koto PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

シナリオ

「一つの争い」

国から降りてきた依頼、「オーク退治」。
オークとは、巨大な人型の豚のような魔物だ。
力が強く身体は大きいが、知恵も素早さも無い。
その魔物が、騎士王国シルヴァードの首都の近辺に住処を探してやってきたらしい。ミノックから追い払われてきた群れらしく、
相当消耗している事は間違い無いようだ。
冒険者達は、その群れを撃退するか、撃破するかしなければならない。
報酬は一人700ディ。頭の首を600ディ。群れを全滅させれば、裏を取った上でさらに一人300ディずつだという。
国から直接きた依頼であるから、報酬も破格だ。
やらない理由が何処にある?


 
GM


オークの頭を取り、更に群れを全滅させ、意気揚揚と彼等はイ=サードへと戻っていった。
犠牲という犠牲も出さずに、街に降りかかろうとしていた脅威を振り払った彼等の仕事は完璧だったといえよう。

シナリオ2終了!
それぞれ経験値2を得た!
700+300+600÷5=収入1120
カイ、シエラ、グレイルは1120ルディを得た!

舞台は騎士王国シルヴァード「竜追いギルド」へ戻ります。



 
冒険者インデイト


ALL<

「皆、治療の必要は無しか。
あまり長居をすることもあるまい。証拠を持って、街に戻るか…」



 
グレイル・ソリュ−ド


シャ・ラ<

「俺は大丈夫だ
特にひどい怪我をしているものもいないようだな」



 
カイ・フォーティラス


「えへへへへ〜〜〜」
頬を微妙に赤くそめて嬉しそうであり、どこか恥ずかしそうに笑う。


 
シエラ・バゼラード


(怪我・・・?)
シャ・ラに言われてシエラは自分の体を見まわしたり、
体を動かして調子をみている。
(怪我はしてないみたいだな)
と、彼女は確信した。


 
冒険者シャ・ラ


「終わったみたいね」
崖の上から降りてきて、安堵の息と共に告げる。

ALL<

「インデイトは今更だけど…、
カイちゃんもグレイルさんも、かなり戦えるのねー。
シエラも、これが初戦とは思えないくらいに冷静で、前途有望ねっ」
前髪をかきあげながら微笑む。
「怪我をしている人はいない?
手っ取り早く魔法で治すから、いたら言ってね」



 
シエラ・バゼラード


 戦闘は終了し、シエラはため息をついた。
(しんどい・・・・)
 彼女もある程度は戦った。しかし、カイやグレイル達に比べるとまだまだ力不足である。
(カイさんや、グレイルさんはいっぱい敵さん倒してたみたいだけど・・・、
私は補助までつけてもらって1体しか倒した記憶ないし・・・)
補助をつけてもらったことには感謝しているし、彼女が信じられている
証拠でもある。
(いつか、補助なしで敵さんを倒してみたいな)


 
GM…戦闘


ほんの一瞬の膠着状態。
それが破られたのはそれが訪れたのと同様に唐突だった。
「ウゴぉッ!」
カイの峻烈な側頭蹴りが、一体のオークのこめかみを貫く。どうと音を立てて倒れる魔物の背中を踏みつけにして飛び上がり、小柄な獣は宙を奔った。空中から身を回転させて、回し蹴りをもう一体に繰り出す。
頬を平手されたようにしてよろめくそのオークを尻目にして無傷の魔物に向き直り、その攻撃を掻い潜って中段に蹴り抜く。人間なら「水月」に当たる急所に爪先を打ち込まれて、唾液を吐いて倒れる。
倒れかかってきた巨体を避けるようにして横っ飛びに飛んだカイを、後方からのオークの豪腕が薙ぎ払う。
左に飛んだカイに対して、左向きに打ち込まれた殴打だ。衝撃は完全には弾けない。…それでも手痛い一撃であり、
カイはそのまま宙に流される。吹き飛びながらも手を伸ばし、地面を手で擦って、それでも側転の形を作って綺麗に受身を取る。
体勢を整えて向き直り、カイは跳ねる。
オークから向かって左へ、そして右へ。直角の軌道を描いて飛んだ少女の脚が伸び上がり、顎を打つ。綺麗な角度に、その飛び蹴りが刺し込まれた。

カイが相手取ったオークの三体目が倒れると同時に、インデイトが闘っていたオークも、絶命していた。

自分にはグレイルのような頑強な肉体は無い。
自分にはカイのような獣の力は無い。
シエラはそれを自覚していた。
そしてだからこそ、<上手く>立ち回る事の重要性を知っていた。
まだ未熟ながら、彼女も冒険者である。
誰よりも勇敢で、誰よりも計算高く、誰よりも見識豊かな人種だ。
「(一度でも喰らったら、立ち上がれないから…)」
第一に優先すべきは、攻撃を受けないこと。
「(でも、一度当てただけじゃ、倒せないから…)」
そして、とにかく的確に斬り込むこと。
一番の武器である素早さを活かして。
轟と音を立てて、オークが腕を打ち下ろしてくる。シエラは重心を後ろ足に動かしてその風を避ける。同時に、半身を前に戻しながらにバゼラードを突き出す。そして即座に残身を解いてオークの脇を擦り抜け、擦り抜けつつ短剣を滑らせる。二箇所の傷口から血が吹きだす。
声を上げ、背後を振り向いて攻撃を繰り出すオークだが、怒りに逆上していたオークはその死角を縫って、再び元の位置へ…つまり、今のオークの背後に…まわったシエラの姿は見えなかった。オークの首を、シエラのバゼラードが走る。頚動脈を断たれ、身悶えしてオークは倒れた。
「ふぅ…」
シャ・ラの魔法の援護が無ければ、ここまで容易にオークの身体を裂くことは出来なかっただろう。だが、それを置いても、彼女の戦い方は充分な水準を満たしていた。

ガンッ!
鉄と鉄がかみ合って激しい火花を散らす。
グレイルは舌を巻いた。ハーフオークの膂力は並ならぬものだ。
ハーフオークは舌打ちをする。この人間には、半端なフェイントも斬撃も通用しない。
グレイルが仕掛ければ、ハーフオークが受け止め、ハーフオークが強打を落とせば、グレイルは躱し、また、反撃をする。
突き、払い、殴る。
受け、避け、流す。
力と技が交錯する。

