PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

大魔術師王国イ=サード
ロトッカ地方の大国、自然を重んじる緑の国。
若王セイフレイが統治する。彼は緑色の賢王と呼ばれており、
その名に恥じない素晴らしい政を行っている。

:大魔術師王国 “矜持”の大図書館:
 大図書館地下二階
 魔法の加護が失われているようだ。
 暗くじめじめとしており、通路の壁や天井は至る所にひびが入り、ところによっては崩れてもいる。

投稿(件名…大図書館 地下一階)
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[ライトクリスタル]Lv.1 照明2_3 [ランプ]Lv.1 照明10_11
[]…壁 []視界の外 []暗所 []視界内の空間・通路 []開いた扉 []閉じた扉
 
正面
  デニット  
     
アーシュラ   マリン
 
-ステータス-
アーシュラ マリン デニット
HP   HP   HP  
MP   MP   MP  
        



デニット

「……なんだか、図書館の地下とは思えない構造だ。全く」


アーシュラ

 マリンが指差す足跡を見て、

マリン<

「えっ、どれどれ。・・・ふぅーむ、確かに不自然だね」
 仔細に足跡が消えている辺りの壁や地面を調べてみる。

 探索判定:隠し扉
  アーシュラ:成功!


 アーシュラは壁を調べ、ここに隠し扉があることを確信する。
 そして慣れた動作で周囲を観察し、壁の石の一つを押し込むことで、扉が開くのではないかと探り当てる。


マリン

ALL<

「へんですねぇ・・・・足跡がここで途切れている。
 戻った様子もないし・・・」
 話しながら皆に足跡を指差してみる。


GM

 デニットを先頭に進むと、あにはからんや、そこはすぐに行き止まりになっている……?
 マリンは地面の足跡が行きはあっても戻りはないことに気が付く。
 はてさて。


デニット

「足跡、ね。そういえば、あたしたちが入る前にも、冒険者の連中が探索に派遣されていたんだったか」


マリン

 この巨大な図書館施設を稼動させている古代人の魔法テクノロジーについて考えている。
 魔導具、魔法具...それらのものより、もっと巨大な構造物を制御できる技術体系を持った魔法テクノロジーに違いない。自分が研究していて暴走させてしまった魔法技術なんて、それに比べたら些細な領域に過ぎないのだろう。
 むくむくと何かを手に入れるための欲望が湧き上がってくるのを感じる。

「よーし!」

 気分が、また、乗ってきたよ。
そこで、マリンの様子に気がついた。何かを指差している。...足跡かな?

「えっ!足跡?
 こんなところで?」

 北の方角に目で足跡を追っていく。これは追跡するしかないよね。

ALL<

「足跡を辿るよ」

 デニットとマリンに北の方角に目配せすると、デニットを先頭をお願いして足跡を辿る。


マリン

「あっ」

足跡に気づいて声を出す。
アーシュラとデニットに足跡を指差して注意を促す。


GM

 アーシュラたちは階段を下りると、当初進んでいた東の方面に向かう。途中、階段が右手側に何個か見えたが、とりあえずは目的にした場所までまっすぐに進んだ。
 突き当たりは丁字路になっている。

 敏捷判定:分類/足跡追跡
  アーシュラ:大きな失敗!
  マリン:完璧な成功!
  デニット:失敗!


 アーシュラやデニットは何も気が付かなかったが、誰かが北の方に進んでいったらしい痕跡があるのを、マリンが見つける。虫でもいないかと足下を見てでもいたのだろうか。


デニット

「やれやれ、なんだかずいぶんと長々と地下に潜っている気がするな」


マリン

「・・・」

アーシュラのあとをついて、再び虫がいる方向に降りていく。


アーシュラ

 随分と「ぼ〜っ」としていた気がするが・・・

「ぶつぶつ・・・」
 独り言、つぶやき、そして、ため息。

 引き返して、階段を降りると(U,07)方面に向かって歩き出す。


GM

 デニットにも別に否やはない。

 三人が階段を昇っていくと、なにやら覚えのある風景が飛び込んでくる。
 そこは、埃と本の香りに満ちた書架の間。
 矜持の大図書館の一階の隅っこのようだ。
 つまりこれは、この迷宮と上階とを隔てる、ただの階段の一つということだ。


マリン

 虫のいる地下二階ではなく、地上方面に行くなら問題なし。
 黙ってアーシュラの意見に従う。


アーシュラ

ALL<

「上に登る階段だね。
 とりあえず、何処に通じているか調べるか?」

 特に期待もしていないが、一応虱潰しに調べることにしたので、行って見ることにする。


GM

 奥の方に進んでいくと、やがて、道が二つに分かれている。
 右手の方に、地上に続いているらしい階段がある。


デニット

「……やれやれ」
 肩をすくめると、先頭に立って歩いていく。


マリン

ALL<

「はあっ、地下一階ですよね。」

 いくら決心がついたとは言え、いきなり地下二階の虫の洪水の中に踏み出す気にはならない。


アーシュラ

ALL<

「さてと、ここを虱潰しか・・・とりあえず、やっとくか。」

ライトクリスタルを詠唱する。

 発動判定:ライトクリスタル
  成功!


「前回、行ってないところから始めるか。それて良いだろ?」


GM

 アーシュラ達は、再び地下1Fへ戻ってきた。


GM

 道中、所々でデニットが顔をしかめて立ち止まる場面があったが、それ以外ではなんの問題もなく、帰路をたどることができる。
 巡回するガーディアンなどもなく、図書館まで戻ることができた。


マリン

「あーあ」

 大きく溜め息をつくと、気分を取り直して、マリンに従って戻り始める。


アーシュラ

デニット&アーシュラ<

「さあ、それでは戻りましょう!」

 デニットに頷き、アーシュラに促して、もと来た道を戻っていく。


デニット

「ふぅ……」
 ムカデが動かないことを改めて確認して、再び息をつく。

マリン<

「あんたのおかげで傷は癒えた。
 だが、毒を受けた」
 大丈夫かとの問いには、真っ赤に腫れ上がった腕を示す。
 マリンの神術によって傷は癒えたが、毒は自然に体が分解するのを待つか、別の手段に頼るしかないだろう。
「こいつは何をしても起きないのか?」
 魔法のことに詳しくないデニットは、そう訊ねる。
「永遠に起きないならいいが、そうでないならとどめを刺しておく」

アーシュラ<

 命中判定:分類/掴み
  デニット:優秀な成功!


 横を走り抜けようとするアーシュラの首根っこをつまみ上げる。
「あんたは、懲りないのか、あんたは」
 飼い猫を叱りつけるように目を合わせながら、
「穴を掘ってたら、あの虫が出てきたんだろう?
 次またあの穴からムカデが出てきたら、あたしは真っ先に逃げるぞ。虫ごときに遅れを取ると認めるのはしゃくだが、身体が――」
 保たん、と言いかけて、腕の痛みに声を上げる。

 ダメージ毒:2ダメージ!

 顔をしかめながら、
「今日は宿に戻ることを提案する。
 そっちのマリンも疲労困憊だ。
 あたしは知らんが、魔法は精神を消耗するんだろう」


マリン

「ふうーっ」

 立ち上がって、大きく溜め息をつく。
 眠っているムカデを見て、再び気持ちが悪くなるが、何とか意識を保ち続ける。
 少し、慣れたのだろうか?

デニット<

「デニットさん、大丈夫ですか?
 このム、ムカデ、どうしましょうか?」

 ぼんやりとしながら、2つのことを同時に聞いてしまう。
 まだ、はっきりと判断することが出来ない。


アーシュラ

「ふぃーーっ、危なかったぜ。
 これで邪魔者は片付いたとっ」

 すぐにでも、お宝の場所に戻りたいが、マリンやデニットのこともちょっと気になる。

 マリンがへたり込んでいるのを見て、ひっぱりあげて立たせてやる。

「デニットの方は大丈夫かな?」

 デニットの方を見て状態を確認する。
 まあ、・・・大丈夫かな?

デニット<

「んじゃ、あと宜しくぅ!」

 そう言うと、ムカデが出現した場所に慌ててもどろうとする。
 戻ったら、また、懲りずに掘り出すつもりだ。


GM

 噛み付いてきたムカデを蹴りつけて引きはがし、デニットは再び斧を構える。
「くっ……」
 大ムカデを軽侮していたことを悔やみ、冷静な思考を取り戻す。

 デニット:防御集中

 大ムカデは、獣のように、相手の動きを観察して慎重に戦術を切り替えていくようなことはしない。
 動きを止めたデニットを格好の得物とでも見たか、幾つもある足を不快に蠢かせて、信じがたい速度でデニットに迫る。

 命中判定:噛み付き > デニット
  大ムカデ:優秀な成功!
   非の打ち所のない回避!


 デニットはすかさず体を開いて攻撃を躱す。
 避けはしたが、稲妻のような素早い攻撃にデニットは冷や汗をかくのを抑えられない。

 大ムカデが向き直り、デニットを睨み付ける。

 ダメージ毒:3ダメージ!

 毒がデニットの腕をいっそう痺れさせる。
「ちっ……」
 舌打ちして、斧を構え直す。

 そこで、アーシュラの魔術が完成する。
 同時に、マリンの呼び起こした奇跡が、デニットの傷を癒す。

   > HP20回復!

 発動判定:スリープ > 大ムカデ
  アーシュラ:完全な成功(クリティカル)!
   命中!
    > 「眠り」!
     < 【魔法抵抗】致命的な失敗(ファンブル)!


