PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

境界都市オウロ
霊峰サーマヴァーロフの山脈にある、北と南の唯一の陸路を支配する国の首都。
有能な狩人たちが多く、彼らからなる野伏部隊は、山地での戦いなら大陸で最強といわれる。

:境界都市 竜追いギルド:
 境界都市オウロに設立されている竜追いギルド。
 この辺りでの問題事は、狩人の営舎に所属する野伏たちが修行代わりに片付けてしまうため、扱っているのは情報ばかりだ。
 たまに、国の機関では動けないような事件が転がり込んでくる事がある。
投稿(件名…境界都市 竜追いギルド)
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ギルド張り紙



GM

 ラウスたちは、サインに従って、合流場所へと向かっていった。
 シナリオ17へ


ラウス

 ラウスは、エムリの言葉に頷くとサインへと向き直った。

サイン<

「ええ、それでは行きましょうか」


サイン

「あー、では、もうよろしいかな?」
 少しばかり退屈そうな顔をして待っていたサインが、誰にともなく言う。

ラウス<

「では、ご案内するが?」


GM

ラウス<

-15Rd

フィック<

-30Rd

エムリ<

-20Rd

ワイン(一瓶・アストリア産・赤)
塩(小袋一つ・粗塩)
油(一瓶・植物油)
 入手!


ロウファ

エムリ<

「はい、確かに」
 ほほえんで、取引を完了させる。


フィック

ラウス<

 取り出された硬貨をありがたそうに受け取る。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。借り逃げも夜逃げもしないってば。
 この仕事が終わったらすぐに返すから、な」

フィック<

 こちらの硬貨も大仰にぺこぺこしながら受け取って。
「うーん、カミサマとか、あまり真面目に祈ってないんだよなぁ、ここだけの話。ま、でも必要となったらいつでもやるよ。
 恩を仇で返しちゃいけねぇものな」
 笑いながら答える。

ギルド員<

「と、いうわけで。借りたのとあわせて足りるはずなんだけど」
 借りた硬貨と元から持っていた硬貨をあわせて差し出す。


フィック

ラウス<

「ありがとうございます」
 にこっと笑って、同様にエムリに向き直る。

エムリ<

「私は利子は取りませんが、その代わり神への奉仕を要求するかも知れません。お気をつけて」
 冗談っぽくいいながら、お金を渡す。


ラウス

フィック<

「ああ、15Rdだね」
 言うとラウスは荷物の中から指先だけであたりをつけると、数枚の硬貨をとりだした。

エムリ<

「はい、貸しておくよ。ただし、僕は商売人だからね。高くつくのが嫌なら早めに返すことをおすすめするよ」
 と、ラウスは言って悪戯っぽく笑った。


フィック

エムリ<

「45Rdですね、少しお待ちください」
 自分の手持ちを確認する。
 それから、少し考えている。

ラウス<

「いえ、大丈夫です。……あ、でも、じゃあ、ラウスさんに余裕があるなら、15Rdだけお願いしてもよろしいですか?」



ラウス

エムリ<

「へえ、小道具ねえ」
 何に使うのか興味津々といった風に、エムリの買った品をみる。
「もしかしてさっきいってた錬金術というヤツかな?」

フィック<

「手持ちはあるかい。なんだったら僕が出してもいいけど」
 好奇心が刺激されたのか、ラウスはそんなことを言い出した。



エムリ

サイン<

「あ、すぐに終わらせるんで、ちょっと待って、な」
 頭をかきながら答える。
「ちなみにこれは料理じゃなくておれの小道具ー」

ギルド員<

「うわっ、塩、思ったより高いなぁ」
 そこまで言ってしばらく考え。
「えーと、じゃあおれの方から20出して……」

フィック<

「ってわけで、45程貸してくれないかな、いやほんと。
 駄目なら塩とワインの分だけの5Rdだけでもいいからさ」
両手を合わせて上目遣いで頼んでみる。


サイン

エムリ<

 今さら食材の購入だろうか、と、まじまじと見ている。
 それから、
「もうよろしいかな?」
 と、催促するようにいった。


ロウファ

エムリ<

「おや、料理にでもお使いでしょうか?」
 首を傾げながらも、奥から希望のものを持ってくる。
 それをテーブルの上に置いた。
 ワインを一瓶と、油の大瓶、塩の袋一つ。

「20Rdとなると……うーん、どれくらいでしょうかねぇ。
 ここは海からも離れているので、塩は高価なんですよね」

 とりあえず、順繰りに値段を挙げていく。

ワイン<

「これは、一瓶15Rdくらいでしょうね。
 アストリア産の赤ワインです」
 アストリアとは、境界都市から七日ほど山道を進んだ場所の町の名前であり、その一帯の名前だ。
 ちなみに、ワイン一瓶で720mlは入る。

油<

「ここでは、盗賊が使うような特殊な油はありません。これは、植物の実から取った、調理用の油ですね。
 さすがにこのままお売りするわけにはいきませんから、そうですね、ワインの空き瓶に一本分の油で、40Rdではいかがでしょうか」