互いに、まるで攻撃が当たらないというわけではない。
いくつか、際どい場面もあった。
ハーフオークの斬撃を避けきれず、剣がグレイルの胸部へと打ちつけられた。だがこれは、グレイルが巧みに力点をずらしていたのと、彼が身に纏っていた鎧がその衝撃の多くを軽減していた為に、
大事に至らなかった。
むしろ、その攻撃で体勢が崩れて、彼の攻撃を受けきれずに肩部に裂傷を負ったハーフオークの方がダメージは大きかった。
そして…、その程度。
場は膠着していた。

安易にその釣り合いをずらそうとすれば、その者は手痛い教訓をその命によって得るだろう。だから、グレイルは待った。剣を振るい、剣を受けながら、冷静に周囲の状況を肌で調べながら。
グレイルは待った。が、オークたちの首領は待てなかった。
堅固な防御を突き崩すが為に、
全力を持って剣を振るわんが為に腕を溜める。
…そしてそれこそが、グレイルの待っていた<機>だった。
腕を下げ、下段から、切っ先をゆらりと押し上げる。身構えていたオークはその動きに過剰に反応した。自分の攻撃に神経を向けていたために、グレイルには半端な意識しか送れず、ために、その行動が偽攻であることを見抜けなかった。攻撃を中途で止め、防御の構えを作りかける。
…が、下段からの攻撃と、上段からの攻撃に対する防御の構えは、――無論のことだが――まるで異なる。
その防御が中途半端な形であるなら、尚更意味が無い。
「がっ!」
ハーフオークが苦悶の叫びを上げる。
彼の剣を掻い潜ったグレイルの上段からの斬撃が、その大腿部を切り裂いたのだ。
下段から上段へ送る偽攻、そして上段から返す下段への攻撃。
その軌道は弧を描いて往復し、三日月のように。
そして剣は、再び上段へ。
「はあぁっ!」
防御の崩れた相手に斬り上げ、そして斬り下げる。
ひゅっ、と呼気を吐いて、ハーフオークは血溜まりに伏した。
グレイルは剣を払って血を飛ばし、後ろ目に呟く。
「三日月から半月へ…、名を朧月。初級の技だ」
 

カイ:
>オーク三体を撃破!

シエラ:
>オーク一体を撃破!

グレイル:
「両手剣」攻撃1Hit!
「半月」→「三日月」…≪朧月≫Hit!
>ハーフオークを撃破!

《戦況》
カイ:
HP−12
57/69

グレイル:
HP−7
53/60

戦闘終了!


GM…戦闘


大地を揺るがすほどの咆哮がその広場へと轟いた。
オークをして驚嘆せしめるような声は、しかしただの大音声ではない。それならばむしろ彼等には「喧しい」という程度の効果しか及ぼすまい。
絞り出された声に漲る気迫、とでもいおうか。
それは戦意であり、殺意であった。
グレイルは吠え声を迸らせながら、一体の魔物に向けて突撃をかける。
コボルト。
哀れな獲物は足を竦ませ、
自らに降りてきた死の帳を阻む術を忘れていた。
ザッ、ザッ!
濡れた布を裂くような音が立て続けに起こる。
十分な勢いと重みの乗った刃に、犬頭鬼は寸断されて、転がった。
「怖れるな! 数で押し潰せ!!」
敵の指揮官であるハーフ・オークが命令を飛ばし、正気を保っていた何体かのオークやコボルトたちが、「無謀にも一人で戦いを挑んできた間抜け」に向かっていく。
その様子を見て取ったグレイルの口元に、
得たり、という笑みが浮かぶ。

「枷無き足もて渡る者。
自由なる者にして暴く者。
その手に握る不可視の刃を、
我が敵の、命絶つ為にこそ振るい抜け!」

詠唱は一瞬だった。
詠唱によって地獄絵図がもたらされたのもまた、一瞬だった。
風が場を包み込み、圧倒的な腕を以って掻き混ぜたのだ。
空気と空気が捻じれあい、切り裂きあった。
悲鳴と苦鳴は荒れ狂う風の音の前に掻き消され、魔物の肢体を紅の液体が覆い隠す。
シャ・ラが放った「荒れ狂う風<ウィンド・カッター>」の魔法の力だった。
暴力的なまでの結果を戦場にもたらした彼女の技だった。
が、まだ充分ではない。
風の魔法は気紛れで、一つの目的に対して、そう全力を向けはしない。
身体中を裂傷で飾りながらも、多くのオークの足は、まだしっかりと大地を踏みしめている。さすがに身体の小さなコボルトは、猛威に耐えられずにその全てが息を止めていたが。
そして、カイが出た。
嵐の中にも傷一つ負わずに剣を振るっていたグレイルの横を抜け、
一陣の風さながらに戦場を駆け抜けていく。
彼女が魔物と擦れ違うごとに、一つ、また一つと呻き声が上がっていく。
弱っていたとはいえども、生命力の豊富なオークを、カイは瞬き一つの間に二匹も屠っていた。
「起きろ、倒せ、蹴散らせ!」
ハーフ・オークの怒声が響く。
その声に応じる余裕のある者が、オークらしからぬ従順さで、グレイルとカイへと突き進む。
ガッ!
グレイルは、振るわれた棍棒を真正面から受け止めて弾き返す。防御のがら空きになった懐へ獅子の紋章の剣が突き立ち、その命を奪う。
カイは、鮮やかに二体の敵の攻撃を捌いていた。
大抵の場合においてその巨大な体躯を剣呑な武器として使用するオークは、今回はそれが仇にもなりうるのを知った。彼等にとって、身体の小柄なカイは目標とするには小さすぎたのだ。
横殴りの一撃をかいくぐり、相手の動きに合わせて突きを叩き込む。その小さな肉体からどうしてそれだけの威力のある攻撃を繰り出せるのか。オークは口から唾液を吐きながら倒れた。
一体に止めを刺し、返す刀でもう一体を切り伏せたグレイルはその様子を横目で見やり、自分の加勢が必要ない事を悟る。その間にも、カイは素早く相手の背後へと回りこんで、
急所の一つである膝の後ろへと強烈な蹴りを打ち込んだ。