 精神の触手が大ムカデを絡み捕り、深い眠りへと誘う。
 大ムカデは何の抵抗もできずに、魔法の影響を受け、ぐったりと身を横たえる。

 その眠りは海のように深く、もはやいつ目覚めるのかも分からない。

 大ムカデが動かなくなったのを見て、デニットも息をついて斧をさげる。


マリン

 遠くで、デニットさんの声がしたようだが、どうしよう。

 何とか意識をしっかりしなければ・・・苦労して目を開いて、周りの状況を確認する。

「デニットさん・・・・」

 大変だ、何とかしなければ・・・そう思い、必死になって、倒れこんだままでヒールを詠唱し、デニットにかけようとする。


アーシュラ

「うん?」

 デニットの叫びを聞いて、再びムカデに向き合う。
 一瞥して、状況はだいたい把握したが・・・

「ちっ」

 と言っても、普通の魔法を撃ったらデニットやマリンにも当たってしまう。
 ここは・・・ここは・・・そう!!

 ムカデに向かって、スリープの魔法を唱えた。


GM

 デニットは真っ直ぐに大ムカデへ突き進む。
「虫などに遅れを取るものか!」

 命中判定:ハンドアクス
  デニット:通常の成功!
   体に命中!
     > 7ダメージ!


 ――固い。
 デニットが目を瞠る。

 大ムカデが顎から液体を滴らせながら、勢いよくデニットに噛み付きに掛かる。

 命中判定:噛み付き > デニット
  大ムカデ:優秀な成功!
   腕に命中!
    > 15ダメージ!
     > 「毒」!


 ――疾い。
 虚を衝かれ、デニットは避けきれない。辛うじて挙げた左腕で身体を庇う。
 腕甲が激しく軋む。
 傷を受けただけではない痛みに、デニットは、「まずい」と直感する。
「アーシュラ、マリン!
 あたし一人じゃ保たない、援護してくれ!
 ええい、くそ、虫のくせに!」


デニット

大ムカデ<

「ふん――」


マリン

「あうぅ・・・」

 その場にへたりこんで気が遠くなってしまう。


アーシュラ

「ちくしょう、脅かしやがって」

 やっと平常心が戻ってくる。
 ムカデに睨み返して挑発する・・が、ムカデの視線が自分に固定されているのに気づいて怖くなり、再び後方に逃げる。


GM

 大ムカデは目の前に立ちふさがるデニットを気にすることもせず、そのまま最初に目をつけたアーシュラに突撃しようとする。
 デニットは斧を手に迎え撃つ体勢だが、下手をすれば突破され、敵の攻撃はアーシュラに及ぶかも知れない。
 ムカデの視線はマリンには全く向けられていない。


デニット

アーシュラ<

「何か見つかったか――」
 言いかけて、彼女の後ろにある物に気が付く。
 短く嘆息して、前に出る。
「見つかるどころか、見つけられたわけだ」


マリン

 アーシュラが向こうから走ってきて、何かを叫んだ。

「えっ?ムカデ?」

 アーシュラが走ってきた方向から大きなムカデがやってくるのを見る。
 その場で凍り付いて動けなくなった。

「あうぅ・・・」


アーシュラ

「うあぁぁ・・・」

 マリンとデニットを見つけた。
 二人の横をすり抜けざまに大声で叫ぶ。

デニット&マリン<

「ムカデ、ムカデ、また、出た。」

 デニットとマリンの後で立ち止まって、慌てて振り返る。
「なむ・・・」


GM

 アーシュラは北側に突っ走る。
 マリンたちはアーシュラのいる通路に繋がる角を歩いている。
 あと一歩前に進めば、二人はどこかで見たことのあるようなものが、更に大型化したような生き物に追われているアーシュラと遭遇するだろう。


デニット

マリン<

「やれやれ、もうあきらめがついていると良いが。
 出鱈目に壁を掘って、うまいものが出るわけもない」
 ため息をつきながら、先導して歩く。


マリン

 角の先を見て、

デニット<

「何も無いですね。
 戻って南側を調べてみましょうか?」

 アーシュラの方に戻っていく。


アーシュラ

 開いた口の大きな牙を見て、欲望がミルミル恐怖に入れ替わっていく。

「うきゃゃーっ!!」

 悲鳴を上げてマリン達がいると思われる方向に逃げ出す。


GM

 アーシュラは壁の土を掘り続けている。
 土がどんどんと崩れ、足元にたまっていく。

 ――と。

 ぼこりと音を立て、多量の土砂が崩れ込んでくる。
 同時に、

 シャアアアッ!!

 金属が擦れあうような音を立てながら、大きく牙を開いた大ムカデが飛び出してくる!
 先ほど遭遇したムカデより、更に一段と大きい。


デニット

マリン<

 斧の具合を確かめながら、話を聞いている。
「なるほどね、いろいろとあるもんだ」
 少しばかり感心する。
「授業の内容に上品な奴には異論もあろうが」
 にやりとする。
「わたしは賛成をしておく」


マリン

ちらっと、デニットを見て微笑する。

デニット<

「そうですねぇ・・・、確かに、ちょっと変わっていますよね。」

 しばらく考えてから、再び口を開いた。

「でも、意外と私と相性が良いのですよ。私は、ほらっ、お嬢さん育ちでしょう。最初に、こんな境遇になった時に右も左もわからなくて、本当に危なかったみたいなんです。

 そんな私を見捨てないで、ただ食いの逃げ方、万引きの仕方、人を出し抜く方等々、基本的なこの境遇での生き方を教えてくれたって言うか・・・そうでなかったら、とっくに私、多分、つらい身分に落ちていたと思うんです・・・。

 その中でも一番大事なのは、相手が悪人か善人かの判断ですね。私には今ひとつ分からないのですが、アーシュラには、ピーンと分かるみたい。アーシュラの口癖だけど、悪人だけでは問題なし、善人だけでも問題なし、悪人と善人が混ざると問題が起きる、ですって。どこで、そんな考えを身に着けたのかしら?」

 急に立ち止まる。

「あっ、こっちに来ても回り込めないですね。戻りましょうか?」

踝を返すと、丁字路まで戻って、その先の左をのぞいて見る。


アーシュラ

 慌てて転がっているものを拾い上げて、手の中で置いて転がして眺める。

「えへへっ」

 まだ、まだ、ありそうだな。そう思ったとたん、ブチっと、こめかみの辺りで何かが切れて、さらに熱くなってしまった。
 さっきの原石と一緒に袋の中にしまい込むと、急いで土を掘り反し始める。

「うひひひっ、待ってろよ」


デニット

マリン<

「道に迷いそうだ。あんた、ちゃんと道を覚えてるか?」

 それにしても、と呟く。

「あんた、あっちのとどれくらいになるんだ?
 なかなか付き合っていくのも大変そうな気がするが」
 というのは、アーシュラのことらしい。


マリン

デニット<

「もう少し、行ってみようか?」

 デニットに指差すと、丁字路を左に歩いて行き、周りを確認する。特に左手を注意深く観察する。


アーシュラ

 慌てて転がっているものを拾い上げて、手の中で置いて転がして眺める。

「えへへっ」

 まだ、まだ、ありそうだな。そう思ったとたん、ブチっと、こめかみの辺りで何かが切れて、さらに熱くなってしまった。
 さっきの原石と一緒に袋の中にしまい込むと、急いで土を掘り反し始める。

「うひひひっ、待ってろよ」


GM

 アーシュラは延々と壁を掘り続けている。
 と。

 ――ころん。

 と、土の中から、先ほど拾ったのより小粒の原石らしいものが転がってくる。


デニット

マリン<

「曲がりくねっているな……」


GM

 先の方は丁字路になっていて、ぱっと見た限りではよく分からない。


マリン

 もう少し、先を調べてみよう。
 角まで歩いて右手の方を覗いてみる。


GM

 魔法よりも遙かに明るい、神の加護たる照明に守られながら進んで見るも、今のところは北に向かう通路があるだけで、アーシュラの掘り続けている場所の裏側へ続く道は見あたらないようだ。


デニット

 ため息をつく。
「まったく……」

マリン<

「仕方ないな」
 どうなっても知らん、というと、マリンに続いていく。


マリン

 アーシュラが再び掘り始めたのを見て、デニットに「だめでしょう?」言った感じの仕草をしてみせる。

デニット<

「先に行ってみましょう。この壁の反対側を調べたら、直ぐに戻りますから。」

 先に向かって歩きながら、再びランプの神術に加護を求める。


アーシュラ

 デニットに背中を突かれて、後を振り返る。
 デニットとマリンを交互に見たあと、何か言おうと思ったが面倒くさい。宝がそこにあるかもしれないのに・・・。
 壁に向き直ると再び土を掘り始める。

「宝だぃ、宝だぃ。」


デニット

 途端に我を失ったアーシュラを見て、ぽかんとしている。

マリン<

「本当かい?」

アーシュラ<

「おい、あんた。
 そこで掘ってるのは構わないが、わたしは遠慮なく置いていくぞ。魔物か何かがいて一人きりだったらどうなるか分からんわけでもないだろう」
 背中を斧でつつきつつ、そうやって何度か声を掛ける。

 埒があかないようだったら、マリンの提案に乗るつもりだ。


マリン

 アーシュラが夢中になってしまったのを見て溜め息をつく。

アーシュラ<

「ねえ、私たちがここに来た目的は何?
 逸失した黒魔法を探しに来たんでしょう?忘れたの?」

 しばらく返答を待っていたが、諦めてデニットに向き直ると、ギブアップの表情をする。

デニット<

「困りました。こうなるとアーシュラは止まりません。アーシュラが納得するまで放っておくしかありませんね。
 それとも私たちだけで先の方を探検してみます。私の考えでは、壁が崩れているところの反対側に回り込んで調べてみるのも面白いかと思いますが、どうですか?」


アーシュラ

「宝石の鉱脈だって!」

 アーシュラの目の色が変わる。
 再び、穴を掘り始める。

「宝だぃ、宝だぃ」

 周りのことは眼中にない。


デニット

 首をかしげる。

マリン<

「ふむ」
 光に透かして見てみる。
「あんたの言うとおりじゃないか?」
 デニットは宝石には詳しくないが、やはりアクアマリンか何かではないかと感じたのでそういってみた。
「このあたりに鉱脈があるのかも知れないな」


