鼻に酷い痛み、激しいくしゃみと鼻水。
一見、只の風邪のようだが、実は治療の困難な奇病だ。
普通の診断では風邪と区別が付かないが、魔術の心得のある者に見せれば、それと分かるはずだ。
その病気の特効薬となる、スローマーの実。
その実が、大魔術師王国イ=サードの首都の近辺にあるモラッカ山の頂上に生っているらしい。
冒険者カイ=フォーティラスは、その実を採りに、モラッカ山へと足を向けた。
目指すは頂上。
破格の報酬900金が待っている!
GM…カイVS虎 |
足を引きずって、虎が再び先制攻撃を仕掛けようと身をを縮めた刹那。 カイの姿が掻き消えた。いや、虎にはそう見えた。 猫族としては当然だが、虎の動体視力は並ではない。カイの動きはその能力を上回っていたのだ。 反復横跳びをするようにして接近し、虎の眼前まで迫る。 虎は呆けたように、その姿を見るしかなかった。 魔力を帯び、光を纏った蹴りが虎の顔にめり込む。 カイ: 「…っ」 カイ:MP−2 しかし、これで妨害はなくなった。 「ありがとうございます! それもそのはず。 鼻の病気の治療の為に、彼女は命を賭けたのだから。 シナリオ1終了! 舞台は大魔術師王国イ=サード「竜追いギルド」へ戻ります。 |
GM…カイVS虎 |
先手必勝とばかりに、虎はカイの喉笛目掛けて飛び掛かった。 待ち構え、かわしざまに反撃を入れようとしていたカイは、思いのほかに早い虎の攻撃にタイミングを合わせられず、ただ避けることしか出来なかった。 身を横に流して攻撃を避けたカイの胸元を虎の爪が薙ぎ払い、クリスタル・シールドがそれを受け止め、砕けて消える。 虎: カイ:MP−4 虎の爪によって、カイは精神を消耗した、しかし虎もその攻撃で体勢を崩している。カイはその隙を逃さず、一瞬歪んだ視界に構わず、目の前を過ぎて行く虎の後ろ足を鉄の爪で、全力を持って切り裂いた。 カイ: カイと虎は、お互いに睨み合ったまま微動だにしなくなった。 |
GM |
魔物たちを蹴散らして、カイはその疲労を引き摺ったまま山道を登っていた。さすがに歩調を緩めて、疲労を少しずつ逃がそうとしているようだ。 しかし、そんなカイの判断を裏切るように、山道は更にその険しさを増していった。 岩が転がり砂利が埋まり、枯木は横たわって道を阻む。 気を楽にして休めそうな場所は無い。 何処にいても気を使ってしまいそうだ。 疲労は行き場のないまま蓄積していった。 カイ:MP−2 更に進んで行き、カイは空気の匂いが変わったのに気付いた。 頂上はこんもりと盛り上がっており、その付近だけが芝や草の生えた、普通の山道と変わらない。 野宿の用意も何もしていなかったカイは、日の沈みきらないうちに山を降りようと、歩を早めていた。 《戦闘突入》 |
GM…カイVSゴブリン三体 |
ゴブリンたちと完全に接敵する前に、カイは行動を起こした。 「太陽の粉、月の雫、大地の屑。 カイ:クリスタル・シールド発動!>カイ 初級魔法、クリスタルシールドが紡がれ、カイの前に生まれた。 カイ: 一瞬にして仲間がやられたのを見て、片割れのゴブリンは我を忘れて逃げ出した。残った弓を構えていたゴブリンは、孤立しながらも気丈にも…そして愚かにも留まり、カイに矢を放った。 ゴブリンC:狙撃1Hit!>クリスタル・シールドにダメージ! 必死の攻撃も虚しく無効化されたゴブリンは、茫然とした。 「万物なる存在にして無なる存在。 カイ:マナ・フレイム発動! 我を失ったゴブリンを包む空気が、瞬時に変化した。 カイ: 「……ふぅ」 カイ:ゴブリン一体を撃破! ゴブリン二体を撃退! カイ…HP−0 |
GM |
カイ< カイは山頂を目指して進んで行く。 広場を抜けて、また険しい山道に入る。 カイ:MP−2 しかしそれでも、一般人が進むよりは苦労をしていない。 《戦闘突入》 |
GM…モラッカ山 |
モラッカ山。 大魔術師王国イ=サードの首都に住む者ならば、日々大して意識をしないで眺めている。背景の一つだ。 山と名がついているが、高度だけならば、只の、大きくて小高い丘でしかない。 だが、丘にしては道が険しすぎる。 棘を生やした樹が其処此処に生え、地面は砂利の上に枯葉で覆われていて、極めて足元が不安定だ。 樹は、背が、成人した人間の五倍ほどはあり視界も利かない。 その上に、魔物の棲みかともなっているらしい。 それほど頻出するわけではないが、 それでも危険な事には変わりが無い。 其処へ、一人の少女が足を踏み入れようとしていた。 |