PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

シナリオ
5
「三人の魔術師」


 
行方不明となった魔術師ハルークを探す冒険者シース。
彼の冒険仲間だったアシュレイは、彼を手伝って、ハルークを探すために、“ヒルキニーの墓所”へとやってきた。

(C) 鵜さん


 
GM

 アシュレイは周囲を調べてまわる。
 シースは部屋の扉の近くにたち、警戒する。
 ……。
 思い出したようにシースが補足する。
「そういえばここには本がたくさんありました。まるで図書館のようでした」
 彼のいうとおり、規則的に本棚が配置されていた。
 だが、落盤と地震でそれは無残なありさまになっている。本は散らばり書棚は岩に押しつぶされ、調査もなかなかままならない。
 それでも、例によって、階段へと続く通路は確保されている。

 
アシュレイ

「暗いな」
 ぽつりと呟くと、ハルークもしくは先行者が残した痕跡がないか、感覚を総動員して周囲を調べる。


 
GM

 広間の扉には、施錠がされていた。
 シースが鍵の前に屈み込み、鍵開けを試みる。
 …かちり。二分ほど経って、鍵が開く音がする。
「ふぅ…」
 シースが息を吐き、アシュレイを振り向いて言う、「では、開けますね」
 軋んだ音が耳障りに響き、闇の中に吸い込まれていく。
 中は広々としていて空気は冷たく、ランタンの灯りも重厚な闇の中で心細く、ささやかなものでしかなかった。
 部屋のほとんどに闇が蹲り、とても、中の様子は分からない。

 
アシュレイ


シース<

「そうだな」
 そう答えて、黙々と手当てをする。

 HP 66/66 完治!
 MP 42/54

「進むか?」



 
シース

 アシュレイと並んで息をつき、彼から薬を受け取ると、微笑む。
「ありがとうございます」
 荷物袋から包帯を取りだし、丁寧に手当てした。
「大した傷ではありません。アシュレイは、大丈夫ですか?」

 
アシュレイ

 ―やったか
 大きく息を吐き、同時に人の姿へと戻る。
 どうやら先に進めるようになった。
 あてどなく墓所を彷徨うよりは―と、先行者を追ってみたが、この先にハルークの行方を知る手掛かりはあるだろうか?
 この先に進むつもりだが、今更ながら考えずにもいられない。

シース<

「これを使え」
 シースが斬撃を受けていた事を思い出し、ポーションキュアを渡す。



 
戦闘

 アシュレイは、シースの穿った骸骨剣士の傷を見逃さず、大きく踏み込み、その頬に拳で痛打する。

  >アシュレイの殴打!
   <ボーンウォリアーは回避!
   >ボーンウォリアーに命中!
    >21ダメージ!

 一撃目を骸骨剣士は躱すも、立て続けに放たれた打撃を避けられず、たたらを踏んで地面に崩れ落ちる。
 
  <ボーンウォリアーの斬撃!
   >アシュレイは回避!
   >シースは回避!
  >シースの斬撃!
   >ボーンウォリアーに7ダメージ!

 地面に倒れた状態のまま、骸骨剣士は横薙ぎに剣を振るう。
 だが、アシュレイは跳ぶように、シースはまたぐようにしてそれを避け、さらに、シースはそこから剣を打ち下ろした。
 
  >アシュレイの蹴り!
   >ボーンウォリアーに命中!
    >17ダメージ!
   >ボーンウォリアーに命中!
    >10ダメージ!
     >撃破!

 そこから、アシュレイの痛烈な蹴撃を喰らい、骸骨剣士は派手に吹き飛んだ。後ろの扉に叩きつけられ、そのまま地面に倒れる。
 ―そして、動かなくなった。

アシュレイ
HP 66/88(66)
MP 37/54
 獣化…獣化時にMPが最大の一割減少。それ以後は十秒ごとに2D3(三面体のサイコロを二回振って出た目の和)減少していく。



 
戦闘

 互いの行動を妨げないよう、シースとは若干距離をとりながら、スケルトンに仕掛ける。
 間接部分を狙いたいところだが、的は小さい。難しそうだ。

 アシュレイは駆け出し、大剣を両手持ちにした赤い骸骨剣士に向かっていく。
 それまでは微動だにしなかった剣士は彼の姿を認めると、がしゃりと音をさせてアシュレイを迎え撃つ。