マリン

アーシュラ&デニット<

「何かの宝石の原石でしょうか?水色の輝きですからアクアマリンとか、そんな物?
 デニットさん、何か分かります?」

 それとなく、デニットに振る。


アーシュラ

「あれっ、何だろ?」
 石の塊を取り上げて泥を払う。

 マリンとデニットが見える位置に石の塊を持ってくる。


GM

 アーシュラとデニットで穴を崩そうと試みる。
 後から後から土や砂利が零れてきて、穴を広げたかと思うと塞がれてしまう。
「ちょっとここを通るのは無理なんじゃないか?」
 デニットがアーシュラに問いかける。
 進めなさそうなのを見て、マリンも神術の加護を求めるのを中断する。

 と、土砂が崩れるのに混じって、何かきらりと輝くものが床の上に転がってくる。
 ごてごてした石の塊のようだが、隙間隙間に水色の輝きが見える。



デニット

アーシュラ<

「どれどれ」
 穴を覗き込む。
 手を貸せそうなら、貸してみるつもりだ。



マリン

 アーシュラが勝手にどんどん進んでしまうのに不安を覚える。

「とりあえず明かりだけでも確保しなければ・・」

 両手を胸の前で組むと静かに祈って、ランプの神術に加護を求める。



アーシュラ

「えーっと、ムカデの巣はこっちかな?」

 お宝があるかも知れないと思うと直ぐに夢中になってしまう。
 石壁の崩れたあたりを掘って人が通れないかどうか調べる。

 見たところ、人間が通れそうな穴ではないようだ。
 ところどころ崩れているし、土も柔らかい。


 通れないならばデニットに頼んで一緒に壁を崩してもらう。

デニット<

「デニット!頼むーっ、手伝ってくれ!」



GM

 アーシュラが先にたって、ムカデの出てきた扉の方へ進んでいく。
 扉はムカデによって打ち破られて、使い物にならない。
 その先は通路のようになっているが、左手の奥のほうの壁に異常が生じている。石壁が少しばかり崩れ、土や石が通路の中にこぼれ落ちている。
 ……もしかすると、ムカデはここから図書館の中に侵入してきたのかもしれない。土の中には小さな虫も見え、この壁が崩れたのはそんなに昔ではないことを示しているようだ。



デニット

アーシュラ<

「甲冑やらを着込んだ奴は苦手だ。
 すばしっこい盗賊連中もね。
 だが、こういった生き物相手は大得意だ」
 にやりとする。


マリン

ALL<

「終わったの?
 待って、私も行くから!」

 慌ててアーシュラの後を追って走っていく。
 当然、ムカデの死骸は大きく避けて。


アーシュラ

 立っているデニットの側に歩いていく。
 ムカデの残骸を試すように蹴ってみる。

デニット<

「ふえーっ、やるじゃない。
 さすが、野生児だねえ・・・力まかせって言うか何て言うか・・・」

 苦笑しつつも、賞賛の表情を浮かべてデニットの顔を見る。

ALL<

「さてとっ、ムカデさんのねぐらを調べてみますか。大概、こういうやつらは、ねぐらに何か残しているものさ。」

 デニットの背中をポンっと叩くと、ムカデが出現したと思しきあたりに歩いて行き、あたりを調べ始める。


デニット

マリン<

「ほう、いいもんだ」
 暖かな光に触れ、痛みが完全に引いていくのを感じて驚く。
「やはり、魔法は便利だ。
 便利な分、信用もならないが」

アーシュラ<

「なっ?」
 突然の警告に表情を強ばらせ、反射的にムカデに斧を振り下ろす。

 ちょうど、両断されたムカデが一際大きく跳ね上がるところに、斧が打ち下ろされる。
 果たして、ムカデがしぶとく生きており、デニットに最後の一撃を加えようとしていたのか、それとも断末魔の身動きの一つだったのかは分からない。
 ともかくも、ムカデは今度こそ頭部を砕かれ、動かなくなった。
 デニットがため息をついた。


マリン

 決着はついたのかな?
 ひたすら、ムカデの方を見ないで状況を把握しようとする。

 デニットに向けてヒーリング呪文をノロノロと継続する。

 発動判定:分類/神術・ヒール > デニット
  マリン:成功!
   > 完治!


 ようやく癒しの奇跡を顕現させ、デニットの傷が完全に癒える。


アーシュラ

デニット<

「おお!ナイス!」

 ムカデが真っ二つになるところを見て安堵する。
 しかし、何か引っかかるなあ・・・小さい頃ムカデと対決した時に感じたしぶとさはこんなものじゃなかった。
 確か、完全に頭を潰さないと平気で動き回っていたような気がする。

デニット<

「デニット!油断するな!
 そいつの頭を潰せ!そうじゃないと、そうじゃないと・・・」

 大きな声でデニットに注意する。


GM

 命中判定:分類/ハンドアクス > ムカデ
  デニット:完璧な成功!
   > 命中!
    > 36ダメージ!
    > 撃破!


 真っ直ぐにムカデに向かっていったデニットが振り上げた斧は、綺麗な弧を描いて大ムカデに食い込み、そのまま振り抜かれた。
 つっこんできた勢いそのままに、ムカデは二つに分かれて、そのまま地面に転がった。
 一瞬の戦いだった。


マリン

 深呼吸すると、のろのろとデニットに向けてヒールをかけようとする。
 恐怖でなかなか集中できない。多分、戦闘中は間に合わないかもしれないと思う。


アーシュラ

「ああ・・・」

 デニットがムカデに向かって突出したのを見て、予想はしていたがちょっと慌てる。
 少し考えて、完成しかけたフレイムウィップは、その直前で詠唱を止めて魔力を解放させる。

デニット<

「あとは、ねえさんに任せたからね。」



GM

 マリンのマナエンチャントが完成する。
 デニットの斧を、青白い輝きが包み込んだ。

 アーシュラのフレイムウィップは後少しで完成する。
 とはいえ、どうすべきだろうか?
 デニットに当たらないようにムカデに命中させることはなかなか骨だ。しかも、ムカデはこちらに近づきすぎていて、炎の鞭の本来の間合いに対して近すぎる。


デニット

「虫かい――ふん」
 一瞬の炎の光の中に百足を見、嘲るような呟きを漏らすと、迎え撃つつもりで暗黒の中へ駆けだしていく。
「虫ごときに遅れを取るものか!」

マリン<

 駆け出し際に、頷いてみせる。


GM

 苦悶の軋り声を上げ、巨大なムカデは信じがたい速度で、跳ねるように迫ってくる。


マリン

 炎の向こうに何か汚らわしいものを垣間見た気がした。

「ムカデなの?」

 たくさん足があると考えただけで、体中の毛穴が開き、下半身から力が抜けて、もうそちらの方を見ることが出来ない。

 それでも何かしなくてはと思い、対象としてデニットだけを考えることにして、マナエンチャントをかける。

デニット<

「デニットさん、あとはお願い・・・」

 震える声で、やっと話す。


アーシュラ

「へへんっ、先制攻撃が成功したね。」

 得意げにマリンとデニットの顔を見て、にやりとする。

デニット<

「アンタに止めをさしてもらう前に、もう一発ぶち込みたいから、もう少しそこで待っててくれ。もちろん、向こうさんからやってきたら挨拶代わりにぶっ飛ばしていいぜ」

 フレイムウィップを発動すべく詠唱を開始する。


GM

 アーシュラは先を制して、爆発の魔法を詠唱する。
 追随して、マリンも保護の魔法を詠唱し始める。
 デニットは構えを取っている。
 何かがいるとは思っているが、アーシュラほどの確信が持てないため、積極的な行動を控えている。

 かさかさ、という音が強くなり、大きくなる。
 やがてマリンの詠唱が終わり、デニットの鎧を光で包み込む。

 そして、アーシュラの魔法も完成した。

 明かりが届いている先の暗闇の広がりの中をめがけて、エクスプロージョンを発動させる。

「爆風で吹き飛びやがれ!」

 発動判定:分類/エクスプロージョン > B11
  アーシュラ:成功!


 奥の空間めがけて魔力を解き放つ。
 その瞬間にかえってくる手応えが、「違う」と告げた。
 思っていたよりも、壁が近い!
 爆裂する炎の魔法は思いの外近い地点(D11)で炸裂する。
 幸いにして誰も爆風に巻き込まれるほどの距離ではない。

 魔力が高まり、炎と轟音、風を撒き散らす。アーシュラたちも熱い風を受けて、顔の皮膚がチリチリと焼け付くのを感じる。
 閃光が一瞬周囲を明るく染め上げる。
 爆音の中で、衝撃をまともに受け、悲鳴を上げるものがある。炎の閃光の中でまともには見えないが、巨大なムカデのようだ。

  > 21ダメージ!


マリン

アーシュラ<

「えっ?何、敵なの?」

 慌てて、プロテクションを唱える。


アーシュラ

ALL<

「うん?何か、向こうから聞こえたね。お客さんかな?」

 緊迫した表情で、マリンとデニットの顔を交互に見る。そして、ほけている様子のマリンに警告する。

マリン<

「・・マリン、戦闘準備だってば!聞こえなかったの?」

ALL<

「先ず、こっちから先制するよ。デニット、あたしからぶっ放すから準備宜しく!」


GM

 三人が扉を擦り抜けていく。
 かさかさ、と音がする。
 突然の光に驚き、地這い虫たちが逃げ回っているのだろう。

 空気はじんわりと湿気ている。
 風の流れ方から、この部屋はそれなりの広さがありそうだと分かる。

 と。

 聴覚判定:分類/通常の音
  アーシュラ:成功!
  マリン:失敗!
  デニット:成功!


