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〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

騎士王国シルヴァード
大陸の東部、バーナード地方の列国、最強の国。
剣王ハルッサムによる安定した統治を受け、現在が史上の全盛期と言われている。

:騎士王国 魔術師ギルド:
 シルヴァードの都、大牙の王城より少々離れた場所に建てられた、白亜の壁で囲まれた施設である。
 魔法知識の開発や売買、また、収入のあての無い魔術師に適当な仕事を探す組織であり、騎士王国では、国によって運営されている。
 遅れをとっていた魔法技術に危惧を抱いた、騎士王国の先代の王であるところの、正義王アールスがつくらせたものだ。
 かなり長い間、研究に行き詰まっていたのだが、ある魔術師が加入してから、状況が大きく変わる。その魔術師は、次から次へと新たな理論や技術を作り上げ、ギルドの中に風を吹き込んだのである。
 魔術師の名前はファ・ラ。
 その功績を認められ、魔術師ギルドの第二席を与えられた。
 大魔術師王国との技術提携も行われるようになり、現在では、この国の魔法技術が遅れていると呼ばわるものはいないとされている。
 ……とはいえ、このギルドには魔術師の、あるいは魔術師以外の学校組織としての面は弱く、その点の遅れは指摘されている。

投稿(件名…騎士王国 魔術師ギルド)
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GM

 三人は、大牙の城に移動しました。


アルマ

サーラ<

「はい、それでは、ご一緒させて頂きます」
 にっこりとして、またお辞儀をする。


アイスバーグ

サーラ<

「そうですね」
 倣うように首をかしげる。
「弓の騎士団の方が何か知っていらっしゃるかも知れないですし、そういう方が訓練場にいらっしゃれば……」
 サーラの代わりに、訓練場に寄る理由を探してみる。
 サーラが寄りたがっているのではないかと考えてのことだが……。


サーラ

アイスバーグ<

「ああ、そのどちらかだと思う。」
 瞳をめぐらせるようにして、どちらだろうと考えている。
 その後自分の方をみつめる視線に気付き、不思議そうに首をかしげた。
 きょとんとした顔は、驚くほど幼いほどに彼女を見せる。
「訓練場経由でまわって少しでも聞き込みをしていくか?
 ウォン隊長に聞いた限りでは、ほとんど可能性はなさそうだが・・・」
 ついでに鍛錬もしていきたいな、と、半分以上本気で彼女は思っていた。

アルマ<

「縦のつながりは、特に我々のような立場のものは重要だからな。
 指揮系統がはっきりしていないといざというときに困る。」
 面倒な部分も多いが、と付け足してくったくなく笑う。
 魔術師が羊皮紙を机の上に置くのを確認すると、笑みの種類を力強いものに変わった。
「では、行こうか。」


アルマ

サーラ<

「では、そうさせて頂きますね。サーラ様。
 私の方は、それで問題ありません」
 にこりとする。
 それから、くすくすと笑いだし、
「責任者と連絡を絶やさないようにするのは、重要なことですよね。……私の方は、事後報告ということにしたいと思っていますが」
 さらさらと、大牙の城に出かける旨を適当な羊皮紙に書いて、卓の上に置いた。


アイスバーグ

サーラ<

「団長は、今の時間でしたら……。
 団長室か、それでなかったら訓練場でしょうか」
 訓練好きなリーダーの姿を思い出して、ふとサーラを見る。


サーラ

アイスバーグ<

「そうだな。ここまでの経過だけでも報告しておくか。」
 何も言わないのも・・・という言葉に大きく頷く。
「団長、副団長あたりにはお伝えするべきだろうな。何もないにこしたことはないが・・・」

アルマ<

 魔術師式の礼を興味深そうに眺めた後、にっこりと笑う。
「アルマ殿。私のこともサーラでかまわない。
 見ての通り、騎士様と呼ばれるほど立派な騎士でもないしな。」
 人好きのする笑顔でそう言うと、周りを見渡す。
 受付は暇だという言葉に納得したように頷くと、「私にとってはありがたいな」と呟いた。
「ああ、とりあえず、魔術師ギルドではもうすることはない。
 お聞きの通り、城に戻ったあとで一度、団長に報告に行こうと思うのだが・・・よろしいだろうか?」


