闘技場のすぐ側に店を構える大宿屋。 国の援助を受けており、最大で百人を収容できるという広さだ。 三階建ての建物で、一階には大食堂と大浴場などがある。 食堂は泊り客でなくても利用でき、味もいいと評判だ。 経営者は最近代替わりしたらしく、若いエルフの女性シーンが取り仕切っている。 なかなかの美人で評判もいいのだが、本人は満足していないようだ。 元々冒険者だったのが、父親の泣き落としに屈して仕方無しに引退してしまったそうである。 今日も今日とて星屑亭は大忙し。 シーンは癖のある従業員や、怪しい経理担当相手に四苦八苦しながら宿を運営している。 シーンの叱咤に、薄らぼんやりとした人間の従業員がのろのろとテーブルの間を這って回る。 ため息がもれる。今日も今日とてシーンは七転八倒の時間を送る。 「……誰か、私をもう一度冒険に連れて行ってくれないかな」 |
店長シーン |
レディ=アマンダ< 「それでは、そうしましょう」 以後、舞台は竜追いギルドに移ります。
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レディ=アマンダ=ローレンス |
シーン< 「お仕事かあ…」 しばらくして、目の前に注文した「仔牛のステーキ お好みソースがけ」が運ばれてきた。 |
店長シーン |
レディ=アマンダ< シーンは、述べられたアマンダの言葉に暫くきょとんとしていた。 |
レディ=アマンダ=ローレンス |
店長シーン< 「ううん、全然つまんない話じゃないよー!」 |
店長シーン |
レディ=アマンダ< 「ええ… |
レディ=アマンダ=ローレンス |
店長シーン< 「ふぅ〜ん、お店を継ぐために冒険者をやめちゃったんだ」 |
店長シーン |
レディ=アマンダ< 「そうですね…」 |
レディ=アマンダ=ローレンス |
店長シーン< シーンに話しかけられたことが嬉しくて、 |
店長シーン |
レディ=アマンダ< 「ああ、やっぱり…。それに、踊りも出来るんですか。素晴らしいですね」 |
レディ=アマンダ=ローレンス |
シーン< 「わたし、冒険者っぽく見える?」 「わたしの仕事は踊り子兼冒険者ってところかな。 |
店長シーン |
新しく入ってきたらしい客を見て、シーンは従業員に指示を出そうとするが、手の空いたものが一人もいなかったので仕方なく、彼女自身がその客を相手をすることにした。 レディ=アマンダ< 「いらっしゃいませー」 |
レディ=アマンダ=ローレンス |
「もぅ〜、 ここに来る途中でレースの襟がしわくちゃになっちゃったじゃない」 アマンダは口をとがらせ、 仕立て直してもらったばかりのレースの襟元を見る。 (人混みに入ったときに襟が崩れちゃったんだわ) 彼女は大切なクマのぬいぐるみをポーチの中に突っ込み、手際よく襟元のレースを整える。 襟が元通りになったところで辺りを見渡すと、大勢の客とそれに対応する従業員が視界に飛び込んできた。 |
GM…星屑亭 |
昼下がり、星屑亭が一番混み合う時間帯だ。 シーンは宿屋の中を行ったり来たりして、指示を出していく。 特に食堂が、一番彼女が必要な場所だ。 決して狭くは無い、むしろ広すぎるほどの食堂が満席なのだ。 安価で味もいいと評判の食堂だが、ここまで埋まるのは異例かもしれない。 ちなみに、種族問わず、客たちに評判の品は、 「仔牛のステーキ お好みソースがけ」 である。 二十を超える種類のソースを、客が自由に選んで注文するというもので、 嗜好も様々な客たちには一番の人気である。 |