PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

大魔術師王国イ=サード
ロトッカ地方の大国、自然を重んじる緑の国。
若王セイフレイが統治する。彼は緑色の賢王と呼ばれており、
その名に恥じない素晴らしい政を行っている。

:大魔術師王国 木のウロ亭:
 大魔術師王国の、市街区にある宿屋である。
 エルフの客を見込んだ主による宿屋の名称だったが、ウロ(穴)という部分が郷愁感を呼び起こすのか、ドワーフの客に人気がある。

投稿(件名…大魔術師王国 木のウロ亭)
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GM

 泉は、竜追いギルドに移動しました。


店主

泉<

「よっぽど腹が空いていたんだな、あんた」
 面白そうに笑う。その様子はまんざらでもなさそうだ。
「ああ。情報を探すだけにしても、何にしても、冒険者ならギルドには行ってみないとな。
 幸運を祈るよ」 



 テーブルに置かれたシチューを勢い込んで食べる。熱いので次から次へ口に運ぶと言うわけにはいかないが、それでも心地よい食物の感触が体の隅々に急速に染み渡っていく。「ああ、おいしい。」思わず感動の言葉が口をついて出てくる。

 しばらく、食べることに集中してティンバーと会話する余裕がなかった。ややあって、食べ終わり満足げに口を拭くとやっとティンバーに話しかける。

ティンバー<

「そうですよね。ギルドにいけば魔物の情報以外にもいろいろなことが聞けるかもしれません。もっと面白そうなことがあるかも。盗賊ギルトとかに関した情報も聞いてみたいし。」

 そそくさと席を立つと木のウロ亭の出口に向かう。

「お食事ありがとうございました。美味しかったです。では、機会があったら、また。」
 挨拶をして立ち去る。


店主

泉<

 腹の虫が立てる音を聴いて吹き出しそうになるが、すんでの所で隠しきる。くすくす笑い出しそうにしながら、鍋をかき混ぜている。
 泉の言葉を聞いて、
「ふん? あんた、もしかして冒険者かい。――ああ、そうか。確かに、そんなけったいな格好をしているんだから、冒険者かもしれないな」
 なにやら納得すると、出来上がったらしいシチューを器に盛って、泉の前に置く。
「熱いから、気を付けて食べろよ。
 ……魔物が出没していたってのは、取り立てて特定の場所っていうわけじゃないんだ。郊外には旅人も通らないような場所があって、そういうところには大抵、魔物の住処にも適したような死角がある。そういったところの付近に、たまに出ていたってわけさ。場所が特定されているわけでもないし、ひどい襲撃でも無い限りは、こちらからも探しに行ったりはしない。ある意味じゃ、共存していたわけだね。
 そうだなあ。でも、魔物の住処があるようなあたりに、住んでいる人はいるだろうし、そういう村落もありそうだ。大体、こういう情報に詳しいのは地元民だって相場が決まってる。
 望むなら、ギルドに行ってみりゃどうだい?
 依頼はなくってもね、この国のギルドにはあらゆる情報が集まってくるんだ。あんたの欲しい情報があるか……なくても、あんたの欲しい情報を教えてくれる人物の情報くらいならあるかもしれないな」



 漂ってきたシチューの匂いを感じて、ぐーっと大きな音でお腹がなる。ティンバーに聞こえたかもしれない。そう思うと恥ずかしくなって少しばかりばつが悪くなる。気を取り直すと、ティンバーに話しかける。

ティンバー<

「郊外で魔物の姿が減っているのですか、それは、えー・・・」

 そこまで言いかけて自分なりに色々と想像してみる。何かの目的で誰かが非公式な形で魔物を退治しているのか、それとも魔物自体が何かの意図で自ら姿を消しているのか、ちょっと調査して見るのも面白そうだな。食事が終わって少し休んだら、夜にまた行動を起こそう。

