叡智の塔の導師アーネーに弟子入りしたアリシアは、かれについて、調査終了が間近の遺跡にやってきた。 「あんまり期待するなよ」 というのが師匠の弁だが……。 |
GM |
二人は、アーチをくぐり、ほんの数秒で、叡智の塔の研究室まで帰還した。 |
アーネー |
アリシア< 「お、不明瞭な部分のことでも気にしてるか?」 こんこん、と、アーチを指で叩く。 「まあ、初めから完璧にされたら、おれ……私の立場がないからな。練習していけばいいさ」 振り返って、頷く。 「ああ、そうしよう」 |
アリシア |
「いやー・・・なんか自分でも微妙やと思うんやけど・・・。あれでうまくいくもんなんやねえ。」 一応は成功したものの、自分の出来には少し不満が残るようだ。 「ほな・・・もどりますか?」 |
GM |
アリシアは、事前に教えられたことを思い返し、教えられたとおりの詠唱を行い、定められた言葉を発語しようとする。 言語判定:分類/古代語 アリシア:辛うじて成功!(MP-10) 少し曖昧な発音があったが、この古い扉に、その命令を理解させることはできたようだった。 アーチが、ゆっくりと輝きを放つ。 と、同時に、身体の末端から、そろりとした感触をさせながら、魔力が蒸発していく。アリシアはそのようなものを感じた。 “ヒートウェイブ”クラスの魔術を行った時と同等の消耗をしたようだ。その力を得て、アーチが起動される。 「初めての本番で、成功か。おまえさん、やるなぁ」 アーネーが感心した声を上げる。 |
アーネー |
アリシア< 「その通りだ」 真顔で頷いてみせる。 「実際、ほとんど燃料が切れてるぞ。 まあ、なんだ、頑張ってくれ。 こういうのは、一回成功すると、あとは段違いに楽になるからな」 |
アリシア |
「あー師匠・・・んなこといって、自分が疲れたんやろー。 まあ、せっかくやし、ためさせてもらおかなー・・・」 と、落ち着いて師匠から聞いたことを反芻しながら発動を試みます。 |
GM |
疲れた様子のアーネーと共に、アリシアは、周囲の、壁や罠の様子を観察しながら戻っていく。 特に問題もなく、二人はアーチのある場所に戻ってきた。 「やれやれ」 そこで、アーネーは大きく伸びをした。 そして、ふと、聞く。 「そうだ、試してみるか? おまえさんが作動させられるか」 |
アーネー |
アリシア< 「全部が全部、塔の研究に持って行かれるわけでもないが、最低一回は、提出することにはなってるな。 だが、ま、別に構わなくていいだろ。 もう、かなりの数のサンプルは提出してあるし、その研究成果も大して出ていないんだ。 ……どうもな、この人物が関わっている“遺物”は、全体的に塔に取っての相性が良くないらしいな。他のタイプの遺跡なら、もうちょっと違うんだがな」 それから、手をひらひらと振って、 「案外、私が持っているよりも、おまえさんに任せておいた方が成果があるかも知れんしな。 調べ方については任せる。 塔にゃいないが、それこそ、錬金術を修めた人間に見てもらうのは本当に悪くないと思うぞ。」 |
アリシア |
「・・・これを?? もらえるのならうれしいですけど、こういうのって塔で管理とかするもんではないんですか? そうでなくても、せんせーの研究に・・・・あらかた研究したんでしたっけ。 ほな、大事に預からせてもらおうかな・・・。でも、どっから調べていこかなあ・・・」 |
アーネー |
アリシア< 「ほう」 目を瞠ってみせる。 「面白いな、その発想は。正直、思いつかなかったな」 それから、頭をかいて見せた。 「それで分かっただろうが、私にも分からないんだ。 この遺跡の作り手は、他の色々な場所で似たようなものを建造していてな、その最深部には、ほとんどにこういった宝箱がおいてある。 必ず本が一冊入っていて、後のものはバラバラだ。こんな感じの宝石があることもあれば、楽器が入っていることもある。 ……あらかた、出来る調査は試みたし、他の導師にも提供してるんだけどな。文字の解読も出来ない。 “トレースヒストリー”という魔法を知ってるか? 物体の来歴を探る魔法だが、現在完成されている奴じゃ、せいぜい一週間前後までのことしか分からん。 これを発展させるための研究をしている所だが、……どうにも進まないしな。 “アナライズ”が効いたとしたらいいんだが、端から魔法の意味が違うからな。道具としての性能しか分からん」 アリシアからそれらを受け取って、見つめる。 「本当に錬金術のものかもな。 私はあっちは不得手でな。……塔でも、発展していない技術だから、錬金術のものか、そうじゃないか判別することは出来ていないはずだ」 ふむ、と考えこんでから、ふと、アリシアを見る。 「……お前、これ持ってくか?」 |
アリシア |
「いやあ、わたしにはわからんですねー・・・」 師匠の問いに首を振るアリシア。 「ただ・・・勘、というか。こういうのだったら面白いなーとおもうのは」 砂と、宝石を見比べて、言葉をつなげる 「この砂と、この宝石の関係性。こういう場合、ぱっと思い浮かぶのは・・・錬金術。 そうなると、この本は、宝石の錬成法則を書き記したもの・・・だったりしたら、おもろいんですけどね」 それぞれを、師匠に手渡して、 「結局、これはなんなんです?? せんせーは当然のように知ってる風やけど・・・」 |
