PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

騎士王国シルヴァード:
大陸の東部、バーナード地方の列国、最強の国。
剣王ハルッサムによる安定した統治を受け、現在が史上の全盛期と言われている。

:大牙の城「槍の塔/赤の団長室」:
 十年の長きに渡って繰り広げられた“大陸戦争”の当初に建てられてそれを生き抜き、“サイーディア討伐戦”、また、“魔物掃討作戦”の激戦を生き延びた歴戦の城塞。
 岩山の上に石造りされたこの建物は華美でなく、しかし質素に過ぎず、そして戦略上の合理性と生活のふたつを追求して改築が繰り返された大規模の王城で、その威容は北の大地まで伝わっている。
 先代である正義王アールス、そして当代の剣王ハルッサムとともに様々な逸話を残したこの人の身ならぬ老兵は、今は平和な暮らしを営んでいるように見える。
 ハルッサムと故王妃との双子は若輩ながらも、兄のシーザーは剣に、妹のリィジィーは魔術に才を見せており、ともに将来を嘱望されている。
 この王家は民に絶大な人気を誇り、その治世は安定し揺るがない。
投稿(件名…大牙の城「槍の塔/赤の団長室」)
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大牙の城
騎士団寮
槍の塔 剣の塔 弓の塔
槍の将軍執務室
赤鱗騎士団・団長室
青鱗騎士団・団長室
白鱗騎士団・団長室

騎士隊長サーラ私室
他・騎士隊長私室

剣の将軍執務室
第一騎士団・団長室
第二騎士団・団長室
第三騎士団・団長室

騎士隊長ウォン私室
他・騎士隊長私室

弓の将軍執務室
梟騎士団・団長室
鷲騎士団・団長室
隼騎士団・団長室

騎士隊長私室


会議室
 



GM

 サーラは医務室へ向かった。


アルマ

サーラ<

「いいえ、サーラ様」
 また、様付けが帰ってきてしまう。
「私もいい経験ができました。また、機会がありましたら、いずれ」
 礼を返す。


サーラ

アルマ<

「・・・宮廷魔術師か。」
 それはすごい、と大きく目を見張っている。
 が、はっと気がついたようにアルマに向き直った。
「しかしアイスバーグが魔術師ギルドに行ってしまうと困るな。
 いや、本人が行きたいというならしかたないが・・・」
 もごもごとサーラにしては珍しく、語尾が口の中で消えていく。
 しばらく唸っていたが、別にアイスバーグから何か言われたわけではないことに気付き頭をふった。
「頭がいいのは知っていたが、魔法の力があるとは思わなかったな。
 ありがとうアルマ殿。少し驚いたが、原因がわかってすっきりした。」

ギムリアス<

 アルパージャは早々に解放されるだろうという、その言葉にサーラの表情が変わった。
「ありがとうございます、団長。」
 心からよかったと、安堵していることがわかる笑みを浮かべる。
「表彰ですか。うちの隊の連中は大喜びで最前列に並ぶでしょうな。」
 アイスバーグの働きが嬉しいのはもちろんだが、真っ赤になっている顔をおもしろがるために。
 そう言って、自分も面白がるような顔をする。
「是非、というと私があいつに怒られそうです。顔を見せたときに盛大に褒めてやってください。」
 ふと気がついたように懐に手をやり、預かっていた短剣をとりだした。
「――忘れるところでした。
 ご利益のあるお守りをありがとうございました、ギムリアス様。」
 両手で捧げ持つように剣を持ち、ギムリアスの前に掲げる。
「牢に押し込む・・・いえ、入るときに役にたちました。」
 手本のように綺麗な一礼をしながら、そんなことを言ってにやりと笑う。

「では団長。私はこれの始末もありますので、一度ここで失礼します。
 ・・・アルマ殿も。」
 握手を求めるために手を差し出し、にこりと笑う。
「私はよく城下に出るから、お会いする機会はすぐに巡ってくるかもしれないが。
 今日は本当にありがとう。」