「魔物たちが頻繁に出没していた辺りって何処か教えてもらえますか?あとで、どうなっているか行ってみて調べてみようと思います。」


店主

泉<

「それはよかったよ。あんたみたいな綺麗な娘が調子を崩していたら、誰だって心配になる。
 腹が減ってるのか。それもそうだろうな。
 ちょっと待ってな。もうすぐ、シチューができるはずだ」
 いうと、手元にある鍋を示して見せる。
 確かに、先ほどからうまそうな匂いがそのあたりから発せられている。
「ふうん、イズミね。珍しい発音の名前だな。
 ぼくはティンバー。商売は、まあ、まずまずだね。どうにも、ドワーフばかり寄りついて、アテが外れた感はあるけどね」
 ははは、と笑う。
「変わったことか……どうだろうな。このあたり、といっても、都市の周辺じゃない。郊外でちらほら見かけられた魔物の姿が、めっきりとなくなったこととかかな。
 そりゃ、それはいいことだけどな。騎士団で討伐したわけでもないのにどこからもいなくなったっていうのは、少しばかり奇妙といえば奇妙だよ」



店主<

「ええ、おかげさまで元気になりました。今もリハビリを兼ねた外出から戻ったところです。ご心配かけました。」
 静かに頭をさげる。
「ところで、簡単で結構ですので食事を頂きたいのですけどお願いできるでしょうか?昨晩から何も食べていないのでお腹がペコペコなんです。」
 懇願するように店主の顔を見る。

 最寄のテーブルの店主が良く見える位置に座る。店主の働くしぐさなどを見ながら世間話を始める。

「改めまして、わたし、イズミって言います。ここは、木のウロ亭というのですね。商売の方は上手くいっていますか?それと近頃何か変わったこととかありませんか?」


店主

泉<

「ああ、あのお嬢さんか。もう出かけていたとはね。グルンマーキンのおっさんに引きずられてきたときには、完全に血の気の引いた真っ青な顔だったけど、大分、良くなったみたいじゃないか。もう、調子はいいのかい?」


GM

 彼女がいたときには仕入れに出ていたとかいう店主も、それは当然のことだろうが、今はこの宿に戻ってきているようだ。
 泉が声を掛けると、若い貧相な顔立ちの人間の男性が、振り返って彼女を見た。



 木のウロ亭の敷地まで戻り、店の扉を開けて中に入る。店内の広間の状況を把握するためにざっと中を見渡す。昨日までいたドワーフ達は、今日もまたいるだろうか?それより大事なことは店主がいるかどうかだ。今はお腹がすいているので何か食事を取りたい。店主に食事をお願いしよう。

 改めて店主らしき人を探して辺りを見回す。それらしき人がいたら側まで歩いて行き挨拶をする。
「こんにちは」


GM

「良かろう。では、ついてこい」
 カックスは頷いて、リゼルの先に立って歩き出した。
 シナリオ18「鍛冶師への道」


リゼル

 特に他に用事があるわけじゃない。
 それよりは一刻も早く鍛冶の技を習得したい。

カックス<

「はい。今すぐ修行を開始してください。
 こころの準備はできています」


カックス

 リゼルの様子に気が付いたようだったが、素知らぬ顔をしている。それから、顔をしかめた。

リゼル<

「師匠なんて呼び方はせんでいい。カックスと呼べ、それがわしの名前だ。その楯にも書いてあるだろう」
 楯について問われて、首を振る。
「お前がその楯を直すのは、わしがあれこれと仕込んでからだ。今の何も知らない状態でやらせても、まずくするだけだろう。
 わしの工房に来い。わしが認めるまで、そこで修練を積むんだ。……ま、お前さんの準備ができてからでいいが。
 別段、わしは急いでいない。
 一旦、修行に入ったら、わしは簡単にはお前さんを自由にはせんぞ。何か済ませたい用事とか、心の準備が必要だとかいうんなら、それをやってからにしておくんだな」


GM

楯<

 楯は、金属板を革で裏打ちして作ってある。大型の円形をしており、楯の裏側には握りが付いている。実戦では、この部分を持って扱うのだろう。その握りの目立たないところに、「カックス」という銘が意匠化されて刻み込まれているのが分かる。
 表には、細かいエッチング(装飾)がなされている。薔薇をかたどっているようだ。
 浅い縦長の刻み目と、同型のへこみができている。そのほかにも、随所に窪みや傷が付いている。
 とはいえ、どれもまだ、損傷というほどのものではない。一つや二つの小競り合いで、簡単に付いてしまうような傷だ。