アーネー |
アリシア< 後ろの方で、アリシアが調査をしているのを眺め、適当な頃に声をかける。 「どうだ? どういった代物か、分かったりするか?」 |
GM |
アーネーは当然、許可を出し、アリシアは宝箱の中身を手に取った。 本< なかなか、重厚な手触りの本だ。 手に持ってみると、見た目よりも重たく、繊維のしっかりとした材料で作られた紙なのだと分かる。 開いてみると、そこには、不可解な文字や模様がびっしりと書かれており、それが全ページに渡っていた。 ……知識を総動員してみても、何が書いてあるのか、その意味を判別することが出来ない。 石< 綺麗な石で、ライトの魔法の放つ光を受けて、きらきらと輝いている。深みのある透明な色をしていて、アリシアにしてみると、宝石としてもなかなかなものだと思える。 布袋< 小さな袋で、手に取ったときの感触から、中には砂のようなものが入っているのが知れる。 開けてみると、真っ黒な、細かい砂が詰まっているようなのが分かった。 |
アリシア |
「感想っていうか・・・なんですのん?これ・・・??」 師匠に許可を貰ってからそれぞれを手にとって調べてみる。 |
アーネー |
アリシア< 「どうだ、感想は何かあるか?」 |
GM |
宝箱< 中には、綺麗に整頓された形で、次の物が入っているようだった。 ・綺麗に装丁された本 ・カッティングの施された半透明の石 ・布袋 |
アリシア |
「ん?? 何が入ってるんです〜??」 安全を確認した後、師に続いて宝箱を覗き込む。 |
アーネー |
しばらく待ってから、ゆっくりと宝箱に近づいていった。 アリシア< 「何事も……ないようだぞ」 言いながら、紙の騎士を元に戻す。 それから、宝箱をのぞき込み、苦笑いした。 「まあ、こんなものかな」 |
GM |
アリシアが下がったのを確認して自らも下がり、アーネーは紙の騎士に指示を出す。 紙の騎士は宝箱の上に屈み込み、指示されたとおりに、箱の蓋を開けようとする。 ごとり 重い音を立てて、何事もなく蓋が開く。 紙の騎士は、蓋を開けた姿のまま止まり、次の命令を待った。 |
アリシア |
「はーい大丈夫でっす」 安全距離まで離れて、騎士を見守る。 |
GM |
アーネーはヴァルキリーを元の人形の姿に戻し、懐にしまい込む。 「……どうだろうな? 大抵、こういった“玄室”の守り手を撃破した後に、何かの仕掛けがあることはないんだが……」 周囲< 辺りは静まりかえっている。 砕け散ったガーディアンたちの身体は、見ていると徐々に崩壊して、細かい砂となっていく。 |
アリシア |
アーネー< 「せんせー、おつかれさまー。まだなにか危ないこととかあるんかなー??」 |
アーネー |
アリシア< 「そのようだな」 斧をしまい、ヴァルキリーの側に向かいながら、答える。 辺りを見て、 「……もう、何かが出てくることはなさそうだな」 |
アリシア |
「やった・・・んかな???」 アリシアは周囲の様子を警戒する。 |
戦闘 |
再度、アリシアが提案をし、アーネーもそれを容れる。 ヴァルキリーの行動は、ガーディアンに積極的に攻撃すること、また、足止めをすることに変更された。 敵が一体になったことで、余裕が生まれたと考えたためである。 アリシアはさらに後退し、柱を遮蔽物として利用しながら、マナアローの詠唱を開始する。 アーネーは一歩踏みだし、女騎士の支援をする態勢だ。 一対三になったところで、メイル・ガーディアンには、焦りの様子はない。というよりも、焦りを覚えるような思考はないというところだろう。 今は目の前の女騎士に集中しているようで、詠唱を開始したアリシアに気づいた様子はない。 空中で翼を羽ばたかせて速度を稼ぎ、その勢いで女騎士に蹴爪を食らわせようとする。女騎士はそれを防ぎ、防いだところで、アーネーが割り行って斧を振るう。 石片が飛び散った。 アーネーの腕はお世辞にも良いものとはいえないが、動きの止まった相手を殴りつけることくらいは出来る。 横合いからの一撃にたじろぎ、さらに振るわれた女騎士の槍から逃げるように、ガーディアンは再度距離を取ろうとする。 高度な精神集中を行い、通常よりも多くの魔力を用いて生成された魔力の矢。 「あたれ!!!」 それが撃ち出されたのは、そのときだった。 青い輝きは、狙い澄ましたようにガーディアンの無防備な部分に突き刺さり、弾けた。 矢で射られるというよりは、深く抉られると言う方が似合いの威力で攻撃を暗い、それによって後退の動作が大きく阻害された石人形は空中でよろめいた。 そんな隙を、小振りながらも重い斧を振り回して体勢の崩れていたアーネーはともかく、積極的な攻撃を指示されていた女騎士が逃すはずもなかった。 ヴァルキリーの槍がガーディアンの胸を貫く。 内部から爆発するように、ガーディアンは激しい礫を撒き散らしながら、崩壊した。 - 戦闘終了 - |
戦闘 |
