十年の長きに渡って繰り広げられた“大陸戦争”の当初に建てられてそれを生き抜き、“サイーディア討伐戦”、また、“魔物掃討作戦”の激戦を生き延びた歴戦の城塞。 岩山の上に石造りされたこの建物は華美でなく、しかし質素に過ぎず、そして戦略上の合理性と生活のふたつを追求して改築が繰り返された大規模の王城で、その威容は北の大地まで伝わっている。 先代である正義王アールス、そして当代の剣王ハルッサムとともに様々な逸話を残したこの人の身ならぬ老兵は、今は平和な暮らしを営んでいるように見える。 ハルッサムと故王妃との双子は若輩ながらも、兄のシーザーは剣に、妹のリィジィーは魔術に才を見せており、ともに将来を嘱望されている。 この王家は民に絶大な人気を誇り、その治世は安定し揺るがない。 |
大牙の城 | ||
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槍の塔 | 剣の塔 | 弓の塔 |
赤鱗騎士団・団長室 青鱗騎士団・団長室 白鱗騎士団・団長室 騎士隊長サーラ私室 他・騎士隊長私室 |
剣の将軍執務室 第一騎士団・団長室 第二騎士団・団長室 第三騎士団・団長室 騎士隊長ウォン私室 他・騎士隊長私室 |
弓の将軍執務室 梟騎士団・団長室 鷲騎士団・団長室 隼騎士団・団長室 騎士隊長私室 |
会議室 |
GM |
サーラは早朝に目が覚める。 基本的に、騎士団寮の騎士たちは従騎士も一般騎士は同じ時間に起床する。 上級騎士以上になると、ある程度自由に行動することができるようになり、有事以外では自分の時間をかなり持てるようになる。もちろん、唐突に任務やら下級騎士の面倒を見る役目を授かったりすることもあるのだが。 幸い、今のところはサーラは特に、そのような用件を抱えていなかった。 |
サーラ |
部屋に戻ったサーラは、手馴れた動きで鎧を外していく。 破損した部分をあらためて点検し、ため息をついた。 (動きやすくて気に入っていたんだが・・・。さすがに買い換えるしかないな。 ・・・あの魔物め。もう2,3発殴ってやればよかった。) 予定外の出費に眉根をひそめ、討伐したばかりの魔物にぶつぶつと文句をつぶやく。 ・・・文句というにはやや大きな声で、「悪態」といえるものかもしれないが。 それでも手は休めず、武具の手入れを続けた。 どれほど疲れていても傷をおったとしても、これは自分の命を守るための儀式のようなもの。 もはや習慣になっているそれを省略するつもりはなかった。 すべての手入れが終わった後、サーラは眠りにつく。 |