一対一ならばオーク相手に遅れを取る事は無い二人だが、如何せんこの群れは数が多すぎる。何体かを減らしたとはいえ、まだ十体ものオークが残っている。
技というものが役に立たない間合いへと踏み込まれ、押し潰されれば彼等とて無事では済まない。
…だから、第三陣が出た。

「不浄なる者どもよ、裁きを!」
「…足手まといにはならない!」
曲刀を振りかざしてインデイトが切り裂き、
シエラの短剣が、魔物の急所を狙う。
一瞬の内に三体が倒れた。

予期せぬ波状攻撃にオークたちは完全に泡を食って、列を乱していた。
「ウウウッ、何なのだ、これは一体何なのだ!!」
ハーフ・オークが吠え、大剣を振るいながらグレイルへと走る。
火花を散らして、二つの剣が噛み合った。
(――重い…やはり、ただのオークとは違う!)
受け止めた斬撃の威力にグレイルは舌を巻く。ハーフ・オークも、
彼の攻撃をまともに相手に出来た者は滅多に見ないだけあって、驚愕の表情をしてみせる。
敵の指揮官の攻撃は力だけではなかった。そう卓越したものではないとはいえ技巧というものがあり、鋭い剣筋を見せている。
(侮れない、な…)

カイは、三体の敵と対峙していた。
機敏な彼女もさすがに攻めあぐね、半身に構えたまま相手の出方を窺っている。同じくオーク達も、この少女が外見からは及びも付かない殺戮の技の持ち主だという事を見にしみて解っている為に、安易に動くことは出来ず、立ち竦んでいる。
どうやって攻めるか…。
カイは、思考によらず、天性の戦闘本能によって戦術を構築していった。

シエラが相手にしていたのは、一体のオークだ。
血走って剥き出した目で睨みつけてくる魔物を見上げつつも、素早く視線を周囲に走らせる。それぞれに戦闘を展開している仲間達。インデイトもカイと同じく三体の敵を相手にしていた。つまり、援護は期待できないということだ。…自分だけで何とかしなければならない。
…いや。
シエラは、自分の手にした武器に淡い輝きが宿るのを見て取った。
(「光刃<マナ・エンチャント>」…、シャ・ラさんっ?)
一般的な援護の魔法だ。初級で、消耗も少ない。…だが、確実に相手を倒すのならば、魔法の矢でも炎でも放てば済む事。
それをあえてせず、
消耗の少ない援護の魔法を送ったということは、つまり…
(わたしを信頼してくれているって言うこと?
――だったら!)
シエラは決然と短剣を構え、魔物を睨みつけた。

カイ:
「格闘」攻撃4Hit!
>オーク三体を撃破!
>オーク一体にダメージ!

グレイル:
「虎襲」2Hit!
>コボルトを撃破!
敵全体の士気低下!
「両手剣」攻撃2Hit!
>オーク二体を撃破!

《戦況》
シエラ:
補助効果>攻撃力UP!

残存敵数八体
>ハーフ・オーク1
>オーク7

戦況の変化で行動方針の変更のある方は、ご投稿ください。



 
GM


グレイルの指示の下に、皆が布陣につく。
グレイルとカイが南側へ、インデイトとシエラが北側へ。そしてシャ・ラが崖の上に残り、戦場を全て見渡せる位置へと動く。
準備万端整ったのを確かめ…
グレイルは先陣を切った。


 
グレイル


全員をみまわして
「問題がないようならいこうか
相手が動き出したらまずいしな」



 
カイ・フォーティラス


カイは無言で頷く。


 
シエラ・バゼラード

グレイルの作戦は敵を2重3重に撹乱させてそこを叩くというものだった。
自分の考えていた作戦はイリュージョンを使って撹乱させて一気に突っ込むという作戦だったが、それでは自分が疲れてしまうし、後方の敵は冷静さを取り戻すだろう。
このためグレイルの作戦のほうが有効だとシエラは思った。

ALL<

「それでいきましょう」
と、静かに言った。



 
グレイル


「ひとつ思いついたんだが…」
地形や敵の配置を観察していたグレイルが、一つの提案を皆に話した。

ALL<

オークたちに向かって左側の崖を指差しながら、
「あそこから俺とカイが向かい、シャ・ラ、君は此処に待機する。
インデイトはあちらの――」と右側を示す。
「ぎりぎりオーク達から見えない場所で待機する。
シエラは彼の援護としてその後ろについて、全員の配置が終わったら、まず俺が飛び込んで撹乱する。
オーク達が俺の下に集まったら、シャ・ラが魔法を撃つ…出来るだけ範囲の大きいものがあればそれが良いな。
シャ・ラの魔法が終わったらカイが出て、
俺やカイに注意が集まった所で、インデイトとシエラが降りて、敵の後方を突く…。というのはどうだろうか?」
とうとうと自分の考えを話し、彼は皆の顔をぐるりと見回した。 



 
GM


それぞれに何かを思いながら、森を進んで行く。
三十分も歩いたろうか、不意に視界が開けた。

森が途切れた先は、ちょっとした小高い崖のように落ち込んでいる。
彼等は、崖の上からそっと見下ろす。
「あれは…」
シエラが息を呑む。
まさしく、オークの群れがそこにあった。
1、2、3…10、15。
十五匹のオークと、それから五匹のコボルト達。
彼等が集まるその中心に、オークやコボルトとも違う別の者がいた。
「ひと、かしら」
シャ・ラは首を捻った。
一見すると人のように見えるその生物は、しかし人にしては大柄でずんぐりとしている。身体は濃い体毛に覆われ、そして瞳はオークとは違う知性の光を持っていた。
「あいつが、シャ・ラの言っていたオークたちの首領かもしれないな」
「…おそらく、そうだろう。
あれはハーフ・オークだ」
グレイルに賛同の言葉を向けたのはインデイトだった。
「ハーフ・オーク?」
「ああ、不幸にもオークの子供を産んでしまった人間の子だ。
オークの筋力と人間の知性を持った、恐るべき敵。
魂は魔物と同じくするらしく、ほとんどが残忍で狡猾だ」
そのハーフ・オークは、配下の魔物たちに何事かを告げている。
彼らの集まる広場には生き生きと伸びた樹は無い。
代わりに、無惨に折れ砕かれた樹の残骸が至る所に転がっている。
おそらく、彼らの周囲だけには、森の清浄な空気はあるまい。その為に木々を破壊したのだろうとしれる。
再び怒りを沸き立たせるシエラに、シャ・ラが目を向けた。
グレイルは無言で敵の状況を見守っている。
そしてインデイトが口を開いた。
「どうする?」