塩<

「塩はちょっと、このあたりでは高くつきますよ。
 小袋一つ分の塩で10Rd」
 この小袋には、大体100mlは入るだろう。

空き瓶<

「空き瓶なら、ワインのものが何本かありますね。
 もうちょっと小振りのものも幾つか。
 ワインの空き瓶は一本3Rdで、小瓶は2Rd。
 どれくらいご入り用でしょうか?」
 その小瓶には、300mlほどは入りそうだ。
「他にもございますよ。
 革袋、水袋、これらは冒険用ですね」
 どちらとも、ある程度の大きさと頑丈さはありそうだ。
(それぞれ、「重量5 容量3」まで。
 ちなみに、水が100mlで、容量0.1ほどです)

エムリ<

「さて、どれくらいお買いあげになります?
 20Rdまでとなると、だいぶ少なくなってしまいますので、……フィックさんが代わりに、ということになるのでしょうか?」


エムリ

サイン<

「いやぁ、そこまで言われると後でミスばっかした時が怖いなぁ」
 おどけた様に笑う。
(……つーか、詐欺だーって言われねぇように頑張んなきゃね、おれ)

フィック<

「あ、ありがてぇ! 手持ちが足りなかったら頼むな」
 そう行って物品の置かれた一角に歩いていく。

ギルド員<

「それじゃ、ワイン一本と油と塩幾ばくか……ってここに置いてあるか分からないけどさー。空き瓶もあるといいなぁ。
 20Rdで足りる量があれば、それが欲しいな。
 足りなかったらあっちの兄ちゃんから借りるってことで」
 どう考えても冒険につかわなそうなアイテムを注文した。


フィック

エムリ<

「エムリさんは買い物は大丈夫ですか?
 欲しいものはあるけどお金に余裕がないとかでしたら、少しだけならばお貸しできますよ」


GM

 ラウスは、ダート(*5)とスローイングダガー(*2)を一割引きの51Rdで購入した。
 フィックは、フラグランスポーション(*2)を一割引きの144Rdで購入した。


フィック

サイン<

「いいえ、私はまだまだ未熟です。
 神の寵愛を賜わりましたのも、さらに精進せよとのことで、今の私が認められているというものではないでしょう」
 胸元のシンボルを手で触る。
「こちらこそ、お願いします」

買い物<

「私は……どうしようかな」
 あれこれ見て、決める。
 フラグランスポーションを買うことにした。

サイン<

「これで私の準備は大丈夫です」


ラウス

エムリ<

 多少、魔法の心得のあるラウスは、魔法の腕はエムリの方が上らしいと気付き、へえ、と少し感心したような表情をエムリに向けた。

エムリ&フィック<

「用意はいいかい? ちょっとしたものならここで購入できるよ」
 言いながら物品の積まれたギルドの一角を指差す。ラウス自身も、いくつか物品を手にとっている。

サイン<

 買ったばかりの武器を身につけると、ラウスはそれを一通り確認した。
「僕のほうはこれでOKです」


サイン

エムリ<

 得心がいった、という風に大きく頷いた。
「そうか、ハーフリングか。話では知っていたが、実際に会うのは初めてだ。その多くは、外見は子供でも、見た目以上の年齢を重ねているとか。なるほど」
 そして、破顔する。
「錬金術については分からんが、経験を積んだ魔術師が味方にいるのは心強い。
 同時に、密偵としても動けるのならばいうことはない」

フィック<

「君は使徒か。神の奇跡を賜ることができるのならば、その若さで強い信仰心を持っているのだな。
 私は戦神を信仰しているが、祈りの力を扱えた試しはない。
 よろしく頼む」

ラウス<

「喜んで、仲間として迎えさせて頂こう。ラウスくん」

ALL<

「遅れたが、自己紹介をさせて頂こう。
 私はサイン。ただのサインだ。
 過去には騎士だったが、爵位も領地もない。
 今回は、私が、野盗討伐の指揮を執ることになっている。基本的には、他のものより年かさであるという理由でだ。
 これから、君たちと同じ志願者の元へ案内しようと思うのだが、準備はよろしいかな?」


エムリ

「始めまして、旦那。志願者Aのエムリ=アスパポットでーす」
 と、手を大きく振りながらカウンターの方に居るサイン氏の元へ近づいていく。
 若すぎないかとの言葉には
「確かにおれは見た目は子供だろーなぁ。どう間違えても30過ぎの色っぽい姉ちゃんには見えないだろうし」
 そこまで呟いてから、一息区切って。
「でもコレでもウン十年間師匠の下で魔術と錬金術を学んできたし、ちょっとした魔術と薬の扱い方なら心得てるつもりさね。まやかしの技とか、眠りの雲とか、作れるほうだったら回復薬とか、動く石とか」
 指を折りながら自分のレパートリーを挙げて売込みにかかる。
「それにこう見えてもハーフリングのハシクレ。指先技にもけっこー自信が有るんだけどなー」
 そこまで言って「どう?」といいたげな表情でサインを見上げる。


サイン

ラウス<

「ふむ、魔法か、なるほど
 私の元に集まってきたものの中に、魔法の使い手はいなかったからな、確かに、助かる」


ラウス

サイン<

「こう見えても彼らは神術や魔法が使えるのですよ。敵は弓を使うと聞いています。
 こちらにも飛び道具があるのに越したことはない」
 顎に手をあてて考えるようなそぶりをしながら続ける。
「いざとなれば後方から援護してもらえば良いでしょう」