リゼル

 カックスに弟子入りを了解してもらって、今までの緊張がふっと途切れてしまった。
 横を向いて少し涙ぐんでいる。
 しかし、その場の一同には判らないように楯を仔細に見ているようなしぐさをしている。
 その内気分が落ち着いてきて、本当に楯の状態を確認しだした。
 この楯をピカピカにしろとのことだが、先ほどのハルバードの打撃キズの他にどんな状態になっているのだろう。

カックス<

「はい。この楯をピカピカにするようにガンバッてみます。
 これからお師匠さんと呼ばせていただきます。
 さっそく、楯を直してみたいのですけど、今、ここでよろしいのでしょうか?」


グルンマーキン

泉<

「おうよ。
 おれは出かけるかも知らんし、出かけないかも知らん。
 だから、ま。もう会わんか、また会うときもあるか分からん。
 どっちにしても元気でな」 



 ドワーフと女性との肉弾戦を見て思わず気持ちが引き込まれてしまった。
 このままだとずっとここで事の成り行きを見ることになりそうだ。
 しかし、自分も城壁南の泉の場所に行かなければいけない。
 そろそろ意を決して出発する潮時だろう。

グルンマーキン<

「あのー、私、そろそろ城壁南の泉の所に行きます。」

 そう言って席を立って亭内から出て行く。

 泉は、「南の木立」に移動します。



カックス

 じろじろと見ていたが、最後にはもう一度、頷いた。

リゼル<

「いいだろう。
 始めに言っておくが、鍛冶は簡単なもんじゃないぞ。
 わしに弟子入りをしたがった人間は何人か知ってるが、どいつもこいつも途中で根を上げおった。まったく、面倒くさくない修練なんてものがあるわけないだろうに」
 答えてから、リゼルの言葉に顔をしかめた。
「モノンドとかいう奴か。ただのほら話かと思っていた。そんなことが本当にあるとは、信じられん。
 わしらはともかく、人間の前では言わん方がいいな」
 それから、頭を振った。
 楯を外し、リゼルに放る。
「持っておけ。
 そいつを直して見せろ。
 すぐにとは言わんが、わしは気が短い方だからな。手っ取り早く仕込んでいくつもりだ。だから、ま、ひと月後にはそいつを元通りのぴかぴかに修繕できるくらいにはなってみせろ。
 ドワーフの血を引いてるってんなら、できるだろう。
 でなけりゃ、いつ、弟子入りをなかったことにするかは分からんぞ」


リゼル

カックス<

「いかかでしょう? 力はある方だと思いますが。
 ・・・実を言えば、私にも皆さんと同じドワーフの血が半分くらい流れているようなのです。私、孤児なもので正確な所はわからないのですけれども。
 で、ドワーフの血を引いているならば、やはり鍛冶の技は身につけたいと強く思うようになりました。
 どうか宜しくお願いします。」

 ペコリっと頭を下げる。


カックス

「ふぅむ……」
 左手に装備したままの円楯を見やり、息をつく。

リゼル<

「腕力の方は問題ないな、武器の扱いも悪くない。
 ふむ」

 魅力判定:分類/求職・売り込み
  リゼル:+20% 成功!


 何事かを頷くと、そのまま、じろりとリゼルを見やっている。


GM

「ふぬっ」
 気合いに応えるように、ドワーフも全身に力を入れて衝撃に備える。

 命中判定:分類/静物 >ラウンドシールド
  リゼル:自動命中
   > ラウンドシールドに命中!
    > 13ダメージの「破損」!