 アーシュラは、やけに大きな生き物が這うような音が、西の方から聞こえた気がした。
 マリンには何も聞こえていない。
 デニットは何か聞いたと思ったが、口には出さない。


マリン

 一瞬、扉の隙間から大量の虫が這い出してくる錯覚にとらわれたが、目を硬くつぶって振り払うと、アーシュラの後をついて扉の向こうに移動する。


アーシュラ

デニット<

「さんきう」

 デニットに礼を言うと扉の向こう側にすり抜けて移動する。


GM

 不快な金属音を立てながら扉が開いていく。
 マリンの注文どおり、デニットはゆっくりと開けようと努力しているが、もとより素早く開けることはできなかっただろう。
 掌を広げたくらいの隙間をあけて、一度デニットが動きを止める。
 扉の奥の方を観察しているようだが、何もないらしい。
 引き続き、扉を押し開けていく。

 人ひとりが体を横にして、何とか擦り抜けられるくらいのスペースをあけると、デニットはふりかえった。

アーシュラ&マリン<

「これでいいかい」


デニット

 アーシュラに呼ばわれ、扉の方に戻る。

アーシュラ<

「了解」
 答えると、扉の前に立つ。

マリン<

「留め具が錆び付いているなら、開ければ騒音が出る。自明なこと」
 扉を観察しながらいう。
「そして、この扉はこれ以上ないくらい錆び付いている。
 努力はするけどね」

 扉に手を掛け、ゆっくりと体全体で押し開けていく。


マリン

ALL<

「扉を開けるのにデニットさんの力が必要なの? ・・・それって、思いっきり音が出ません?」

 何だか同じようなことが、過去の遺跡探険でもあったような。確かあの時は、開かない扉を二人でガンガン叩いてしまったが。今回も大きな音を立てて、不必要に敵対者の注意を引いてしまうのではないだろうか。

デニット<

「あの、デニットさん、大きな音を出さないようにお願いします。ゆっくりと力を入れてくださいね。
 それと向こうに何があるか分かりませんので、最初から全部開かないで、少しずつお願いします」

 真剣な面持ちでデニットを見る。


アーシュラ

 どうやら力任せにこじ開ける必要があるみたいだな。デニットにお願いするか。

デニット<

「おーい、こっちに来て、この錆付いた扉をあけてよ。」

 デニットの方を振り返って声をかける。

 デニットがやってきたら場所を譲って、ことの成否を見守る。


GM

 アーシュラがノブを回すと、ぎしぎしという錆の音を立てて動く。
 押してみれば開くだろうと思えるが、相当な軋み立てそうだ。間違いなく、すべての金具が完全にさび付いている。


マリン

独り言<

「こっちも壁みたいですね・・・」

 アーシュラに呼ばれて、慌てて引き返す。
 デニットの方は振り向きもしない。
 恥ずかしかったり、腹ただしかったり、複雑な心の内を見られたくない。
 貴族の家で育った矜持がまだ幾分残っている。


アーシュラ

ALL<

「そっちはどうだい?何かあった?
 何も無いなら扉を開けるからこっちに来て。」

 ドアノブに手をかけると、ゆっくりと回して見る。


GM

 マリンたちは南の方を調べに行く。
 とはいえ、明かりはアーシュラが維持しているブライト・クリスタルの光しかないから遠くまでは行けない。
 そして、光の届くぎりぎりのところまで来たところで、南側もすぐに行き止まりになっていることが分かる。
 もしかすると、出口の一つしかない小部屋なのかも知れない。


デニット

アーシュラ<

「分かった」

アーシュラ<

 にやりとする。
「誰にだって苦手な物はある。仕方ないさ」


マリン

 涙目でデニットを睨みつける。お嬢さん育ちなので、人に弱点を揶揄されるのは好きでないと言うか、あまり慣れていない。上手く受け流すことが出来ない。

デニット<

「デニットさん、南の方に行って下さい」

 氷のような雰囲気でピシャリと言う。アーシュラが視界から外れない範囲まで南に行ってみる。当然、足元の虫には細心の注意を払って。


アーシュラ

ALL<

「さてっと、また扉か。あたしが調べるから、皆は部屋の南側をもう少し見てみて」

 手を振って二人に「行った、行った」と促すと、じっくりと扉を観察する。

 技能判定:分類/扉・調査
  アーシュラ:ツールなし 成功!


 見たところ、押し開けるタイプの扉で、特段の罠はなさそうだ。
 鍵がかかっているかどうかは、ドアノブを回して見なければ分からない。



GM

 西に進むと、すぐに行き止まる。目の前には扉がある。


デニット

マリン<

「あんた……」
 マリンの表情と視線の先を見て、にやりとする。
「なるほどね、よく覚えておこう」

アーシュラ<

「どちらでも構わない」


マリン

 足元を這っていく虫を頬をひきつらせながら見ている。少し、涙目にもなっている。本人は必死になって弱点を隠そうとしている。

アーシュラ<

「ええ、西でも南でも早く行きましょう。
 とにかく、もっと清潔なところじゃないとダメです。」

 デニットに移動するように、身振りで促す。



アーシュラ

ALL<

「うわぁ、かび臭いな、ここは!
 何かが上手く動いていないって感じ。」

 思わず、不満を口にする。
 そして、光が届く範囲の西側と南側を見渡す。

「先ずは、西の方に行って見ようか?」

 デニットとマリンの顔を交互に見る。


GM

 三人は階段を下りていく。
 つめたい、冷え切った空気の中に、乾いた足音が響く。
 階下に降りた途端に鼻を突く、湿った埃とカビの臭いだ。
 アーシュラの知識では、古代の建築物の多くはカビや腐食から守る機能が備えられているが、中にはその力を失い、正しく時間を刻んでいく物もあるのだとか。
 光の水晶にさらされて、足元を名も知れない虫が逃げていく。


デニット

マリン<

「ま、しょうがない。まかせときな」
 斧をベルトから外して手に持つと、アーシュラを追い越して先頭に立つ。


マリン

アーシュラ<

「あっ、ちょっと待って!」

 慌てて、アーシュラに追いついて横を歩く。

 デニットの方を振り向いて、

デニット<

「デニットさん、先導をまたお願いしますね。」

 アーシュラと一緒に階段に向かう。


アーシュラ

ALL<

「うぃ。
 そんじゃ、地下二階に下りるよ。」

 言い終わると、くるっとくびすを返して歩き始める。


GM

 何事もなく、まずは一時間ほどが経過する。
 眠っているアーシュラは、ある程度緊張を保ちながら休息しているマリンも、それぞれの休み方に応じて気力が回復していく。


デニット

マリン<

「ま、しょうがないね。了解した」


アーシュラ

 意識して反応せずに、周りの会話に一切参加せずに目をつぶって休んでいる。


マリン

独り言<

「しょうがないですね。私が起きていて、あたりを見張っていましょう。」

 目をつぶっているアーシュラを恨めしそうに見る。

デニット<

「デニットさん、次はお願いしますね。休むって言っても、こ一時間ってとこですから・・・」


デニット

ALL<

「はい、お疲れさん」
 自分も壁に背中をあてて、座り込む。
「屋外じゃないだけ、ましか。
 雨もなく、風もない。よく分からない敵が襲ってくる可能性があるってところは、同じかね」
 呟きながら、休息する。


マリン

 アーシュラから装甲片を受け取る。

デニット<

「ご苦労様、助かりました。しばらく休みましょう。」

 ねぎらいの言葉をデニットにかけると頷いてみせる。続いて、 受け取った装甲片の裏側を確認する。分析出来る程度の魔術式が載っていれば良いが、どんなものだろうか?

 アーシュラが見たのと同じ、不可思議な紋様が刻まれている。
 ことによると、叡智の塔に在籍していたときに、類似した紋様を見た覚えがあるかも知れない。どちらにせよ、今は読み取ることはできないようだ。


 何れにしても、持ち帰るつもりなので、確認した後はテキパキとアーシュラの携帯用の袋の中にしまってしまう。アーシュラは目をつぶっているし文句も言わないだろう。

 そして、マリンもしばらく休むことにした。


アーシュラ

デニット<

「ああ、もう、これで十分なんじゃない。もう、良いから休んでよ」

 軽く手を挙げてデニットの動作を制すると、あまり確認せずに外れた胸の装甲を拾い上げてマリンに手渡す。

マリン<

「こんなもので良いかな?あたしは、もう疲れたよ。休むからね」

 座り込んで、食べ物を口に入れる。

 ・・が途中で「ふう・・・」と深い溜め息をすると、目をつぶってしまう。しばし、休憩するつもりだ。


デニット

アーシュラ<

 甲冑の一部を示されて、
「まあ、やるっていったしね。ちょっと貸してみな」
 手袋をはめ直し、斧を持ち上げる。

 一瞬、狙いを付けたのち、
「せいっ!」
 力強く斧を振り下ろした。
 右肩部分に一撃、左肩部分に一撃。
 板金は鈍い音を立てて裂け、アーシュラの狙ったとおりに、胸の部分の装甲が外れる。
 ――半分ばかり。
 あと、脇腹の部分が、背中の板金と接合されているようだ。

「そこも叩いた方が良いか?
 それとも、もう用済みかい?」

マリン<

「ま、力業だったらあたしの得意とするところだしね。
 任せてもらおうか」


マリン

アーシュラ<

「あら?実力行使にするのですか?」

デニット<

「あまり無理する必要はありませんから、ダメだったら休みましょう。」



アーシュラ

デニット<

「ふーん、接合部分はわかるんだけど外し方はわからないや。」

「胸の部分の板金だけでも上手く外せると良いのだけどね。」

 胸の部分の板金を中心にした接合部分に泥で線を引いて印にする。

「とりあえず、ここを叩いて板金が外れないか試して見てよ。」

 ダメモトって顔つきでデニットを見る。


GM

甲冑<

 アーシュラは甲冑をいじくりまわし始める。
 丹念に調査をしたところ、基本部分は普通の人間が身につける甲冑と同じなのではないかと思えた。
 さて、取り外し方だが……。
 どうやら、腕や胸の部分の板金は、それぞれ人間で言うところの関節部分にあるらしい何かの仕組みで接合されているようだ。その仕組みはよく分からなかった。
 どちらかといえば、力任せに固いものを叩き付けて、無理矢理ちぎった方が良いのではないかと思える。