サイン

ラウス<

「ああ、よろしく頼む」
 差し出された手を、力強く握る。

エムリ&フィック<

「ふ、む……」
 困惑した様子で二人を見て、あごを撫でる。

エムリ<

「君は……少し若すぎないかね?」

ラウス<

 意見を求めるように、ラウスの顔を見る。


ラウス

サイン<

「ああ、あなたがサインさんですか! はじめまして、ラウス=ウォードといいます。今回の野盗の討伐の志願者です。よろしくお願いします」
 ラウスは人に慣れた様子でサインに近づくと、握手を求めた。
「それからそこの彼は、フィックといいます。カウンターの方にいる彼はエムリ。彼らもこの仕事に参加します」
 使徒の少年とエムリを順に紹介しながら指し示す。


引退騎士サイン

ロウファ<

「どうも、遅くなりましたな」
 カウンターにいるロウファに挨拶をすると、ギルドの中を見渡す。

ALL<

「……あー」
 三人の顔を目におさめてから、咳払い。
 主に、ラウスに向かって、
「志願の方は、いらっしゃるかな?」


GM

 と、外の石畳の上を、かつん、かつん、と鉄靴が鳴らすような音が近づいてくる。
 そしてまた、扉が開いた。


フィック

エムリ<

「ふぃ、ふぃっつん……」
 ついぞされたことのない呼ばれ方に、ぽかんとする。
 それから、くすくすと笑い出して、
「ふ、普通の呼び方がいいなぁって思います。
 あなたのことは、じゃあ、普段はエムリさんでお呼びしますね。……慣れたら、エムりんとかいうかも知れませんが」

ラウス<

「ええ、そうですね」
 と普通に答えてから、早速、先ほどの愛称が使われていることに気がついた。
 表面上は平静を装って、応じる。
「なかなか難儀しそうですよね、ラウりー」


ラウス

エムリ<

「ああ、任せといてくれ」
 ラウスはそういってまた考え込むように俯いた。

フィック<

「しかし敵は何人なのか、どう相手を見つければいいのか……雲を掴むような話だね。フィッチー」
 とさりげなくエムリ考案の愛称をまじえつつ話を振った。



ロウファ

エムリ<

「そうですねえ……。
 まあ、あの野盗の討伐の依頼についての、簡単な補足くらいをさせて頂いたのですね。
 まずは野盗たちの遣り口についてで、遠くから矢を射かけてきて、『命が惜しければ荷物を置いていけ』とやってくるというものなんですね。それも、別に全部じゃなく、工業品一箱や、酒樽一つとか、ちょっとした量だけで良い、荷物を置いたらそのまま去れ、とやってくる。
 もちろん、商人たちにしてみれば、命あっての物種だし、別に商売が再起不能になるような痛手ではないから、払ってしまう。
 そういうことで、今のところは誰も、野盗の規模などの詳細は分からない、と。
 で、そんな野盗を放置しておくわけには行かないと、ここに話を持ち込んできたのが、サインさんというこの町に住む引退騎士の方でして、……おそらく、もうすぐ、このギルドまでいらっしゃいます。
 ちょっといつもより遅いくらいでしょうか」


エムリ

ロウファ<

「わー、びっくりしたー。冗談かぁ。子供は覗いちゃいけないめくるめく大人の世界で立ち入り禁止とか思っちゃったじゃないかよー」
 ギルド員の「だーめ」の一言に驚いた格好をしてみせる。

ラウス<

「それじゃ、向こうで話聞いてくるからー。依頼人の人来たら宜しくなーっ」
 両手を使って大きく手を振り、ギルド員の方を向く。

ロウファ<

「ってーわけで、依頼の内容はモチ、説明してちょうだいなっ」
 身を乗り出して説明を聞こうとする。
「とりあえずー、あっちの兄ちゃんらに説明した辺りの事とか、説明してくれると嬉しいんだけど。長話になりそうだったらざっとかいつまんでくれてもいいしさ」

フィック<

「へー、じゃあ兄ちゃんは祈る人か。なんか器用そうなイメージがあるんだよなー。祈る人って」
 名前で呼んでくれ、と言われて、ニヤリと笑い。
「じゃあフィッつんだな。もしくはフィッチー。ほら、愛情込めた砕けた関係ってヤツさね。 もしくは普通の呼び方の三択問題。どれがいい?」
 指を三本立てて見せる。
「おれのことはエムリでも可愛くエムりんでも坊主でも何でもかまわないから、勝手に好みで呼んでくれぃ」
 そしてここだけの話……と言った具合で小声で続ける。

「ちなみにおれ、こー見えてもぴちぴちの三十路なんだよね。
 まっ、心はいつでも少年時代だからぜーんぜん関係ねーけど。
 この際年齢は置いといて、心の年はタメだと思って仲良くしよう、な?」


フィック

ラウス<

(ああ、私には無理だなぁ)
 と、エムリとの軽快なやりとりを見て思う。
(どうすればこんなに回転を速くできるんだろう)
 まじまじと、顔を見上げてみる。

エムリ<

「う……ん」
 何となく気を呑まれながら、
「慈愛の神の使徒、です。学者と戦士の修行も積んでいますけど、どちらもまだまだ未熟者ですね」

 兄ちゃん、といわれたことに対して疑問を持って、
「私のことはフィックと呼んで下さい。
 年もまだ十五ですから、あなたともそこまで変わらないでしょうし。仲良くして下さると、嬉しいです」
 といってから、そういえば、と続ける。
「あなたのことは、何とお呼びすればいいですか?」