アルマ

サーラ<

「魔術師も人間ですから」
 サーラが驚いたような様子をしてくれたので、満足そうだ。
「アルマと呼んでくだされば、嬉しく思います」
 杖を立てたまま、半身でする、魔術師式のお辞儀をする。
 それから、
「そうですね……。
 杖さえあれば、他には特に準備は必要ありませんから、今現在の仕事を、誰かに引き継いでもらえれば、特に他にはありません。
 ですが、受付の引き継ぎをしたがる人物はそうそう見つかるはずがありません。何しろ、暇ですから。実際問題、受付の仕事をしていて、応対が必要なお客様があることというのは非常に珍しいことなので。
 ですから、書き置きだけ残していくことにして、すぐに出発したいと思います。
 騎士様も、他に魔術師ギルドで行う必要のあるご用はございませんか?」


アイスバーグ

サーラ<

 珍しく、照れもせずサーラの目を見返して、
「そうですね」
 笑い返す。

「そうそう、団長にご報告するのは、どのあたりにするのが良いでしょうね。
 今の段階では、“報告”だなんていえることはできないですが、何にも言わないのも良くないでしょうし」


サーラ

アイスバーグ<

「何だそれは。」
 からからと笑いながら困惑顔の少年を見る。
「自分のことだろう? おまえが思い当たることがないんなら、ないんだろう。
 気付かないような小さなことなら、今から調べていけばいい。」
 だろう? と相手の視線を捉えると、にっと笑う。

ラー・カイオン<

 すっくと立ち上がった相手を見て、サーラの目が丸くなった。
 唖然とした表情のまま、たっぷり三秒間は相手を凝視して。
「・・・ラー・カイオン?」
 確認するように呟く。
 わくわくと言葉を続ける顔をじっと見た後、軽く頭を振る。
「魔術師殿がこんなに楽しい性格だとは・・・」
 予想外だ、と、自分を棚に上げたような感想を呟くと、笑顔を浮かべた。
「こちらこそ、よろしくお願いする。
 亡霊関係はさっぱりだが、まあ、力仕事なら期待に沿えると思う。
 助言や指示がいただけるとありがたい。」
 流れるような動きで騎士礼をおくると、金色の瞳が問いかけるようにくるりと回る。
「では、今すぐ城に向かっていいのだろうか、術師殿。
 何か準備したり入り用なものがあるのなら手伝うが。」



カウンターの人物

サーラ<

「分かりました」
 サーラの気分に同調したような、厳粛な面持ちでうなずく。
「では、ラー・カイオンが、承ります」
 そういって、すっくと立ち上がる。
 ……そして、ぱっと、わくわくした顔に変わった。
「というわけで、最初は現場を検証したいと思うんです。
 墓場の影そのものは無理でも、そういった存在がでやすい状況にあるか、そうでないかくらいなら、一応、分かりますから。
 あ、申し遅れました。
 私は、第七席術士アルマ・ラー・カイオンと申します。
 亡霊関係の研究を専門にしています」
 よろしくお願いしますね、と、お辞儀をして見せた。


アイスバーグ

サーラ<

「う、うーん」
 また、困った顔をする。
「私自身では、そんなに、鋭い方だとは思ってなかったんですが……。どうなのでしょうね」


サーラ

アイスバーグ<

 困った顔をしているアイスバーグを見て
(以前と変わったところはないと思うが・・・)
 と内心首をかしげた。
「そうだな、心当たりがあれば真っ先におまえが気付くだろうし。
 そうなると、やはり私たちだけでは判断がつかないか・・・」
 がしがしと、赤い髪をかきあげるようにして呟く。

カウンターの人物<

「ああ、では、取次ぎをお願いできるだろうか?
 今のところは問題になっていないが、それを問題を未然に防ぐのも私達の仕事だからな。
 ラー・カイオン氏に協力を要請したい。」
 表情を裏切らない、凛とした声が響いた。



アイスバーグ

サーラ<

「み、身の回りですか?」
 思わずうろたえて、不自然にならないように努力しながら(その努力に甲斐があるかどうかはともかく)身を引きつつ、困った顔をする。
「そう、ですね……。
 うーん……。
 私個人に変わるところはないと思いますが……」
 それとも何かあったかな? と、記憶を探ってみるも、
「あまり、心当たりは……」
 ないようだ。


カウンターの人物

サーラ<

 感情が鮮やかに発露する様子に、しげしげと興味の目を向けてから、首をかしげる。
「いえ、そうですね。
 亡霊関係か否かを調査する、という意味合いで、ラー・カイオンも無関係ではないでしょう。複数の可能性の中から、一つでも選択肢を消すことができるなら、調査にはプラスとなりますしね。
 正式な調査依頼ではなくても、王城で問題が起きている可能性があるとしたら、魔術師ギルドも無関心ではいられませんし。そちらで、協力をとのことでしたら、呼んで参りますよ」