デニット

マリン<

「おや、ありがとね」
 自分の分も渡されたのを見て、意外そうに礼をいう。

アーシュラ<

「しょうがない、食べ物の恩は返さないとね。
 あんたが駄目だったら言ってみな。あたしは力ずくでやってみよう」

マリン<

「魔力ねえ……。いやはや、魔術師の考えることはよく分からない。まあ、確かに永遠に見回りを続ける騎士なんてものが作れるのは便利かも知れないね」
 あいつはそういう奴なんだろう? と、アーシュラが格闘を始めた甲冑を見やる。


マリン

 自分も腰を下ろして、そそくさと軽食の準備を始める。

ALL<

「ああ、本当ならばお茶が飲みたいところですけど・・」

 ギルドから支給された、カンパンと干し肉を三つに分けて、アーシュラとデニットに渡す。
 アーシュラが甲冑をいじり出したのを見て、軽く微笑む。

デニット<

「試して見ましょうよ。私は良く知らないのですけど、無機物に文字を刻みつけることで、対象物に魔力を与える技術があるらしいです。甲冑の文字がそれと良く似たものかどうか知るだけでも価値がありますから。」

 デニットに頷くと、カンパンを齧りながらアーシュラの作業を見守る。


アーシュラ

マリン<

「はい、はい。仰せのままにしますよ。」

 ふざけて投げやりな言い方をすると甲冑の側にいざって行き、色々と触り始める。実は、ちょっといじってみたい。

 まあ・・・、シームレスな甲冑だったらバラバラにすることは出来ないが、何処かに接合部分があって、そこの機構が外せる仕組みになっていたら可能性がある。生来の指先の感覚と細工の知識を動員して、甲冑の大まかな接合部分とその構造を調査する。

デニット<

「まあ、そう言わずに。はなからダメなものは頼まないけど、可能性がある時はお願いするよ。」


デニット

マリン<

「なんだかね、刃物を手にした相手を目の前にすると、首筋のあたりがむずむずとするんだよ」
 困った風に笑う。
「しかも良く斬れそうだしね、そのナイフ。間違ってもあたしに向けないでくれよ」

 アーシュラが休もうかと提案したのを幸い、すぐにその場に腰を下ろす。
 荷物袋から道具を取り出して、目の前の甲冑が付けてくれた傷の手当てを始める。

マリン<

「いやいや、勘弁しておくれ。
 そんな気持ちが悪いのに触りたくないよ。
 それに、あたしは甲冑なんて身につけたことはないけど、それを着るのがどれだけ大変なのかは知っているよ。
 もしかしたら普通の鎧とは違うのかも知れないけど、どっちにしても分解するのにどれだけ骨と爪が折れることか」


マリン

デニット<

「まさか、デニットさんで試すなんて乱暴なことはしませんよ。」

 再び悪戯っぽく笑うと短剣を鞘にしまう。

アーシュラ<

「ふーん、読めても理解出来ないのですね。
 魔術式の一部でも持ち帰って、後で解析できないのかしら。今はダメでも、ちゃんとした研究施設に持ち込めば何とかなるかもしれません。」

ALL<

「この甲冑を分解できないかどうか、試して見ませんか。休むのは、その後で良いでしょう。」

 二人を急き立てる。


アーシュラ

 甲冑の文字の解読ために暫く集中していたが、溜め息をついて首を振る。

ALL<

「ふうーっ、何だか、あたし達の魔術の似ているって言うのは分かるんだけどね・・・多分、今のあたしより高度な魔術レベルなので理解出来ないや。
 そもそも魔法生物を創生したり使役したりする魔術なんて習ってないじゃん。無理だよ。」

 諦め顔でマリンのことを見る。

マリン<

「何だか疲れたよ。少し、休もうか?」

 甲冑を前にして腰を下ろして休み始める。


デニット

アーシュラ<

「別に構わないよ」
 手を振る。
「あたしは、ちっちゃな武器には興味がないからね。魔法の武器だとしてもさ」

マリン<

 とかいいながらも、マリンに誘われると、実は気になっていたのか一緒に短剣を覗き込む。
「へええ、なるほど。まるで氷のような刃だね」
 マリンにほほえみかけられると思わずたじろぐ。
「ああ、いや、あたしでは試さないでくれよ。
 さっきの甲冑みたいな奴が出てきたら試してみておくれ」


マリン

 アーシュラから一通り、イーサンクの説明を受けた後、短剣を受け取る。

独り言<

「“青い星”イーサンクって言うのですか・・・」

デニット<

「デニットさん、こっちに来て、一緒に見てみましょうよ」

 ゆっくりと剣芯を鞘から抜いてみて、胸の前辺りで軽く振ってみたり、強く柄の部分を握ったりしてみる。

デニット<

「魔法の威力を試してみましょうか?」

 デニットに向かって悪戯っぽく笑みかける。


アーシュラ

デニット<

「まあ、賢王さまにどう報告するか、これから考えるってことで。先のことは、まだどうなるか分からないよ」

 どのように賢王を出し抜くか、これから必死に考えなければならない。それにお宝は、これに限ったものじゃない。
 そのように考えて、思わずニヤリとする。

マリン<

「何?、甲冑の文字がどうだって?
 それと、この短剣だけど、アンタが持っていた方が効果があるみたい。魔法の相性がね、水と冷気だから」

デニット<

「デニット、とりあえず、お宝はマリンに預けるってことで良いよね?」

 マリンに一通り、イーサンクの説明をして手渡す。次に甲冑の文字の解読にとりかかる。
 ランゲージを詠唱して文字を読む。

 アーシュラは甲冑の文字を見つめながら、魔術の詠唱を開始した。

 魔術判定:分類/ランゲージ
  アーシュラ:成功!


甲冑<

 あらゆる言語の読解を可能にする魔力を瞳に宿して、アーシュラは甲冑の裏側に書かれた文字を読み取ろうとする。
 やたらと複雑で、意味を取るのが難しい。
 どうにも口にするのが難しいが、この文字は一つのつながりを持っているようだ。自分たちが行う魔術と非常に似通っている。魔術も、一つ一つの意味のある 式を連ねて、ある種の効果を発揮するようにしてある。この文字も同様に、文字を連ねて意味となし、何かの効果を発揮するようにしてあるようだ。
 アーシュラがもう少し魔術の技能を磨けば、意味を理解することもできるかも知れないが、今はこれくらいしか分からない。


デニット

アーシュラ<

「へえ、綺麗な短剣だね。高く売れるかも知れない……。
 でも、確か、この遺跡に中で見つかったお宝の類は、賢王様に報告しなけりゃいけなかったんじゃないかい?」


マリン

「ふうーん、やっぱり宝箱には魔法がかかっていたのですね」

 先ほどの動く甲冑と言い、この宝箱と言い、ここは魔法だらけのように感じる。早く、色々な情報が欲しい。
 アーシュラの興奮がおさまったら、先ほどの甲冑の中の文字を魔法で解読してもらおう。

 アーシュラが落ち着くのを待って、話しかける。

アーシュラ<

「ねえ、アーシュラ。さっきの甲冑の中に何かの文字が書いてあります。ランゲージで解読してくれますか?」

 甲冑を指差す。


GM

 魔法判定:分類/アナライズ > 黒い鞘の短剣
  アーシュラ:完全な成功!


 アーシュラが投じた魔力の網が短剣を包み込み、その武具の仔細を調査する。
 その結果、次のようなことが分かった。

“青い星”イーサンク
A(振る):14/-/- 命中20 防御10 射程0-1
B(突く): -/14/- 命中15 防御10 射程0-1
硬度/耐久 12/70:35
魔法武器Lv.1 保護の魔法Lv.2
 鞘を抜くと、鋭い輝きを放つ鋼の短剣。
 深い色合いを持つエメラルドが填め込まれている。
 エメラルドには水と冷気の魔法が掛けられており、この短剣を握りながら行使された、「第一属性」が水か冷気の魔法は、判定に5%のボーナスを得る。



アーシュラ

ALL<

「お宝一つ、ゲットォ」

 宝箱から短剣のようなものを取り出すと、両手で捧げるように持ってデニットとマリンに見せる。

「えへへっ、んじゃ、どんなお宝なのか調べて見ようか」

 アナライズを唱えて、短剣を調べる。


GM

宝箱<

 宝箱の中には赤い敷布が敷かれており、その上に宝石のあしらわれた短剣のようなものが置かれている。
 黒い鞘を金で飾った、見事な細工の短剣だ。


アーシュラ

マリン<

「うぃ」

 マリンの合図を待って、鍵束をガチャガチャしながら開錠作業を開始する。

デニット<

「へへっ、開けて飛び出るモンスターってね。そん時は頼むよ。」

 アーシュラは解錠作業を始めようとする。
 七つ道具がないから、手持ちの鍵束が合うのでなければ開けられないかも知れないが……。と、屈み込んだところでアーシュラは気が付く。
 宝箱のふたがわずかに持ち上がっている。
 もしかすると、この宝箱の鍵は魔法で掛けられていたのではないだろうか? それが、マリンの魔術で解除されたのかも知れない。


 二人に合図して開けます。

「そりゃ!!」


GM

 魔術判定:分類/ディスペルマジック > 宝箱
  マリン:非認識-20% 優秀な成功!
   解除!


 マリンが詠唱を終え、魔法を行使する。
 幾重もの魔法陣が生み出され、宝箱を包み込む。
 ディスペルマジックは、言うなれば知恵の輪を外すかのように、対象の魔術を分解していくものだ。であるから、術者自身が解除の対象となる魔術を理解しているならばより高い精度で消去することができる。
 全くの手探りでも半自律的に解除をすることが可能だが、難易度は高くなる。
 それでも、マリンの行使した魔法は確かに働き、宝箱に込められた魔術の理を分解し、取り去っていく。
 力は消滅したようだ。


マリン

 どうも甲冑の裏側に書かれていた文字のことが気になる。
 ひょっとすると、この宝箱も同じ魔法原理の仕掛けが裏側にされているかもしれない。

アーシュラ<

「アーシュラ! ちょっと待って。用心のためにディスペルマジックを唱えるから、詠唱が終わるまで宝箱を開けるのを待って。」

 1レベル強化のディスペルマジックを1ターン詠唱維持でゆっくりと集中しながら詠唱し終ると、アーシュラに頷いて合図する。


GM

 技能判定:分類・罠 > 宝箱
  アーシュラ:優秀な成功!