 金属を金属が叩く、鈍く、高い、腹にずしりとくる音が響いた。同時に、風が動き、ばちりと火花が散る。
 しっかりと構えていたドワーフは小揺るぎもしなかったが、ショートハルバードの斧の部分が、円楯に、ややめり込んでいる。
 ラウンドシールドには縦長のへこみができていた。


リゼル

 ドワーフが構えている楯めがけて思い切り叩けということらしい。
 ちょっと危険な感じがするが武術の訓練としては初歩的なものとして何時もやっていたことだから問題ないだろう。
 武術の基本に忠実に行えば事故もないはずだ。

 やや横構え上段にハルバードを振り上げた体勢で適切な間合いを取り、左足を前に攻撃の態勢をとる。
 「やぁーっ」と気合をかけて右足を思いっきり踏み込み、丸楯の中央めがけてハルバードを振り下ろした。


グルンマーキン

泉<

「むろん、問題ないぜ」
 当然だ、という風に眉を上げる。
「ドワーフは、男も女も、みな鍛冶場で育てられるんだ。火の偉大さ、恐ろしさ、跳ね散る鉄の熱さを知りながらな。
 当然、ガキの頃から鎚の使い方も教え込まれる。
 自然、そこらの人間じゃ敵わないくらいの筋肉が付くのさ」 



 グルンマーキンというように自分はあまり大型の武器に扱い慣れていない。
 現在所持している武器も投擲用のものである。
 西の大陸にいた時は忍者刀の訓練をしたことがあるが、それもあの女性が所持している長物と比べるとかなり小さなものだ。
 その忍者刀も今は事情があって所持していない。
 いつか取り戻す機会もその内くるだろう。

グルンマーキン<

「ええ、あのような重そうなものは私扱ったことがありません。
 人間の女性にしてはかなり力の強い方ですね。
 ドワーフの女性でしたらあの長物を楽々と扱えるのでしょうか?」


カックス

「ほう」

 ドワーフは目を瞠り、僅かに声を漏らした。
 作業に集中しているリゼルは気が付かなかったかもしれないが、この気難しそうなドワーフに、少なからぬ感銘を与えることができたようだった。

リゼル<

「ふん、まあ、いいだろ。見る分には問題ない。
 次は――ちょっと待ってろ」
 言葉は無愛想に、演舞を中断させる。
 テーブルの下に置いてあったザックを探り、中から、鉄板貼りの大きな円盾を取りだした。
 それを片手に装着しながら立ち上がり、リゼルに相対する。
「どれ、思いっきりぶん殴ってこい。この楯目がけてな。
 今度は両手でいいぞ」


グルンマーキン

「あの小娘、弟子入りしたいとか言ってたな。
 カックス・ストーンスプリングにか。
 どうなるかね」
 誰にともなしに、ぶつぶつと呟いている。
 このドワーフは、その種族の性質からすると、饒舌な方かも知れなかった。

 と、リゼルがハルバードを振り回し始めるのをみて、「おう」と頷く。

泉<

「どうだい、あんた。
 あの娘っこ、なかなかのもんだぜ。人間にしちゃあ、ってところだが。あんたでも、あの娘っ子より丈はあるが、振り回されずにはいられないだろ?」


GM

 技能判定:分類/槍斧術・演舞(力業) *3
  リゼル:優秀な成功! 優秀な成功! 完全成功!


 リゼルは、片手だけで握ったハルバードを、武器に引っ張られることもなく、完全に扱いこなして見せた。



 ドワーフと女性との間で会話があり、女性の方が長物を振り回しはじめた。
 何が起ころうとしているのか良く判らないが、何かの試験だろうか?
 出来ればこの女性に声をかけて挨拶したいところだが、もう少し待ってからにした方が良さそうだ。
ことの成り行きを見ることにする。


リゼル

 ドワーフからじろじろ見られても気にしない。
 ここは落ち着いて友好的に振舞うのだ。
 片手でハルバートを振り回せと言うことなので、後ろに下がって左右を見回し立ち位置を定める。
 神妙な顔つきをして右手でハルバートを持ち、先ずは試すようにゆっくりと上下に振ってみせる。
 それから徐々にスピードをあげると、今度は左右に交差するように振ってみせる。
 かなり右手首に負担が掛かるが意識をしっかりと集中すれは大丈夫だ。
 ドワーフの反応はどうだろうか?
 作業に集中しておりドワーフの反応まで観察する余裕がない。