  >アシュレイの殴打!
   >ボーンウォリアーに命中!
    >19ダメージ!
   >ボーンウォリアーに命中!
    >21ダメージ!
  <ボーンウォリアーの斬撃!
   >アシュレイは回避!
  >シースの斬撃!
   <ボーンウォリアーは防御!
  <ボーンウォリアーの斬撃!
   <アシュレイに命中!
    <15ダメージ!
   <シースに命中!
    <18ダメージ!
   >アシュレイは回避!
  >アシュレイの蹴り!
   >ボーンウォリアーの『刃受け』!
    <アシュレイに7ダメージ!
  >シースの斬撃!
   >ボーンウォリアーに命中!
    >12ダメージ!
   >ボーンウォリアーの防具に弾かれた!

 一気に距離を詰めて、アシュレイは骸骨剣士に殴りかかる。
 が、がつ! 硬い骨の身体に二回、強烈な拳を叩き込む。
 骸骨剣士は痛みも感じていないらしく、体勢を整える動きも素早く、即座に斬り返す。それをアシュレイは跳び退って避けた。
 そこでシースが横合いから斬りかかる。刺突は通用しないと見て、レイピアでは使いづらい、刃を立てての攻撃だ。
 それを骸骨剣士は長大な剣の、長大な柄の部分を動かしただけで止めてみせる。
 そこから身を転じて、幅広の剣を大きく振り回す。凄まじい膂力で、アシュレイとシースをまとめて撫で斬りにしてのけた。
「くっ!」
 胸に浅い傷を受けながらも踏みとどまり、アシュレイが蹴り付ける。しかし骸骨剣士は彼を上回る速度を発揮して、その攻撃を剣で受けた。アシュレイは刃の部分を蹴り付けてしまう。
 シースが彼を補佐するように、骸骨剣士に回り込み、斬るというよりは叩きつけるようにして、剣を打ち込む。一撃目は骸骨剣士の頬骨を打ち付けてひびを入れたが、二撃目は骸骨剣士の鎧に滑らせ外してしまう。

 同じ戦術でいくか、それとも変更するか、投稿をお願いしますね。

アシュレイ
HP 66/88(66)
MP 42/54
 獣化…獣化時にMPが最大の一割減少。それ以後は十秒ごとに2D3(三面体のサイコロを二回振って出た目の和)減少していく。



 
シース

アシュレイ<

 今更ながらに圧倒されながら、シースは言う。
「では…行きましょう」



 
GM

 アシュレイは、そこで心を研ぎ澄まし、自分の魂の中にあるもうひとつの力…風渡る大草原を駆け抜けた、狼の魂に呼びかける。
 猛りとともに目覚める狼を抑え付けながら枷を外し、自由を与えていく。狼の魂がばね仕掛けのように弾けて全ての制約をこちらから奪おうとするのを強靭な意思力を以って制し、溢れさせる力のみを自由にする。
 狼の力はアシュレイのひとの身体に満ち、徐々に高まり、その限界へ達し――越える!
 狼の魂が人間の魂の皮一枚下で開放される。
 魂の変化が肉体の変化と直結する。刹那、彼の肉体が内から膨れ上がり、弾けんばかりに、獰猛な生命力がそこに生まれ出でた。野獣の、何よりも純粋で、何よりも高潔な力だ。獣の瞬発力と筋力を得たとき、彼は普段と比べ、戦士として一段階も上に行くことができる。
 そして今、その肉体は狼の毛皮に覆われ、その様相も狼のそれに酷似して、変わる。生命力に輝く縦長の獣の瞳には、野生とは裏腹の人の知性と意思がある。

アシュレイ
HP 88/88(66)
MP 49/54
 獣化…獣化時にMPが最大の一割減少。それ以後は十秒ごとに2D3(三面体のサイコロを二回振って出た目の和)減少していく。



