憩いの広場で一人、焦慮の曲を奏でる詩人クロード。 彼が抱える問題は、「ただの難事」では済まないらしい。 彼は数々の冒険者の中に人を探り、諦めて来た。 そして、とうとう彼が希望を見出したのは3人の冒険者。 彼らはクロードに導かれて、静かな山荘へと訪れた。 果たして彼の問題とは、そして… 夢魔の宝石を以って夢魔に捕らわれたフォレスティのシーラ。 |
GM |
シエラの言葉に、一同は外に出てみることにした。 日差しが、今は早朝である事を告げている。 ここに来てから少なくとも一日は経過していたようだった。 外には、誰もいなかった。 彼は消えてしまったのか? 彼らが、無人の庵を背にして途方に暮れているところに、涼やかな声がした。 「ごめんなさい、驚かせてしまいましたね」 その腕にはいまだ眠ったままのシーラがいる。 「あなた方には、何から何までお世話をかけてしまいました」 大したことはできませんがと、彼が差し出したのは三個の鈴と、金貨の入った袋だった。袋には合計で3000ルディが入っているそうだ。 「この鈴は、わたしと、あなたがたの絆です」 彼のベルトにも下がっている鈴。“探訪者の鈴”とその名を教え、それから、そう彼は言った。 「この鈴を鳴らし、想って下さい。あなたがたにはわたしの居場所がわかります、わたしにもあなたがたの居場所がわかります。 最後に、もう一度、礼を言う。 「シエラさん、霧雨さん、ミネルヴァさん。ありがとうございました。 ----------≪シナリオ8≫----------
シエラ
霧雨
ミネルヴァ
「探訪者の鈴」を使用することで、三人は互いと、そしてクロードといつでも連絡をとることができます。非売品で、売却はできません。 |
シエラ・バゼラード |
(ぼー・・・・) 何も思わずにぼーっとしていたシエラは (!) 突然我にかえった。 (ど・・・どどどどど・・・) いま目の前に広がる風景と、夢魔の世界がシエラのなかで混同していた。 「こ・・・ここは・・・」 (そうか・・・、クロードさんの家だ・・・) 寝台から降りると、霧雨とミネルヴァを確認するように見た。 霧雨&クロード< 「・・・、クロードさんはきっと外にいると思います。」 |
GM |
部屋を出てみても、そこには誰もいない。 霧雨が見た食事の風景は、二度と、ここで再現される事はないのだろうか。 |
ミネルヴァ・ラ・ルーラ |
目を覚まして起き上がる。 シエラと霧雨を確認し、それからあたりを見回す。 ALL< 「どう……なったの? あの二人は…」 |
紫堂霧雨 |
気がついた矢先、霧雨はすぐ辺りを見回した。 (ここは…元の場所…?) 視界に空の寝台が入る。 (誰もいない…シーラは…?) 立ち上がり、空の寝台をじっと見る。 (まるで、すべてが夢のようだったな…) |
GM |
世界が乱れ、消えていく。 三人は自分の意識がどこかへと吸い込まれていくのを感じた。 気が付くと、そこは、あの庵だった。 |
クロード |
「私は…」 泣き笑いのような表情を三人に向ける。 「…。すみません。ありがとう」 最後にひとつ、お辞儀をした。 |
紫堂霧雨 |
クロード< 真っ直ぐクロードを見つめながら、ゆっくりを喋る。 |
シエラ・バゼラード |
クロード< 「あなたの存在は認められてもおかしくないはずです。」 |
クロード |
ミネルヴァの言葉にも動かなかったクロードの声が揺らぐ。 霧雨< 「ですが。 ALL< 「…シーラは、シーラは現実に生きる事ができるのです。私は、人間ではありません。私が姿をあらわせば、シーラは確かに私と共にいてくれるでしょう。…けれど、それは、本当に、正しい事なのでしょうか…? 「ミネルヴァさん、貴女は、私を認めてくれました、けれど…。この世界は私を認めるのでしょうか。私が、シーラを世界から切り離して、それは、許されるのでしょうか」 |
紫堂霧雨 |
「!?」 消えゆくクロードに驚きの表情を見せる。 「お前が消えたら…シーラは……シーラはどうするのだ…?お前がいなくては…また同じことの繰り返しだろう…!」 |
クロード |
ミネルヴァ< ミネルヴァの言葉に淡い笑顔を浮かべる。 |
ミネルヴァ・ラ・ルーラ |
クロード< 「すべては、夢……」 「この世界に居たくはない? |