アリシアの提案を受け、アーネーは女騎士への指示を変更する。そこで、フィメル・ガーディアンを牽制しながら、女騎士はアリシアとアーネーを守るような位置まで後退する。 アーネーも斧を携えて立ち、メイル・ガーディアンを警戒している。メイル・ガーディアンは変わらず好戦的だが、さすがに二人を相手にしては付けいる隙が見つけにくいのが、一歩距離を詰めては、一歩後退するといった次第だ。 かなり痛めつけられているフィメル・ガーディアンは動かず、様子を見ているようだ。 状況が、ほんの数秒だけ膠着を見る。 アリシアはマナアローを詠唱しようとするが、そうすると、既に学習をしたのか、メイル・ガーディアンが威嚇するように吠え、また、突撃の意図を見せるため、なかなか行動に移れない。 と、そこで、気を取り直したらしいフィメル・ガーディアンが戦線に加わる。 女騎士がメイル・ガーディアン、アーネーがフィメル・ガーディアンを受け持つような形になり、アリシアへの攻撃が手薄になる。 すかさず、アリシアは詠唱を開始した。 女騎士の槍がメイル・ガーディアンを狙って繰り出され、しかし躱される。お返しとばかりに、ガーディアンの頑丈な蹴爪が、女騎士の胸を抉った。さらに、アーネーの相手をしていたはずのフィメル・ガーディアンが横合いから追い打ちをしかけ、女騎士の身体を蹴り付けた。 ヴァルキリーは転倒する。 アーネーが舌打ちをしながら斧を振るう。それは強烈な一撃で、フィメル・ガーディアンの石の身体に大きな亀裂を入れた。 大きくよろめくフィメル・ガーディアンを無視し、アーネーはそのまま距離を詰め、メイル・ガーディアンに向かう。 アリシアの詠唱が完成しようとしているのを悟っての行動であり…… 「あたれ!!!」 間髪置かず、アリシアの魔法の矢が打ち出され、フィメル・ガーディアンに追い打ちを掛ける。 空中で体勢を立て直し、起きあがろうとしたところに一撃され、そこで損傷が限界を超えたか、ガーディアンはそのまま砕け散った。 「よし、よくやった!」 アーネーが横目でそれを確認し、弟子に短い労いの言葉を掛ける。 一旦、進行を句切ります。一度の更新で、あまり進みすぎないようにするための処理なのですね。 別の行動があった場合は変更が可能ですし、そうでない場合は、最初の投稿通りの行動を続行します。 |
戦闘 |
「あー、疲れた」 力の消費のしすぎをぼやきながら、アーネーが取り出したのは小振りの斧だった。 アリシアの半歩、やや右前に出て、ガーディアンの様子をうかがう。 「騎士を召還しすぎた。回復を待ちながら、私は守りに徹するぞ」 アリシアは続けてマナアローを詠唱する。 その最中に、幾度かのやり取りが行われた。 フィメル・ガーディアンに向けて、女騎士が槍を振るう。アリシアの炎の嵐、そしてアーネーの放った魔力解除の影響が抜けきっておらず、立ち直れない石人形は避けられない。胸を痛打される。 メイル・ガーディアンは魔術師二人をにらみつけ、飛びかかってくる。大きく翼をはためかせ、突進。 そこで、 「あたれ!!!」 アリシアの魔法が完成し、魔力の矢が打ち出される。 青い燐光の尾を引いて、力の塊がメイル・ガーディアンを狙うが、今度は予測されていたらしい。トンボを切るような飛行で躱される。 そのまま軌道をずらし、始めアーネーに向かっていたものを、アリシアに向かう形に修正する。 「わわわ!こっちに来やんといて〜!!」 アリシアは慌てて後退する。 「少し下がっていろ!」 アーネーもカバーに入るが、ガーディアンの動きは素早い。斧の薙ぎ払いをかいくぐり、アリシアに体当たりをする。 クリスタルシールド/アリシア ダメージ合計14 薄いガラスを何枚も重ねたものをぶん殴る。そのような音が響き渡る。 クリスタルシールドが術者を守ったのだが、石人形がそれを理解したかは分からない。 フィメル・ガーディアンは女騎士の槍を恐れるように後ろに下がり、女騎士は、命令通りに宝箱の周辺を動かない。 「命令を変えた方が良いか……?」 舌打ちをしながら、アーネーが呟くのがアリシアにも聞こえる。 一旦、進行を句切ります。一度の更新で、あまり進みすぎないようにするための処理なのですね。 別の行動があった場合は変更が可能ですし、そうでない場合は、最初の投稿通りの行動を続行します。 |
戦闘 |
アーネーよりも早く、アリシアは魔術の行使を始めた。 “ヒートウェイブ” 目標地点を中点とした円柱の領域に、激しい熱気の渦を発生させ、範囲内のあらゆるものを浄化せしめる魔法である。 アリシアが詠唱を開始した少し後に、アーネーも魔術を開始する。アリシアの扱える魔法ではないが、詠唱の内容から、ある程度の推測をすることは出来た。おそらく、魔術の紐を解きほぐす、魔法を消し去るための魔法ではないだろうか。 ガーディアン二体は、二人が魔術を行っていることは認識できなかったようだ。とりあえず、目の前の物体を排除しようと考えたらしい。 男性形――メイル・ガーディアンがまず先に飛びかかり、一拍おいて、別の角度からフィメル・ガーディアンが続く。 時間稼ぎと魔術師二人のガードを命じられているヴァルキリーは、防御に専念している。槍をかざして、メイル・ガーディアンの蹴爪を受けとめ、半歩動いて、フィメル・ガーディアンの攻撃をいなす。 ガーディアンたちの攻撃は、飛び込んでは退くというもので、熟練のフェンサーのそれに近い。二体の連携が取れているため、一度主導権を握られてしまうと、それを取り戻すのには難儀するだろう。 だが、距離を取るという行為は、今回はマイナスに働いたようだった。 「燃えろ!!!」 アリシアの魔術が完成し、ちょうど、ヴァルキリーからは離れた場所にいた二体が、荒れ狂う炎の嵐に包まれる。 