アルマ

サーラ&ギムリアス<

「サー・アイスバーグが今回の異変を感じ取れたことについては、恐らく、かれはかなりの魔法の才をお持ちなのです。
 わたくしが見る限りは、ですが。
 わたくしがサー・サーラと腕相撲をすれば一蹴されるのと同様、魔力も人それぞれで異なります。
 サー・アイスバーグはその魔力が人一倍高いのでしょう。
 良い導師と本人の努力、そして幸運に恵まれれば、宮廷魔術師にもなれほどかもしれません」
 若干、目を伏せながら説明する。


ギムリアス

サーラ<

「是非そうしてもらいたいもんだな」
 姫様に味方するとのくだりで、しかめつらしい顔できまじめ風に頷く。
「とりあえずは魔法に関することだけにしてもらいたいがな。
 ああ、それからアルパージャ郷については、形式上の聴取はしなければならんが……まずは解放していいだろう。館まで誰か送りにやらせよう」
 それから、にやりと笑う。
「あいつは控えめ過ぎるのがいかんが見込みはあるんだ。
 いい機会だ、騎士団全員の前で表彰でもしてやるか?
 いっそう気合いが入るかも知れん」


サーラ

ギムリアス<

 王女と王の親子喧嘩についてきき、目を瞬かせる。
 軽く首を傾げるが、ややあって納得したように大きく頷いた。
「なるほど、そうですね。父と娘というのは衝突するものです。」
 では私は同じ女同士、姫様にお味方しましょう。
 彼女の隊の者が聞いたら、盛大に文句の出そうな台詞を続けてにやりと笑った。
 城下の警備の話にうつると、表情を引きしめてギムリアスを見た。
「はい、よろしくお願いします。
 事を荒立てる訳にはいかぬやもしれませんが、アルパージャ卿の謀反については間違いであったと・・・すぐにでも解放されるよう、お口添えを願います。」
 そういった後、眼差しを柔らかいものにかえて言葉を続けた。
「それと、アイスバーグ。団長からも誉めてやってください。
 がんばっていましたから。」
 投げられた皮袋を片手で受け止めると、肩をすくめる。
「私は控えめな性質なので、目立つのは苦手なんですが。
 ですが、ありがたく頂いておきます。確かにこの鎧では少々動きにくそうですので。」
 にこりと笑い、頭を下げた。

アルマ<

「そういえば、なぜ今回の件・・・アイスバーグだけが気付いたのだろう?」
 ふと気がついた、という風にアルマを見る。


ギムリアス

アルマ<

「本当にな。是非、これからは連絡を密に取り合いたいものだ」

サーラ<

「姫様か……。
 確かに、大魔術師王国への留学からお帰りになってから、ずいぶんと陛下に苦言を呈しておいでだな。
 だが、喧嘩にしかならん。困ったことに。
 シーザー殿下がいらっしゃればあるいは何とか冷静に話し合うこともできるかも知れんが、南方戦線に出ておいでだ。やれやれ」
 ため息をつく。
「とはいえ、できることはせねばならんな。
 宮廷魔術師殿と相談し、少なくとも城下の警備は強化するとしよう」
 そこで、サーラが平気であげて見せた槍を見て、何ともいえない顔をする。
「お前な、それが本当にいきなり復活して、ここで暴れ出したらどうするつもりだ。いや、殴り倒すつもりなんだろうが」

 ふと、サーラの鎧を目に止めて、
「傷んだな。
 そういえば、お前は前の鎧が壊れてから、ずっとその革鎧だったな。
 身軽で戦いやすいのは分かるが、なんというかな。騎士というのはきらびやかな装備をしているという民衆のイメージも大切にしてやれ」
 言うと、600Rdの入った革袋を放る。
「今回の働きのボーナスだ。別に甲冑をあつらえろとは言わん。使い道は任せる」