ラウス

エムリ<

「ま、小さい頃から仕込まれてたからね。これくらいは当然さ」
 タダ同然で父親にこき使われながら鍛えた口先の技だ。
「じゃ、とりあえずロウファさんから依頼について聞くといい。僕たちもしばらくここで依頼人を待つんだ」



ギルド員ロウファ

エムリ<

「だーめ」
 すぱっと答えてから、にこりと笑う。
「って答えるわけがないじゃあないですか。
 皆さんで考えることですから、私は止めやしませんよ。むしろ、推奨させていただきます。
 依頼の内容については、ご説明が必要でしょうね?」


エムリ

ラウス<

 口上を聞いて目を丸くし、ぱちぱちと手をたたく。
「ほへー。すげえ。兄ちゃん、ナカナカやるなぁ。
 兄ちゃんは商人なんだ。でかい町ではそれくらい口が回らないとやってけないんだろーな」
 こちらもこちらで妙な所で感心している。
「因みにおれが口が回るのは、生まれつきみたいなもんだから気にしたら負けー。
 むしろ喋るなって言われたら寂しさのあまり死ぬよ? おれ」
 嘘か真か、真面目ぶった表情で答える。

ラウス、フィック<

「じゃ、これではれて三人旅だね。
 いやー、駄目とか言われたらどうしようかと思ったよ。
 って、兄ちゃん達がそんな薄情モンだなんて思ってたわけじゃないよ?
 ほら、おれこんなに小さいしさー、か弱いしさー。ま、それなりにトシは重ねてるけど。
 三人組ってのは見た目にも感じ的にもバランスいいよね。なんとなく。
 あ、因みにおれは買い物とか行く予定ないから、ここにしばらくいようかなー」
 べらべらしゃべり続けながら、二人の周りをうろちょろしている。

ギルド員<


「というわけで、ここの人たちと同じ依頼受けたいんだけどー。いい?」
 身振り手振りでラウス一行をさしながら、声をかける。

フィック<

 うろちょろしていた足を止め、はたと見上げて。
「ところでこっちの兄ちゃんは何してる人?
 魔法使い? 学者さん? それとも戦士さん?」
 じーっと見つめようとする。


フィック

 何やらぽかんと、二人のやり取りを眺めている。
 ラウスに問われ、

ラウス<

「え、あ」
 目をぱちぱちとさせる。
 それから、
「はい」
 素直に頷く。


ラウス

エムリ<

「はは、そいつはどうも」
 エムリの世辞にそう返す。
「それにしてもなかなかよく口が回るもんだね」
 ラウスは妙なところに感心した。
「そこんとこは僕だって負けやしないけどね。『ここにございまするは北は氷湖のほとり、南は広大無辺のフィアヌスの森より三月と三日彷徨し七難八苦を乗り越え、ようやく作り上げられた秘薬にござる』……僕の本業は商人でね。名前はラウス」
 古臭い商売用の口上をまじえて軽く自己紹介する。
「僕達は討伐の依頼を受けようと思ってるんだ。ボン・ノドンにいたときに商人連中には金を貸し付けてるのも何人かいてね。何かあっちゃ大変だ」

フィック<

「人数はいくらでも欲しいところだし、ここは三人でいくっていうのはどうだい?」



エムリ

ラウス<

「あんがと、青い目の兄ちゃん。気が利くねー。
 こういう人ってお嬢さん方にもてるらしいよ、いや冗談じゃなくてさ。
 おにーさんに美人さんのお恵みがありますよーに」
 コツンと掲示板を示した人に感謝の言葉をかける。

掲示板<

「お使いに、討伐に、物探しかぁ。一人じゃ出来ない仕事に首突っ込んで、倒れるのも癪だしなー。
 ボン・ノドンは行く予定だけど、討伐だからどうせまたここに戻ってくるんだろうし、大体境界だから街に行くわけじゃねーし」
 依頼を受けた経験があまりないため、実際どれを選ぶべきか悩んでいる。
 掲示板の前をうろうろぐるぐるしながら独り言を呟く。

フィック<

「本業じゃねーけどな。どっちかと言えば兼業さね。
 魔法も出来るし、鍵も開けるし、薬も作る器用貧乏。一家に一台ナントヤラ。
 一番最後のが本業っちゃぁ本業なんだけど、詳しく学ぶ前に師匠がいなくなったからなぁ」
 魔術師かどうかの問いに、息継ぎなしでべらべら答える。
「当り障りのない呼び方なら薬師、危険な呼び方が好きなら錬金術師、お好きなほうでどーぞ」

ラウス、フィック<

「ところで兄ちゃん達も仕事受ける口?」
 二人の顔を交互に見上げ。
「もしよければおれも一緒に連れてってくれないかなーって思ってるんだけどさー。いい?
 こう見えても結構足早いしさ、アタマの回転も鈍い方じゃな
いよ、おれ」
 そう言って、にまーっと笑う。