無機物で出来ている彼らガーディアンにとって、熱そのものはそこまでの害ではない。だが、その炎が有している“存在力”とでもいうものが、彼らに意志と生命を与えている力を圧迫し、削り取って行く。 続けて、既に魔術を完成させながらも、機会を伺って魔術を凍結させていたアーネーが、それを解放する。 「かっ!」 気合いと共に、動作魔術の印を切る。 目映い光の文字がフィメル・ガーディアンを取り巻き、特別な模様を描き、そして何かの力でもって、その身を激しく打ち付けた。 避けようとすれば避けられただろうが、アリシアの炎の魔法によって極端に動きを制限させられていたため、その全てを受けてしまう。 フィメル・ガーディアンの肉体は大きな損傷を受け、至る所にひび割れが出来ていた。 メイル・ガーディアンはそこまで痛手は負っていない。 そしてどうやら、後方の二人こそが強敵なのだと判断したようだ。間のヴァルキリーを無視して、アリシアたちに攻撃をする姿勢だ。 一旦、進行を句切ります。一度の更新で、あまり進みすぎないようにするための処理なのですね。 別の行動があった場合は変更が可能ですし、そうでない場合は、最初の投稿通りの行動を続行します。 |
戦闘 |
部屋は、そこそこの広さを持っているが、所々に柱が立っていて、視界がよいとはいえない。 天井は高く、二体のガーディアンが飛び回るのに不都合はないようだ。その二体は部屋のやや奥の方に固まっている。 入り口に、アリシアとアーネーがおり、彼女たちとガーディアンたちに挟まれたちょうど中心の辺りに宝箱があり、石の女騎士がいる。 ガーディアン二体は、とりあえずはこちらを見つめたまま動かない。様子を見ているのだろうか。 |
GM |
アーネーの命令通りに、紙の騎士が先に歩き、宝箱の元に行く。その後を、石の女騎士が続く。 そして、紙の騎士が宝箱に触れた、その瞬間、アリシアが考えていたとおりに、翼人の石像が突然、存在感を得た。 二体の石像は翼をはためかせて飛び上がり、その片方、女性形の方が、紙の騎士を蹴爪で薙ぎ払う。一瞬で紙の騎士は、元の紙切れに戻り、そして細切れになって舞い散った。 男性形の石像は、近くにいた石の女騎士に向かって、同様に蹴爪を振るうが、これは、女騎士の槍で受けとめられる。 アリシアが詠唱をはじめたのは、このタイミングだった。 攻撃を防がれたガーディアンは、一旦、後ろに下がる。それと入れ違いに、女性形のガーディアンが女騎士に向かっていく。 女騎士が叩き付けようとする槍を片足で掴み、もう片足で蹴りつける。女騎士は腕を掲げて防ぐ。硬い音を立てて、命中した箇所から石片が飛び散った。 アリシアの魔術が完成する。詠唱中に、蛍火の様に彼女の周囲を取り巻いていた魔力の青い燐光が集束し、強い輝きを放つ矢となって撃ち出される。それは光の尾を引きつつ、女性形のガーディアンの胸板を強く叩いた。 「魔法は有効なようだな」 アーネーが、アリシアにいう。 ガーディアンはたじろいだか、女騎士の槍を放して、後退。男性形のガーディアンと合流する。 二体は、離れた場所にいる人間二人も、敵であることをはっきりと認識したようだ。 - 戦闘開始 - |
アーネー |
アリシア< 「なるほどな。まあ、効かない奴もいれば、効く奴もいるといったところだな。やってみるまでは分からん。 ……さて、やるか」 そして、人形に命令を下す。 |
アリシア |
アーネー< 「んー・・・ガーディアンについてやなあ。もし効くなら、一気に魔法を叩き込もう思うさかい」 |
アーネー |
アリシア< やや息を荒げて、額に滲んだ汗を拭いながら、どうだ?とばかりにアリシアを見る。と、そこでふと気がついて、聞き返した。 「ん、魔法? こいつのことか、ガーディアンのことか?」 |
GM |
アーネーが魔法を行使する。 『サモン・ヴァルキリー』 床に置かれていた石の人形が力を得て、槍と弓を携えた女騎士になる。 いまもそこに立っている紙の騎士とは異なり、違和感を覚えるほど、生命力を感じさせる姿だった。 |
アーネー |
人形遊びの言葉に、とりあえずずっこける。 「お前、なあ……」 アリシア< 「そうだな。倉庫型というか、宝物殿というか。 財宝っていうのとは違うけどな。古代には貨幣はなかったようだし、別に金とかの金属が重用されていたわけでもなさそうだからな。ただ、資料的価値は莫大だ」 人形を地面に立たせて、 「ああ、便利だぞ。だけどな、紙の騎士もそうだし、こいつもそうなんだが、事前に作っておく必要があるし、壊れればけっこう、厄介なことにもなる。 あの紙の騎士は壊すために作ってあるわけだからそれほどでもないんだがね。もし、こいつが壊されたら、とっとと尻尾を巻いて逃げた方が良いな。わたしは戦えなくなるから」 |
アリシア |
アーネー< 「迷宮型でっか・・・。う〜ん・・・じゃあ、あの宝箱も、ナニがどうしたって言う、重要なもんでもないんやね・・・。 そういうのは、やっぱ、倉庫型って言うヤツの方が期待できるんですか??」 人形< 「せんせー・・ええ年して、お人形遊びですか・・・。いや、ウソですゴメンナサイもう言いません。前衛が居てくれるなら、それに越したことはないですね。・・・しかし、紋章魔術って、便利なシロモノやねえ・・。私も覚えよかなあ。」 「材質は・・・石? 魔法はききますよね?」 |
