偉大なる巨竜あり。
巨竜、月の雫を卵、太陽の光を精として生まれる。

巨竜、孤独に倦み、巨島を造り出す。
未だ、竜の望むものは存在せず。

巨竜、生命の種子を呼び出し、島に振り撒く。
種子、生命となって島に生えてその種を増やす。

種は育ち、動物となり植物となる。
植物の一つ、太陽の力を得、長じて黄金の大樹となる。
動物の一つ、月の力を得、長じて白銀の巨人となる。

黄金の大樹、子を増やし大地を森で埋め尽くす。
白銀の巨人、子を増やし大地を人で埋め尽くす。
巨竜、生命の海の中で安堵し、全てを忘れて眠りにつく。

巨竜は夢を見る。
巨竜の夢は、その欠片を島に降り注がせる。
欠片は、大地に降り、土を集め、巨竜の眷属を生み出す。
欠片は、森に降り、失せる事の無い淀みを集め、妖精として生まれる。
欠片は、海に降り、小泡を集め、大いなる碧玉の宮殿を生み出す。
欠片は、人に降り、全てに魂を与え、その混沌を吸って、亜人を生み出す。
欠片は、大気に降り、霊魂を集め、魔力として生まれる。

巨島が、時の槌に打たれ割れ砕け、幾数の大陸となるまで、巨竜は眠りより醒めず。
夢の欠片は巨竜をも包み、そして巨竜は夢に溶けた。
大地より巨竜は溶け消えた。


黄金の大樹は寂寥に身を焦がし、白銀の巨人は身を隠す。
大地は戸惑いざわめき、世は乱れる。

一人の夢見、王に告げる。
巨竜は失われてはおらず。姿を変え魂を変え、大地の何処かに生を持つ。

かくして世に「竜追い」生まれる。







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