フィック

ラウス<

「なるほど……。
 はい、確かに、そうですね」
 納得し、頷く。
「分かりました」
 にこりとする。
「どちらもならそれに越したことはないのでしょうが。
 私はまだまだ未熟ですから」

エムリ<

 まじまじと、その人を見る。
「魔術師の方、なんですか?」
 魔術師にしてはずいぶん賑やかなのと、だいぶんな年少者(自分よりも)のように思えて、きょとんとする。


ラウス

フィック<

「一つだけかい? そりゃもちろん状況にもよるだろうけれど――」
 ラウスは思案顔のままでフィックに向き直った。
「僕なら『意識を覚醒させる奇跡』を選ぶね。目がばっちり覚めればあとはなんとかしてみせるさ。それにこうみえても活力には自信があってね。それが切れちまうようならどっちみち……」
 そこでラウスはなにやら騒がしい声に気付いた。

エムリ<

「キミ、仕事の話ならこっちだよ。この掲示板に張ってある」
 コツンと拳で掲示板をノックしながら、小柄な人影に声をかけた。


エムリ

(たくぅ、なんでよりによってこんな場所で旅費がすっからかんになるんだよぉ。 そりゃ、あの雪と雪と雪しかないあたりを無事に脱出できたんだからさ、おれとしてもそりゃ嬉しいけど。そりゃここだって町といえば町だけど、目的地のちょっと前というにはちょっと遠い場所で財布がかっちり空になんなくてもいいでしょう神様、ねえ神様ってばさー。)
 愚痴愚痴心の中で(もしかしたら独り言になってるかもしれな
い)言いながら、扉に手をかけ、開いたら中に入る。

ALL<

「やー、どもどもはじめまして。
 おれは北のほうから来たんだけど、道中色々凄くてサイフん
中がすっかりスッカラカンのツンツルテンでさ。
 一応簡単な魔法とか、そういうんなら出来るんだけど、いい
働き口、ない?」

 そう早口でまくし立て、人の間をうろうろ動き回りながら辺り
を見回す。
 スキあらばこの場の全員に北国からの旅行談を脚色を大幅につけて話し出し、しかも自分の生い立ち〜旅に出た理由まで話し出しそうな勢いだ。


GM

 と、ギルドの扉が開き、小柄な人影が入ってくる。
 褐色の肌の、一見、子供に見える人物だ。


フィック

 なにやら考えに耽っているらしいラウスの邪魔をするように思って、遠慮しながら、声をかける。

ラウス<

「あの……。
 ラウスさんは、『意識を覚醒させる奇跡』と『活力を分け与えられる奇跡』の二つから、一つだけ選ぶとしたら、どちらの方が良いと思いますか?」
 そんなことを言いながら、胸元の聖印を指でつついている。


GM

 ラウスは、七つ道具(350Rd)を購入しました。


ラウス

ロウファ<

「へえ、じゃ、ちょっと見てみようかな」
 ラウスはそういいながら色々な物品を手に取り始めた。頭の中で、元から割引されてるとなるとこれ以上は値切れないななどと商売人根性を働かせている。

独り言<

 そうして今回の依頼に必要なものを、と考えてるうちに色々と思索にふけっているらしく何やらぶつぶつと呟きはじめた。
「……それにしても樽一つにしたって野盗は、どうやって運んでるんだ。馬車の入れない荒れた道行きじゃ荷車や馬だって使いにくい。折角顔を隠してるのにのんびりやってる暇はないはず……道が整ってるあたりに馬や荷車を隠してあって、後から商人達に紛れ込んでるとか……。そもそもどこで荷物を売りさばく……ボン・ノドンかな。悪徳商人くらいはいそうだ。襲撃には獲物を確認する役に弓を撃つ役が何人か、声をかける役に荷物を運ぶ役……どんなに少なくても五、六人は下らないか……」
 さりげなく故郷を貶しながらラウスはあれこれと考えをまとめたようだった。


ロウファ

ラウス<

「分かりました」
 にっこりとして、うなずく。
「サインさんは、この張り紙を出してから、定期的にいらっしゃいますよ。もうそろそろ、来るころじゃあないかと思います。
 もし、冒険に必要そうな買い物でもあれば、していらっしゃるのも良いかと思いますよ。
 最近、ここでもちょっとしたものの販売ならするようになりましたし」
 と、ギルド内の一画を手で指し示す。
 なんだか、ごちゃごちゃしていて分かりづらいが、なるほど、確かに、一般的な「物品」やら、装身具以外の、大体200Rd以内の武器・防具が置いてあるようだ。
「今なら相場から一割くらいなら、値引きさせて頂きますよ。
 ……旅商人の友人に仲介をお願いして、いろいろと集めて頂いたんですが、運び入れの時にちょうど立て込んでしまっていましてね。整理も何もなく、全部、ぽんとそこに放り込んでしまったんですよ」


ラウス

フィック<

「よし、それじゃ決まりだね」
 商人にとってはさぞかしこの盗賊は悩みのタネだろう。ボン・ノドン出身で縁浅からぬ身としてはちょっと放っておけない話だった。

ロウファ<

「この野盗の討伐をさせていただきます。サインさんという方とお話したいのですが、彼はどこに?」


フィック

ラウス<

「そうですね……」
 張り紙を見て、それから少しだけ考えて、答える。
「他の依頼にも興味はありますが、……凶悪というわけでなくても、積み荷を強奪するような盗賊を放っておくわけにもいきません。
 野盗の討伐、参加してみましょう」