アーネー |
アリシアの意見を吟味して、頷く。 アリシア< 「問題なさそうだ。 そうだな、補足だけしておくか。 まず、既におまえさんが見破っている通り、あいつら、十中八九、動き出すな」 部屋の中心の彫像を指さす。 「ガーディアンの典型だな。 ただ、扉の横にあったのは、動かないはずだ。あいつらはむしろ、この部屋の中の奴らが動き出すことを示唆するための置物だな。 さて……それで実際にどうするかだが」 ごそごそと懐から、小さな人形を取り出す。 槍を携えた、鎧姿の女性の小像のようだ。 「こいつに相手をしてもらって、わたしとおまえさんとで援護をする形で行こうと思うんだが、どうだろうな? 紙の騎士じゃあ、おそらく役者不足だろうからな」 |
アリシア |
「せんせー。その人形、やっぱあの絨毯の宝箱のとこに持っていくのがいっちゃんあやしいおもうんですけど」 自分たちは、入り口付近で待機。人形を宝箱に向かわせることを提案する。 「危険があったら、すぐに部屋から出れるようにして・・・あと入り口のとこにあった像もなんか怪しいですし、それと、部屋の中の像にも注意しておきましょ。 せんせーからの注意点は、なにかありますか??」 |
アーネー |
アリシア< 「かなり多いな。発見される遺跡の分類するときに、まず挙げられるのが、この遺跡と同じタイプだ。つまり、“迷宮型”だな。 わたしが、古代人が遊びで造ったんだと推測している奴だ。 嫌がらせのような罠が仕掛けられていること、目の回るような通路の構造、ガーディアンの存在、宝物の配置、といった点が特徴だな」 調査か、……と呟いて、周囲を見渡す。 「特にすることはなくなっちまったな。 このタイプの遺跡はかなり見てきたが、大体において、研究する価値はなくなってきたからな……。 “神殿型”と“倉庫型”、例外的に見つけられる“住居型”だったら良かったんだが。 ……さて。 これが最後の部屋だな。 おまえさんは、どうしたらいいと思う?」 |
GM |
タペストリーになされている縫い取りは、幾何学的には何の意味もなさそうだった。単に、それを美しく見せるためになされただけの代物のようだ。 |
アリシア |
「せんせー。こういう作りの遺跡って多いんですか?」 タペストリーになにかメッセージがこめられていないかを観察。 そのあと、師匠にどのような調査をするのか指示をあおぐ。 |
GM |
玄室< 部屋は、そんなに大きなものではない。 ただ、華美な装飾がなされていて、それらが、ここが重要なところであるということを主張していた。 中に見えるのは、飾りのために造られたとしか思えないような、機能性のなさそうな柱が数本。 それから、両側の壁に掛けられたタペストリーと、部屋のちょうどまん中の辺りに敷かれた青い円形の絨毯。それと、その上に置かれた宝箱に、それを両側から挟み込むように立っている、翼人の彫像二体だった。 |
アリシア |
「なにがあるんかなー?」 中に入った後は、あたりを見回し、不審なものはないかを調べます。 |
GM |
アーネーが慎重に扉を開き、中をのぞき込む。 「……ふむ」 そしてすぐに何かが起きる、というものではなさそうだな。といって、ゆっくりと中に入っていった。 もちろん、やや離れた所を先導するのは、例の騎士だ。 アリシアも、アーネーに続いていく。 |
アリシア |
「はーい。おっけーでーす」 |
アーネー |
アリシア< 「準備が良かったら、開けるぞ……?」 |
アリシア |
「せんせー。かわいい弟子を、まもってくださいねー♪」 魔法判定:分類/発動・クリスタルシールド アリシア:成功! |
アーネー |
アリシア< 「いや、まだとりあえずは大丈夫だろう。 ……たぶん、動くことはないしな。 でもまあ、……準備しておくに越したことはないか」 うなずきかける。 |
アリシア |
「なんか、・・・あからさまに動きそうな雰囲気やなぁ。」 アーネー< 「んー・・・一応、魔法は使えますけど、実戦の経験はないんですよー。なんか、やばそうです? もしやばそうなら、それなりの備えしとこうおもうんですけど」 |
アーネー |
アリシア< 扉や彫像を観察しながら、思い出したように問いかける。 「おまえさんは、戦いの知識って持ってたか?」 |
GM |
アリシアも近づいて、一緒に観察をし始める。 規則性がないようなあるような、なんだかはっきりと判別のできない模様がびっしりとなされた扉だ。 その両隣にある彫像は、どちらも、人間がうずくまったような姿勢をしている。 右側が、腕の代わりに翼が生えた男性像、左側が、同じような身体をした女性像だ。 |
アーネー |
アリシア< 「たぶん、ゴールだ。 ゴールなんだが……不用意に開けるなよ」 じっと扉を観察して、ぶつぶつ言いながら、いつの間にか取り出していた手元の紙切れと見比べる。 「……たぶん問題ないな、近づいても」 |
アリシア |
「ほへー・・・。せんせー。あれがゴールなんかな??」 |
GM |
アーネーを先頭に、二人は廊下の隅を進んでいく。 途中で、効果の切れたらしい、紙の騎士の「依り」を拾い、そこから先はまた一体の騎士を召還して先に立て、どんどん進んでいく。 ……そうして、行き止まりにぶつかった。 そこにあったのは、扉と、その扉を挟んで壁に彫り込まれた二つの彫像だった。 |