赤:ハーフオーク 青:オーク 紫:コボルト 黒:冒険者

オークたちに向かって、崖の右端と左端の部分は、緩やかな坂になっているために、其処から降りていくことは簡単に出来そうだ。
ただし右側は、オークたちからはっきりと見える位置にある。
左側は崖が壁になっているため、オークたちに気取られずに降りることも可能だ。

「問題は、一つの、そして大きなものがある。
彼我の戦力差だ。こちらは五人、奴らは二十匹。
上手くやらねば、死人も出るだろう。
…どうする?」



 
シエラ・バゼラード


怒りと悲しみ、シエラの心はこの二つの要素でいっぱいになっていた。
が、シャ・ラが声をかけてくれたことで少し冷静さを取り戻したようだ。
微笑みながらシャ・ラにはいと答えると、シエラは深呼吸をし始めた。
(まだ・・・森は死んでいない・・・)
森は動きも喋りもしない・・・
だが、シエラには森が迎え入れてくれているような感覚を覚えた。
(空気がおいしい・・・・)爽快感がシエラを包む。
どこか懐かしい気持ちを抱いててくてくと歩いていくのだった。


 
冒険者シャ・ラ


密かに怒りを募らせているシエラの様子を横目で見て、頷く。
(仕方ないわよね)
自分たちエルフにとって、森は故郷のようなものだ。
実際に自分が生まれ育った場所ではなくても。理屈ではない。学者の間では、彼らの魂は森と強く結び付けられているのだと言われている。
理由なしに森には大きな義務感を覚えるのだ。

ALL<

「情報によると、もうすぐオークたちの巣窟ね」

カイ<

「戦いの準備は大丈夫?」
まあ、心配する必要は無いかな。そう思いながらも言った。

シエラ<

「戦いの前に余り緊張しないようにね」

グレイル<

「前線はお任せするわね。
頼りにしているわよ〜」
気楽に笑いながら告げる。



 
シエラ・バゼラード


木々が生い茂る。大自然を象徴させるであろう森の中。
シエラはこういうところが大好きなのだ、が所々森が荒らされているのを見ると心が痛む。
(なんで、こんなことするんだろう?)
森を荒らしてなんの得になるのか、彼女は理解できなかった.
時間が経つにつれ、
(・・・許さない。こんなことするなんて、万死に値する!!)
と、森を荒らした何かに激しい憎悪、怒りをおぼえた。


 
GM


シエラたち一行は、草原を抜けてようやく森へと辿り着いた。
「ここがカルマの森。
魔物より、野生の動物の方が多いわね」
大抵の森には聖浄な空気が漂っているから、それとは相反する性質の魔物には余り居心地はよくないのよ…と薀蓄を垂れるシャ・ラ。
「そうなんですかぁ」
「そうなのよ」
「といって、警戒は怠らないように。
…まあ、私やグレイル、カイが注意をしていれば大丈夫だろうがな」
などといった会話を交わしながら、五人は森の奥へと踏み込んでいく。
随所に、森の木々が折られたり荒らされたりしたものがあり、シャ・ラが眉をひそめる。「オークがここの辺りにいるっていうのは…間違い無いみたいね」

 
シエラ・バゼラード


シャ・ラ<

「了解で〜す」
と、出発の準備を始めた。
リュックを背負い一回伸びをする。そしてすこし頭を振った.
まだ眠気が覚めていないようだ。



 
冒険者シャ・ラ


グレイル&インデイト<

「そうね。
オークたちは、やっぱり誰かに率いられているのかも知れないわね。
そういう事があるのかは解らないけれど。でも、そうするとより一層の注意をして進んでいった方がいいわね。
勇将の下に弱卒無し。烏合の衆でも、
誰か有能な指揮官に統率されれば、恐ろしい軍隊になるもの」

カイ&シエラ<

「というわけで、進むわよ〜。
オーケイ?」



 
冒険者インデイト


グレイルの言葉に暫く考えて、シャ・ラの代わりに答える。

グレイル<

「…偵察か。
普通の野生の生物だったらおかしくは無いが…
相手はオークだろう?
奴らにそのような知恵も無い筈だ」



 
グレイル・ソリュード


シエラ<

「ああ、大事無い」

シャ・ラ<

「そうだな。
…相手側が偵察を出しているということは解った。
ところで、オークと言う魔物もそういったことをするのか?
そこまでの知能は無い生き物だと思っていたのだが」



 
シエラ・バゼラード


シャ・ラ<

「おかえりなさい・・・・。
なんでもないですから・・・心配しないでくださいね」
と元気なく答えて、

シャ・ラ&グレイル<

「戦ったみたいですが・・・、シャ・ラ達こそ大丈夫ですか?」
と心配そうな眼差しで二人を見つめる。



 
冒険者シャ・ラ


「ただいまーっ」
期間の挨拶をして、一人一人に声をかける。

シエラ<

「ただいま。
どうしたの?」

カイ<

「あら〜…暇そうね。ごめんね、遅くなって」
悪かった、という風に手を合わせてみせる。

偵察の成果を訊くインデイトに、「ええとね…」と、考える。

グレイル<

「成果はあったような無かったような…ねぇ?」
敵はいたけど…、と、グレイルに問い掛けます。
「あんまり、あったとはいえないかな?」



 
GM


インデイトがシエラを引き止めようとしたとき、彼女の目に、偵察から戻ってきた二人の姿が映った。どうやら何かしら戦いがあったらしい。
グレイルとシャ・ラは、殺気の残滓を纏っていた。


 
冒険者インデイト


カイ<

「気丈だな…
暇なのか、済まんな、もう少し待ってやってくれ」

シエラ<

「どうした?
……あまり一人で動くと危険だ」



 
シエラ・バゼラード


 シエラは暗闇の中に立っていた・・・。周りを見渡しても全て黒の一色。
踏み出そうとするも、自分はどのような位置に立っているのか全く分からない。
天地逆かもしれないし、方向もわからない・・・が、
(歩き出すしかない・・・)歩き出すシエラ。が、いつまでたっても闇は途絶えない。
 突然闇が明けた・・・。そこには故郷の村人達が手に武器を持って群がっていた。
殺気に満ち溢れた状況、自分を捨てただろう母親を呪う。
「幽霊はでていけ・・・」それだけを言って村人達が襲いかかってくる。

