フラヌの始まりの時、今は伝説となった冒険者たちが我が家としていた宿。 かれらによって五十年ほど前に建てられ、かれらの仲間や友人たちによって維持されてきた。そのときから最近まで、問題ごとの請負を行っていたが、「竜追い」の普及によって手を引き、本当に、酒盛りの宿になった。 店主はガウツという名のドワーフであり、以前のマスターから経営を引き継いだ。 |
GM |
アイアンイーターとビーンは、遺跡都市シューレスクの所在地と言うことで有名な、フラヌの西にある森に向かった。 途中にオールグの原を挟んでいるため、まずはそこを越えなくてはならない。 |
ビーン |
ガウツ< 「お土産を楽しみにしていて下さい!」 アイアンイーター< 「では最初は、遺跡の森に向かいましょう」 |
アイアンイーター |
ガウツ< 「…………まあ、気にしないことにしておこう」 それから、普通の声で、 「では、行ってくる」 |
ガウツ |
アイアンイーター< 「大丈夫だ。信用できるかどうかという意味ならな。 ……ただ、ほんの少しばかり、重要な部分を母親の腹の中に置いてきちまっているらしいな」 嘆かわしげに頭を振る。 「普段は本当に問題ない奴なんだが」 |
アイアンイーター |
握手に対してはおざなりな態度を返しつつ、ビーンから離れて、密かにガウツに聞く。 ガウツ< 「……あの人物は、大丈夫なのか? 何かしら問題があったりはしないだろうな?」 |
ビーン |
アイアンイーター< 「ええ、そうですね!」 明るく笑って、握手を求めるように、アイアンイーターに手を差し出す。 |
アイアンイーター |
ビーン< 「よし」 うなずくと、 「では、行こうか」 |
ビーン |
アイアンイーター< 「ええ、出来ればすぐにでも」 |
アイアンイーター |
ビーン< 「いつ行くんだ?」 |
ビーン |
アイアンイーター< 「ええ、そうですね」 うんうんと忙しく頭を上下させる。 「ええとですね、ある特定の魔物と動物の部品が欲しいんです。どれが目的の生き物かは私が見れば分かりますので、それについてきて下さって、狩るのを手伝って下されば、と思っています」 |
アイアンイーター |
ガウツ< 頷きを返す。 ビーン< 「それで、具体的にどのようなことをするんだ?」 |
ガウツ |
ビーンにおざなりに礼を返し、どこかしら複雑な表情を覗かせながら、 アイアンイーター< 「この男が、さっきの話の、知り合いだ」 |
ビーン |
ガウツ< 「どうも」 親しみを込めて挨拶をし、アイアンイーターの方に向き直る。 アイアンイーター< 「あなたが私の仕事を手伝って下さるという方ですか?」 にこにことして、寄ってくる。 |
GM |
それからしばらく後、ガウツが呼びにやらせた人物がやってきた。 やたらと細長い体格の人物で、大げさな荷物を背負っている。 きょろきょろと店内を見渡して、それから活き活きといた風情で寄ってくる。 |
ガウツ |
アイアンイーター< 「話が早くて助かる」 もっともらしい顔でうなずく。 |
アイアンイーター |
店主< 「会おう」 端的に答える。 |
ガウツ |
アイアンイーター< 「地味だ。改めていっておくがね。 おれの知り合いにトーマ・カルガラに憧れている奴がいてな。名前はビーンというんだが、とりあえず、その技術をものにしたいとかいって、……まあ、その材料を集めたいということらしい。 以前に比べて、すっかり廃れちまった文化だから、ほとんど取り合ってくれる奴もいない。 危険はそれほどないと思うがね。 ……興味があるなら、会ってみるか?」 |
アイアンイーター |
店主< 「その狩りの手伝いというのは、どんな仕事なんだ?」 それから、髯を撫でながら、 「まあ、困窮しているのは確かだ。実をいうと、財布の中身は埃しか入っていない」 |
ガウツ |
アイアンイーター< 「そこまで困窮しているのか?」 グラスを傾けながら、目の端に笑いを滲ませる。 「そうだな……。 荷物の配達や、とある品の採取、あとは、狩りの手伝いとか、そんなところだ」 |
アイアンイーター |
店主< 「仕事があるなら、願ってもないことだ」 |
ガウツ |
含ませておいた言葉をしっかり拾われて、苦笑いする。 アイアンイーター< 「そんなところだな。 どうも、この街に来る冒険者の大半が、“始まりの時の冒険者”のような仕事を求めてくる。 世の中、そんな派手なことばかりじゃない。 ……そのようなわけで、おれの斡旋できるような仕事は地味な奴らばかりだが、そういうのでもいいのなら、ないことはないな」 |
アイアンイーター |
店主< 麦酒はありがたくいただくことにする。 「ふぅむ。とすると、冒険者に向かない仕事なら、何かあるということかな?」 |
ガウツ |
アイアンイーター< 「まあまあだ、同胞」 食器の整理を終えて、一休みにと、麦酒を持ってくる。「飲むか?」とでもいうように掲げて見せてから、椅子に座る。 「冒険者向きの仕事は、そちら専用の店が出来たからな。 なかなかこっちにはやってきやせん。 質が悪いならともかく、そうでもないようだしな」 |
アイアンイーター |
店主< 「景気はどうだ?」 カウンター席に腰を降ろしながら声をかける。 「少し入り用でな、何か仕事があったら教えてもらいたいんだが……」 |
GM |
あたらしく入ってきた人物に、店主がちらりと視線を向け、また整理に戻る。 |
アイアンイーター |
白髪のドワーフが店内に入ってくる。 この街ではよく知られた斧を腰に下げ、がっしりとした肉体は雪焼けをした様に色に染まっている。 |
GM |
中は木造の建物で、始めに造られてから何度も立て直されてきたもののようだ。 今はまだ夜ではないので、そこまで多くの客は入っていないが、常連らしい年輩の人物が何人かいるのが分かる。 カウンターの奥では、ドワーフらしい人物が食器の整理を行っている。 |