PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

シナリオ

「戦士フリーダン」

ホルン歓楽隊という名の盗賊団を追っていた戦士フリーダン。
彼は、神聖王国ミノッツ近辺に、その盗賊団が来ている事を知り、急遽援助の冒険者を求め、盗賊団の通るであろう道筋へやって来た。


 
レナ・ラーカ・フォノエスタ

フリーダン、ムルクとの二人と別れその場に残ったレナ。
「さて………これからどうしようかな?」
そう呟き充ての無い旅が始まった。

 
戦士フリーダン

レナ<

「ああ、問題ない」
レナは彼に手当てをしようと思っていたが、既にフリーダン自身が手当てを終えた後だった。
「レナ、君の力添えのおかげで、奴らを殲滅することが出来た…
礼を言う。ありがとう」
剣を立てて、レナに一礼する。
「これは、約束の報酬だ。少ないが、受け取ってくれ」
言って、フリーダンはレナに、500ルディを渡した。
「また何かあったら、頼むかもしれない。君も、俺達で力になれる様な事が会ったら、ギルドに連絡してくれ。駆け付けよう」

レナは戦士フリーダン・“翼無き隼”ムルクとの面識・親交を得ました。

≪シナリオ9≫
成功終了



 
レナ・ラーカ・フォノエスタ

ムルク<

「あっ……はい、大丈夫です。心配してくださってありがとうございます。でも……フリーダンさんが……」

そう言ってレナはフリーダンの元に駆け出した。

フリーダン<

「大丈夫ですか?」



 
“翼無き隼”ムルク

レナ<

「ご苦労さん、傷は無いかい?」



 
レナ・ラーカ・フォノエスタ

「ふぅ…………」
戦い後…剣を地面に突き刺しそれにもたれかかりながら自分の緊張を解くような短い一息。
念のためまだ残党とか隠れているのがいきなり襲ってくるかもしれない「可能性」がゼロではないので完全に戦闘態勢を解いているわけではなかったが……………
それでも記憶にあるなかでは、初めての戦闘の勝利だった。

 
戦闘

「フリーダンさん……大丈夫?」
声を掛けて、レナは走り出した。

後は簡単だった。
フリーダンも傷の痛みを堪えて戦い、ムルクが魔術を叩き込む。
士気の瓦解した盗賊団はあっさりと全滅させられた。

≪戦闘中≫
レナ・ラーカ・フォノエスタ(PC)
戦士フリーダン(NPC)
“翼無き隼”ムルク(NPC)
vs
首領アーク
副首領シース
野盗×8
(自然生命/実体)

≪情報≫
戦場・大草原
属性・地1 水0 火0 風1 光1 闇1

≪状態≫
レナ:
肉体…完全
精神…完全
状態…完全
取得…
PP0.6
SP1.5
BP0.8



 
戦闘

レナは状況を見て取ると、身を沈め、横薙ぎにアークの足を払った。
「なっ!? うぉっ!」
アークは驚愕の声を上げて地面に転がった。
フリーダンがその隙を逃すべくも無い。
「冥府への階段を、降りて行け!」
胸元へ剣を突き下ろし、捻り込む。

ホルン歓楽隊の士気は瓦解した。
掃討するならば、今が好機だろう。

≪戦闘中≫
レナ・ラーカ・フォノエスタ(PC)
戦士フリーダン(NPC)
“翼無き隼”ムルク(NPC)
vs
首領アーク
副首領シース
野盗×8
(自然生命/実体)

≪情報≫
戦場・大草原
属性・地1 水0 火0 風1 光1 闇1

≪状態≫
レナ:
肉体…完全
精神…完全
状態…完全



 
戦闘

お…送るなんてどうやって……
と、レナは喉元まででかかった言葉を飲み込む。
今はそんなことを聞いているような余裕なんてない。
勝負は一瞬で決まる。隙を見せる。それは即敗北に繋がるのだ。
そして、レナは盗賊の方を見据えたまま、ムルクの問いに頷いた。