アーネー |
アリシア< 「ああ、分かった分かった。 だから、危ないから押すんじゃないっ」 苦笑して、足を進める。 |
アリシア |
「へ?? いややなあ、せんせー。せんせーがそういうなら、わたしもついていくにきまってるやないですか。 わたしかて、先をはようみてみたいんですからねー。せんせーがだいじょうぶやと判断したなら、したがいますって。さささ、いきまっしょー♪」 師匠の背中をぐいぐいおして、通路の端を歩き始める。 |
アーネー |
「そのたまたま、って奴が重要なんだ」 にやりとしてみせる。 アリシア< 「そうだな。……いや、まあ、大丈夫だろう。 今通らせた奴も、問題なかったしな。 とりあえず、わたしが先に通ってみる。 おまえさんは、わたしが通り終えるまでここにいて構わんが……?」 どうする? という目で見返す。 |
アリシア |
「いややなあ、せんせー。たまたまですやん。」 アリシアは苦笑いを浮かべる。 「んで、先にすすみますよね? 念のために、人形を一体先行させたほうがええかもしれませんけど。」 |
アーネー |
アリシア< 「正解のようだな」 弟子に向かって、首をかしげてみせる。 「おまえさんの方が、こっちの分野は得意なようだな」 |
GM |
試しにとアーネーが呼び出した一体の騎士は、壁際に沿ってゆっくりと、しかし何の異常もなく通路を進んでいく。 それが光源の届かない、見えない場所に行ってから、さらに待ってみても、罠が作動する気配はなかった。 |
アーネー |
アリシア< 「む?」 いわれたことを考え、記憶を探ってみて、 「お」 ぽんと、手を打つ。 「……いかんな、弟子に教えられているようだな」 ぽりぽりと頭をかいて、詠唱を始める。 |
アリシア |
「んー。・・せんせー、両端のタイルが安全圏かもしれんね。人 形を、両端だけに歩かせてみたらええんちゃうかな?」 アリシアは、自分が思ったことを師匠に伝え、師匠の指示をあおぐつもりだ。 「もし問題なければ、先に進めるんやけどねー♪」 |
GM |
アーネーは、アリシアが提案したとおりに騎士を召還する。 七体の騎士は横に並び、一斉に進み出した。 …… 今度こそ、アリシアは気がついた。 七体の騎士のうち、まん中の五体ほどの騎士が乗せたタイルが、わずかに沈み込んだ。 そして、そのとたんに、例の罠が動き出したのだ。 もちろん、次の瞬間に、タイルを踏んだ騎士も、踏まなかった両端の騎士も焼き払われた。 |
アーネー |
アリシア< 「床か」 言われてから、今までの罠の動きを思い返してみて、うなずく。 「確かに、そのようだな。 ……どれ、やってみるか」 |
アリシア |
「んー・・・踏むパネルがトリガーなんかなあ・・・??」 気付いた点を師匠に報告する。 「人形を、横一列で行進させると、罠はどう動くんかな??」 人形の足元に注目して、罠が発動するトリガーの役目をする床の特定を急ぎます。 |
GM |
騎士が、他のものと同じように前に進んでいき、そして、同じように火に焼かれる。 知力判定:分類/観察・罠学 アリシア:技能なし-20%/成功! 騎士の動きを追っていたアリシアは、罠が発動するときの条件らしきものに気がついた。 一つは、「一定の場所を越えると発動する」 もう一つは、まだ定かではないが、「特定のタイルを踏んだときに、発動するのではないか?」というものだった。 二番目の方は、ある一枚のタイルを踏んだときに発動すると限っているわけではないが……。 |
アーネー |
アリシア< 「いや、そういうわけじゃないな。師匠として、教えなきゃならないものがあったときには、覚えておかないとならんからな。 ……紋章魔術っていうのは、まあ、我々が言葉や身振りで行う魔法を、ものに刻んだ紋章で行うってものだ。 正確には、それを“ものに刻むための魔術”のことだな。 もちろん、そっちの技術が高ければ高いほど、こいつを――」 と、紙切れを示してみせ、 「行使するのにも有利だが、魔術の心得があるものなら、たいていは誰でも、使うことはできる。 そんなわけだが、手伝ってみるか?」 言いながらも、さっさと一枚を騎士に変えて、進ませる。 |
アリシア |
「あははは・・・・・なんでっか? それ」 えへへ、と苦笑いを浮かべながら聞き返す。 「やっぱ、こころえとかないとできんもんなんですかね?」 |
GM |
知力判定:分類/魔術・系統学 アリシア:失敗! アリシアは、“紋章魔術”というものについては、聞いたことがなかった。 |
アーネー |
アリシア< 「ふーむ」 少し考え込む。 「どうだろうな? お前は、“紋章魔術”の心得はあるか?」 |
アリシア |
「せんせー、それはわたしにはできん魔法なん?? もしできるんなら、わたしも作ったほうがええとおもうんやけど」 |
GM |
紙の騎士は、一体ずつ、順番に進んでいく。 騎士が、それぞれ“だいたい同じところまで来ると”、罠が作動していたようだ。 四体の騎士をすべて焼き尽くしても、火力が変わる気配はなかった。 「もうひと組、行くかな?」 呟き、四枚の紙を取り出す。 「今度こそ、五体とも成功したいもんだがな。師匠としての意地で」 冗談めかして言いながら、先ほどの一枚をそれに加える。 |