 アーシュラが調査したところ、宝箱に罠は仕掛けられていないようだ。少なくとも、外見から分かる限りでは。
 また、施錠の有無を調べるためやむなく手を触れてみたが何も起きない。
 宝箱には鍵がかかっており、このままでは開かないだろう。


デニット

アーシュラ<

「なんとまあ、見事な隠し部屋だねぇ」
 宝箱が隠されていた部屋、ということでそんな言葉を使う。

マリン<

「了解」


マリン

デニット<

「デニットさん、巻き添えになると危ないから、少し後に下がりましょう。どうせ私たち、何も手伝えないし」

 アーシュラと宝箱から2,3メートル下がると、プロテクションを再び唱え……ようかと考えたが、先ほどの甲冑との戦闘中に呼び起こしたプロテクションがまだ持続している。

「気休めかもしれないけれど、何もないよりはマシかもしれません。」


アーシュラ

「おお!なんて素晴らしい。これで血がべっとりとついた宝箱だったら、さらに雰囲気が出るね。」

 デニットの顔を見て頷く。

「さてと、それでは調べて見ますかね。ふん、ふん。」

 鍵束を取り出すと、指の先でくるくると回しながら、罠の有無や施錠の有無を調べ始める。


GM

箱<

 近づいてみてみると、それは木で造られて、金属板であちこちに補強が施された箱のようだ。
 大きさは横幅が1m、高さが50cm、幅が80cm程度だ。随分としっかりした作りのようで、重量感もある。

 アーシュラはまだ手を触れていない。
 ……さて、アーシュラの知識では、宝箱というものには罠が仕掛けられていることがある。
 それは、例えば開けようとすると同時に爆発するものであるとか、開けた瞬間に強酸を撒き散らしたりするものであるとか。あるいは鍵がかかっていて、鍵開けを試みようとすると毒針が飛び出してくるものだとかだ。
 ものによっては、魔法が掛けられていて、触っただけで何かしらの悪影響を被るものさえある。
 そういった箱であれば、開けようとするのは一種の賭けとなる。
 しかし、もしかすると何も罠はなく、鍵さえかかっていないかも知れない。
 まずは、調べてみなければ分からない。


デニット

アーシュラ<

「ひょ、豹変するもんだねえ、あんた」
 おかしな笑い声を上げたマリンを、目を丸くしてみている。
 箱に興味はあるので、一緒について行く。


マリン

アーシュラ<

「えっ、なーに?何かあるの?」

 こっちの甲冑の方にも発見したことがあるのだが、先ずはアーシュラ達が発見したものを調べる方が先だろう。

アーシュラ<

「うん、今、行くから」

 小走りしてアーシュラ達に合流すると、一緒に調べ始める。


アーシュラ

 前方の箱状の物を眼を凝らして見る。ひょっとするとお宝かも?
 急にムラムラと山っ気が起きてくる。

ALL<

「ふふっ、何か前の方にあるね?」

マリン<

「ヤッホー、マリン!早く、こっちにお出でよ。何かいい物見つけたみたいだよ。」

 マリンを手招きして呼ぶ。

デニット<

「さてと、何かなぁ?うへっへっ」

 次に下品な笑い方をしてデニットを見ると、身振りで前方に進む合図をする。
 早速、どんな箱なのか状態を確認することにする。
 まさか、罠とかないだろうな?


GM

 マリンは丹念に甲冑を調べた。
 構造が見慣れないものだという他に特に分からないが……ふと、中を覗いたときに何かに気が付く。
 甲冑の内側に、ぼこぼことしたものがある。
(人間が身につけるときは、必ず厚手の服と一緒に着るが、この甲冑は甲冑そのままだ)
 どうやら、甲冑の裏側にはびっしりと文字が刻まれているようだ。
 鎧を分解してみればもっとよく見られるだろうが、これ以上この場に留まっていると、アーシュラたちの明かりが遠ざかって何も見えなくなりそうだ。

 アーシュラがデニットと共に先に進むと、通路は途中でまっすぐになる。
 と、アーシュラの持つ結晶が放つ光を何かが反射する。
 通路の先、床の上辺りで何かが光を放っている。
 辛うじて、箱のようなものが見えなくもない。


マリン

 マリンは、この甲冑に非常に興味を持った。
 どんな魔法原理で動いていたのだろう?
 ひょっとすると、この地下構造物全体の魔法文明の傾向などを推測できるかもしれない。
 それは、これから探索を続ける上で貴重な情報になるのに違いない。

 甲冑の何処かに、魔法原理の痕跡を求めて、頭の天辺からつま先までつぶさに観察する。果たして何か見つかるだろうか?

 アーシュラやデニットは既に奥の方に行ってしまったが、マリンはぐずぐずと一人留まって調べている。


デニット

アーシュラ<

「……なるほどね」
 守り手がいるのなら、守られるべき何かがなくてはならない。
 道理だ。


アーシュラ

「中はがらんどうだねぇ」

 ゆっくりと手のひらで甲冑に触って見る。
 あたかも先ほどまであった魔力の余韻を感じ取るように、目を閉じて集中する。

ALL<

「もう、動かないね。多分、この甲冑は何かを守護していたのだと思うよ。
 ふふっ、何を守護していたのかが大事ということだね。」

 そういうとニヤリと笑って、デニットを見る。

デニット<

「さあ、お宝の探索と行きますか!」

 デニットを促すと甲冑がやってきた奥の方に向かって歩いていく。


GM

 甲冑の中はがらんどうになっている。
 甲冑の作りは、現在町中で見られるものとは違うようだった。何が、どのように違うのかは、専門的な知識のない二人には分からなかったが、構造も装飾もあまり馴染みがないような気がするのだった。
 アーシュラには、この甲冑は魔法の力で動き、侵入者を排除するように定められた守護者のようなものではないかという推論ができた。


デニット

アーシュラ&マリン<

「……い、いいのかい? また動き出したら……」
 探求心の旺盛な二人に圧倒されて、思わず訊ねる。


マリン

「ごくりっ」

 生唾を飲み込みながら、甲冑に近づく。何か魔法的な仕掛けがあるのだろうか?
 恐怖にかられながらも、仔細に甲冑を調べ始める。


アーシュラ

ALL<

「あれっ、動きが止まった?」

 恐る恐る、動きの止まったような甲冑に近づき様子を観察する。甲冑の中を覗き込もうとするが・・・


GM

 アーシュラの魔法が完成する。
 アーシュラは詠唱を維持しながら、デニットが鎧から離れるのを待つ。

 デニットが振るった斧の一撃が、鎧に直撃する。
 だが、鎧の放った攻撃もまたデニットを正面から捉える。
 鎧の方はあまり応えた様子が見えないが、デニットは突き飛ばされ、通路に転倒する。

  < 8ダメージ

 そこで、アーシュラが維持していた魔法を解放し、炎の鞭を生み出す。彼女の手の内から、激しく揺らめく一条の炎が流れ出し、うなりを上げて甲冑へと迸る。

 炎が甲冑を打ち据えると、甲冑から放たれていた青い光が漸次消え去る。同時に、ただでさえぎこちなかった甲冑の動きが鈍り、停止する。
 アーシュラたちはそこで、あの古代遺跡で戦った亡霊の主との類似点を見いだすかも知れない。
 あの亡霊は青い炎を身にまとっていたが、こちらが魔法をぶつけるたびにその炎が弱まり、力を失っていた。あの亡霊の場合はすぐに炎の勢いを取り戻していたが……。

 マリンのマナエンチャントが完成し、デニットの武器を青白い光で包み込む。デニットは今は立ち上がり、油断なく身構えている。


デニット

マリン<

「りょう――かい!」
 動く甲冑と斬り結びながら、何とか退く機会を探し出す。


アーシュラ

 動く甲冑を睨んで、フレイムウィップの詠唱完成に集中する。

 アーシュラの意図としては、敵の撃破というよりは、足止めを狙っている。フレイムウィップが命中しても、しなくとも、しばらく敵の行動を邪魔できれば良い。要するに、火の鞭で脅して近づけないようにしたい。その間に次の対処方法を思いつくかもしれない。


マリン

 動く甲冑は敵対的な意思を持つものと確認された。これでアーシュラは攻撃魔法を使用することになるだろう。

デニット<

「デニットさん、こっち、こっち!」
 やや緊迫した鋭い口調でデニットを呼ぶ。

「デニットさん、後に下がってください。アーシュラが魔法を仕掛けます。」
 大きな身振りでデニットを招きよせる。

 それにしても・・・改めて、動く甲冑の姿を観察する。中に人が入っているのか、それとも魔法的な産物なのか?襲って来たものを単純に撃破するだけでは単 に情報が失われるだけのように思えるが・・しばらく逡巡したが、意を決してデニットの武器に対してマナエンチャントの詠唱に取り掛かる。


GM

 二人が思い思いの魔法を詠唱する中、デニットと甲冑がぶつかり合う。
 走り寄って来た甲冑はその勢いのまま、ぎこちない動きで剣を振り上げて、デニットに振り下ろしてくる。
「冗談じゃないよ!」
 デニットは脇に躱して、お返しとばかりに斧を叩き付ける。

  > 5ダメージ!

 だが、ひどく固く重いものを殴りつけるような音と共に、斧の刃が弾かれる。

 発動判定:プロテクション
  マリン:成功!