 (!!!)突然顔をあげる。辺りを見まわしてみる。
夢だと知れたのはあまり時間は必要でなかった。
(仲間がいる・・・)この事実はシエラにとって重要な事だった。
疲れた笑みを見せ、気づいた。手が汗ばんでいる。
苦笑しながら手をすり合わせた。
殺気は感じられないが、立ちあがり辺りを散策してみる。
気分転換したかったらしいし、目を覚ましたかったようだ。



 
カイ・フォーティラス


「うん、それは平気……だけどひまぁ〜〜〜」
一言ぼやく。


 
冒険者インデイト


二人が偵察に出て行ってから数分が経った。
インデイトは心配そうな様子も見せずに、ただ周囲に気を配っている。

シエラ<

「うん? ……眠っているのか。
かなり精神が太いのだな」
苦笑する。

カイ<

「治療はしたのか?
……いや、するまでも無いか?」



 
GM


グレイルとシャ・ラの二人は草原の中を進んで行く。
コボルト達がやってきた方向を注視しながら、身を低くして行った。


 
グレイル


シャ・ラ<

「ああ、コボルトがいた方向が可能性が高いだろうな
しかし、あまり離れすぎてもまずいからな
何もいる気配がなければ退きかえしたほうがいいだろう」



 
シエラ


シエラはグレイルとシャ・ラのやり取りをみていた。
(・・・どこいくのかな?)疑問のまなざしをおくる。
が、どこに行くにせよ自分は疲れている。
目線をそらし、ため息をついて叢に座り込む。
(・・・あの様子からすると・・・偵察するのかな?)
やり取りを思い出しながら検証する。
(けど・・・、疲れてるから・・・・)
睡魔がシエラを襲う。
そしてしばらくすると(zzzzz・・・・)彼女は完全に寝てしまった。


 
冒険者シャ・ラ


グレイル<

「じゃあ、いきましょう〜。
…で、どっちにいく?
やっぱり、コボルト達が来た方向を調べる?」



 
グレイル


シャ・ラ<

「ああ、勿論構わない。
それでは、行くか」



 
シエラ・バゼラード


「ふぅ・・・・」皆が来て警戒を解くシエラ。
シャ・ラの言葉に、「うん」と頷いて、魔術の詠唱をする。

「傷付けられ、失われた生命よ。
歯車を回し、一つの流れを源に還せ…」
腕の痛みが消えていく・・・・。自然と顔がほころぶ。
シエラの傷が完治しました。



 
冒険者シャ・ラ


破壊の魔法を行使した疲れが気だるかったが、それを振り払って、

インデイト<

「そうねー。
相手がオークとかコボルトだったら、わたしの方が合っているわね」

グレイル<

「わたしでも大丈夫?」

シエラ&カイ<

「まあ、どちらにしてもあなた達は少し休んでいた方がいいわよー。
二人とも出血くらいは止めておいた方がいいし、シエラはさっき魔法を使ったでしょ?
傷を魔法で癒して、暫く休んで疲れを取った方がいいと思うけど」



 
冒険者インデイト


僅かに刃毀れをしたサーベルを見て眉をひそめる。
(一段落ついたら、また研がなくてはな)
剣という物は、使えば使うほど傷む。こまめに手入れをしなければ、やたらな名剣でもすぐにボロボロになるのだ。手入れをしようがいずれそう遠くない先に使い物にならなくなるのだが、
少しでもその寿命は伸ばせるのだ。
(やれやれ)
考えている時に、グレイルが声をかけてきた。
暫く考えて、

グレイル<

「…いや、偵察ならば、この場合はシャ・ラの方が適任だろう。
どうだ、シャ・ラ?」



 
グレイル


グレイルは油断無く周囲を見回して他に敵はいない事を確認してから、やっと緊張を緩めた。懐から布を取り出してレオの刃を拭う。
(…それほど傷んではいないな)
もっとも、切れ味が勝負という長剣とは違って、彼の使うような大剣は、重さと速さで断ち切るという使い方をするのだから、傷んでいても、大して気にしなくてもいいのだが。
同じ様に剣を拭っているインデイトに、グレイルは提案した。

インデイト<

「この付近にオークの群れがあるという可能性もある。
偵察に行こうと思うのだが…」
同行しないかと訊ねた。



 
シエラ・バゼラード


戦闘が終了しても、少し警戒はしているようだ。
(第2陣がくるかもしれない・・・・)
が、警戒心を邪魔するものがあった、それは腕の痛みである。
痛む腕を見つめて・・・(・・・打撲かな?)あざになっている。
(骨折は・・・してないようだな)痛む腕を軽く押して確かめる。少々痛みが走るが、骨はあるようだ。
(これくらいなら、治療しなくても大丈夫かな、まだ先は長いし)
先の事を考えこの傷は我慢する事にした。
(魔法使ったけど・・・、そんなに疲れてないや)
彼女はこの戦闘での回復はしないつもりのようである。


 
GM:戦闘


無傷のコボルト二匹に、カイとシエラは向かっていった。
図としては、一対一のそれになっている。
カイは片方のコボルトに攻撃を仕掛けた。

カイ:
「格闘」攻撃Hit!>コボルトIにダメージ!

コボルトは呻き声を上げながらも、剣を持って反撃をした。

コボルトI:
斬撃1Hit!>カイにダメージ!

「っ…」
錆びた刃が、カイの胸元を浅く切り裂く。

カイ:HP−3

シエラはバゼラードを引き抜き、斬りかかった。
「はぁ!!」

シエラ:
「片手剣術」攻撃Hit!>コボルトJにダメージ!

シエラの斬撃は浅い。
腕を裂かれたコボルトは棍棒を振るい、少女に襲い掛かった。

コボルトJ:
殴打Hit!>シエラにダメージ!

「痛っ」
反射的に庇った腕に攻撃があたる。

シエラ:HP−5

続けて殴りかかろうとコボルトが棍棒を振りかぶった所に、
「無防備ね」

シャ・ラ:
「弓術」攻撃Hit!>コボルトJにダメージ!