「地に這い、共に空より睥睨するものよ。
影、其は近にして遠なり」

ムルクは、レナの了解を取ると即座に詠唱をした。
素早く紡がれた魔術は、その名を<シャドウリープ>。
刹那、レナの足元の影が広がり、一瞬、彼女の身を包み込むとまた大地に沈む。レナの身体ごと、影は影の中に吸い込まれていった。
「頼んだぜ」
口の端に笑みを浮かべると、ムルクは周りの敵に向かった。
レナにやったのと同様にして、方位を抜け出して地点<C>に立つ。
「出来たら、一匹ずつ来てくれよ」
四人の敵を正面において、ムルクは拳を構える。

レナは、その大男の背後に立っていた。
男の背中越しに、苦痛を顔に浮かべるフリーダンが見える。
自分の背後には、十人弱の気配がある。
どうやら、自分は敵の群れの渦中に居るらしい。
そして、目の前には無防備な背中を曝け出す、敵の首領が居る。

「漆黒の縫い針となって、影よ、縛れ」

二人の影を、黒く小さな針が突き刺すと、その持ち主の身体はぴくりとも動かなくなる。
<シャドウニードル>だ。
襲い掛かってきた一人の攻撃を捌き、その腕を取ると、剣を向けて駆けてくるもう一人に向けて投げ飛ばす。
その一人は反射的にその身体を受け止めてしまい、二人はまとまって倒れた。そこへ、ムルクは高速詠唱を行い、俊足で魔術を紡ぎながら、指をその二人に差し向ける。

「無限の根源、真に純粋なる力。
影よ、我が牙となり、矢となれ」

伸べられた指さきに、闇が集中して球となり、球は膨れ上がって破裂する。破裂した破片は中で無数の矢となった。
その全てが、地面でもがく二人と、影を縛られて動けない二人へと襲い掛かる。

≪戦闘中≫
レナ・ラーカ・フォノエスタ(PC)
戦士フリーダン(NPC)
“翼無き隼”ムルク(NPC)
vs
首領アーク
副首領シース
野盗×8
(自然生命/実体)

≪情報≫
戦場・大草原
属性・地1 水0 火0 風1 光1 闇1

≪状態≫
レナ:
肉体…完全
精神…完全
状態…完全



 
戦闘

レナは姿勢を下げて、殆ど地面と平行になってを駆けて行く。
右手にはドラゴンテイル。左手には、セイントファング。
前と後ろからの不意打ちに、敵は恐慌に陥る。
レナは雌雄一刀の斬撃で、慌てる盗賊へと襲い掛かった。
目の前にはまず二人。
「何だぁッ!?」
剣呑な武装の子供に、ただでさえ混乱している盗賊は、まるで状況が理解出来ないようだった。
まず、右に一撃、翻って左に一撃。
どちらも深手では無い。
眼前の二人は正気に返ったようだった。

フリーダンは、アークと、副頭領の女、シースと戦っていた。
立ち位置を常に変えて、同時に複数の相手との闘いにならないように気を配りながらだ。その為に、一進一退の攻防が続くものの、どちらも部下たちに指示を出す暇が無い。
焦るシースの手元に、隙が出来る。
「其処!」
空かさず踏み込み、フリーダンは渾身の力をこめて剣を振り上げる。
振り上げた刃を返し、振り下ろし、最後に横に薙いだ。
「くはっ」
息を洩らし、血を吐いて、シースは倒れた。
「貴様あぁっ!!」
アークがいきり立ち、フリーダンへと猛攻を掛ける。
一撃、二撃、三撃…四撃!
前三撃までは凌いだものの、最後の攻撃を捌けず、フリーダンはまともに斬撃を喰らった。
「ぅぐ――」