アルマ

サーラ<

 真摯な礼に、目をぱちくりとさせる。
 それから、こちらも正式な礼を返す。
「騎士サーラ・フィリス・ウィンダリアに返礼を。王都を浸食する闇を打ち払いし槍に」
 にこりと笑う。
「私も勉強になりました。実戦経験は何にでも必要ですね。
 こちらこそ、いつでもお呼びください。力不足でも、できるだけのことはいたしますから」


サーラ

アルマ<

 団長の口から飛び出す悪態に、困ったような――面白がっているように見えなくもない――顔をしながら、アルマに耳打ちする。
「・・・これでも、団長は陛下のことを心底心配していらっしゃるんだ。
 聞かなかったことにしてもらえるとありがたい」
 肩をすくめ、軽く片手をあげて拝むような仕草をしてみせた。
 協力を感謝する、という団長の言葉には表情をあらため、深く頭を下げた。
「アルマ・ラー・カイオン殿に、私から心からの感謝を」
 真剣な声でそう言った後、顔を上げると一転して鮮やかな笑顔を見せる。
「本当に感謝している。何か私でお役に立てることがあれば、 いつでも声をかけてくれ。
 アルマ殿のためなら護衛でも用心棒でも、喜んでつとめよう」

ギムリアス<

「陛下の魔術嫌いも筋金入りですね」
 頬をかきながら、困ったように応じる。
「ですが、城下には守らねばならぬ民がいます。
 王家の方々だけではなく、彼らの安全のためにも、せめて最低限の守りは固めていただけるようお願いしたい」
 あんな魔物が町中を徘徊しては迷惑ですから、と、こちらも思い切ったことを言う。
「姫様にお口添えを願うわけにはいきませんか?団長や近衛隊長殿だけでなく、リィジー殿下からも説得していただければ、あるいは」

 怪我の治療を、という言葉に渋面を作る。
「・・・はい、了承しました。この後神殿に向かいます・・・」
 あきらかに不承不承、といった口調で声を返した。
 言われなければそのままにしておいただろう、と誰にでも想像できる反応だった。
「ああ。これは、件の魔物の残骸です。
 置いておいて再生しても面倒なのでもって来ました。神殿の炎で完膚なきまでに焼いてもらおうかと」
 こちらはけろりとした顔で槍を掲げてみせる。


ギムリアス

 気怠そうに、胸の前に組んだ手を机の上に乗せて話を聞いている。
 場内に魔物が侵入……のあたりから、面倒くさそうな表情の下で、瞳がぎらついたような輝きを見せる。
 冷たい炎、とでもいえば正しいか。
 とりあえずは、そのまま報告を聞いていく。
 聞き終えて、うなずく。
「なるほどな」

サーラ<

「迅速な対応だった。やはりお前たちに任せて正解だったな」

アルマ<

「貴殿の協力のおかげで見られた解決だろう。槍の塔から、魔術師ギルドに心から感謝を述べたい」

 冷静そうに、それぞれに言葉をかける。

 それから、サーラを見る。

サーラ<

「我らが大牙の城の、魔法に対する防御能力の欠如は、以前からおれも指摘してきたことだ。
 近衛兵隊長殿も、幾度となく円卓会議で提起している。
 知ってるか? サー・サーシャも第二騎士団長の代理で会議に出たときに、同様のことを提案している。
 それをあの石頭! 陛下はまだ自分が一介の兵士のつもりでいるのだ! 」
 さりげなく不敬罪を適用されそうな発言をする。

 剣王ハルッサムが、実は魔術的な構造物を好まないということは、あまり知られていない。娘には魔術を学ばせ、また戦であれば魔術の使い手で兵団を組織し、見事に運用してのける手腕を発揮する傍ら、どうにも、大魔術師王国のように城塞などへの大規模な魔法の防御を構築するだのといった、戦略的な用途へ魔術を使うことには、意外なほど難色を示すのだ。