アーネー |
アリシア< 「まあ、なんだ。とりあえず、気力が続く限りはやってみよかと思うぞ。で、通れるようになっても、気力がなくなってたら戻るし、力尽きてけっきょく通れなかったら、やっぱり戻る。 だから、『期待するなよ』といった訳だ」 懐から先ほどのような紙をひと束、取り出す。 「さて、と」 魔術判定:分類/魔法具使用 Lv.4 *5 アーネー:成功!/成功!/失敗!/成功!/成功! 魔法が終わった後には、四体の紙の騎士が並んでいる。 変わらずにそのまま地面に落ちた紙を見て、アーネーが舌打ちをする。「修行が足りんな」 |
アリシア |
「ゴリおしでっか!! まあ、数撃てば、仕組みもわかるかもしれんですね、やってみるしかないんかなあ・・?」 とりあえずは、師のやり方に乗り、その間になにかしらの解決策を見つける方向で行くようだ。 |
アーネー |
アリシア< 「前回は、そこで困っていたんだな」 腕を組む。 「ああやって、何体も木偶を送っていればそのうち種も切れるだろうと思うんだが、どうだろうな? 迂回するような道もないし、罠が作動するよう理屈もよくわからん。他の罠は、木偶を強行突破させて何とかなってきたんだがな」 |
アリシア |
「ほへー・・・。機械仕掛けなんや・・・。えらい大仕掛けやけど、他のとこにもこんな罠がついてたりするんですか? そんで…。この罠よけて、どういくんです??」 |
GM |
「進め」 アーネーが指示を出すと、紙の甲冑は滑らかな動作で歩いていく。 しばらく進んで、通路の中程まで行く。 ……と、どこかで重い音が鳴り、それを合図としたように、通路の天井の部分部分が口を開く。 そこから、勢いよく霧状の液体が噴き出した。 油くさい。 鼻に匂いを感じたと思うと次の瞬間、その液体が一斉に炎に変わった。 ごう、と風が吹き付ける。液体はすぐに焼き尽くされて、炎も消える。天井に開いた口が、次々と閉じていき、通路は元の姿を取り戻した。 紙の騎士の姿はどこにもない。 アーネーが、「どうだ?」とばかりにアリシアの方を見る。 |
アーネー |
アリシア< 「……ここのはだいぶ大がかりでな」 懐から、何やらあれこれと複雑な文字の書き付けられた、人型の紙を取り出すと、詠唱を始める。 魔術判定:分類/魔法具使用 Lv.4 アーネー:成功! 投じられたた紙切れは、空中でひらひらと行きつ戻りしながら次第に大きくなり、膨れあがり、地面に落ちたときにはひとりの騎士の姿になっていた。 |
アリシア |
「なんか・・・?」 師匠の言い付けどおり、前には出ずに何が起きるかを観察する。 |
アーネー |
アリシア< しばらく沈黙した後、 「はっはっは」 と、乾いた笑いをあげる。 「お茶目ですめばいいが、どっちかっていうと、悪趣味な奴らが多かったみたいだぞ」 長い通路のまん中で立ち止まると、質問に答えるのも兼ねて、前の方を指さす。 「ここはな……魔法をいっさい使わない死の迷宮だ。トラップ・ランドとかと言い換えてもいいが」 指さした方をよく見ると、何やら壁の一部(といってもかなりの広範囲に渡って)が黒く焼け焦げている。 「いいか、絶対に、今わたしが立っているところから先に行くなよ」 |
アリシア |
「時代自体が違うっていうのは、私も考えましたけど…それって、レジャー施設ってことなんですか? 古代人も、ずいぶんおちゃめなことしますねぇ」 アリシアが軽く笑いながら言う。 「ふむ。古代人の滅んだ理由かぁ…そこも気になるとこやけど・・・。この遺跡自体はどういったものなんです? さっきのせんせーの話からすると、地下にあるし、そんな危険なものがあるわけでもなさそうですけど。」 |
アーネー |
アリシア< にこりと笑んで、アリシアの頭に手を乗せる。 「オーケーだ。そんな感じだろう」 後を続ける。 「一般的に考えられているものを挙げると、…… 古代人は本来、地底に住んでおり、酔狂で地上にも建築物を造った。 というものがまずひとつ。これは、先ほども触れたように、『現在発見される遺跡には、とても住居の性質が見られない』ため、否定できる。ドワーフの地底国を見たことがあるか? あそこを調べてみれば、ほんとうに“地底に適応した”住居というのがどういうものかがよく分かる。そこからすると、この説はナンセンスと言うほかない。この迷宮も、他の遺跡も、明らかに、“地上に適応した”文化を持つものが作った、“地下の建物”だ。 そしてもう一つ。 古代人は魔法で建築物を造っており、その魔法のおかげで、信じられないような大規模な迷宮を作ったりできた。その魔法が切れるとそれは消滅するため、地上には遺跡が発見できない。地下にあるものは魔法が切れにくく、よく形を残しているのである。 というものだ。確かに、古代人の残した物品の中には、魔法で、形を維持するような力を持つものがある。だが、お前も魔術を学んでいるなら当然知っていることだろうが(GM:アリシアも、当然のように知っています)…魔法で創造した物品でも、魔法が切れたからといって形を失うことはない。なぜなら、たとえ魔力で構成したものでも、その要素自体は自然に存在するからだ。魔法で樹木を作り、その魔法が切れたとしたら、そこには何の変哲もない樹木が存在するだけで、消滅するなどということはない。