ロウファ

野盗<

「ええ、おそらくはそういう考えなのではないかと思います。
 実際、上の人たちも、『とりあえずは様子を見て、被害が大きくなるようなら討伐を検討する』というような具合のようですから」

ウィノンのこと<

「くっついたというか、太い枝に板を渡して、家を建てているような感じなんですね。
 とても大きくて、穏やかな木なんですよ」


ラウス

ロウファ<

 ラウスはそれぞれの説明にじっくりと耳を傾けた。野盗の手口を聞いたところで感心しながらも眉をひそめる様な複雑な感情を篭めて唸る。

野盗<

「うーん、上手いやり口だ。獲物は生かさず殺さず、ちょっとずつ品を奪っていくわけですね。殺してしまえばその時は多くの荷を奪えても、いずれ取引自体がなくなって野盗は移動しなければならなくなる。そして大規模な掃討に発展する……」
 そして少し困ったように、
「弓が相手となると待ち伏せや囮は危険かもしれないな……。数人、味方がいるのが救いか」
 とつぶやいた。

形見の品<

「いえ、いいですよ。あまり期待はしていませんでしたから。大事なものを盗まれてしまったんですから、警戒するのも当然ですしね」

ウィノンのこと<

「宿とくっついた木が寿命なんですか? 木が死んだ途端に倒れるわけでもないだろうけど……」
 樹齢五百年の木なんてものはラウスには馴染みがなかったらしく、事態を図りかねるといった風情で首をかしげた。ツギキという行為も興味があるもののピンとこない様子だ。

フィック<

「どうだい? ここは野盗の討伐をやってみないかい? フィアヌスに行くにもどうせ街道を通らなくっちゃいけないし、この機会に他の冒険者のやり方をみておくのも悪くないと思うんだ」


ロウファ

ラウス<

「そうですねえ……」
 資料を調べてから、ラウスの質問に答える。

野盗<

「規模については、詳しいことは分かっていません。
 つまり、どういうことかというと、確かだといえる情報がないということなのですね。
 遠くから矢を射かけて来るんだそうですよ。ばらばらと。それで足を止めさせて、『命が惜しければ荷を置いていけ』とするんだそうです。襲われるのは大体、交易商の類ですね。
 もちろん、護衛を雇ってはいるんですが、物陰から弓で狙われたらたまったものではありませんし。幸い、ぱっと見ただけで分かるような荷物だけ置いていけば見逃してくれるそうなのですよ。それも、例えば工業品なら一箱、油なら一樽くらいで良いのだそうですから、大抵の人が、諦めて支払ってしまうんだそうですね。ですから、近くで確認した人も、直接戦いになった人もいないので、実際にどれくらいの規模なのだとか、どういう構成なのだかは不明なんですね。
 キートン南方領にも野盗が活動しているそうで、こちらと何か関係があるかもしれませんね。
 あちらの方は分かりませんが、この野盗たちは荷物が狙いのようで、旅人はあんまり狙われないようです。
 ただ、だからといって安心は出来ませんからね。おかげで、商人の国とこの国の取引も、ちょっと減少してしまっているようですねえ」
 それらを話してから、依頼人について触れる。
「このサインさんという方は、この町に住んでいる引退騎士なんですよ。
 サイーディア新王国の出身で、騎士王国との戦いの時に傷を負って、療養するためにこの国まで来たそうです。
 傷も良くなったはずなんですが、この国を気に入ってくれたそうで。誤解されやすい性格なのですが、なかなか、気の良い方ですよ。
 現在、この募集には五人ほどの方が興味を示していますし、サインさんも指揮を執ろうとするでしょうから、最悪でも二人ということはないと思いますよ」

形見の品<

「ごめんなさい、やっぱり、あまり詳しいことはお話しできないのですよ。
 というのも、依頼主さんがあまり、大勢の目に触れるのを好まない方のようで。少なくとも、ある程度は『受けてもいい』という態度を示して下さった方にだけ、お話ししたいのだそうです。
 依頼の内容については、非合法なことなどがないということは、こちらで保証しているのですが……」

ウィノンのこと<

「この方は、“エルフの宿”という宿屋を経営していらっしゃる方なんですよ。ご存じですか? とても大きな老木に、建物をくっつけたような、いい趣の宿なんです。
 友人というのは、その木のことなんだそうです。
 もう、五百歳にもなるそうですからねえ……。
 一緒に頼みたいことというのは、えーと……なんでしたっけ?
 ツギキとかいうことをしてもらいたいということだそうなんですよ。エルフの間ではよく知られている行為だそうですが、私はちょっとよく分からないんですよね」


ラウス

「これはまた……どれも気にかかる内容ですね」
 野盗も気にかかるが、形見の品や天寿をまっとうするなどそれぞれ放っておけないような内容だ。もちろんそれを全部片付けるわけにもいかない。
「野盗の規模などはわかっているんですか? 二人やそこらでなんとかできるのかが問題ですね。あとは野盗の手口などがわかれば。形見の品に関してやウィノン氏が頼みたいことというのも、聴きたいところですが」
 後半はさほど期待せずにそう言うとラウスは顎に手をあてた。