 さんざん、教育上よろしくない言葉を吐いたら、落ち着いたらしい。

「とりあえずは分かった。お前の懸念していることも分かる。また陛下には進言しよう。今回の事態で、少しは考え方も変わるだろう。
 怪我の治療をし、まずは休め」

アルマ<

「改めて、協力に感謝する。
 手の空いている者を使わせる。ギルドまでお送りしよう」

 - 長期シナリオ達成! -

サーラ:
 SP7.5
 BP7.0
 PP4.0


 ギムリアスが、ふと、今気が付いた様子で、
「で、その槍にぶら下げたぼろ布は何だ?」


サーラ

ギムリアス<

「失礼します。」
 部屋に入り、ギムリアスの向かいに立つ。
 昼間に会ったときと同じ、気怠そうな団長の顔。
 そして昼間とは明らかに違う机の様子。
(・・・あれからずっと、事務仕事をしていらしたのだろうか)
 あの憂鬱そうな顔で、と思い、くすりと笑った。
 何かわかったかとの問いに、小さく咳払いをして姿勢を正す。
「はい。昼間に思っていたよりも、根の深い事件でした。
 城内に魔物が侵入し、陛下に危害を加えようとしていたことがわかりました。」
 そう告げると、今回の事件の報告を始める。
 地下牢付近に、不自然なほど陰気がたまっていたこと。
 剣の騎士団からきいた昔イ=サードであった類似の事件のこと。
 地下牢でアルパージャに会い、彼から謀反の真相を聞き出したこと。
 王族墓地で魔物をしとめたこと・・・。
 魔物についてや陰気についての事はその都度アルマに補足を求め、サーラは報告を進めた。
「・・・以上です。今回は事なきを得ましたが、我々が魔物の侵入に気付けたのはアルパージャ卿とアイスバーグのおかげ。
 彼らがいなければ、取り返しのつかない事態を招いたかもしれません。
 剣や弓だけではなく、魔物・・・魔法に対する防護策を何か講じる必要があると思います。
 もちろん、我ら騎士団だけでは難しいので魔術師ギルドや神殿にも協力を願わねばなりませんが・・・」


GM

 サーラたちは槍の塔に移動しました。


ギムリアス

サーラ<

「ああ、おれの名前の元でやるんだからな。あんまりやりすぎるのもいかんが、手ぬるいのはもっといかん」
 と、頷いた。
「分かっていると思うが、基本的に事後報告でいいからな」

 それから、憂鬱そうな顔で、自分が押しのけた事務仕事の書類を整理し始める。
 とにかく、これを片づけないことには我が身の自由はないのだと、観念したようだった。


アイスバーグ

サーラ<

 にっこりとして、敬礼をする。
「了解しました。今はまだ、ウォン隊長の隊の方々が警備をしている頃でしょうね」


サーラ

アイスバーグ<

「もちろんだ。殴ったり殴られたりできる相手なら恐れることはないぞ。」
 なぜか自慢気に、胸を張って答える。
 こちらも微妙にずれた答えだが気がついていないようだ。
「そうだな・・・それがいいだろうな。
 夜まではまだ時間があるが、アルマ殿にも一度現場を見ていただきたいし。」

ギムリアス<

 投げられた短剣を、危なげない手つきで受け止める。
「了解しました。」
(やかましく文句をつける者がいたら、反撃してもいいということかな)
 と結論付ける。
 にっと、悪童めいた顔でサーラは笑った。

「では団長。さっそく調査に向かいます。
 お時間を割いていただき、ありがとうございました。」
 どこか獰猛な笑顔のまま、流れるような敬礼をおくり、踵を返した。


アイスバーグ

 それまでは三歩下がって、やりとりを見守っていたが、話の決着がついたのをみて嬉しそうに出てくる。

サーラ<

「ええ、姿が見えるなら、隊長がぶん殴ることもできますしね」
 分かるような分からないようなことをいう。
「では、まずは例の場所まで行くのですか?」


ギムリアス

サーラ<

 まじまじとサーラをみて、それから呵々と笑い出す。
「なるほど、堂々とか、確かにな」
 笑いを収めると、腰に付けていた短剣を取り外し、鞘ごと放ってくる。
 小さなヘリオドールが飾られた、華奢なものだ。
「おれの身分証だ。おれの名前を出してもごちゃごちゃいって調査に協力しないような奴がいたら遠慮なく突きつけてやれ」