弓を構えていたシャ・ラの矢が放たれ、胸元に突き刺さる。
悲鳴を上げて仰け反るコボルトに、シエラが再び攻撃を仕掛けた。
「はぁ!!」

シエラ:
「片手剣術」攻撃Hit!>コボルトにダメージ!撃破!

今度こそ、シエラの短剣はコボルトに深深と埋め込まれた。

カイは傷を受けながらも怯む事は無かった。
身を沈め、コボルトの懐に入り込む。
超近距離からの脛蹴り。よろめくコボルトのこめかみに立て続けに蹴りを打ち込んだ。

カイ:
「格闘」攻撃2Hit!>コボルトIにダメージ! 撃破!

コボルトは唾液を撒き散らして地に伏した。

グレイルが到着した頃には、既に決着がついていた。
振り向いてインデイトのほうを確認すると、彼もこちらへやってきている。
どうやら、敵の殲滅に成功したようだ。

戦闘終了!
カイ:
…HP−4
…MP−0
HP:65/69
MP:21/21

シエラ:
…HP−5
…MP−3
HP:14/19
MP:30/33

グレイル:
…HP−0
…MP−7
HP:60/60
MP:18/25



 
GM:戦闘


「……あの人に会うまで……こんな所で止まってられないのに」
カイは風によって消え去りそうなほど小さな声で呟いた。
そして、コボルトに向かって大きく大地を蹴る。
虚心のままのコボルトは、容易にカイの接近を許していた。
カイは、駆ける勢いをそのままにその横を抜け、抜けざまにコボルトの鳩尾に蹴りを突き込んだ。加減無しの衝撃がコボルトの身体を突き抜ける。

カイ:
「格闘」攻撃Hit! クリティカルヒット!(補足:我を失った敵に対する攻撃は、ほぼ確実にクリティカルとなります)
>コボルトGにダメージ! 撃破!

カイはくずおれるコボルトを確認もせず、次のコボルトに向かった。
振り向く勢いを乗せた裏拳が疾ったが、反射的に構えられたコボルとの盾に防がれて、カイの手に痛みを与えただけだった。

カイ:
「格闘」攻撃>コボルトH、「盾」防御成功!
カイ:HP−1

シエラには、時間は全て遅速で感じられた。
なにかが聞こえる…。雄たけび、怒号、獣の悲鳴…。
これは何を表しているのか
…戦闘…
その二語が頭の中で浮かび上がる。
その瞬間、シエラは敵であるコボルトを見つけた・・・。
(!?オークじゃない??)
どちらにしろ、敵は撃破しなければならない・・・。
シエラは行動した。
地を蹴って駆け出すカイを横目に、シエラは詠唱を開始する。

「眩く者、輝く者、虚ろなる者。
天の象徴にして天の王者。
…光よ、矢となって我が前の愚者を撃ち抜け!」

シエラ:マナ・アロー発動!>コボルトH

シエラの言葉に応じ、彼女の手前の空気が「色」を持った。
始めは薄い青。それが凝縮して蒼白い輝きの矢となる。
「私の心の中の光…、今こそ激しく輝き、目の前の敵を殲滅せよ!!」
輝きはバネに弾かれたように、コボルトへと疾った。
元々無防備だったにも関わらずカイの攻撃を反射的に受け止める事がで来たそのコボルトは、それで完全に幸運を使い果たしていたようだ。
盾がカイの拳を止めるために掲げられ、胴体は完全に空いていた。
そこへ、吸い込まれるように飛来した光の矢が命中する。
今度こそ、コボルトは悲鳴を上げた。

シエラ:
「魔術」マナ・アローHit! クリティカルヒット!
>コボルトHにダメージ! 撃破!

「…はぁ…」

シエラ:MP−3

シャ・ラは冷静に戦況を眺めていた。
こちらに向かってきたコボルトは四匹。
その内、二匹は一瞬にして倒されている。
残りの二匹はまだ硬直しているため、カイとシエラに任せていても支障はないはずだ。
シャ・ラは奥の戦場を覗くようにして見た。
向こうで健在な敵の数は、4匹。
(だったら、援護すべきはあちらね)
決めて、シャ・ラは、彼女が修得し状況に合致する魔法の名を、一瞬にして弾き出した。

「猛き、風に舞い上がる炎の小人達よ。
広き、その空に踊る激しき狩人達よ。
狩りの時間は来た、贄は其処にある。
来よ! 羽ばたきて燃え上がれ!」

シャ・ラ:マナ・エクスプロ−ド発動!

グレイルは、5mほど先の空気が急激に熱を持ったのを肌に感じた。
(魔法か!)
察知して、反射的に後ろに退く。カイやシエラ、シャ・ラが自分たちを巻き込むような魔法の使い方をしない事は知っていたし、巻き込まれたとても特異な自分の身体がそれで傷つく事は無いことも知ってはいたが、炎熱というものは、その恐怖を本能に語りかけてくるのだ。
やっと思い思いに武器を構えたコボルト達が自分たちに敵意の唸り声を向けてくる。周囲の空気が変化したことに気付いた様子は無い。
そして、気付いたとしてもそのときには遅かった。
赤い燐光が巻き起こり、コボルト達の中心に向かって集まり、一つの玉となる。玉となった光は、一瞬その身を震わせたかと思うと…、爆発した。
轟音が生まれ、コボルト達の苦鳴を掻き消した。
僅かに吹き付ける熱気は、しかし魔法的なものであったために、グレイルにはそよ風程度の影響も与えなかった。
しかし、コボルト達にとってはそれは死をもたらす愛撫に他ならない。

シャ・ラ:
「魔術」マナ・エクスプロ−ドHit!>
コボルトD、Eにダメージ!コボルトC、Eを撃破!

焼け跡に残るコボルト達は二匹、しかし彼等ももはや無視の息だ。
グレイルは頷き、カイたちの元へと向かった。


GM:戦闘


“先手必勝”という言葉がある。
闘いでは、まず先に手を出した方が勝利する、という事を表した言葉だ。
それは何故か?
先に相手に傷を負わせれば有利だからか?
いや、正確には違う。
先手を取られ、ダメージを受けたことによって相手がこちらに――こちらのペースに呑まれ、恐怖し、実力を発揮することが出来なるからなのだ。
グレイルは、その事を熟知していた。
そして、その効果をより高める事がどれだけ重要かという事も。
うぉおおおおおおおおおおっ!!
猛虎の如き雄叫びを上げ、グレイルは凍り付いているコボルトの群れに踊りかかった。燃え上がる獅子の紋章が刻まれた剣、レオを横薙にして一番手前にいたコボルトを叩き切る。
コボルトが慌てて剣を構えて防ごうとするが、間に合わず、斬撃をまともに受けた。

グレイル:
「両手剣:虎襲」攻撃Hit! クリティカルヒット!!
>コボルトAにダメージ! 撃破!