サーラ

カウンターの人物<

「まるで見当がつかないな。あいにく、私は魔術や墓場の影のような話には疎いんだ。
 ・・・ただ、城に何かあるということなら問題だ。ほとんどの人間が気付けないというのではなおさらな。」
 サーラの目が一瞬、炎がともったかのように強く輝く。
 思案気な表情をしている相手にその眼差しをむけ、問いかけた。
「とりあえず、この現象が何なのか早急に突き止めたいんだ。
 そのラー・カイオン氏に話を聞けばいいのだろうか? それともこれは氏の管轄ではないのかな?」

アイスバーグ<

「魔力の才能か・・・確かにおまえは頭がいいし、才能があるといわれても違和感はないが・・・」
 しげしげと少年を見回し、首を傾げる。そうなのか?と問いかけるような仕草だ。
「怪現象とのつながりと言っても、おまえの見回りの時間に合わせてその気配が出るということしかわからんしな。
 気配云々を別にすると、最近身の回りで変わったことは?」
 以前の彼とどこか違うのだろうかと、ほとんど彼の目を覗き込むようにして尋ねた。


カウンターの人物

 思案げにこめかみのあたりを指でひっかく。

サーラ<

「そう……ですね。
 何事に付けても速断は禁物ですから、ええ、はっきりとは申せませんが……。
 そのような現象、というか、状況でしたら、とりあえずは三つ、考えられます。
 一つは、先ほども述べさせていただいたような、亡霊が騒ぎを起こしている可能性。
 一つは、魔法現象。
 今挙げました二つは、何かしらの才能がなければ認識できないようなものの例ですね。
 そちらのアイスバーグさんにその才能があり、ほかの方にはないのだと考えれば、説明が付けられます。
 ……でも、これはこれで問題があるんですね。
 なぜ、アイスバーグさんなのか。
 実際問題、アイスバーグさんが稀に見る魔力の才能の持ち主というわけではない限り、そこまで特定された個人しか感知できないような現象があるかどうかというと、疑問です。
 ……何か、彼とその現象をつなぐ糸があるのかも知れませんね。何が、というとなると、分かりませんが……。
 大牙の城自体に、何かがあるのでしょうか……」



アイスバーグ

サーラ<

 ゆっくりと、隊長のいった台詞を思い返して、それから、大丈夫だろうと、うなずいた。
「はい、何か思い出しましたら、補足させていただきます」


サーラ

カウンターの人物<

 亡霊の類に関する質問か、との問いに大きく首を傾げてみせる。
「その可能性も否定できないんだが・・・今のところそれもはっきりしないんだ。」
 だから困っている、と、あまり困ってもいないような笑顔で答えた。
 続けて受けた説明を、「亡霊専門の研究者もいるのか」とどこか感心したように頷きながら聞く。
 その後で、いくらか真顔になって大きく首を縦に振った。
「確かに、この件には何かの素質というか、条件があるのだと思う。
 何人もの人間がいるのに、たったひとりだけ違和感を感じているわけだからな。」
 納得したようにそう言うと、どこか慌てたような相手に笑いかけた。
「ああ、名乗りもせずに失礼した。私は赤鱗騎士団のサーラという。こちらは同じ隊のアイスバーグ。
 最近、城内で不可解な気配をこのアイスバーグが感じたと、報告を受けてな。
 具体的に・・・というと、いえるほどのことはまだはっきりしないのだが、何かがこそこそとしているような気配だという。
 しかし、同じ場所にいる者たちから話を聞いても誰も何も感じなかったというんだ。調べてみても何もでない。
 これはもう、私たちだけではお手上げだということで相談にのってもらいにきたんだが・・・」

アイスバーグ<

 視線を移し、相手の顔を見て
「そんなところだな? 補足する部分があったら頼む。」
 と、声をかけた。



カウンターの人物

サーラ<

 とりあえずぎょっとしたこの人物は、
「あ、ええと、あー」
 と、言葉にならない言葉を漏らす。
 急いで頭をはっきりさせつつ、同時に、質問されたことを整理しようとして、少し混乱しながら、何とか落ち着きを取り戻す。
「あ、はい、お伺いします」