サーラ

ギムリアス<

 城内に異変が入り込んでいるのなら、放っておけないという言葉に大きく頷く。
「私もそう思います。だいたい、こそこそとしているというのが気に入りません。
 やましいところがなければ堂々と現れて行動するべきです。」
 彼女らしい意見を言うと、続けられた団長の言葉に破願する。
 鮮やかな笑顔が、ぱっと顔中に広がった。
「ありがとうございます!
 全力で調査にあたらせていただきます。」

アイスバーグ<

 弾むような声のまま、傍らのアイスバーグを振り返った。
「許可が出たぞ。これで大手を振って調査ができる。」
 嬉しそうにそう言い、笑いかける。
「まずは気配の正体をつかまないとな。相手がなんであれ、見えないというのは気味が悪い。」
 力強い口調でそう言った。


ギムリアス

サーラ<

 ギムリアスは、苦虫をかみつぶした様な顔をした。
「おれはな、『ある程度の事務仕事は副団長に任せておけばいい』というお墨付きをもらったから、この騎士団長とかいう肩書きを仕方なく受けたんだ。
 それがいざふたを開けてみれば、やれやれだ」
 ため息をついて、ぶつくさと、「アークの奴、面倒くさい書類だけ選んで残しやがった」とか文句を言っている。
 実のところ、副団長が代理でこなせるものは全部、片づけられているのだが。団長が直々に処理しなければならないものが残っているわけで、それは当然のように面倒くさいものでもあった。
「こんなでは、身体がなまる。久しく訓練場にも顔を出してない気分だ。まったく、騎士サーラ、お前のとんでもなく重い一撃が懐かしいぞ」
 冗談めかしていいながら、目の前の書類を乱暴にどけて、アルマに向かう。

アルマ<

「こちらこそ、術士アルマ。これまではあまり親密な関係とはいえなかったが、そのあたりも、なるべく改善していければ良いと思う」
 いささか無骨ながら、丁寧に礼をする。

 そして、席に座り直して、黙ってサーラの説明を聞く。
 所々で、うなずきを相づちの代わりにして、最後に、サーラが頭を下げるのを、苦笑いをしながら抑えた。

サーラ<

「止めろ止めろ。これがアークの奴だったらどうだったか分からんが、今さら、おれがそんなことを気にするわけがないだろうが。
 お前の判断に別に問題はないし、最初に手をつけたのがお前である以上、以後、引き続くお前が調査の陣頭に立つのが筋だろう」
 それから、ふむ、と呟く。そうしながら、手遊びにか、右手が顎先に生えた無精髭を引きぬこうと頑張っている。
「というのもだ、実はおれもあの後、やけに騎士アイスバーグの話が気になってな。
 もしこの城に、例えどれほど些細なことであろうとだ、何かの異変が入り込んでいるのなら、そいつをおれたちが放っておくわけにはいかん。
 おかげで、書類を見る目も進まんのだ」
 顔に手を当てて、わざとらしく頭を振った。
「まあ、別に調査をしたところで、金がかかるわけでもなし、やれるだけやってもらおうと思っていたところだ。
 いいだしてきたのはアイスバーグだから、騎士アイスバーグに音頭を取らせてみようかとも思ったんだが、保護者もその気なら、そっちに任せるべきだろう。
 で、だ。
 そういうわけだ。騎士サーラ」
 そういって、サーラをまっすぐに見て、にっと笑ってみせる。
 悪戯っ子の笑い方で、その年齢にしてはおかしなくらい幼く見えるのだった。
「お前の行動にはおれが責任を持ってやる。どこに声を掛けようと、誰の手を借りようと、誰もお前を咎めたりはしないさ。やるだけやってみてくれ」