また、先ほどの理屈だと、現在地上に発見される遺跡の存在が矛盾してしまう。 最後に、お前がいったものだな。 じつは、わたしも以前はそう考えていた。 だが、遺跡を詳しく調べていくにつれて、どうも違うように思えてな。 そして、今はわたしは、こう考える。 まず、古代人の存在した時代を二つに分けよう。 前期は、古代人繁栄の時。 後期は、亡びの時。 繁栄の時、古代人が遊びや、別の緊急ではない用事で造ったものが、地下の迷宮や神殿だ。 そして亡びの時、何かが起こった。それは大規模な戦争かもしれないし、別の脅威かもしれない。創造竜の怒りに触れたのかもしれない。少なくとも、それによって、地上にあった古代人は滅んだ。 例外的に頑丈に造られた建物だけが残った。たとえば遺跡都市シューレスクや、各地に見られる“砦”型の建物だ。 どちらも、防衛機能が、現在でも強く働いている、あるいは働いていたものだから、それが幸いして形が残ったのだろう。 とすると、古代人を襲った脅威は、とてつもなく突然に訪れたか、それと分からないほどにゆっくりと訪れたかだが……これは置いておくとしよう。そして、どちらにしても、その脅威が、長く継続されたというのは推測できる」 と、そこまでをいって、アーネーは息をついた。 「……喉が渇いたな」 水袋を取り出し、軽くあおる。 |
アリシア |
「この意味がよーわからんのですけど・・・。思いつくものとしては、地上の遺跡の荒廃具合と・・・。」 あごに指を当てながらすこし考えるそぶりを見せる。 「地下の遺跡に関しては、迷宮というものが、外から来るものを拒む機能があると考えて、この時代の人間同士、もしくは、他の何かとの大規模な戦争があったと考えれそうやなぁ。地上を焼き尽くすほどの魔術とか、ありそうやし。それから逃れるための施設を、地面の下に作った。とかとか。」 「と、なると。地下に押し込められたといえなくもないし、この遺跡を造った人たちは、その戦争にまけてしもたってことなんやろか?」 「せんせー、こんくらいしかおもいつきませんよ〜。もったいぶらず、おしえてやー。」 前を行く師匠の裾を引っ張って、先を促す。 |
アーネー |
アーネーは、にやりとしてみせる。 立ち止まって振り返ってから、また歩き出す。 アリシア< 「それに答える前に、まず、現在、発見されている古代人の建造物についてあげてみるか。 1. 完全な状態で発見される建造物のほとんどは地下にある。 2. 地上に遺されている建造物のほとんどは廃墟であるか、痕跡しか残っていない。 3. そもそも、発見される数すらも少ない。 4. そのほとんどに、住居としての機能が見いだせる。 まずはこんなところか。 1については言うまでもないな。特に遺跡を探してまわる冒険者に対しての呼称が“アナグマ”というくらいだ。 2と3だが、少なくとも、現在の調査ではこうなっている。 では、次に、その“地下にある遺跡”についてだが、 1. たいていは迷宮である。 2. 迷宮でなければ、明らかな機能を持っている。 3. それが住居であることはないか、少なくとも、かれらにとっての住居と、現代の人族にとっての住居が、かけ離れたものである。 さて、これはどういうことを示すと思う? なんというか、わたしがどんなことを訊いているかも分からないくらいのことしか、挙げていないような気もするが……。 答えられなくてもいいんだが」 |
アリシア |
「そういえば、最初に、その魔法での建造に突っ込みを入れた説を発表したって言ってましたね」 体が壁に触れないように注意しながら師匠の後ろについていく。 「建造自体を魔法でやるんでなくて、劣化しない魔法を、建造後にかけた? それとも、その建造の魔法が発明されるまえの建築とか、時代が違うとか、そういうことはないんですか?」 |
GM |
ふとした拍子で崩れてしまうのではないか、という危惧を抱きそうなほど、通路の壁は老朽化していた。 そのような通路が、長く、長く延びている。 アーネーが講義をするような口調で言う。 「この遺跡はな、フランドル平原の地下に広がっているんだ。 見ての通り、古代人の遺跡にはあり得ないほど、古さが表に出てきている。古代人は魔法で家屋を建造した、という説があるし、実際、ちまたで発見されるほとんどの遺跡はそうだろう。痛みや、古さがなかなか分からない代物だ。だが、わたしが見てきた幾つかのものや、こいつは、そうではない」 |
アーネー |
アリシア< 「そうだな……」 少し考えてから、 「まあ、当初の目的通りに行くか」 言うや、「ライトクリスタル」の魔術を行い、明かりを呼び出した。 白く輝くひし形の水晶体が宙に具現化し、あたりを明るく照らし出す。 「こっちだ」 と、行き止まりでない二本の通路の内の一本を指し示す。 |
アリシア |
あたりをみまわすアリシア 「せんせー、どっちいくん??」 とりあえずは、師に従い後ろをついていく。 |
GM |
その場所は十字路の中心らしく、四本の道が闇の中に伸びていっている。 どれも、ほとんど瓦礫で埋まっているような趣だ。 相当、古い時代に造られたのだということがよく分かる。あちらの壁は傷んでひび割れ、漆喰は剥がれ落ちている。 よく見れば、道の二本は、途中で行き止まりになっている。 |