「虎襲」効果>
コボルトB、C、D、E、F、士気低下!!
カイ、シエラ、インデイト、士気上昇!!
グレイル:MP−7

コボルトは、斬られると言うよりその身を断たれ、崩れた。
グレイルはそちらを一瞥し、そして残りのコボルトたちに向かった。

(やはり、やるな)
目の端でグレイルを捉えて、インデイトは口の端を上げた。
(俺も負けるわけにはいかん)
インデイトはサーベルを構え、グレイルの方向に恐慌に陥っているコボルトに突きかかった。コボルトが攻撃されたと気付く隙すら与えず、インデイトの刃はその首に突き立っていた。
即座に引き抜き、そいつの後ろにいたコボルトに、今倒したばかりのコボルトを蹴り飛ばす。仲間の身体に押し倒されて、そのコボルトは哀れな悲鳴を上げた。

インデイト:
「片手剣」攻撃Hit! クリティカルヒット!!
>コボルトBにダメージ! 撃破!
「格闘」動作成功!
>コボルトCの行動にペナルティ!

カイたちの方向に逃げようとしていたコボルト達は、後方で恐ろしい吼え声と仲間たちの悲鳴とを聴いて、動きを止めた。
ちょうど、カイたちの目の前で恐慌したのだ。
彼女達の姿は見えている様子がなく、全くの無防備だった。



 
GM:グレイル・ソリュ―ド


グレイルのその鋭敏な感覚は、付近に、自分たちに敵意を持った何ものかがいる事を察知していた。
(少数、前方。…偵察か)
グレイルは自然さを装って、インデイトに近寄る。
「…?」
グレイルの表情を見て怪訝そうにしていたインデイトだが、グレイルがちらりと視線を気配の方にやって目配せすると、即座に意図を悟った。
(敵か)
(ああ。こちらから仕掛ける)
視線で意思をかわし、二人はそっと武器を抜いた。
ただならぬ雰囲気を見たシャ・ラは、シエラとカイに静かにしているように言い、グレイルたちに目を向けた。
グレイルは頷き、インデイトとともに、気配の発せられている地点へ、回り込むように分けて進む。
状況

見を低くして回り込みながら、グレイル達は配置についた。
叢を透かして敵の正体を探る。
風がそよいで、僅かに草を倒した。その拍子に敵の姿が目に入った。
(オーク? いや、違うな…)
自分たちと同じ様な体勢でゆっくりとシャ・ラ達がいる方向へと進んでいるのは、犬頭鬼…コボルトだった。
オークたちとは行動を共にすることも多い下級の魔物だ。
数は十体。グレイルの判断よりも多かった。どうやら、彼等も気配を鎮めるくらいはできるらしい。
武装をする知恵もあり、この一群もそれぞれ剣やボロボロの鎧を見につけている。といって、武術を修得しているわけもなく、武器もただ振り回してくるだけだ。それなりの実力のあるものなら、大した苦もなくあしらえるだろう。
(しかし、何故俺たちの存在が?)
偶然、狩猟に出ていたコボルトたちに発見されたという可能性も無論あるのだが、グレイルには何故かそうは思えなかった。
とまれ、今は目の前の敵を叩かなければならない。
グレイルは飛び上がるように立ち上がり、剣を振るって走り出した。
それに呼応して、向こう側からもインデイトが飛び出してくる。
挟まれた上の不意打ちを受け、コボルト達は恐慌状態に陥っている。
好機だった。
だが、その内の四体が逃げ出すように走り出した。向かう先は、シャ・ラやカイ、シエラのいる方向だ。襲い掛かるつもりなのではなく、ただ単に彼等の頭からは彼女達の存在が抜け落ちてしまっただけだろう。それは計算外だったが、
状況的には、包囲網に敵を包み込んだものになっている。

《戦闘突入》
カイ、シエラ、グレイル、シャ・ラ、インデイト
VSコボルト十体



 
冒険者シャ・ラ


カイ<

(遊ぶ…まぁ、休憩したいという風にとってもいいのよね?)

「はい、休憩するのが三票。インデイトは異論はないみたいだし、それじゃあ休憩しましょうか」
シャ・ラは、柔らかな草の布団の上に腰を下ろした。
風が吹いて、彼女の黄金色の髪を撫でていく。



 
カイ・フォーティラス


「私、遊びたい〜〜〜っ」
回りの木々で鳥が数羽飛びだってしまうぐらいの声。
と言ってもその声は人を不快にさせると言うより、耳と通り抜けていくような感じだ。


 
グレイル・ソリュード


「そうだな、あせる必要もないし休むか。
何より俺だけ装備が重くて歩き詰じゃ疲れるしな」
シャ・ラの言葉に応じて、グレイルが言う。
インデイトがその彼を見たが、その顔は台詞の割には緩んでいるので、おそらく冗談のつもりだろう。


 
冒険者シャ・ラ


「ん。休憩するに一票〜」
にっこり笑って指を一本立てる。

カイ&グレイル<

「他の人はどうしたい?」


 
シエラ・バゼラード


何かが頭に乗った。その時点では何が乗ったか分からなかったため、さほど集中はしていないようだが。すこし驚いたみたいで体がはねた。
そして、肩を張らないでいた方が楽という言葉に、

シャ・ラ<

「はい、わかりましたぁ。」
笑顔で従い深呼吸と肩をぐるぐるまわす。
(やっぱり、経験が大事なのね・・・・)
自分の経験のなさを呪う。
インデントの話に耳を傾けながら、
(オークって強いんだぁー)
自分はオークに勝てるのだろうか?すこし不安がよぎる。
(魔物はみな強い・・・・、侮るな・・・・)
武器屋のおじさんが言ってた事と重なる。
(侮ってはいけない・・・・)
そう自分に言い聞かせた。
カルマの森が見えてきた。
傾いた日を見て(夜までに終わってくれるかなぁ・・・・)
と不安の表情を見せる。
夜まで続いても半月なら問題ないのだが・・・・。
もし違う月だったら?
自分はどこまで戦闘できるだろうか。
そこで、「休憩にする?」とシャ・ラが言った。
シエラは少し考えて、