アルマ

団長<

「どうぞ、よろしくお願いいたします。サー・ナイト」
 にこりとほほえんで、魔術師式の礼をした。


サーラ

団長<

「心中お察しします、団長。」
 机の上に広げられた巻物を見た後、笑顔で敬礼をおくる。
「しかしそれらを片付けてくださらない限り、私も団長に訓練をお願いするわけにはいきません。
 紙の束は放っておいても腐りませんが、その代わりに時間と共に増えていきます。副団長の眉間の皺と比例して。
 私たちとしてはあまり歓迎できない事態です。」
 頬のあたりに残る跡にはコメントをせず、にっと笑って姿勢を正した。
「早く終わらせて、訓練場にいらしてください。団員一同お待ちしています。」
「終わらせて」のあたりに心なしか力をこめ、そう言った。
 団長の視線を追い、一緒に来た魔術師を振り返る。
「はい、ご紹介します。
 魔術師ギルドの第七席術士、アルマ・ラー・カイオン殿です。
 アルマ殿、こちらはギムリアス・タール・ハイン様だ。
 赤鱗騎士団の団長でいらっしゃる。」
 紹介をすませると、表情をあらためて団長を見た。
「アルマ殿は亡霊関係の研究をしていらっしゃいます。
 騎士アイスバーグからすでに報告があったかと思いますが、第五通路の件で私が個人的に協力を要請しました。」
 そう前置きすると、ここに至るまでの経緯を簡単に説明した。
 淡々とした口調とは裏腹に、その表情と双眸は力強い。
「・・・以上の結果、魔術またはそれに類した力が今回の件に関係している可能性があると判断しました。
 団長に無断で剣の騎士団ならびに魔術師ギルドに赴いたことは全て私の独断、お怒りは覚悟の上ですが・・・けれど団長。
 私にはどうしても、今回の件が「気のせい」ですませられないのです。
 どうか、引き続き調査をする許可をいただけませんでしょうか。」
 まっすぐに相手の顔を見据えると、深く頭を下げた



赤鱗騎士団長
ギムリアス・タール・ハイン

 赤鱗騎士団を統率するギムリアス・タール・ハインは、四十絡みの男性で、人間だ。
 屈強な体躯に対して、まるで貴族の女性の様に肌が白く、妖精の血が混じっているのではないかという噂がまことしやかに囁かれている。
 とはいえ、緩やかに波打った頭髪も、剃っても剃ってもすぐ伸びるらしい髭も黒々としていて、混じっている血は、妖精は妖精でも、森の方(エルフ)じゃなく、地底に住んでいる方(ドワーフ)だろう。などともいわれている。

 執務机の上には、巻物が幾つか乗っかっている。団長が目を通さなければならない書類のたぐいらしい。
 その団長は、どうやら暇そうに机の上に頬杖をついていたようだ。
 今はどっかりと背もたれに身を預けているのだが、その右の頬のあたりに、手の跡がしっかりと残っている。

サーラ<

 サーラの質問に、にやりとする。
「当直の騎士アードは急用でな、聖堂までお出かけだ」

 そして、大げさにため息をつく。
「やれやれ、いい天気だな、騎士サーラ。
 こういう日に限ってな、しばらく放っておいた仕事が山積みでな。これを片づけるまで、おれはこの部屋を一歩も出られんのだ。
 退屈で仕方がなかったからな、どんな話でも歓迎するぞ」
 後続にも目をやり、
「騎士アイスバーグはともかく、お前が女性連れとは珍しいな。魔術師ギルドのもののようだが、紹介してもらえるんだろうな?」



GM

 団長室は簡素な作りで、ちょっとした執務机と棚、そのほか、最低限必要な品程度しか置かれていない。
 ここはあくまでも、騎士団長が、日常の業務を行うためだけの部屋だからだ。

 団長机の背後にある大きめの窓から、外の陽光がさんさんと降り注いできている。