ギルド員ロウファ

ラウス<

「ん、どうだったでしょうかねぇ」
 問われて、少し考えてから、頷く。
「いや、ありましたよ。そういえば。
 幾つか、新しい依頼が入りましたね。珍しいことです。
 狩人の営舎の方が忙しくて、なかなか一般の方の要求を果たせないようなのですよね。
 掲示板の方に張り出してありますので。
 何か質問とかがあれば、どうぞ」


フィック

ラウス<

 わ、と声を上げて、受け取る。
「……なんだか、冒険者なんだなあという気がします」
 やけに感慨深そうに、手元の硬貨を見つめる。


ラウス

 ラウスは受け取った皮袋の中身にちらりと目をやり確認すると一度頷いた。感じ取った重みはいつも商売で慣れたそれだ。
「確かに」

フィック<

「フィック、こいつはキミの分だ」
 ラウスはそういって皮袋の中からきっちり250Rd取りした。本業は商人、というだけあって硬貨を扱う動作は淀みない。

ロウファ<

「さっそく、次の仕事の話をしたいのですが、残ってるのは例の花売りの仕事だけ?」


GM

 - シナリオ達成 -

ラウス:
 SP+2.0
 BP+2.0
 IP+2.0
 PP+1.0




ギルド員 ロウファ

 はっと我に返る。

ラウス<

「ああ、はいはい、こちらですよ」
 と、革袋をラウスに手渡した。
「500Rdをお預かりしております。お確かめ下さいませ」


ラウス

 ラウスは一仕事終えたとばかりに軽く息をついた。今回は戦うこともなく、また遺跡の中で罠に遭遇することもなく済んだ。運が良かったのだろう。

ギルド員<

「こんにちは。さっき出て行ったジョーンス先生が、僕達に報酬を用意してくれてるとのことなのですが……」


GM

 ジョーンズはギルドを出て行った。
 フィックはその背中に短い祈りを捧げており、後ろの方では、報酬の入った袋を抱えたギルド員がぼーっとしている。


ジョーンズ

ラウス<

「ははは。楽しみにしているよ。
 お互い、長生きできなさそうな稼業だからね。
 ありがとう、気を付けて」

フィック<

「君もね。信仰の在処を見つけられるように」


ラウス

ジョーンズ<

「そうですね。いつかまたお手伝いします。きっとその時は今回よりももっと凄い発見ができますよ」
 ラウスも微笑むと手を差し出し、力強く握手を交わした。
「その時を楽しみにしていますよ。お気をつけて」


ジョーンズ

ラウス<

「なるほど」
 にっこりとする。
「すると、またご一緒できるかもね。
 じゃあ、とりあえずはお別れかな」
 といって、手を差し出す。


ラウス

ジョーンズ<

「僕達は……仕事次第ですかね。でも僕も経験を積んだらいつかは北に向かおうかと思ってます。シリィンは不安定なところもありますが、冒険者としちゃ一度はあちらで経験を積まないといけませんからね」
 言いながら今回の仕事で得た情報を思い浮かべる。その中にはシリィンに触れたものもある。
「しばらくはこの辺りにいるでしょうし、もし縁があればまた会えるかもしれませんね」


ジョーンズ

ラウス<

「そうだねぇ……」
 何かに思いをはせるような表情をする。
「しばらくこの町に滞在して、研究成果を整理したいところだね。ちょっとした仕事のあてもないわけではないから、そこで働いて日銭を稼ぎながら、のんびりと机に向かうさ。
 お金が貯まったら、北海王国の遺跡群を研究してみることにするよ。
 ……君たちは、どうするんだい?」


ラウス

ジョーンズ<

「おや、そうでしたか。それでは遠慮なくいただきます」
 お金は持ってない人からもらうよりも、持ってる人からもらう方が得なんだけど……とは流石に口にしなかった。くれる時にもらうのが商人の礼儀だ。
「それで先生はこれからどちらへ行かれるんですか?」


ジョーンズ

ラウス<

「いやいや、そういうわけにもいかないよ」
 確かに持ち合わせはあんなりないんだけどね、と苦笑しながら言う。
「遺跡から研究価値の少なそうな宝物が出たら、それを代わりに進呈しようとは思ってたけど、そうじゃなかったからね……」
 まあ、こんなこともあるさ、と肩をすくめる。
「些少だけど既にロウファに渡してあるから、受け取ってもらいたいな」


ラウス

ジョーンズ<

「ええ、先生もお疲れ様でした」
 と、ここでラウスの目つきが微かに変わった。
「で、報酬のことですが、今回は発掘品もなかったことですし」
 ラウスはにっこりと笑って続けた。
「今度、何かでごいっしょする事があれば、その時に上乗せということでいいですよ」
 とても商人らしい物言いだった。