レナは、一人目の打ち下ろした斧を半身ずらして躱し、左手の剣を突き出す。
「ぐあっ」
腹部に傷を負い、盗賊は地面に転がった。
その身体を越えて、レナは肩口から血を流す二人目に切りかかるが、それは剣で受け止められた。そこへ、手奥から援護がやって来る。手早く混乱から覚めた二人の野盗だ。
すかさず距離を取ろうとするが眼前の敵の妨害に合い、離れ切れない。
そこへ――
「よっこらせっと」
レナの足元から伸びた影から、不意にムルクが現れた。
影の中から、ひょいと、生まれてくるように。
呆気に取られる盗賊の一人を殴り倒すと、彼はレナと背中合わせに立った。そして、
「フリーダンの奴がちょっと危ない。
此処はおれが受け持つから、さくっと行って援護してやってくれ」
お前さんが了解したら、おれの方で向こうまで送ってやるからさ。
と、素早く告げる。



 
戦闘

「ホルン歓楽隊!
今日が貴様らの最後と心得てもらおう!」
身を潜めていたフリーダンが、盗賊団の前へと踊り出る。
驚いて身を竦める彼らの先頭に居る騎乗した二人組の元へと一気に突っ走る。
そして、片方の、女の方へと飛び上がり、剣を振り下ろす。
「くぁっ!」
女は肩口に刃を喰らい、落馬してうずくまる。
フリーダンは続けざまに攻撃して止めを刺そうとするが、脇に居た首領アークが割り込み、妨害された。
「貴様、何者だ!」
「ただの冒険者だ」
呟くように答え、フリーダンはアークと切り結び始める。
部下達がフリーダンの元へ詰め寄る。
そこで、「レナ! 後詰めを頼む!」
フリーダンは後退しながら合図を送った。

 
GM

レナ等三人は、それぞれで分担した位置に散った。
一人、岩陰に隠れているレナは、フリーダンの言葉を思い出す。
彼は地面に地図を描き、彼女にこう説明したのだ。

戦場予定図

「ホルン歓楽隊は、北からやってきて、南の道を進んでいく。
その際、この地点は必ず通らなくてはならない。
ここは、北と南が峡谷となっていて、峡谷の入り口は非常に狭く、人が三人並ぶのも困難だ。
俺たちの数は三人、大して奴らは十五人だ。
この戦力差で勝利を収めるならば、地の利を押さえ、奴らの人の和を乱す必要がある。
…その為に、まず第一に生まれる戦術は“指揮系統の破壊”だ。
頭領のアークには大人数を率いる素質など無く、実質は副頭領の女が握っている。だから、まずはこの女を叩く。
その上で、アークを倒す。すれば、奴らの士気は崩壊し、自然、その軍団性は瓦解するはずだ。そうしてから、後は各個撃破していけばいい」
そして、彼はそれぞれに位置を割り振った。
自身は「A」を、ムルクには「B」を、そしてレナに「C」を。
「まず、俺が奴らの正面から注意を惹きつける。
ある程度の雑魚が俺の元に殺到してから、レナ、お前が背後から急襲を掛けてくれ。その上で、ムルクに側面から派手に仕掛けてもらう。
皆、頼んだ」

戦闘前の準備は宜しいですか?



 
レナ・ラーカ・フォノエスタ

ムルク<

「はい、わかりました」
既に彼女の疑問は全て聞き、まだ微かに緊張……そして戦いの前への集中のため短く言葉を切った。
………それでもまだ普通より緊張しているように見えるのは否めない。
なにせ彼女の記憶上の実戦はこれが初めてだからだ。



 
“翼無き隼”ムルク

フリーダンの示唆を受け、頷く。
(内気な娘だな)
呟きながら、彼女に、

レナ<

「相手は……、そうだな。
数は15。多くなく少なくも無いといったところか。
この数がちょうど良いんだろう。
奴らは街は襲わない。そう、郊外の小さな村などを襲うのさ。
完全に皆殺しにして、あらゆる物を奪い尽くす。
反撃を受けないように、素早く的確に、殺し尽くす。
…。
奴らの頭領は、名をアークという。騎士崩れの男だ。
それに、参謀の女がいる。相当の切れ者らしく、奴らの作戦や運用はほぼ全てこの女がやっているようだな。
こいつらが首魁で、主力だ。
部下どもは大したことは無い。その辺りの野盗に毛が生えた程度の奴らさ。それが、13人」
淡々と告げ、そしてこれでいいか?
と問うた。