 マリンの祈りが完成し、デニットの体防具を不思議な衣が取り巻いた。

 アーシュラの炎の鞭の魔法が完成仕掛けている。
 アーシュラ自身は魔法に集中しているために何をすることもできないが、マリンには、この狭い通路では、 今の位置関係からでは、デニットがアーシュラの魔法の巻き添えを食う可能性があると分かる。


デニット

甲冑<

「な――」
 異様な姿に息をのむ。

アーシュラ<

「何だ!あれは!?」
 大声で聞きながらも、斧を構えて前に進み出る。


マリン

 何だか、剣を持っているようだ。一応、敵対的な意思を持つ場合を想定して準備をする。

 一瞬、ディスペルマジックにするか、プロテクションにするか迷ったが、直ぐにデニットにプロテクションをかけることにする。ディスペルはその後でも良いだろう。


アーシュラ

 大きく目を見開いて、走り寄ってくる者?を見定めようとする。

ALL<

「何だ?何か、来るよ。」

デニット<

「デニットさん、前衛、宜しくぅ」

 まだ、敵対的なものかどうか判断がつかない。
 しかし、フレイムウィップの呪文の詠唱を開始する。


GM

 かしゃん

 かしゃん

 音は規則的に鳴り続いている。
 通路を進めば進むほど、音は大きくなる。間違いなく、音の原因は向こうにある。
 
 通路が途中で斜めに折れている。
 これまでと同様に道の奥が暗闇に包まれている――が、青白い人影がその中に浮かび上がっている。
 手に剣を提げた甲冑がうっすらと光を放ちながら、ぎこちない動作で通路を右に左に行き来している。
 ふと、それは立ち止まる。
 突然、アーシュラたちの方へ振り向くと、不自然な動作で走り寄ってこようとする。

 かしゃん!かしゃん!かしゃん!


デニット

アーシュラ<

「了解。
 ちなみに、罠は苦手だから引っかかっても責めないでもらいたいね」


マリン

 アーシュラとデニットのやりとりを面白そうに観察している。
 今、ここでマリンに出来ることは少ないので、あまり口を挟まないことにする。

 通路の奥の音の主に出会ったとき、自分は何をすれば良いのだろう?
 何か敵対的なものでないと良いのだが・・・



アーシュラ

 右手の通路の奥をこわごわと覗き込む。

デニット<

「・・・あー、お願いするよ。やっぱり、先に進んで欲しい。」

 デニットに先頭を譲って、後からついて行く。


GM

 アーシュラが最初に入って様子を伺っている。
 デニットが続き、マリンが最後に入る。
 左右に道が開いている。左手には下に降りる階段が見え、右手は長い通路になっているようだ。

 かしゃん
 かしゃん

 長い通路の奥の方から、覚えのある音が響いてくる。
 通路は暗闇の中に沈み込み、先がぼんやりとしていて何も見えない。

「別に、普段先頭に立つ分には文句はないから、必要なら代わるよ」
 デニットがアーシュラに提案する。


マリン

「うふふっ」

 ニコニコしながら、アーシュラが扉の中に入っていくのを見ている。
 当然、自分が最後になると思っているので、デニットが次に入るのを待っている。

アーシュラ<

「どう、大丈夫?」


アーシュラ

デニット&マリン<

「あちゃーっ! あたしかよ・・・ちぇっ」

 不満げに天を仰ぐと、諦めて扉の向こうに踏み出す。
 順当に行けば音のする右手の方に行こうと思うが・・・


GM

(1→2→3→1…という組み合わせで勝つという設定で、1から3までの乱数を振りました)

「ジャン、ケン、ポン!」

 アーシュラ : 3
 マリン    : 2
 デニット   : 2

 ………。


デニット

アーシュラ

「それなら公平ってもんだね」
 同意して、構える。


マリン

アーシュラ&デニット<

「ええ!! 私もジャンケンするのですか。私が先頭に立っても何の役にも立ちませんよ。」

 言いかけてデニットの顔を見て、不承不承ジャンケンに参加する。



アーシュラ

 デニットとマリンの顔を交互に見る。デニットのやつ、怖い顔しているな。少し、折れるか・・

デニット&マリン<

「うむぅ・・・、ここは公平にやろうか。ジャンケンで決めよう、良い?」



デニット

アーシュラ&マリン<

「…………」
 先に行け、といわんばかりの二人の様子に、じろりと半眼を向ける。

アーシュラ<

「何でか私が先頭に立ってるが、こうした迷宮探索では、罠の扱いや感覚に優れた盗賊が先導するもんなんだがね」
 じろり、とアーシュラを見る。

 二人の様子を見て、デニットもあまり先に通りたくはなくなったようだ。


マリン

「・・・」
 扉の向こう側を恐々と覗き込む。
 自分からは最初に入っていく意思はない。
 アーシュラとデニットがどうするか様子を見ている。


アーシュラ

「なっ、なんだ!」

 拍子抜けしながらも、油断なく、前方の空間に何があるのか注意を注ぐ。
 やがて、デニットの方を向いて顔を合わせると、先に扉の向こうに行くよう催促する。


GM

 二人で力を入れて動かそうとすると、思わずつんのめりそうになるくらいに簡単に壁は開いた。これなら、子供でも片手で開けられそうなほどだった。


デニット

 呼ばれ、指示された場所に目を近づける。

アーシュラ<

「……なるほど」
 巧妙に飾りや影に隠されていて、よく注視しなければ見つけることができないが、確かに切れ目がある。
「よくもまあ見つけたもんだ」
 手を掛けて、アーシュラと共に引きあけようとする。


マリン

 アーシュラが何か見つけたらしい。
 どうするのか、しばらく様子を見ている。


アーシュラ

 細い切り目を軽く指でなぞってみる。扉なのか?しかし、壁みたいで、ちょっと重たそうだな。
 思いついたようにデニットの方を振り返ると話しかける、

デニット<

「ねえ、ここにずっと切れ目が入っているんだけど、一緒に指を入れて開けてくれない?」

 デニットがやってくるのを待って、一緒に壁を動かそうとする。


GM

 子細に壁の様子を調べていたアーシュラは、あることに気が付く。
 正面(南側)の壁、その一番右側に縦に一直線に細い切れ目が入っている。ちょうど指を引っかけられるくらいの太さだ。
(この壁は、引き戸のようになっているのではないか?)


デニット

マリン<

 マリンの顔を見て、不思議そうにアーシュラを見る。

 とりあえず、言われるままに壁を調べ始める。
(――調べるとはいえ、何を調べれば良いのやら……)


マリン

アーシュラ<

「えっ、なーに?壁を調べるの?」

 まあ、探索や罠に関してはアーシュラの方が上手だから、デニットに軽くウィンクするとアーシュラの後に立って彼女がやることを見ている。


アーシュラ

ALL<

「みんな、ちょい待ち!」

 何かを疑るかのように目を細めて周りの壁を見つめる。

「何か怪しいよ。みんな、壁を良く調べて見て!」

 マリンやデニットにも促して、前方や側面の壁を仔細に調べ始める。


GM

 デニットは再びコインを弾く。
「こっちだね」
 言うと、直進した。

 まっすぐ行くと、道は左に折れている。

 技能判定:分類/???
  アーシュラ:辛うじて成功!
  マリン:失敗!


 そこで、アーシュラに、ふっと違和感が訪れる。
 正体は分からないが、何かを感じる。


デニット

アーシュラ<

「構わない。また、コインに聞くとしようか」

マリン<

「召還……? かどうかは知らない。
 どっちにしても、何かの知識は見つかるだろうね」


マリン

デニット<

「あっ、そうなんですか?
 妖精の召還魔法って、やっぱり何処かにあるんだ。ひょっとしたら、この探索で見つかるかも!」

アーシュラ<

「でも、アーシュラは闇系魔法の探索が目的なんだよね。」


アーシュラ

デニット<

「はい、はい、また、曲がり角ね。次も、そっちで適当に決めていこう。何れにしても出た所勝負なんだから」


GM

 デニットはコインを取り出すと、指で宙に弾いた。
 出てきた面を見て、
「こっちだ」
 そう宣言すると、右へ曲がる。

 先へ進んで程なく、丁字路となる。
「曲がり角だらけだね」


デニット

アーシュラ<

「構わない。けれど、私は完全に直感で決める。文句はないだろうけれど」

マリン<

「そういう魔法があると聞いたことはある。知っていたら便利だろうね」


マリン

「あーぁ、こういう時に親切な妖精さんでも出てきて案内してくれたら良いのになあ。」


アーシュラ

「ふうーむ・・」
 デニットの格言めいた言葉に思わず心を動かされてしまう。

デニット<

「じゃ、今回はアンタに決めてもらうよ。どの道、誰がどう決めようと迷宮なんだから同じさ。」

 デニットを見ながら、右に曲がるのか、真っ直ぐ進むのか、決めてもらうことにする。


GM

 アーシュラたちは丁字路まで戻り、今度はそのまま東に向かって進む。
 そして程なく、再び、道が分かれているところに出てくる。
 何の目的があって、図書館にこのような迷路を造るのだろう?