ジョーンズ

ラウス・フィック<

「いやあ、ご苦労様」
 荷物を足下に置いて、うーん、と伸びをする。


GM

 ラウスたちは、ギルドに戻ってきた。


ギルド員ロウファ

ラウス<

「いえいえ、お気になさらずに」
 どこか微笑ましそうな顔で、ラウスの負っているでこぼこの荷物を見ると、頷く。
「準備は出来たようですね。
 では、こちらをどうぞ」
 と、差し出したのは依頼人が野営しているという洞窟の地図であった。
「依頼人は『私が見張っていないと、いつ盗掘されてしまうか分からない!』ということで、こちらに張り紙を持ってきて、私にその地図を渡すと、すぐに先に向かってしまったんですよね。
 ですから、そちらまで行って下さい……」
 と説明してから、言いにくそうに続ける。困ったような笑顔だ。
「本当は、『信頼できる』仕事じゃない限り、ギルドからのサポートはないんですがね、私とジョーンズ先生はちょっとした仲でして。どうか、他のものには内緒にして下さいな」


ラウス

ロウファ<

「や、どうもお待たせしました」
 ラウスはせかせかと早足になりながら戻ってきた。もちろんフィックを伴っている。
「早速依頼のお話をしたいのですが……」


フィック

ラウス<

「分かりました」
 にこ、と微笑んで、後についていく。

ロウファ<

「では、またお会いしましょう」


#街の中での移動には時間がかからないので、そのまま商店街宛に投稿してOKです。


ラウス=ウォード

ロウファ<

「なるほど。それでは準備を済ませてきます」
早速、助言に従って商店街に行くことに決める。

フィック<

「さ、行こうか。早めに済ませよう」
ラウスは頭の中で必要なものを整理しながら、フィックを促し歩き出した。


ギルド員ロウファ

ラウス<

「ふむふむ。わかりました。
 …ところで、食料や灯りの準備は大丈夫ですか?
 洞窟というものは、そういうあたりをしっかりしておかないと、ひどい目にあいますからね」



ラウス=ウォード

フィック<

「それじゃ、決まりだね」

ロウファ<

「この謎の洞窟の踏破依頼にします」


フィック

 ラウスに意見を求められて、うーんと考え込む。

ラウス<

「私も、謎の洞窟が心惹かれます。
 家宝の奪還というのも、使徒としてはほうっておいてはいけないのでしょうが」
 と苦笑する。


ラウス=ウォード

「なるほど」
 ラウスは呟いて、二つの仕事を軽く吟味した。
『家宝の奪還』で興味を引くのは、やはり家宝である手鏡だ。盗まれるという事は相応の価値を持つ物に間違いないだろう。一度見てみたいものだ。
『謎の洞窟』ではもちろん洞窟そのものが気になるのだが、商売人としては発掘品の一部を手に入れられるかもしれないというのはなかなか魅力的な話だ。

フィック<

「ねえ、どっちにしようか? 僕としてはこの『謎の洞窟』とかいう依頼がなかなか面白そうでいいんじゃないかと思うんだけど。キミはどっちがいいと思う?」


ギルド員ロウファ

ラウス<

「なるほど、さてさて」
 手元の書類を開いて調べながら、
「熟練の方でしたら、すぐにでもお勧めできる仕事がございますが、そうですねぇ……」
 調べ出して少したってから、彼が提示した仕事は以下のものだった。
「いまこちらで提供できますのは、
 ・家宝の奪還
 ・謎の洞窟
 このふたつですね」



ラウス=ウォード

ロウファ<

「よろしく、ロウファさん」
 とラウスも微笑んで応じる。
 それから仕事の話を聞きながら、合点がいったと言う風に頷いた。先ほどの営舎での話はロウファのいった『おおっぴらにできない、国として動けない』ものだったのだろう。
 それから彼の問いに軽く呼吸を置いてから答え始めた。
「…そうですね。まだ僕等は戦闘の経験が浅いので、強い相手と戦うような仕事は遠慮したいですね。そう手ごわくない相手と戦うものや、戦闘以外の仕事などはあるでしょうか?」


ギルド員ロウファ

ラウス<

「おや、最近ここに来たばかりのようですね。
 はじめまして、私はここで皆さんのお手伝いをさせていただいている、ロウファといいます。よろしくお願いしますね」
 二十代半ばくらいの金髪の青年は、穏やかに微笑んだ。
「仕事…ですか。
 民間の方はこちらではなく営舎のほうに持ち込まれますし、国に関わるようなあまりに物騒な仕事は営舎の皆様方が片付けてしまわれるので、こちらにはあまり残っていないのですよ。国直下の者ができないような仕事でしたら、よくまわっては来るのですが……。
 他には、国が意図的にこちらに回すような仕事―今は掲示されてはいませんが、もう少し経ったら担当の者が張り出すはずです―や、あまりおおっぴらに掲げるのはよくない仕事などもありますね。
 後者のほうについては、私たちのほうにお尋ねいただき、こちらが吟味して提供させていただくというような形になります。
 …ああ、いけない。ここの説明ではありませんでしたね。
 どういったお仕事がご要望でしょうか?」



フィック

ラウス<

「そうですね。
 …ちょっと辛そうな、傭兵の募集などはありますけれどね」
 苦笑しながら答える。



ラウス=ウォード

 ラウスは竜追いギルドに入ると、すぐに掲示板に目を向けた。しかし一見しただけで余白のほうが多いのを見て取って、眉をひそめた。

フィック<

「ちょっと仕事のほうは期待できないかもしれないね」

受付<

「はじめまして。僕はラウスといいます。こっちはフィック。今、仕事を探しているところなんですが、何かないでしょうか?」