 
アシュレイ

シース<

 無言で首肯して同意を示す。



 
シース

アシュレイ<

「ええ…。
 前回の調査ではここの扉以外に奥に進む手段は見つかりませんでしたし。…やりますか?」
 穏やかそうな顔に戦意をたぎらせて、シースは細剣を握った。



 
アシュレイ

(こいつは…なかなか凶悪そうだ)
 素直な感想だ。
 運良く剣をかい潜っても、鎖帷子と兜のおまけ付きでは、ダメージを与えるのも至難の業だ。
 しかし。

シース<

「あれをどかさなくては、先に進めないな」



 
GM

 中央の四本の通路、その左から二番目の道を北に向かって、アシュレイたちは進み始めた。何事もなく進み、中央の扉の前まで来た。

 そして、そこに立っていたのは、一体の骸骨剣士<ボーンウォーリアー>だった。
 魔術師が造り上げる下僕として知られるスケルトンとは、幾つも異なるところがあった。
 普通のスケルトンが持っているのは細い長剣だが、この剣士は長大な反り身の剣を両手に握っている。
 普通のスケルトンは武器と盾以外は身ひとつ(骨ひとつ)で現れるが、この剣士は鎖帷子と兜を纏っている。更に、普通のスケルトンはこうも鮮やかな真紅の色をしてはいない。

 ぽっかりと空いた眼窩に白光を灯し、真紅の骸骨剣士は扉の前に立って、ふたりを見据えていた。彼らの様子をうかがっているだけで、今のところは襲い掛かってくる気配はない。



 
シース

アシュレイ<

「ええ。――、」
 あとの言葉は飲み込んで、先に立って歩き始める。



 
アシュレイ

 シースの表情が微かに曇ったように見えて、アシュレイは気が咎めた。

シース<

「いや、ここを奥に進もう」
 そう言って、魔物の屍がある北に向う通路を示す。
 ここに来た時、辺りには熱気がたちこめているように感じられた。それほど時間は経っていないはずだ。
 途中、何者にも出会さなかった。一角狼を仕留めた者は、恐らくこの先に進んだのだろう。その人物がハルークだとは思えないが、手掛かりが得られるかもしれない。



 
シース

 きょとんとしながらも、素直に角を受け取る。

アシュレイ<

「そうですか…。
 ぼくも、ハルークがやったのではないか、と思っていたのですが…」
 彼がこの魔物を倒したのならば、少なくともそれまでは命があったということだ。だから、それに期待していたのだが。
 落胆の表情をなんとか隠しながら、
「では、どうしましょうか。
 予定どおり、南西の部屋を目指しましょうか?」



 
アシュレイ


 黙ってシースの話に耳を傾ける。
 ハルークがノースパール地方随一の実力者と聞いて、正直驚いた。大したものだ。
 この獣と戦ったのは彼かも知れないと思ったのだが、どうやら違うようだ。調べて
みたのだが、ここにも全く足跡がなかった。

シース<

「こいつを仕留めたのは、ハルークかも知れないと思ったんだが…」
 一角狼の角を物珍しそうにしげしげと眺める。残念ながら槍とは縁がない。
 シースに手渡す。
「違うようだ。ここにも全く足跡がない」



 
シース

アシュレイ<

「ああ、その角は、確かいい槍の材料になるんですよ。
 ミネアンの骨肉店に持っていけばそれなりの値段で売れますし、通常より安く槍に加工してもらえますよ」
 アシュレイの問いに、顎先に人差し指を当てて考え込む仕草をする。
「このノースパール地方ならば随一の実力があったはずです。
 さすがにイ=サードにまで行ってしまえば、彼よりも力のある魔術師は何人もいると思いますが…。使える魔法ですが…、ええと。
 ぼくは魔法についての知識は全くないのでよく分かりませんが――魔力の矢、雷撃、炎、初歩の攻撃系の魔法は全て修めたといっていましたね。爆裂の魔法も得意としていました」



 
アシュレイ


 攻撃魔法を使った跡だろうか。
 屈み込んで残骸を調べる。

 …。
 アシュレイは、なにやら細長く白っぽい棒めいたものを発見した。
 彼が見たところ、どうやら、この地方に生息する一角狼の角のようだった。
 「一角狼の角」を入手!