 
戦士フリーダン


ムルク<

レナの言葉を聞いて、ムルクに示唆するような視線を送る。



 
“翼無き隼”ムルク

レナ<

「ああ。まあ、気楽にな」



 
レナ・ラーカ・フォノエスタ

ムルク<

「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
まだ僅かに固い。

フリーダン<

「はい」
そう頷き次の言葉を紡ぐ。
「あの……相手の戦力って……どのくらい、ですか?」
実際見てきたムルクでなくフリーダンに……
この中でまだ一際子供の彼女にとってやはり、ここに来るまで一緒だったフリーダンの方が話し掛けやすいのは当然だった。



 
戦士フリーダン


ムルク<

「そうか……、判った。手筈通りに頼む」

レナ<

「聞いていたな。いよいよだ。
お前は、奴らの背後に周ってもらいたい。
俺は正面から、ムルクは側面から仕掛ける。
殆どは俺達が引き受けるつもりだが、間違い無くお前の方にもやってくるだろう。それを逃がさないように、頼むぞ」
そして、改めて、準備は出来ているんだな? と訊く。



 
“翼無き隼”ムルク

レナ<

「ああ、俺はムルク。“翼無き隼”なんて呼ぶ奴もいるけどな。
ムルクだけでいい。
ま、よろしく頼むぜ」

そして向き直り、

フリーダン<

「ま、なんて、のんびりしている場合じゃあねえな。
奴らが来た。後十分も経てばこの下の場所を通るだろうぜ」



 
レナ・ラーカ・フォノエスタ

いきなりの登場にレナは驚く。
しかし直ぐに気を取り直して―

ムルク<

「えっと、レナ…レナ・ラーカ・フォノエスタと言います」
と、フリーダンと最初に挨拶を交わしたように大きなお辞儀をした。

 そして、ムルクの言う結構な腕前か才能の…の言葉の部分に自分にはそんなものは全然ないと心の中で否定していた。



 
“翼無き隼”ムルク

男は黒い袖なしのシャツとぴったりとしたズボンだけを身に付けた、痩身の、それでいて引き締まった身体つきをしていた。
視線は細く尖っており、何処か猛禽めいたものを思わせる。年の頃は30前と言ったところか。フリーダンと同程度だろう。
彼は何時の間にかフリーダンの背後に立っていた。
レナがやや目を見開いて彼を見やり、その視線に気づいて、フリーダンも男が自分の背後に現れたことを悟る。
首だけで振り向いたフリーダンに、ムルクは口を開く。

フリーダン<

「ただの盗賊って言うのは、少し冷たすぎやしないか?」
音も無く現れ、そしてフリーダンの巨躯の後ろを取っていた彼はからかう様に言い、そして、すい、と彼の首筋を撫でながら脇を抜けレナの前に立つ。

レナ<

「へえ、お嬢さんが助っ人かい?
俺には判らんが、あの男が連れてきたって言うことは、結構な腕前か才能の持ち主なんだろうな」



 
戦士フリーダン


レナ<

「奴か。ただの盗賊さ。俺と同郷のな」
そう、同郷のだ…と呟き、続ける。
「どんな奴か知りたいのか?」
言ってから、そうだな…と考え込み、そして口を開く。
「あいつは――」
そこで、会話に闖入者が現れた。



 
レナ・ラーカ・フォノエスタ

フリーダン<

「はい………」
静かに頷く。緊張による高ぶりはあるが一番実力の発揮できるぐらいの緊張…むしろ丁度いいぐらいである。
「あの………ところで、その相方さんは?」
少し遠慮がちに聞く。
やはりどんな人か気にはなるようだ。



 
戦士フリーダン

「さて…」

レナ<

「俺の相棒と此処で待ち合わせをしている。
…来ていないということは、まだ奴らは遠くにいるということだが。
…準備は出来ているか」



 
GM

レナとフリーダンは、ミノッツとシルヴァードを繋ぐ間道を挟む岸壁の上に来ていた。夕暮れ時、赤い薄闇が周囲を包んでいる。
視界は良くない。
岸壁の下には森が広がっており、盗賊団が来てもすぐにそうとは判らないかも知れない。