デニット

アーシュラ<

「君子危うきに近寄らず。
 もっとも、ここが迷宮なら、回り込んでいっても音源に辿り着けるかは分からない」
 格言めいたことをいいながらも先頭を歩く。


マリン

ALL<

「何の音だか正体見るの怖いですね・・・」

 アーシュラと一緒に新しい領域を探査する。


アーシュラ

 しばらく、そこで微かな音に聞き耳を立てている。

ALL<

「ふーん、やっぱり、ここからも何だか良くわからないや。
 戻って、回り込んで調べて見ようか。」

 回れ右をすると(Q,07)の位置まで戻ってから右折し、壁沿いに南下してぐるり小部屋の外側を回り、音源に近づこうとする。


GM

 通路に戻ってきてみると耳を澄ませてみると、なるほど、微かに音が聞こえる。ただ、階段のあった南東の小部屋と比べると、非常に小さい。その気になって調べてみないと、間違いなく聞き過ごしてしまうほどの音だ。


マリン

ALL<

「ちょっと大戻りですね。」

 小声で呟くとアーシュラについて歩いていく。


アーシュラ

ALL<

「ふうむ、ここは袋小路になっているようだね。来たところを戻って回り込んでみようか。」

 進行方向に階段をぐるりと回って小部屋を出ると、T字路のところまで戻ってから左に曲がってみることにする。


GM

 アーシュラたちは部屋の南側に行こうとする。
 が、しかしそこも行き止まりだ。
 空気の動きもないことから、この部屋は北以外は閉ざされているのではないかと思える。

 この場所まで移動してくると、かしゃんかしゃんという音は聞こえなくなる。


デニット

アーシュラ<

「何かが動き回っているような音だ」
 呟くように応える。
「聞いたことがない。少し遠いね」


マリン

 音源は何か金属製の音のようだ。やはり、何かの魔法生物だろうか。

 アーシュラやデニットと一緒に移動しながら、ディスペルマジックの呪文を思い出しながら何時でも使えるように心の準備をする。


アーシュラ

ALL<

「かしゃん、かしゃんって、誰かいるの? ・・・じゃなくて、何かあるの?かな・・」

 漠然とした不安感、マリンとデニットの表情を探るようにみる。

ALL<

「やっぱり、調べてみるよね?そのために来たのだから。」

 二人に合図して南(下)を向くと、壁沿いに回りこんで音のする方に近づこうとする。


GM

 アーシュラたちは階段を下りて、今度は西に進む。
 と、すぐに壁に行き当たる。

 聴覚判定
  アーシュラ:通常の成功!
  マリン:通常の成功!


 かしゃん
 かしゃん

 そんな音が、どこか遠くから聞こえる。


GM

 アーシュラたちは階段を上がっていった。


デニット

アーシュラ<

 笑うと、先を歩く。

マリン<

「旧サイーディア帝国、または新サイーディア王国。
 創造竜を発見するためだ。
 竜を見つけ出し、再びこの世界の加護を賜る。それが我々竜追いの使命であり、人族全体の悲願だからだ。
 ……もっとも、かの国の場合は、もっと別の計算もあるだろうがね」


マリン

 デニットの話に対して、マリンはアーシュラとは違った見方をする。

デニット<

「帝国って、サイーディア帝国のことですよね?
 その帝国が何で聖大森林の探索を計画しているのかな?単なる御参りだとは思えないけど。」

 皆と一緒に階段を昇る。


アーシュラ

デニット<

「何だ、要するに御参りなんだ・・・」
 それ以上は何も言わず一人ぶつぶつと呟く。

ALL<

「とりあえず、上に昇ってみよう。」

 部屋の階段を昇る。


GM

 丁字路を右折してしばらく行くと、小さな部屋にぶつかる。
 その部屋の真ん中には、上階への階段があるようだ。


デニット

アーシュラ<

「あんたは本当に宝が好きだな」
 あきれたような声を上げる。
「ところで、モナバライトではなく、モナパライトだ。
 かの創造竜が寝所、竜伏の大洞窟を懐に抱く、バーナード地方の北端にある広大な森だ。聖域として知られてる。
 宝は森にはないだろうな。大洞窟にはおそらくあるだろう」

マリン<

「神聖なる創造竜を守る森だから、聖なる森。そういうことさ。実際、あの森には昔から聖なる気が満ちているという。重体の病人までもが快気を得られる程の清浄な空気だ。
 私も行ってみたことはないが、竜追いを自認するからには、一度は参ってみたいと思うね」


マリン

デニット<

「そうですか、ミノッツに行く予定はないのですか。」
ちょっとがっかりする。

 アーシュラが聖大森林のことを聞いているので、聞き耳を立てる。
 聖大森林というからには、何か聖なる場所なのだろうけど、どうして「聖」と呼ばれるのかマリンは知りたいと思った。

デニット<

「どうして、聖大森林と呼ばれるのか知っていますか?」

 T字路を右折する。


アーシュラ

ALL<

「そうだな・・右に曲がって壁づたいに移動しようよ。OK?」

デニット<

「聖大森林モナバライトか。何故そんなところへ?それとも、そこはお宝がどっさりなのかな。」


GM

 前衛のデニットが足を止める。
 空気の動きが変わった。
 前と、右手に、道が開けている。丁字路になっているようだ。


デニット

アーシュラ<

 アーシュラの指示で二人が斧の間合いから離れたのを見て、ふと微笑する。
「そうだね、その方が賢明だよ。
 私もあまり器用な方じゃないし、斧ってのは無骨な武器だから、近づくと痛い目にあう。昔、私自身、失敗したことがある」

マリン<

「なるほど……」
 顎をかいて、ちらりとマリンに視線をやる。
「まあ、いいさ。
 ミノッツに戻る予定か。
 ……しばらくはない。帝国の方には行ってみようかと思うが。聖大森林の探索に参加しようかと思っているからね。
 どっちにしても、今回の探索次第だ。手持ちがあまりないから、この調査で報酬なり別の余録なりがなけりゃ、しばらくは身動きが取れない」

「……おっ、と……」
 警戒を怠っていたことに気が付いて、前方に意識を戻す。


マリン

 アーシュラに指示されて後衛の位置まで下がる。

デニット<

「わたしがですか?うーん・・・確かに家が没落してからいろんな目に会いましたけれど、不思議と周りの方が親切なので、どういうわけか決定的な不遇を避け ることができてます。だから、そんなに世間慣れしてスレているわけじゃありません。でも・・・これからも周りの方が、絶対に私に親切にしてくれるように修 養に努めるつもりです。」
 周りに見られないように下を向いて冷たく微笑する。

「ところで、デニットさん、ミノッツに戻る予定とかありますか?私、ミノッツに一度行って見たいので連れて行って欲しいのですけど。」


アーシュラ

 ちょっとデニットに近づきすぎかな。少し距離をとって後衛の位置まで移動する。
 マリンにも手で指し示して、後衛の位置まで下がるように合図する。
 これでデニットが暴れまくっても大丈夫だろう。


デニット

アーシュラ<

「墓荒らしね」
 ふと、笑う。
「いいな、あんた。
 私は臆面もなくそういうことを言ってやれる奴は、好きだ」

マリン<

「たいしたもんじゃないさ。
 仕事は、斧を振るうこと。自分のためにも振るうし、誰かのためにも振るったりはする。仲間はいたこともあるし、いないこともある。いないときの方が多いか」
 自分のことを話したそうな素振りではない。
「ただの傭兵だよ。私は。生まれてこの方、武器を持って戦うこと以外、覚えようとしたこともない、さ」
 話を変える。
「あんたこそ、どんな奴なんだ?
 見たところ、お嬢さんって奴だが。私の鼻は、あんたがただのねんねじゃないってことは教えてくれている」


GM

 アーシュラたちは並び方を変更した。
 なるほど、これなら、より正面を警戒することができるだろう。
 しかし、デニットの周囲を塞いでしまう形にもなっている。もし、この隊列のまま戦闘に突入してしまった場合は、なるべく速やかに彼女の周囲から離れなけ れば、こちらが彼女の斧の餌食になるか、それともそれを恐れたデニットがうまく戦えなくなってしまうだろう。


マリン

デニット<

「野生児ですか、ふうーん。」

 ちょっと風体が汚れているのは、そのせいなのかな?改めて、デニットの格好を頭の天辺から爪先まで、しげしげと観察する。きっと、強い生存能力の持ち主なのに違いない。どんな特徴があるのだろう。

 アーシュラに指示されて、デニットの右手後方の中衛位置に移動する。

デニット<

「もし、差し支えなかったらミノッツでどんなことしていたか教えてくれますか?例えば、お仕事とか、お仲間とかについてですけど。その・・・デニットさんのことを良く知れば、これからの探索に役に立つかなと思っています。」


アーシュラ

デニット<

「遺跡?そんな格好良いものじゃなくて、お宝狙いの墓荒らし程度さ。でも、お宝のある所って、どうして何時もこんなに暗いのかね。まったく、もう・・・」

 マリンに手招きして、隊列を変更する。デニットの右手で中衛の位置に行くように指示する。自分はデニットの左手中衛に移動する。こうすると前方をはっきりと見ることが出来るようになるはず。


GM

 角を右に曲がると、そこも通路だった。
 風がながれて、二人がやってきた階段の方へ過ぎていく。


デニット

アーシュラ<

「へえ、よく遺跡に潜るのかい」
 暗闇が好きという言葉を聞いて、何となく訊ねる。

「ああ、わかった。しかし、わたしはろくなことはできないな。戦闘以外はからっきしだ。不器用なのさ。
 だけど、まあ、そうだな……。わたしは野生児でね。ちょいとばかり、嫌な奴らの気配には敏感だ。それくらいが特技といえば特技かな」


マリン

 王宮役人とのやり取りで頭に多少血が昇っていたが、地階に下りてその暗闇に接すると、直ぐに冷静になってきた。暗闇との境で思わず立ち止まってしまった が、アーシュラの指示で隊列のしんがりを務めることにする。神術で明かりをつけようと思ったがアーシュラが先に魔法を使ったのを見て思いとどまる。さて、 どんなダンジョン探索になるやら・・・


アーシュラ

 こわごわと地階の暗闇を窺うが壁に遮られてほとんど先を見ることが出来ない。

「ちぇっ、あたし達って暗闇が好きだよね。」

 仕方なさそうに、ライトクリスタルの魔法を詠唱する。

マリン<

「はいーっ、何時までも怒っていないで隊列のしんがりを頼むよね。あたしは真ん中で行くからさ。」

デニット<

「デニットさんは、先頭をお願い。やばそうなことがあったら直ぐに知らせてね。あと、怪しい場所があったら探索するから、やはり教えてね。」

 歩き始めながら、先方を歩くデニットに話しかける。

「ところで、デニットさんは戦闘以外にダンジョン探索に役立つ技能持っているの?」

 通路を右に曲がる。


GM

 地下に降りてきた。
 階段を降りると、すぐに道は右に曲がっている。
 上階からの明かりが降りてきており、その部分だけは見えるが、通路を少しでも奥へ進めば何も見えないだろう。
 周辺は漆喰のような物で塗られた壁であり、上階と変わるところはない。