 訊ねられたことをしばらく考えてから、とりあえずの答えを出してみることにする。
「そう、ですね。
 墓場の影……じゃない、ええと、亡霊の類に関するご質問ということで、よろしいでしょうか?
 そうしますと、技術棟におります、ラー・カイオンが、大抵のことはお答えできるかと思います。
 導師ではありませんが、亡霊を専門的に研究している者です。
 亡霊の類ではないということでしたら……そうですね……。
 一般的な魔法現象だとしても、まったく素養のないものの感覚では認識できないこともありますから、その関係かも知れませんね」
 そういってから、はたと気がついて、慌てて、本来、初めに確認しておくべきだったことを口にする。
「具体的に、どのようなことをお訊ねになりたいということでしたでしょうか?」


アイスバーグ

サーラ<

「なんだか、いい暇つぶしができる、とか思われそうですね」
 くすりと笑って、あとに続く。


サーラ

アイスバーグ<

「ああ、あそこで聞いてみたらいいんじゃないか?」
 カウンターに座る人物を認め、自分と同じように周りを見渡していた少年に声をかけた。
 その人物がぼーっとしているのをしばらく眺め、
「暇で暇で仕方がない、という感じだな?」
 ぽつりと呟く。
 内心で、得物が魔術では訓練しながら暇つぶしというわけにもいかないんだろうなと、自分なりに解釈をして何やら頷いていた。
「時間が空いているなら好都合だ、話をしてみよう。」
 行こう、とアイスバーグを促がすとそちらへ向かって歩き出した。

カウンターの人物<

 ぼんやりとしている相手の正面に立ち、その顔を覗き込む。
「少々尋ねたいことがあるのだが・・・かまわないだろうか?」
 明るく笑いかけると、人好きのする笑顔がその顔中に広がった。
「特定の人間にしか感じないしわからない気配というか、事象について知りたいんだが。どこなら話を聞いてもらえるかな?」
 自分でもよくわからない質問だな、と心の中で呟きながら尋ねる。


GM

 研究棟の入り口、右手のやや奥まった辺りに、どこの竜追いギルドでも置いているような作業的なカウンター施設があるようだった。
 幸いなことに、そのカウンターに、用件を聞いてくれそうな人物も座っている。
 その人物はカウンターに肘をついて、暇そうにぼーっと天井を見ていた。 


アイスバーグ

「うーん」
 サーラの呟きを聞いて、同じように首を巡らせている。


サーラ

 白亜の建物の中に、目に鮮やかな赤い髪の女性が入ってくる。
 力強い眼差しは今はどこか珍しそうに辺りを見渡していた。
滅多に入ったことのない所にきた、という、なんとも好奇心に満ちた目だ。
「思ったよりも広いが・・・どこに話を持っていけばいいんだろうな?」
 建物を見比べ、行き交う人を見やった後でひとりごとのように呟く。
 受付のような場所はないかと首をめぐらせた。


GM

 白い石の壁と、大理石の柱石に囲まれて、一種の聖堂を思わせる造りの建物が幾つか、立ち並んでいる。
 建築様式こそいささか時代遅れながら、決して廃れているわけではない。むしろ、行き交う人たちの様子は明るく、活気に満ちている。

 建造物は、正面から見たところでは四つ、ある。
 まず研究棟であり、敷地のまん中に堂々と建っている。新しい魔法理論を求め、常に多くの研究員たちが詰めている場所だ。
 あと、その研究棟の右、左にと建っているのが、技術棟と書庫、訓練棟である。技術棟は、開発以外の研究を行う所であり、一番、人が集まっている場所である。これまでにつくられた理論を再確認したり、研究棟から降りてきた提案を実際に吟味するところである。新理論以外の魔術知識を学習したりするのもここである。
 書庫は、研究所や遺跡から発掘されてきた文書、また、市井の魔術師が著わした書物などを保管している所である。そのようなものの買い取りもしているし、ギルドにとっての研究価値がないか、資料価値がなくなった書物の払い下げもしている。
 訓練棟は、表にある建物の中では唯一、にぎわっていない。なるべく危険でない範囲で、魔術師が訓練を行う場所であるとされているが、そのような目的に使用するには施設が充分ではなく、例えば魔術師同士が腕比べをするような場合は、郊外の原などで行ってしまうため、その役割はほとんど失ってしまっている。ちょっとした、小規模の魔法を試してみようとするものがたまにいるくらいである。大抵は、静かに休憩しようとして、何人かがくつろいでいる場所だ。
 他にも、宿舎やその他の建物が幾つか、建っている。

 今、時間は、昼下がりというにはやや遅い頃である。
 ギルドに、雑事をこなす下働き、あるいは徒弟として来ているものたちが、一旦、食事などをするために帰宅しようと、次々と門を抜けているようだった。