シース<

「ハルークはどんな攻撃魔法を持っているんだ?」
 攻撃魔法を使ったのはハルークかも知れないと思い、シースに尋ねてみる。



 
GM

 アシュレイたちは、一本道を歩き出した。
 途中、土砂が崩れたり、岩が転がっていたりしたが、入り口と同様に道が開かれており、進むのにはさほど苦ではなかった。
 シースの掲げるランタンに光に照らされる光景は凄惨だった。
 所々に、落盤の巻き添えを食った魔物の死体がある。
 錯乱して同士討ちでもしたのか、互いに喰らいついたまま息絶えているものもあった。
 …。
 T字路から左折し、右に曲がり角がある。
 そこへ来た時、アシュレイ達は異様なものを発見した。

 それは、始めは何かの生き物だったのだろう。
 ぼろぼろになった炭の残骸に紛れて、灰色の骨らしきものが見える。
 心なしか辺りには熱気がたちこめているように感じられる。
 石壁がこの辺りを中心に、3mほどの範囲に渡って焦げついているようだ。古いものではない。
 シースが、ここでまた首を傾げた。
「こんなものもありませんでした…」



 
シース

アシュレイ<

「はい。分かりました。一応、ぼくが先頭に立ちますね」



 
アシュレイ


 意外に広い。
 遺跡が崩れてくる状況で、ハルークは何処に逃れたのだろうか。

シース<

「近い所から順に。左下の小部屋から行こう」
 途中で魔術師の行方に繋がるものが見付かると良いが。



 
シース

アシュレイ<

「いえ、その前に」
 といって、懐から何か多きめの紙を取り出す。
 それを、アシュレイに示した。

「これは、ぼくたちが地下に降りる前に、ぼくが書いたものです。
 落盤でどう変わっているかは分かりませんが…。
 左上の『▽』が下に降りる階段です。
 真ん中のいちばん下が入り口、つまりぼくたちのいる場所です。
 右下と左下の小部屋は倉庫でした。左側二番目の部屋は、ぼくがかぎを開けられなかったのでは入れませんでした。
 右上の部屋は書庫でした。小さな書庫で、ヒルキニーもあまり大切なものは置いていなかったみたいですね。書物そのものは調べていません。いったん一通り探索してから調べるつもりでしたから…。
 左側は、入り口の扉『=』の鍵を開けられませんでした。
 …どちらから進みましょう」



 
アシュレイ


 これはいったいどういう事なのだろう。
(墓の主が招いているのかもな)

シース<

「まるで呼ばれているようだな」
 ぽつりと呟き、身振りで「先に進もう」と促した。



 
シース

アシュレイ<

「変ですね…。本当におかしい。
 閉じられていたはずの道が開かれていて、それなのに跡が何も無い……、一体、どういうことなんでしょう」



 
GM

 シースもアシュレイに倣って周囲を調べる。

 …。
 …。
 …。

 アシュレイは、しかし、特に何の痕跡も発見できなかった。



 
アシュレイ


 先んじた者がいるに違いない。
 無言で膝をつくと、地面に印を探す。
 人が歩けば足跡も臭いも残るものだ。

 
シース

アシュレイ<

「妙です。確かにここは埋まっていて、通る隙間も無かったはずなのに。僕が足止めされたのは、確かにここのはずです。
 その時は土砂だけじゃなくて、壁の残骸や何やらでふさがれていたんです」



 
GM

 アシュレイたちは、とりあえず遺跡の入り口へと入っていく。
 なかは荒れ果てた様相を呈している。
 綺麗に岩盤をくりぬいて造ってあった通路はそこれじゅうにひびがはいり、砕けている。あちらこちらに、岩盤に巻き込まれたのだろう魔物の死体が転がっていた。
 少し先に進むと、土砂が通路を塞ぐようにしている所に出る。
 土砂は2,3mほどの広さの通路の半ば以上を埋め立てているが、通れないほどではない。先へ進もうとして、アシュレイはシースが驚きの表情を浮かべている事に気が付いた。


 
アシュレイ


 なるほど、そうと知らなければ見逃してしまいそうな場所だ。
 荒らされないように―と、狙った効果であろうが、ひっそりとして寒々しい。
 遺跡が落盤で完全に塞がれてしまっていない事を祈った。

シース<

「内部に入り込める隙間があるかも知れない。探してみよう」



 
シース

アシュレイ<

「ここです…」
 洞穴の入り口を見つめ、そちらを指で示す。



 
GM

 ヒルキニーの墓所は、雪と岩山の間の中にひっそりと佇んでいた。
 雪と雪の間、入り口をぽっかりと開かせている。
 中には、信じられないほどの冷たさの空気が満ちていた。穴の中からひょうひょうと音を立てて、身を斬るような風が吹き出す。