアマンダは、人に媚びるという行為はあまり好きではない。
こういうときは相手の目を見てしっかりと自分の意志を伝えた方がよいということを知っている。
「お姉さんが冒険に出てる間、お店は、代理の店長をたてて、その人に任せればいいと思うよ。
そしたら、お姉さんは安心して旅に出られるでしょう?」
ねぇ、いい案でしょう? とアマンダはシーンに同意を求めた。



 
店長シーン


レディ=アマンダ<

「ええ…
冒険者を引退して店主となること自体は大丈夫なんです。
小さい頃からこの店は見てきましたし、働くことも好きですから。
…でも、そうですね。
冒険者を辞めるということ、その現実が急に目の前に現れたから、心の整理というものがついていないんですね、まだ。
また明日からも冒険をするという気持ちのまま、
辞めることになりましたから。
後悔はしていません。
ただ…、もう一度冒険に行きたいとは思うんです。
そうすれば、この葛藤は消えてしまうと思います。
――けど、もう、仲間はいませんし。
冒険に出ようにも出られないんですけどね」
やや自嘲気味に微笑み、「つまらないお話をしましたね」と言った。



 
レディ=アマンダ=ローレンス


店長シーン<

「ふぅ〜ん、お店を継ぐために冒険者をやめちゃったんだ」
さっきまで明るく笑っていたシーンの顔が急に悲しそうな表情になったのを見て、アマンダは何か複雑な事情があるのではないかと見て取った。
(それにしても、冒険者をやめちゃうなんてもったいない話だなあ)
ときどきホームシックなることはあっても、アマンダは毎日が新しい発見の連続でとても楽しい。
親の跡を継いで、うっかり商人にならないで良かったとアマンダは思っている。
それくらいアマンダは旅をしていられることに幸せを感じているのだ。
「お姉さんは冒険者やめちゃったことに後悔してないの?
なんだか、ひどく悩んでいるみたいだし…。
何か気分がすっきりしない理由があるんじゃないのかな?
よかったらわたしに話してみてよ」
悩んでいるときは人に話してみるとすっきりすると思うよ、
とアマンダは言った。



 
店長シーン


レディ=アマンダ<

「そうですね…」
物憂げに首を傾げてから、アマンダに店内を示してみせる。
「先代のオーナーが私の父親だったんですけど、
少し前に引退してしまったんです。
それで、私に冒険者なんて止めて店を継いでくれ、って。
嫌だったんですけどね…」
溜息を吐くと、「もう一年もこの町を出ていなくて。勿論、店長としての仕事にも充実感はありますけど、でも、私の性分はやっぱり旅人なんです」



 
レディ=アマンダ=ローレンス


店長シーン<

シーンに話しかけられたことが嬉しくて、
アマンダはきゃっきゃとはしゃいだ。
なによりも子ども扱いされないことが嬉しかった。
「お姉さんは冒険者だったんでしょう?
なんでやめちゃったの?」 



 
店長シーン


レディ=アマンダ<

「ああ、やっぱり…。それに、踊りも出来るんですか。素晴らしいですね」
微笑んで頷く。
アマンダの注文を厨房に伝えに行ってから、戻ってくるシーン。
この幼い冒険者に、興味をそそられたのだ。
「私も、ちょっと前までは冒険者だったんですよ。
今は、こんなところで店長なんてやっていますけど」



 
レディ=アマンダ=ローレンス


シーン<

「わたし、冒険者っぽく見える?」
アマンダはおしぼりで手を拭きながらシーンの質問に応じる。
(すっごくキレイな人だなあ…)
彼女の笑顔につられ、アマンダもにっこり笑う。
アマンダは彼女を一目見るなり気に入ってしまった。

「わたしの仕事は踊り子兼冒険者ってところかな。
踊り子の仕事は旅に必要な資金を貯めるためにやってるの。
もうすぐ目標金額に達するから、そのお金で旅に出ようと思っているところなのよ」
そう言って、アマンダは幼い字で手元に置かれたお品書きに「仔牛のステーキ お好みソースがけ」 と書いた。



 
店長シーン


新しく入ってきたらしい客を見て、シーンは従業員に指示を出そうとするが、手の空いたものが一人もいなかったので仕方なく、彼女自身がその客を相手をすることにした。

レディ=アマンダ<

「いらっしゃいませー」
自慢の笑顔を浮かべて、おしぼりとお品書きを卓に置く。
ふと少女の様子を見て、その旅慣れた様子を見て、首を傾げる。
「お嬢さん、失礼ですがもしかして、冒険者の方ですか?」



 
レディ=アマンダ=ローレンス


「もぅ〜、
ここに来る途中でレースの襟がしわくちゃになっちゃったじゃない」
アマンダは口をとがらせ、
仕立て直してもらったばかりのレースの襟元を見る。
(人混みに入ったときに襟が崩れちゃったんだわ)
彼女は大切なクマのぬいぐるみをポーチの中に突っ込み、手際よく襟元のレースを整える。

襟が元通りになったところで辺りを見渡すと、大勢の客とそれに対応する従業員が視界に飛び込んできた。
「わぁー、人でいっぱい!」
アマンダはその場の客の多さと、雰囲気に圧倒され驚きの声をあげた。
彼女の目的は一つ。
この星屑亭で一番人気の「仔牛のステーキ お好みソースがけ」 を食べることだった。
ぐうぐう鳴り響くおなかを抱え、アマンダはどこに座ろうか一瞬躊躇したが、奇跡的に空いている席を見つけたので、そこに座ることにした。



 
GM…星屑亭


昼下がり、星屑亭が一番混み合う時間帯だ。
シーンは宿屋の中を行ったり来たりして、指示を出していく。
特に食堂が、一番彼女が必要な場所だ。
決して狭くは無い、むしろ広すぎるほどの食堂が満席なのだ。
安価で味もいいと評判の食堂だが、ここまで埋まるのは異例かもしれない。
ちなみに、種族問わず、客たちに評判の品は、
「仔牛のステーキ お好みソースがけ」
である。
二十を超える種類のソースを、客が自由に選んで注文するというもので、
嗜好も様々な客たちには一番の人気である。