手入れをしているドワーフ

リゼル<

 眉をひそめ、顔をしかめて、じろじろと見る。
「鍛冶を教えてもらいたい、だと?
 弟子になりたいってことか?」
 上から、下まで、ゆっくりとリゼルを眺める。
 それから、手を伸ばしてリゼルの二の腕を掴む。
「ふむ」
 それから、リゼルが持っているハルバードを見る。
「そいつは、飾りじゃあなくて、問題なく扱えるんだな?
 できるんなら、ちょっと、振り回してみろ。両手じゃなくて、片手だ。できるか?」


リゼル

 ここはストレートにものを言うか、婉曲的にことを運ぶか思案のしどころだ。
 自分としては鍛冶の技を教えてもらいたいことは確かだ。
 でも、そんなことを簡単に教えてくれるとは思えない。
 一方、ドワーフの性格から鑑みて、つまらない時候の挨拶を連ねたところで所望の結果にたどり着くとも思えない。
 やはり、ここは一か八か自分の性格通りストレートに切り込んで行き、その後の話の展開に全てを賭けるか!
 今まで何時もそうやって運をつかんできたのだから。

手入れをしているドワーフ<

「すいません。お願いがあります!
 鍛冶の技を知っているのなら教えて欲しいのですが、お礼をどのようにお支払いすれば宜しいですか?
 とは言っても50Rdしか手持ちがありませんので、足りないのでしたらお金以外で私に出来ることを何でもします。」
 商談とも懇願とも取れる内容のことをさっぱりとした口調で述べて相手の反応を見る。
 好意的に受け入れてもらえると良いのだが、今はこれが精一杯の会話の切り出し方だ。



「そうですか、城壁を出て南に一時間ぐらいのところに・・・」

 そう反復しかけた時、リゼルと名のる女性が会話に入ってきた。
 あの長物*を持っている女性だ。
 何故だか真剣にドワーフの一人を見ている。
 ちょっと興味を引かれて、ことの成り行きを見守ることにする。

 *ハルバードはわりと一般的な武器で、それに細工を加えた武器であるショートハルバードも、それなりにポピュラーなものです。
 また、リゼルさんも、ショートハルバードの最高級品を持っているというわけではないようです。
 なので、業物→長物(長柄武器)と修正させて頂きました。



グルンマーキン

 また、新しい顔がやってきたのを見つける。
 女性が手入れをしているドワーフの席の方に行くのを見届けると、誰にいうともなしにいう。
「珍しいぜ。店主が見たら驚くな。
 ドワーフ以外の種族が二人もいる」


手入れをしているドワーフ

リゼル<

 道具に落としていた視線を上げ、新顔にちらりと目をやる。
「別に構わんぞ」
 答えて、また視線を落とす。


 そうやって、しばらく作業を続けてから、リゼルの視線に気が付いた。
 今度は顔を上げる。
「わしに何か用か?」


リゼル

 どうやら、ドワーフたちと人間の女性との間で自己紹介が始まったようだ。
 してみると、彼らも初対面と言うことになる。
 そうだ!
 この状況ならば同じ初対面の自分が彼らの中に闖入しても不自然ではない。

 それにドワーフの一人が手入れをしている道具は多分鍛冶用の道具だ。
 ひょっとすると鍛冶の技を持っているかもしれない。
 彼にアピールするように上手く彼らの中に入っていかなければならない。

ALL<

「こんにちわ〜」
 なるべく明るい調子で挨拶する。
「わたし、リゼルっていいます。
 わたしもここに座って宜しいですか?」
 鍛冶道具ようなものの手入れをしているドワーフの対面の位置に立って、それとなくショートハルバートを目立つように持つ。
 けっして威圧的にならないように気を配りながら。
 このショートハルバートに興味を示してくれれば会話のきっかけをつかむことが出来る。
 彼のドワーフをまじまじと見ながら反応を待つ。


GM

泉の挨拶<

 細工をしていたドワーフは、片目だけを彼女に向けて、ナイフを持った手を挙げて、応じてみせる。
 道具を熱心に手入れをしていたドワーフは、「おう」とだけ答えた。
 一般的に、他郷にいるドワーフは人馴染みしない生き物である。かれらが『喋る』のは、戦の場か、商談の席、酒を酌み交わしているときだろう。
 そのあたりは、泉の故郷である西の大陸でも、大して変わることはない。