シャ・ラ<

「いぇ、そんなに疲れてないですけと、休憩はしたいです。」
今、シエラは不安でいっぱいな状態だ。オークへの恐怖、夜への恐怖。
なんとか気持ちを整えたい、そうシエラは思った。



 
冒険者シャ・ラ


インデイト<

(珍しく良く喋るのねー。説教好きだなんて、今の今まで知らなかった)
妙に感心して頷く。

前衛二人が話し込んでいる間に、道のりを大分進んだらしい。地平線の先に、木々の海がその先端を見せてきた。

ALL<

「あれがカルマの森ね、もうちょっとでゴール」
中天にあった日も僅かに角度を低くしている。
「誰か疲れた人はいる?
だったら、森に近付く前に休憩にしようか?」


 
冒険者インデイト


グレイル<

「ああ。侮らなければな。
しかしその事を肝に銘じて置かぬ、大抵の駆け出しの冒険者が、奴らによって命を散らされている。
オークは、その名前も外見も知られており、物語にも良く現れる。
大抵が、英雄たちによって蹴散らされる魔物の役だが…、現実は、そうではない。確かにそう強い魔物ではないし、知能程度も低い。だが、その怪力と狡猾さは充分脅威となりうる。だというのに、それを知らない駆け出し冒険者は、『所詮オーク』と侮って掛かる。だから、愚かにも真正面から奴らに戦いを挑んだ者が平らに潰されたり、逃げ出した振りをして回り込んできたオークに挟み撃ちにされた冒険者が全滅することもある」
インデイトはその事をグレイルに言うのではなく、後ろのカイやシエラに聴かせるつもりで言っていた。年配者の教訓…というようなものだ。
「それはオークにだけ言える事ではない。魔物にはすべからく通じることだ。いや、それにも限らない。人間相手、遺跡相手、全ての出来事において、慢心という物は、死へと通じる片道切符なのだ」
言い終わってからグレイルの目を見つめ、「申し訳ない。釈迦に説法というものだったな」口を閉ざした。



 
グレイル・ソリュード


インデイト<

「オークか…、話には聞いたことはあるが戦ったことはないな。
侮らなければ大丈夫だろう?」



 
冒険者シャ・ラ


カイ<

「えーと、んー…。
そうね、みんな好きなのは、いいわねー」

シエラ<

ぽむと何かに真剣になっていたシエラの頭に手を乗せる。
「まだそこまで集中しなくても大丈夫。
緊張って、張りつづけていると切れちゃうからね」
笑って、「肩を張らないでいた方が楽よ」シエラの髪を撫でた。


 
カイ・フォーティラス


シャ・ラ<

「る?………」



 
シエラ・バゼラード


「はぁ」
ため息一つ。
(そうだ・・・ここで戦闘するんだ・・・・。たそがれてる暇はないんだ)
と、自分に言い聞かせている。少し緊張してきたので深呼吸・・・・。
(空気がおいしぃー・・・・・)
心が洗われるような気分がした。
ちょうど良い緊張の中、すこし集中した。


 
冒険者シャ・ラ


カイの返答に、困ったように首を捻る。

カイ<

「うーん…、そういう意味じゃないのだけど…」
でもまあ、この年の子ならそんなものかとも思い、「まあいいか…」と小さく呟いた。



 
カイ・フォーティラス


シャ・ラ<

「好きな人?………みんな〜っ」
シャ・ラの問いに、元気よく大きく手を広げて答えるのであった。
一つ言えることはシャラの質問の意味を完全に別の形で捉えてしまってるのであろう。



 
冒険者シャ・ラ


(あ。悪い事を訊いちゃったかな)
思いながらも、問い返すのも悪いので、そ知らぬ振りをする。

カイ<

「じゃあ、カイちゃんはどう? 好きな人」



 
シエラ・バゼラード


シエラは青空が大好きである。
(こんないいところにオークが住んでいるのかぁー・・・羨ましいな)
と、呑気に思っていた。
そんな時シャ・ラから思わぬ事を言われた。

シャ・ラ<

「いませんよ。故郷にだっていままで好きになった人はいませんし、
おじさんとこにも、好きになった人はいません。」

と、即答する。故郷には嫌な思い出しかないシエラはまた青空に目を移した。
(故郷になんか私を好きになろうとする人なんていなかったんだ・・・・、みんな嫌ってたんだ・・・)
悲しくなったシエラだが、なんとか表情には出さないよう努力した.



 
冒険者インデイト


脇で賑やかに話すシャ・ラに困ったように眉根を寄せながら歩くインデイトは、付近に注意の視線を向けていたグレイルに声をかけた。

グレイル<

「あなたは、オークという魔物と…その群れと戦った事があるか?」
あの汚れた魔物と…と続ける。



 
カイ・フォーティラス


シャ・ラ<

「うん♪魔物退治しおわったらみんなでハイキングにこよ♪」
事実子供なので、別に気にもなってないらしい。



 
冒険者シャ・ラ


涼やかな空気に大きく伸びをして、シャ・ラは息を吐く。
「まるでハイキングみたいな趣よねー」
脇にいるカイに、

カイ<

「これで魔物がいないと判っていれば、のんびりと昼寝でもして過ごしたいものね」
ぽんぽんと頭を撫でながら、「ね」と微笑んでみせる。どうやら完全な子供扱いであるらしい。

シエラ<

「そういえば、シエラは好きな人とかはいないの?
魔物さえいなければここは逢引きにはちょうどいい場所よ」
悪戯っぽく笑って訊ねる。



 
GM


地理に詳しいシャ・ラ達を先頭にカイ、シエラ、グレイル達は、シルヴァード近郊の草原までやってきていた。
この草原を抜けてある「カルマの森」の内部に、オークたちの群れがあるらしい。時間はちょうど正午。日は高く昇り、暖かい日差を彼等に注いでいる。シルヴァードの近郊とは言え、この辺りには何故か魔物も生息しているので油断は出来ない。