瞑想の場所<

 グルンマーキンは首を捻り、二人のドワーフは手を止める。
 各々、考えていたようだったが。
「このあたりには、静かな場所はそりゃあいくらでもあるが」
 と、グルンマーキン。
「人が来ない場所だったら、まあ、ここから大体、一時間もあるがね。城壁を出て、南に行ってみな。
 小さな木立があって、ちょっとした泉がある。動物も水を飲みに来るし、近くには農場もないから、悪くないだろ」
 細工物をしていたドワーフも頷く。
「エルフの好みだが、ま、悪くはなかろう」
 道具の手入れをしていたドワーフはそのまま視線を戻し、作業を再開する。


グルンマーキン

泉<

「確かにあまり馴染みのない語感だな、イズミ、ね。言葉は流暢だが、北海王国の訛りがあるな。シリィンのあたりの生まれか?」
 北海王国とか、シリィンとか。泉には、この大陸のどこかにある場所の名前だと判断は付いたが、具体的には分からない。



 椅子を静かに引いて、ゆっくりと腰を下ろす。
 まだ、健常な状態ではないのを気にしているのだ。

グルンマーキン<

「そうですか・・・ご主人は留守ですか。
 それなら、ここで、ゆっくりと休養出来るってことですね。」
 わたし、イズミって言います。
 ここら辺では聞かない名前でしょう?」
 静かに微笑む。

他の二人のドワーフ<

「こんにちは、イズミです。
 宜しく、お願いします。」
 それぞれに対して、ゆっくりと挨拶する。
 何か一言ずつ返事が帰ってくることを期待している。

グルンマーキンと二人のドワーフ<

「皆さん、ここら辺には詳しいのですか?
 何か、こう、野原で静かに瞑想出来るような場所知りませんか?
 体力が回復するまで瞑想して過ごしたいのですが。
 出来れば、おとなしい動物とか小鳥とかがいる所があるとうれしいな。」


GM

会話<

 リゼルは、苦労もなく、ドワーフと人間の女性の会話を聞き取ることができた。
 二人とも特に声を抑えようとはしていないのだ。 


リゼル

 ちょっと躊躇したが、目立たないように他の人たちの話が聞けそうな、空いているテーブルに静かに腰掛けることにする。

 他の人たちの会話に耳をそばだてる。
 さて、どうやってこの中に入って行こうか?
 ドワーフがいることはわかった。
 彼らに話しかけるチャンスさえあれば・・


グルンマーキン

泉<

「おれは店主じゃないから、おれに断ることはないぞ。
 店主は仕入れに出てるからいない。
 ま、大丈夫だろ。あんたは療養中だっていう名目で休んでる。で、それを養っているこの宿には、ギルドから些少ながら礼が来る。つまり、あんたはれっきとした客だからな」


GM

周囲の人物<

 席にはドワーフが二人いるようだ。
 互いに近くの席にいながら、話はしていない。杯をテーブルに置き、それぞれ思い思いに時間を潰しているようだ。
 一人は木彫りの細工物を熱心にいじくっている。ナイフを使って彫り、削りとしている。
 もう一人は道具の手入れだった。専門知識のない泉には何に使うのかも分からないような小槌や、金属製のざるらしきもの、他にも色々と取り出しては布で磨いていたりする。
 あと、もう一人、なにやらひっそりと入ってきた人間の女性がいる。小柄ながらしっかりとした体つき。長柄武器を持っているのがやけに目立つ。



 この宿にしばらく逗留することが出来るらしい。ここは他の面々にも挨拶をして、おおざっぱに人物を把握するべきかもしれない。
 先ずは会話に入ってみようと思う。

グルンマーキン<

「ここに座ってもよろしいでしょうか?」

 テーブルの空いている席をそれとなく見て許可をもらうことにする。そして、他の人物を静かに観察し始めた。


GM

宿の中<

 幾つかの丸テーブルに、空っぽのカウンター。
 少しばかり手狭な部屋だ。
 テーブルには四人ばかりが座っている。
 三人がドワーフで、一人は人間の女性のようだ。


リゼル

 木のウロ亭と言う宿屋を見つけ出すのに多少苦労したが、何とかたどり着いて敷地の中に入って見る。

 鍛冶の技を教えてくれそうなドワーフはいるだろうか?
 期待に胸を弾ませて、宿の中を窺ってみる。


グルンマーキン

泉<

「病気や怪我が原因での療養は、竜追いの場合は無料になる。一応、この宿もギルドに登録されてるからな。
 別におれに断らなくても、休めばいいさ」
 もう一度、肩をすくめる。
「ずっと面倒を見るわけにもいかんし。
 おれも、旅から旅の身分だしな」



 確かにギルドの依頼で旅に出て後二人とパーティを組んでいたはずそれが途中で野営している時に何か光の玉みたいなものが出てきてあっ・・・そうだ。思い出した。
 して見ると、このグルンマーキンと名のるドワーフに助けられて、ここまで連れてこられたということか・・・何となく事態の脈絡がつかめたような気がする。

グルンマーキン<

「助けていただいたと言う事でしょうか?
 私、途中から記憶がないものですからお礼を申し上げます。どうも、ありがとうございました。」

 グルンマーキンに向かって、ゆっくりと頭をさげる。

「すいません。体力が回復するまで、もう少しここに置いていただけないでしょうか?」


グルンマーキン

泉<

「おれはグルンマーキン。旅の商人だ。
 ま、そりゃ、おれの顔も分からんだろうな」
 ドワーフらしからぬ軽薄な仕草で肩をすくめる。
「あんたは旅の途中でたちの悪い妖精に魅入られてたんだ。
 一緒にいたお仲間さん共々、おれが助けたんだ。お仲間さんは問題なかったが、あんたはしばらく動けなかったからな、それもおれが任された」
 損な役回りだ、まったく。
 ぼやくと、もう一度、肩をすくめた。



 ドワーフらしき人物が手を挙げている。知合いではないが親切にしてくれそうだ。

 彼と目を合わせて、挨拶をする。

ドワーフ<

「今日は。
 え・・・と、私はどうしてここに・・」
 そこまで言いかけて、相手の反応を覗ってみる。


GM

 階段を下りていくと、ちょっとしたざわめきが聞こえてくる。
 すぐ先は、ちょっとした広間になっているようだ。
 幾つか、丸テーブルが並んでいるのが分かる。その中の一つに腰を掛けていたドワーフが、彼女に気が付いて、手を挙げてみせる。
「目を覚ましたか。やれやれ、ようやくか」
 見覚えのない顔だ。



 このまま休んでいようか?
 それとも外へ出て状況を把握しようか?
 物憂い体調の中で暫く迷っていた。

 しかし、好奇心の方が勝って辺りを調べて見ることにした。

 廊下の突き当たりまで歩いていき階段を下りることにする。


GM

 扉はなんの問題もなく開いた。開いたままの窓から風が吹き込んできて、泉を追い抜き、廊下に向かって去っていく。

 細い廊下の両側に扉が並んでいる。二つ、三つ、四つ。扉が、廊下を挟んで四つ向かい合っている。
 自分のいる部屋は、その一番奥にあたるようだ。
 まっすぐに伸びた廊下の先には階段が見える。
 壁には何もかかっていない。寒さよけのタペストリはないし、住人の目を和ませるための調度品もない。質素な、木造の建物だ。



 寝台からゆっくりと身体を起こすとふらつく体に気を配りながら扉の所に歩いていく。

扉<

 開けて、外を観察する。


GM

 泉は、全身にひどい気怠さを感じている。
 頭も重く、感覚が普段の何分の一にも鈍くなっているのが分かる。

 そこは、やや古い感じのする一室だ。
 木造の小部屋で、自分が横になっているものも含め、寝台が二つばかり並んでいる。
 無機質で、調度品は何も置いてはいない。
 申し訳程度の粗末な掛け金(今は掛けられてはいない)のついた扉が、壁に張りついている。

 部屋の中には誰もいない。

 窓から、外の光と喧噪が入り込んできている。
 今は、どうやら昼頃のようだ。



 目が覚めて辺りを見回す。
 ここは何処だろう?
 意識がはっきりと戻ってくるにつれて先の冒険の記憶も戻ってくる。
 私は今何をすべきなのだろう?